マキペディア(発行人・牧野紀之)

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宗教法人の総点検を

2012年07月03日 | サ行
 東京西郊の高速道路ジャンクション予定他の近くで、墓地造成話が持ち上がっている。約200坪の敷地に、300余基の墓を建てる計画で、周辺の住民は困惑している。

 建設主はある宗教法人。すでに首都圏十数ヵ所で墓地を建設しており、宗教活動より墓地ビジネスに邁進しているように見える。

 宗教法人は全国に約18万余。コンビニの総数よりはるかに多い。都道府県や国に届け出ると、一定の条件をそなえていれば宗教法人と認証される。そして、その後の所管庁のチェックは行き届かず、休眠法人もかなりの数にのぼっている。

 宗教法人は税制面で優遇措置を受けている。それに加え、墓地造成は地方自治体か宗教法人に限られているため、宗教法人の売買や名義貸しが日常的に行われているという。

 特に大都市圏では、墓地の供給が需要に追いつかず、マンション建設より割のいい開発事業として建設会社、石材業者などが活発な事業展開をしている。

 自治体によっては一定期間その地での活動を墓地建設の条件にするなど厳格な規制を持つところもある。だが、大部分は性善説に立ち、規制は緩やかだ。かくして住宅地に突如、墓地が出現する。

 信教の自由は尊重されるべきだ。社会に役立っている宗教法人もたくさんある。しかし、認証の条件が甘く、その後の活動に対する監視が緩すぎる。終点検し、休眠法人を解散させるなどすべきだ。

 米、独などでは宗教活動に実質的に関連したもののみに優遇措置がとられている。消費増税が実施されようとしている今、宗教法人に対しても厳正な対応が必要で、適正な課税を検討する時期に来ている。

  (朝日、2012年06月30日。経済気象台。提琴)

     関連項目

宗教とは何か

宗教法人