民間組織「人口戦略会議」は4月24日、744自治体を「消滅可能性自治体」と指摘する新い報告書を公表した。
10年前に全国896自治体が消滅する可能性があると警鐘を鳴らし、政府の「地方創生」政策の起点となった「増田レポート」と言われる推計の公表から10年経過した。速いものである。
(2014年出版された推計レポート 本は売れたが社会の改変にはあまり役立っていない)
10年前は言葉が一人歩きし、まるで過域が消え去るような誤解が広がったが、人口減少問題に関心がある私から見て、この10年間でいい意味で変わったことはほとんどない様に思われる。
今回の報告は独自のデータ処理はなく、国の機関の推計をそのまま当てはめた。
「地方消滅」とはインパクトが大きい言葉である。「消滅」という言葉を使ったことにも批判がある。地域に住民が住んでいる間は具体的に「消滅」するのではなく、人口減少のために自治体運営が立ち行かなくなる可能性を指したもの。具体的「消滅」ではなく機能的消滅を指す。現に「小学校廃校・統合」「消防の広域化」「ローカル線の廃線」「バス路線の廃止」「秋田県の二次医療圏の統合」などなどは人口減少のために自治体運営が立ち行かなくなってきているの証左である。
10年前に「消滅」の言葉に浮足立った自治体は、「地方創生」の下で各地の将来像を急ぎ足で描くよう迫られ、人口減の緩和に向けた競争に駆り出れた。結果的に人口減防止対策や人口減に適応した社会の模索を求めるはずが、若者の奪い合いといった形が目立ち、人口減対策としてはむしろ後退したケースも目立つ。
その判断の唯一の論拠は、地域の20-39歳の女性が将来半分以下になるとの推計だ。当然である。その判断は正しい。
人口減対策の唯一の方法は「生きのいい、若々しい子宮の輸入」しかない。
各市町村ごとの人口推計は誤差がきい。実際、2014年時の増田レポートが描いた来像とその後10年の現実に乖離が生じた例は少なくない。そんなことは当然のことである。そんな些細なことを問題にする必要はない。
増田レポートの言わんとする根幹は私は正しいと思う。