徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。7』(ビーズログ文庫)

2022年07月17日 | 書評ー小説:作者ア行

『十三歳の誕生日、皇后になりました。7』は、赤奏国がお正月を迎える時期に占いが流行り出し、占いで「こうするとよい」と言われたことを仕事に持ち込んで、国宝の剣が失われたり、同じく国宝の赤い宝石が見分けがつかなくなったりというトラブルが発生し、その調査に幼い皇后・李杏が任される、というストーリーです。

事件は起きてますが、人の命が脅かされるような危険なものではなく、市井の人々が占いにお金を出せるほど国の復興が進み、それゆえの新しい問題という位置づけで、全体的に見るとほのぼのとした流れです。

皇帝・暁月が「ちょうどよかったから」という適当さで選んだはずの李杏にますますほだされて行くところがほっこりしますね。
一途で努力家の彼女の今後の成長が楽しみですが、物語としてはこのままだとやや平坦過ぎるので、きっとそのうちとんでもない逆境に立ち向かうことになるのでしょう。



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茉莉花官吏伝

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 3 月下賢人、堂に垂せず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 4 良禽、茘枝を択んで棲む』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 5 天花恢恢疎にして漏らさず』 (ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 6 水は方円の器を満たす 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 7 恋と嫉妬は虎よりも猛し 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 9 虎穴に入らずんば同盟を得ず』(ビーズログ文庫) 

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 10 中原の鹿を逐わず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 十一 其の才、花と共に発くを争うことなかれ』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 十二 歳歳年年、志同じからず』(ビーズログ文庫)


十三歳の誕生日、皇后になりました。

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 2』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。4』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。5』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。6』(ビーズログ文庫)


おこぼれ姫と円卓の騎士

書評:石田リンネ著、『おこぼれ姫と円卓の騎士』全17巻(ビーズログ文庫)


女王オフィーリア

書評:石田リンネ著、『女王オフィーリアよ、己の死の謎を解け』(富士見L文庫)

書評:石田リンネ著、『女王オフィーリアよ、王弟の死の謎を解け』(富士見L文庫)


書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第十四幕』(富士見L文庫)

2022年07月16日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『紅霞後宮物語』はこの巻で本当に完結しました。
第十三幕から7年後、関小玉が皇后に返り咲くところから物語が始まります。とはいえ、新たに事が起こるのではなく、紅霞後宮物語を閉じるためだけに書かれた多くの断片的なエピソードで構成されています。
小玉は市井の人々に「ばあさん」と呼ばれて親しまれ、文林とも和やかな関係を育み、帝姫・令月を養育するという日常の中、文林の病が悪化し、やがて崩御。小玉が慈しみ育てた皇太子・鴻が即位し、小玉は文林のいない後宮で何の役にも立てないことを自覚して、後宮を出て庶民に戻る。
文林の死んだことになっている長男のその後。
隣国の實と康の世代交代。
などなど。
最後の「残照」の章ではさらに時代が下り、辰がついに滅びる。

少々長すぎるエピローグという感じで盛り上がりに欠けていました。
関小玉の影が薄すぎるきらいもあります。もう少し、彼女が後宮を出る際の経緯を詳しく語るなり、出てからの暮らしぶりを連続的に語ってもよかったのではないかと思います。
あまりにも周辺の人々の「その後」が取り上げられていて、その中には「誰?」と思い出せないような人物もあり、そうした人々のその後を番外編ならともかく本編の完結編に収録する意味があるのか疑問に思います。

このため、この巻だけを評価するなら、★5つのうち2つくらいでしょうか。



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書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語』第零~七幕(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第八幕』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第九幕』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第十幕』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第十一幕』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第十二幕』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第十三幕』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤』

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第零幕 四、星降る夜に見た未来』(富士見L文庫)

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第零幕 五、未来への階梯 』(富士見L文庫)


書評:北原 保雄著/編、『問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?』(大修館書店)

2022年07月16日 | 書評ー言語


へんな日本語にも理由(わけ)がある!
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」「こちら和風セットになります」「全然いい」などの“問題な日本語”を
取りあげ、それがどのような理由で生まれてきたか、どのように使えばよいかを、日本語の達人、『明鏡国語辞典』の編者・編集委員がわかりやすく解説。

