マキペディア(発行人・牧野紀之)

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公害

2010年12月09日 | カ行
  参考

 01、おそらく、最初に公害という言葉を作った人は、英法に言うパブリックニューサンス(public nuisance)の訳語のつもりであったのであろう。……今日では、公害という言葉は、英法に言うパブリックニューサンスよりもはるかに包括的な内容のものとなっている。(庄司光・宮本憲一「恐るべき公害」岩波新書206頁)

 02、公害問題というのは差別の1形態であります。……実際に先ず公害の被害者というものは差別されます。……差別というものは全生活的なものでありまして、……被害者は常に被害を体全体で受けている。……差別の中身はどういうものだと聞かれて出来る唯一の答えは、「お前と俺と場所を入れ替えよう」ということしか出来ない。(宇井純「公害原論」1、亜紀書房36-9頁)

 03、能率をあげる思想が公害の元ではなかろうか。(宇井純「公害原論」1、亜紀書房63頁)

 04、公害には4つの段階があるらしい。それは起承転結である。……つまり、公害というものが発見され、あるいは被害が出る。それに対して原因の研究、因果関係の研究(第1段目)というものが始まりまして、原因が分かる。これが第2段目とします。

 そうしますと、原因が分かっただけでは決して公害は解決しない。第3段目に必ず反論が出てまいります。この反論は、公害を出している側から出ることもある。あるいは第3者と称する学識経験者から出される場合もあります。いずれにせよ反論は必ず出てまいります。そうして第4段は中和の段階であって、どれが正しいのかさっぱり分からなくなってしまう。これが公害の4段階であります。(宇井純「公害原論」1、亜紀書房98-9頁)

 05、〔公害問題に〕第3者は存在しないという〔第2〕原則。(宇井純「公害原論」1、亜紀書房107頁)

 06、活字よりはガリ版、ガリ版よりは手書き、手書きよりは本人から直接聞くこと、これが公害の研究の原則です。……第2次資料から始めてはいけない。(宇井純「公害原論」1、亜紀書房198-9頁)

 07、公害対策の最も根本的なものは原因の除去であって補償ではない。(宇井純「公害原論」1、亜紀書房243頁)