仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理 上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』③

2024年04月11日 | 現代の病理

『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理 上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。

 

 これは、次のような三要素をもつ宗教団体の出現をほのめかすものだ。①互助を提供する相互依存ネットワーク、➁聖なる規範への献身の共有、そして③実存的不安や人生の無常に対処しやすくしてくれる儀式や超自然的信念。戦争やその他の災難が絶えない世界では、集団間競争の作用を受けて、この三要素を備えた宗教パッケージが普及していく。なぜなら、こうした宗教こそが、この重要な特質を欠く宗教との競争に勝利するからである(こうした宗教が「真実」だからではない。

 実際に、自然災害や戦争はいずれも、人々の宗教的信仰心を深め、儀式への参加を促すことを示す多数の証拠が得られている。経済学者のジャネット・ヘンツェンは、過去に起き九地震、火山噴火、熱帯暴風雨の激しさに関するグローバルデータと、九〇か国以上に暮らす二五万人を超える人々の宗教的信念に関する詳細な調査結果を組み合わせることによって、災害に見舞われやすい地域に住んでいる人々ほど信心深いこと、具体的には、神、天国、地獄、罪業、悪魔をより強く信じていることを明らかにした。震源、活火山、暴風域の中心に1000キロメートル近づくごとに、このような超自然的なものを信じていると答える人々の割合が、およそ10ポイントずつ増加する。

どの人腫においても、ほとんどの七要宗教で、こうした効果が認められる。

 以上のような心理効果は、文化として受け継がれる信念や習慣に埋め込まれているので、人々が災害多発地から移住してからも、世代を越えて持続していく。ジャネットが、ヨーロッパの同じ国で生まれ育った移民第二世代同士で比較した場合でも、やはり同様のパターンが認められた。すなわち、災害に見舞われやすい地域から移住してきた母親をもつ移民第二世代ほど、成人後も信心深いのである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『WEIRD(ウィアード)「現代... | トップ | WEIRD(ウィアード)「現代人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

現代の病理」カテゴリの最新記事