福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

こころと体2024(3) 優柔不断(3) 参考となった書物(2) 超ウジウジ人間のサンプル

2024年03月22日 06時27分41秒 | こころと体
 主人公がウジウジ型の2作品の紹介。

(8)『めぞん一刻』高橋留美子著 全15巻(小学館)
 作家高橋留美子氏の長編漫画。ボロアパート「一刻館」の美しい若後家管理人(響子)と無職の入居者(五代)を中心とした物語。二人とも典型的ウジウジ型人間で互いに意識し合っているのだが、煮え切らない。登場人物も多岐に渡るがその構成も描写も素晴らしい。

 本作品は30年以上前にも一度読んだ。その時は物語として新鮮な驚き感じたが、今回はウジウジ型の主人公たちを思い出し、自分の姿を主人公たちに重ね合わせながら一月ほどかけて再読した。

 この様なウジウジ型の、発展性の乏しい人間同士の模様を15巻にも及ぶ長編漫画として描いた作者の構成力、怒りや悲しみの心情の描き方などに改めて感心した。この様な漫画は男性作家には描けないのでは??

 作品の全体の推進力となっているのは、管理人響子の持つ大人の魅力と天性の「はぐらかし」の性格。さらに上をいくウジウジ人間の五代。二人とも好人物で、周りの人々、環境にに流されて思いを告げることもできない。

 終盤になって、五代と響子はいい雰囲にになる。管理人室で優柔不断の五代を前に響子はどうやって相手に肝心な台詞をいわせたか。立ち上がった響子は、窓に近づきカーテンをすっと開ける。色っぽい後ろ姿。響子は「私からお願いしなきゃいけないんですか」と。ここに至れば五代は決断せざるを得ない。本心を言葉にしないことで相手をじらし、肝心な発言を引き出す大人の技法だ。

 今回、再読してウジウジ型人間の悩みと人間的魅力の一面を再確認した。ウジウジ型人間も捨てたものではない。

(9)「おいしいコーヒーのいれ方」村山由佳著 全19巻(集英社文庫)
 1994年から続き、26年もの歳月をかけてグダグダと話を進めて昨年完結した長編物語。著者の村山由佳氏自体がウジウジ型ではないかと勘繰った。

 家庭の事情で同居を始めた高校生の「勝利」と、5歳年上の従兄弟の「かれん」の恋物語。家族や同僚、味方やライバルも含め、たくさんの人に見守られてきた二人。

 「勝利」はスポーツを好む魅力的人物なのだが肝心なところでは超ウジウジ型人間。「かれん」は可憐で清純な魅力的女性。私は3年ほど前にこの作品のその存在を知り、17巻をまとめて読んだ。
 
 男性向けの雑誌は恋愛のプロセスを直線的に早く進めようと煽るものも多い中、「勝利」と「かれん」の恋はじれったいくらいゆっくり進む。私は「勝利」の態度にイライラしながら止めるにもやめられず全19巻を読み切った、ということ。
 主人公に自分を重ね合わせて、自分の問題点を見るような味わいが無ければ、シリーズの数冊で読むのをやめていたであろう。

 自分の姿の一部をより客観的に示しているような作品である。


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