マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

休暇制度

2008年09月07日 | カ行
        2008年09月04日   民主党参議院議員、藤本 祐司

 03月18日の「藤本ゆうじのホンネ」で、弾力的な休暇制度を作ることの効用を書いたところ、何人かの方からメールで意見を頂戴した。また、それらの意見には、私の考えと一致するアイデアも含まれていた。ただ、休暇制度設計の詳細を気にしすぎるとホンネとして書けなくなるので、今回はほんのアイデアとして提案する。

 実は、このvol.103は、04月には8割程度まで書き上げであったのだが、国会が慌しく、そのまま放置しまっていたため、ホームページへのアップのタイミングを失ってしまい、今に至ってしまった。たいへん申し訳なく思っている。

 さて、本題に入ろう。休暇の分散化のためには、やはり有給休暇取得率を上げることが先決ではある。それには、休みは悪であるという意識を変えることが必要であり、企業側にも休暇の取得は従業員の満足度を高め、むしろ生産性が上がることを理解させることが重要である。

 もっとも仕事が趣味という人もいる。そういう人から趣味である仕事を取り上げると、むしろモチベーションは下がるので、その人たちには自由に働いてもらえば良い。しかし、たいていの人にとっては適度な休みは生産効率を高める。このことを個人も企業も理解することが必要である。

 そうはいうものの、目の前に山積みされた作業や企業の目の前の利益を考えると、特に中小企業の場合、そう簡単に休暇を従業員に与えることはできないだろう。従業員も「どうぞご自由に」と言われても、なかなか積極的に休暇を取ろうと考えないかもしれない。強制的に休みを取らざるを得ない制度を設けないと休暇を取らないというのが実態かもしれない。そうとなると、企業側にも従業者側にも何らかのインセンティブを設けることを考えなくてはならない。

 例えば、休暇制度を整え、しかも100%取得を達成した企業の法人税を軽減する制度もひとつの方法である。

 また、欧米で見られるように、小学校や中学校の夏休みなどの長い休みの時期をずらすことによって休暇を分散する工夫をすることも想定できる。例えば、コミュニティや市区町村単位で夏休みをずらすことによって多少なりとも休暇は分散する。日本でも教育委員会が決定すれば可能であり、すでに市区町村の教育委員会単位で夏休みをずらしている。例えば、夏休みを短くする代わりに秋休みを少し長めに設定するなどの方策も想定できる。

 その他、親や祖父母と旅行するような場合、年間10日間程度は学校を欠席扱いにしないという方法を採っている国もある。出席日数に影響を及ぼさないため、内申書にも影響はない。

 ところで、日本に独特のハッピーマンデーという制度がある。祭日にはその日を祭日とした意味があったはずだ。しかし、その意味ある祭日を第2月曜に移動するなどして強制的に3連休をつくり出した。そんなことをするくらいならば、いっそのこと祭日を1週間前後にずらしても大して問題はないはずだ。地域によってお盆が違うのだから、祭日だって地域差があっても困らないはずだ。つまり、学校や企業の自由で祭日を1週間程度ずらしてしまえば良い。そうなると、体育の日をずらすとしたら、ある学校は、10月11日(土)~13日が3連休に、一方で隣の市の学校は翌週の10月18日(土)~20日を3連休にするといった具合になる。

 このように、いろいろの工夫を組み合わせれば、結構休暇は平準化、分散化は可能だ。企業や学校が自由に休暇を取得しようという意識さえあれば、それを実行に移し、制度として、その実行にインセンティブを与える柔軟な考えが重要となる。

   感想(牧野)

 1、大前提は、理由のいかんにかかわらず、国民の最低の生活は絶対に保障する制度を作ることだと思います。

 2、「休暇は悪」という考えを変えるより進んで、「従業員に休暇を与えることは経営者の義務」という考えの定着をはかることだと思います。

 3、「仕事が趣味」という人に例外を認めると、休暇を取らない人は不熱心と思われるから、例外は認めない。仕事上の勉強をしたいなら、休暇を取って自分でする。

 4、中小企業には「交代要員」を派遣したり、経営相談に乗ったりするのを支援する仕組みも必要でしょう。


 付記(牧野)

 これは藤本さんのブログからの転載です。本人の許可を得ています。
括弧内の題名は牧野、改行も一部は牧野のものです。

 藤本さんのHPは下記の通りです。

  http://www.fujimoto-yuji.org/