福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

紅麹サプリメントの健康被害(3)小林製薬の対応の問題点

2024年05月03日 05時36分14秒 | 医療、医学
 この世は不正・隠蔽などに満ちている。

 私どもは五感を駆使して身体の安全や生命を守っている。
 しかし、現代社会では各分野ともに門外漢は到底理解できないレベルの高度の技術、知見が駆使されており、個人的危険回避の判断力はほとんど有効に働かない状態で、「全て他人任せにせざるを得ない」に近いのが現状である。

 そうなると信用のみが判断の重要な因子となる。特に、食品関連、薬剤に関しては企業の責任が問われることになる。

 紅麹問題は本年1月15日「紅麹コレステヘルプ 」の利用者を診察した主治医から健康被害についての問い合わせがあって問題発覚した。当初、可能性として挙げられたシトリニンは未検出、3月16日別の未知の物質が検出され、3月21日消費者庁へ報告、3月22日保健所に届出たことで厚労省把握が把握した。この間死者も明らかになった。にもかかわらず自主回収決定まで2ヶ月を要している。この間も販売は継続されていた。

 小林製薬の対応を見ていると組織に共通する誤った意思決定の過程が認められるのではないか、との印象を受けた。

 一つは企業としての実績の積み重ねと得られた社会的信用に根ざした「過信」、不都合な情報の「軽視」と「隠蔽」、二つ目は会社組織の「結束力」による組織内同調傾向と集団合議体制による個々人の責任の曖昧化などである。

 人は「結束力」が高いほど 権威に従う同調の心理が働く。集団における規範の形成にあたっては、個々人は必ずしもそう思っていないのに、「会社のために」、「自分の立場を守るために」の心理が働き権威や多数派の意見に同調してしまう。この状態ではもはや集団としての理性的判断はできなくなる。小林製薬の記者会見等におけるシドロモドロの対応を見ているとそのように感じざるを得ない。

 私はなかなかヒトを、企業や組織を信用できない。性善説と性悪説とに分けるとするならば明らかに後者の立場に立つ。

 その立場で見れば、この社会は不正・隠蔽などに満ちていると考えていて心安らかではない。しかしながら、通常に流通している物品などについては日常的には疑いを持ちようもない。立派なブランドを確立している企業などについては、悪き情報が露わにならなければ疑いようもない、というのが現実である。そうは言っても、全てについても100%信じているのではない。そういう自分が情けなくなることもある。

 それでも私どもは五感を駆使して身体の安全や生命を守っている。「よく分からないが何かおかしい」、と感じることが原点である。

 しかし、新聞を見れば連日の如くに特殊詐欺の被害が報じられている。「どう考えても理解できない様な怪しげな誘いに乗ってしまうのか??」これほどヒトは自己判断力を失ってしまったのか??

 安易にサプリに頼る心理も五感力の減弱が背景になっているのでないか、と思う。
コメント
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