亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

後手に回るほどに負担は大きく(金融安定化法案)

2008年09月30日 22時15分57秒 | 金融市場の話題
28日日曜日の夕刻に大阪から京都に移動、その日のレセプションから始まり本日30日まで開かれたLBMA(ロンドン金地金協会)主催の貴金属の国際コンファレンスに参加。昨夜は(今朝)例の金融安定化法案が可決されていなかったので、ホテルにて3時半頃目覚めた際にチェックして驚いた次第。

日本時間の29日夜の段階でヨーロッパでは株安が広がっており、貴金属でもレポートを出したりしているフォルティス(バンク)の破綻など伝えられていたこともあり、9月27日に「10月に向けて混乱は続きそうだ」としたように、成立したとしても市場の安定は難しいと踏んではいたが、よもや蹴られるとは思ってはいなかった。まず思ったのは、ここに書いたように世論に敏感になっている議員心理と金融当局のここまでのある面で議会無視とも取れる対応の仕方に対する心理的抵抗ということ。今日になって米国議会の仕組みにも原因があったと知った。

先週、銀行間での資金取りが厳しくなっている現状(翌日物以外、麻痺状態)に改めて触れた。足元でそうした状況にもかかわらず26日までに決着がつかなくなった時点で対応策の“負け”を予感させたわけだが、否決されたいま“市場の暴力”によって何らかの法案は成立を見るのだろうが、後手に回ったぶん、当初より金額の負担が大きくなる、あるいは金融機関により甘い内容を提示しないと市場は納得しないのではなかろうか。欧米メディアでは盛んにウォールストリート(金融界)に対比する言葉としてメインストリート(一般の人々)という言葉を語感の良さもあり使っているが、結局否決したことの遅れでメインストリートの負担も大きくなるというわけだ。

それにしても株価の暴落とりわけ金融株の暴落は元より空売りを禁止しているので、今後ショートカバー(空売りの買い戻し)という要素は薄くなるので、戻りも鈍くなりそうだ。株価が戻らないと増資も難しくなりますます厳しい状況に。空売り禁止の功罪も浮き彫りに。まもなく30日のNY株の取引が始まる。

しかし「歴史の綾」とでも表現すべきなのか、懸命の対応が裏目に出る米国の国運を感じてしまう。危機に対して一体化しないアメリカというのも、大きな変化だろう。

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4 コメント

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ETF残 (ぱろ)
2008-10-01 09:18:24
急増で911トン、、、911ですか?偶然ですが・・。
次世代を担う若者たちへ (いつも拝見しております)
2008-10-01 21:36:51
英文ですが興味深いページをご紹介します。アメリカだけじゃない。日本も同じなんですけどね。
誰も今の生活レベルを落とせない。それは何を犠牲にしているのか考えなければならないでしょう。
学校で教える以前に社会人が為すべき事はないのでしょうか。
未来を貪り続けていることなど知る由もなくほとんどの現世代は天国へ旅立つのでしょうか・・・


http://www.minyanville.com/articles/CHINA-Fed-taxes-bailout-debt-recession/index/a/19219
Minyanville (fairlane)
2008-10-01 23:47:20
ここ見てますか。ここはCNBCのMadmoneyのハゲのおっさんと大げんかして一躍有名になったブログですよね。

日本、というかシリコンバレーでも注目なさってる人がいますね

Minyanvilleは最近あまりヒットがないんですよね。
calculated riskのほうが最近いいネタを飛ばしております

アメリカのブロガーはすごい!
アメリカブロガーの玄関 (いつも拝見しております)
2008-10-02 08:15:01
fairlane様

やはりご存じでしたか。
自転車通勤しているもので実は相場と関係ないところから知ることになりました。かのブロガーから世界が一気に広がりましたよ。
情けないのですが、実はcrも含め英英辞典サイト見ながら見てます。おかげで金融専門用語に強くなりました。ただ、これらのブログに書かれていることはあまりに早すぎておよそ1ヶ月から場合によっては1年以上先に現実化するネタがこの世の終わりのように強烈に取り上げられるからそのギャップに戸惑います。食傷にならないように気を付けてます。(笑)

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