という商品説明の本書『問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?』は2004年12月に刊行された本で、実は続編があり、「その4」まであります。
さらに番外編として『かなり役立つ日本語ドリル―問題な日本語番外』が2冊出版されています。
私はYouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で紹介されていたので、Amazonポイントを消化すべくとりあえず本書だけを買いました。

昔とは違って、今は世界中の発信がタイムリーに入手できます。それで、日本を離れて30年以上経つ私には違和感のある日本語の用法の驚くことも多いのですが、違和感の元が分からなかったり、なぜそんな用法になってしまったのか説明できなかったりすることがほとんどです。日本語文法に詳しくないから当然です。

そんな日本語用法に対する違和感を説明してくれるのが、本書です。
何が誤用で、何が正しいのかという正誤だけを説明するのでしたらつまらないですが、本書では「言葉は変化する」という当たり前の前提に立って、用法変化の過程を説明し、「現段階では誤用」とか「誤用とは言い切れなくなっている」とか「誤用とは言えない」などの評価のグラデーションを付けているため、押しつけがましくありません。

また、各章ではありませんが、多くの章末に掲載されている二コマまたは四コママンガは、その章で取り上げられた問題表現をネタにしており、かなり秀逸でユーモラスです。
「こちらきつねうどんになります」と素うどんが出され、きつねが器の中に入って「こちらきつねうどんになりました」とマンガが表紙にありますが、章末のマンガもおおよそ同じようなノリです。

加えて、上段の本文の下に「使うのはどっち?」という正誤を問うクイズも掲載されています。歴史的仮名遣い・現代仮名遣いの関係と違いや常用漢字表外の漢字の代用表記(一攫千金の代わりの一獲千金)など、曖昧な知識しか持ち合わせていない分野の豆知識をクイズ形式で学べて、勉強になりました。

そのうち続編を購入しようと思います。


書評:三上延著、『ビブリア古書堂の事件手帖 II ~扉子と不思議な客人たち~』(メディアワークス文庫)

2022年07月13日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行


『ビブリア古書堂の事件手帖』の第1巻が発行されてから10年を記念して書かれた本書『扉子と不思議な客人たち』は同シリーズの10冊目となるそうです。

この巻は、探偵小説3大奇作の1つと言われる夢野久作の『ダグラ・マグラ』をめぐる物語です。

古書店・虚貝堂の跡取り息子・杉尾泰明の死により遺された約千冊の蔵書。これは、法的には高校生の息子・樋口恭一郎が相続することになっているが、虚貝堂店主・杉尾正臣がこれを全て売り払うという。恭一郎の母・佳穂は、これを阻止しようとビブリア古書堂に相談し、栞子と大輔は虚貝堂店主も出店する即売会場で説得を試みるが、即売会ではいくつものトラブルが待ち受けていた。

曲者の栞子の母・千恵子が陰で糸を引いている気配もあります。

目次
  • プロローグ・五日前
  • 初日・映画パンフレット『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』
  • 間章一・五日前
  • 二日前・樋口一葉『通俗書簡文』
  • 間章二・半年前
  • 最終日・夢野久作『ドグラ・マグラ』
  • エピローグ・一ヶ月後
全編を通じて次の謎が解明されていきます。
  • 虚貝堂店主・杉尾正臣が遺産の古書を売り払おうとしているのはなぜなのか。
  • 樋口佳穂が本を読まない息子・恭一郎に古書を相続させようとするのはなぜなのか。
  • 亡くなった杉尾泰明が一時期失踪していたのはなぜなのか。
  • 杉尾泰明と樋口佳穂はなぜ離婚したのか。二人の間に何があったのか。
  • 杉尾泰明はなぜ死ぬ前にみんなに「どれでも好きな本を一冊持って行っていい」と言ったのか。
  • 篠川千恵子はこれらにどのように関わり、何を企んでいるのか。

この巻では、高校二年生になった扉子が海外出張中の母・栞子の代わりに事件の解明に貢献します。まだ思い込みが激しく、人の話を聞いてなかったりして勘違いすることもあるものの、洞察力はかなり鋭く、外見的にもしぐさも母親そっくりに育ってきているところが面白いです。
そして、今回話題の古書の相続人・恭一郎は本を読む習慣がこれまでなかったものの、扉子の話を聞いて本に興味を持ち出します。この二人の会話は、かつての栞子と大輔の会話にそっくりで、二人の未来を予感させます。

