友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

金儲けの話

2019年01月22日 17時12分06秒 | Weblog

  先輩が「センター試験の問題をやってみたけど、難しかった」と言う。彼は昭和33年に工業高校を卒業したが、「就職先がなくて」、仕方なく上京し東京理科大に入学した秀才である。大学の同級生の中にはバルブ期に、「共同で土地付きの家を買い、これを転売してまた土地付きの家を買い、何億円も稼いだ奴もいた」そうだ。

 そう言えば、昭和42年に私が教員になった時、先輩の先生が「金があったら、マンションを買っておけ。値上がりするからすぐ売って、もっと広い部屋のあるマンションに移ればいい」とアドバイスを受けた。残念ながら私は金がなかったし、財産を増やす情熱にも欠けていた。教員の給与も毎年ウナギ登りに上がっていたから、アドバイスは正しかったのに。

 金儲けに長けた人は、金に執着するだけでなく、冷徹な判断が出来る。「金は無いよりあった方がいい」くらいにしか考えられない私は、当然金持ちにはなれない。「儲かります」とか、「お得です」とか、「絶対に損しません」と、どんなに言われても心が動かない。たとえ、「あの店なら10円安いのに」と言われても、自分の気持ちを優先してしまう。

 100円ショップで売っている品物も、普通の店で売っている品物も大差なくなってきた。だったら安い店で買うのが当たり前なのに、頑固に文房具は文房具屋さんに出かけている。けれど今に、小売店は無くなってしまうだろう。ドラックストアで野菜まで売っている。スーパーよりも値段が安いと評判だ。安い野菜を買いに来て、ついでに薬や化粧品も買ってくれれば儲けはあると聞く。

 街にあった薬屋は本当に少なくなった。もう八百屋は見当たらないし、電気屋も自転車屋も無くなった。街の形も様変わりしている。それでもどの自治体も、「企業を誘致し」「豊かな街づくり」を進めるという方針は変わらない。高齢者が増え、若い人たちが相対的に減っているのに、どうしてバラ色の「街づくり」にこだわるのだろう。

 みんながそこそこに暮らしていけるなら、それが一番良いのではないのか。「金儲けしたことのない人間は夢がない」と叱られそうだが、「心が豊かに感じられる街づくり」が私は好きだ。

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