マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

夕刊

2008年06月21日 | ヤ行
     夕刊

 そもそも夕刊はいつ誕生したのか。国内では、1877年に夕刊紙「東京毎夕」が創刊され、1885年に東京日日新聞(毎日新聞の前身)などが夕刊を出したのが皮切り。朝日新聞は1897年に「東京朝日」が始めた。だが、各紙とも長続きはしなかった。交通・通信手段が不便で、体制が整わなかった。

 本格的発行が始まるのは20世紀初頭。「日露戦争(1904~05)の戦況の速報で1日に何度も号外が出て、国民に新聞を読む習慣が広がった。これを機に夕刊が根付いた」と橋場義之上智大教授(メディア論)は話す。

 太平洋戦争終戦後の1949年、用紙の生産が増えて「夕刊風」が起きた。朝夕刊とも数が飛躍的に伸びた。

 しかし1953年にテレビ放送が始まり、1990年代にはインターネットが普及して、夕刊を取り巻く環境は変わった。

 職場からの帰宅時間が遅い人が増えたり働く女性が増えたり、といった読者の生活習慣の変化も起きた。

 各紙ともいま、より魅力的で読まれる夕刊を目指して、朝刊との差別化や、内容の工夫に取り組んでいる。

  (朝日、2008年06月15日)
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