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解放運動(02、佐高信氏の考えの検討)

2008年06月13日 | カ行
     解放運動(02、佐高信氏の考えの検討)

 「週刊金曜日」の2004年04月23日号(通巻 505号)に佐高信さんが「公明党の増長」という題の一文を寄せています。テーマはこの題名の通りであり、そのテーマを証拠を挙げて説明した文章です。結論としてこう書いています。

──私は公明党が自民党と手を組んで以来、『潮』等の学会系雑誌には執筆しないことにしているが、彼らの思い上がりが恐ろしい。──

 私は昨年(2003年)11月の総選挙の結果について「社民党の敗北」と「共産党の敗北」の2つの文を書きましたが、まだ書いていないものに「公明党の大勝利」があります。実際、あの選挙の核心と先日の04月25日の3つの補欠選挙の核心は「公明党の大勝利」ということだと思います。

 それは「公明党の増長」という現象を引き起こしています。しかし、それに対して、佐高さんのように「自分は協力しない」とか「公明党の増長が恐ろしい」というだけで、民主派のリーダー的評論家の責任を果たしたと言えるでしょうか。

 私はこの文章を読んで、民主派の危機を改めて感じました。その核心は理論的リーダーと政治的リーダーがいないという事になると思います。

 公明党は政治的野心のある池田大作氏が1964年11月に結成して以来、少しは浮沈がありましたが全体としては一貫して影響力を強めてきたと思います。そして、池田氏は政党を作るだけでなく、大学まで作り、その卒業生を政界や行政組織の中に送り込んでいるのです。

 大切な点は公明党なり創価学会には遠大な戦略とリーダーシップがあるということです。従って、民主派の理論的リーダーの一人であるならば、たんに「恐ろしい」というのではなく、相手のやり方の計画性を暴いて、それに対抗する民主派の戦略とリーダーシップを提唱しなければならないと思います。

 前号(日教組と三理塚)で私は「民主派はどうしたら好いのかは次回に考えたい」と書きました。そして、前号で確認したことは3点でした。国民に頼った自前の経済基盤を持つこと、自己変革を意識的に追求すること、仕事でお客さんの支持を得ること、です。

 このほかに言いたい事は、佐高さんを反面教師とすれば分かります。今の日本の政治状況の全体を見るとき、我々に一番欠けているものは何でしょうか。ずばり、理論的リーダーと政治的リーダーだと思います。

 個別的には結構がんばっている人達はいるのです。散発的に戦っている人達はいるのです。しかし、反動勢力が「合理的・系統的・組織的」にやってきているのに対して、民主派の闘争は余りにも「心情的・一揆的・個人的」であるすぎると思います。

 石原東京都知事は自分のシンクタンクを持っていて、しかも1期目に準備をして2期目になって大攻勢をかけてきている、といったように、計画的にやっているのです。公明党は上に確認したように着々とやっているのです。

 従って、我々はそれ以上の戦略を持たなければならないでしょう。そして、国民的な支持を広げ強めていくための組織的で系統的な努力が必要だと思います。これを指導するような理論とリーダー(政治家)が必要だと思います。

 共産党は方向が違いすぎると思います。社民党はだらしなさすぎると思います。北朝鮮による拉致事件では、追及しなかったどころか、積極的に拉致に手を貸したのではないかという疑惑さえ出ています。こういった事を反省して根本から出直す姿勢は今のところ感じられません。

 民主党には期待はしていますが、今回の「日の丸・君が代」問題でも見て見ぬふりをしています。都議の中には先頭に立って反動的な事を主張している人もいます。これでは困ります。

 体制側は松下政経塾とかリーダー養成塾とかを作ってリーダーを養成しているし、創価大学は毎年卒業生を出しているのに、民主派にはそういう系統的な動きは見当たりません。

 先に触れました「週刊金曜日」には編集委員として5名の有名なジャーナリストや作家の名前が載っています(佐高さんはその1人)。しかし、この5名の方々は日頃から日本全体の事を話し合っているのでしょうか。

 この雑誌は「ルポ大賞」とかを募集してルポライターの養成に力を入れているようです。しかし、ルポライター養成がそれほど中心的に重要な事柄なのでしょうか。

 民主主義のために戦うのに大きく分けて2つの方法があると思います。1つは在野から批判をすることです。これまでの多くの努力はこのようなやり方のものです。しかし、私の経験ではこの方法は重要ではありますか、効果という点で次の方法にかなわないと思います。

 もう1つの方法というのは、どんなレベルのものでもいいから、公的な地位に就いて、その地位を 200%活用して戦うことです。田中康夫さんのように知事になれば、随分大きな仕事が出来ると思います。

 自分の事を出しますが、私はこの4月から地域の自治会長をしています。順番がきたからというだけの事ですが、ともかくやっている以上はこの地位を 200%活用して戦おうと思っています。先日も自治会長会と役場の協議があり、町長も出てきました。結構、面白い事がありました。

 これからは学校との会合もあります。楽しみです。

 思うに、教師という地位もその授業の範囲内ではありますが、権限を持っています。民主派の教師はその権限を200%活用してほしいものです。

 政党としては、私は現在のところは「みどりの会議」が一番可能性があるかなと思っています。政治をしたい人はみどりの会議に入って着実にやっていってくれませんか。

 今更あせって動いてもどうなるというものでもないと思います。しかし、戦いを止めることは出来ません。我々も遠大な戦略をもってリーダーを作りつつやっていこうではありませんか。1人1人が自分の戦いを報告し合うことも必要だと思います。
(2004年05月02日発行)