また、エピローグでそろそろ引退を控えた千恵子の企てが大まかに明かされているのですが、そこで読み物としての『ビブリア古書堂の事件手帖』に言及されており、『ドグラ・マグラ』の中で『ドグラ・マグラ』に言及されているのを真似ているのがなかなか面白いです。
ある古書を探し求めて10年も失踪していた篠川千恵子の怖いキャラは引退間近でも健在で、このシリーズの重要なスパイスとなっています。

次巻がクライマックスになりそうな感じがしますが、ひょっとしたらまだ終わらないのかもしれません。




書評:三上延著、『ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~』 (メディアワークス文庫)

2022年07月11日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

栞子と大輔の娘・扉子が活躍するシリーズ第2弾『ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~』は、ますます母の栞子にそっくりになって来る扉子が急に祖母に呼び出され、父・大輔の付けていた事件手帖のうち、2012年と2021年の横溝正史の『雪割草』に関わるものを持って来て欲しいと頼まれ、それを持って馴染みのブックカフェに行くところから始まります。
本編の第一話~第三話はその事件手帖に書かれている内容で、扉子が祖母・篠川千恵子を待ちつつそれを読んでいる設定です。

プロローグ
第一話 横溝正史『雪割草』I
第二話 横溝正史『獄門島』
第三話 横溝正史『雪割草』II
エピローグ

第一話の時は2012年。まるで横溝正史の金田一耕助シリーズに出てきそうな元華族の上島家で、横溝正史の幻の作品と言われる『雪割草』が盗まれたと身内の中で騒ぎになり、縁故のあった書店を通じてビブリア古書堂に事件解決の相談が持ち込まれます。
ここで、盗まれた本自体は戻ってきますが、そこに挟まれていたという付録は行方不明のまま事件は終了します。
それが第三話への前振りになっており、2部構成で以前の事件を解決するという横溝正史の『病院坂の首縊りの家』に似せています。

間に挟まれた第二話の『獄門島』は扉子が小学生の時の話で、読書感想文を書くための本にどういうわけか『獄門島』を選んで先生を心配させ、買い置きしていた古本を取りに行くために父・大輔と出かけて行ったら、目的の本がなくなっていたという事件を描きます。
これは、第三話の事件解決のための1つの鍵の役割を果たしています。
『獄門島』と『雪割草』の関係は、最後の最後に明かされますので、ここでは言及を控えさせていただきますが、とにかくなくなった「付録」は正当な持ち主の元に戻ってきます。

そして、エピローグで、千恵子の予備他紙の目的が実は扉子にその事件手帖を読ませることだったことが明かされます。
そこで手帖に書いていない真実に気付いた扉子が、千恵子に質問をしますが、それに応えないまま去っていく彼女は相変わらず謎めいた恐ろしげな人でした。




書評:宮田登著、『民俗学』(講談社学術文庫)

2022年07月11日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

宮田登著、『民俗学』(2019)は、民俗学とは何か、日本における民俗学の成り立ちから現在に至るまでの研究の発展や変遷、民俗学的に重要な「常民(性)」「ハレ」「ケ」「ケガレ」などの概念の説明など、非常に示唆に富んだ入門書です。

装丁や構成が現代的な意味で分かりやすくなっているわけではないので、その辺りは「学術文庫」であるところを考慮して大目に見る必要があるかと思います。
つまり、手っ取り早く読める本ではありません。

目次
まえがき
1 民俗学の成立と発達
2 日本民俗学の先達たち
3 常民と常民性
4 ハレとケとゲガレ
5 ムラとイエ
6 稲作と畑作
7 山民と海民
8 女性と子供
9 老人の文化
10 交際と贈答
11 盆と正月
12 カミとヒト
13 妖怪と幽霊
14 仏教と民俗
15 都市の民俗

先日一気読みした『準教授・高槻彰良の推察』シリーズの高槻淳教授の専門分野は、上の民俗学の分野の13と15にあたるのだな、と一人納得しながら読みました。

日本の民俗学がもはや農村、特に稲作文化ばかりを追わず、広く人々の営みと大小の「伝承」「伝統」に目を向けるようになったのはいいことだと思います。
やはり古いもの(失われつつあるもの)ばかりに囚われるのではなく、いかなる人の集団にも<民俗>が生まれることに着目するのは、現実に即しています。

私は古いものも好きですが、なぜかどこからともなく生まれて語り継がれる都市伝説の類も好きです。
そういったものが類型化できるのであれば実に興味深いと思います。