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『雪山の絆』

2024年01月14日 | 映画(や行)
『雪山の絆』(原題:La sociedad de la Nieve)
監督:J・A・バヨナ
出演:エンソ・ボグリンシック,アグスティン・パルデッラ,マティアス・レカルト,
   エステバン・ビリャルディ,ディエゴ・ベヘッシ,フェルナンド・コンティジャーニ・ガルシア,
   エステバン・ククリツカ,フランシスコ・ロメロ,ラファエル・フェデルマン,バレンティノ・アロンソ他
 
年が明けてから2日に5本ハシゴ3日に2本ハシゴしたから、
翌日から仕事の4日は家から一歩も出ることなくこのブログ用の記事を書きつづけ、
夕方になってようやくNetflixにて1本だけ観ることにしました。
4日に配信が開始されたばかりで、塚口サンサン劇場でも1週間限定で公開されていました。
 
1972年10月に起きたウルグアイ空軍機571便遭難事故を描いています。
この事故は映画化には打ってつけの内容というと不謹慎かと思いますが、たびたび映画化されていて、
いちばん有名なのはイーサン・ホーク主演の『生きてこそ』(1993)。
ドキュメンタリー作品としては『アライブ 生還者』(2007)などもあり、いずれも鮮烈な印象。
 
若者たちがラグビーをするシーンから始まります。彼らはウルグアイのラグビーチームの面々。
その年、チャーター機でチリへ旅行できることになり、
所属メンバーはもちろん、家族や友人知人も誘って、総勢45名でサンティアゴへと向かいます。
 
ところが途中、アンデス山脈の雪山墜落
大破した航空機から放り出されて即死した人もいますが、生き残った人たちも。
無線は壊れて連絡するすべはなく、パイロットも死んでしまったから自分たちが今どこにいるかわからない。
すぐに救助が来ると信じていたのに来ず、数日後に荷物の中からラジオを見つけてつけてみると、
無情にも捜索が打ち切られたというニュースが流れてきます。捜索の再開は雪解け後になると。
 
何もできないまま日々は経過し、その間に次々に誰かが死んでゆく。
氷点下何十度という世界ですから、航空機が墜落しなくともここにいるだけで凍死する。
皆で励まし合い、時に怒鳴り合いながらもなんとか生き延びようとする若者たち。
 
やがて食糧が底を突き、食べられそうなものは亡くなった人の肉だけ。
解体作業を買って出た人が、正気を失う者が出ないようにと、皆から見えないところで解体。
これは犯罪だ、人肉を食べることが許されるのかなどと葛藤しながら、
でも「生きてこそ」。食べなければ死ぬ。生きる望みがあるかぎり、食べる。
 
ホラー作品ではないので、生々しいシーンはほとんど映りません。
本人の許諾なく肉を食べるなんてという会話のあと、「自分が死んだら食べてくれ」と言い始めるところや、
自らの命が友人の命を救えるならこれほど素晴らしいことはないという遺言には泣いてしまいます。
 
最後まで生きる望みを捨てず、いちばん体力のある2名が人里まで歩いてたどり着いたおかげで、
生存者がいると世界中が知ることになり、16名が生還。
人肉を食べて生き延びたことに批判もあったかと思います。でも、誰がそれを責められましょう。
 
生還した人ではなく、途中亡くなった若者のナレーションという形で進められるのが切ない。
 
どんなときにも自然は雄大で美しい。星空の美しさに余計苦しくなります。
劇場に観に行けばよかったとちょっぴり後悔しました。

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