マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

バンサレー沖での船釣り(1) 「一つテンヤ」という仕掛けを自作して使ってみた。

2014年01月29日 | シラチャー ジャスミンホテル
タイのお正月については以前も書いたと思うが、タイにはお正月が3回もある。

まずは、日本や欧米諸国と同じで1月の正月、それとタイ歴のお正月(4月のソンクラーン)はさすがに1週間程のお休みになるが、中華系移民の多いタイでは中国のお正月(旧正月)も盛大に行われる。

今年は中国のお正月(旧正月)が1月31日とのことだが、テレビのニュースを見ると、バンコクの「ヤワラート」(中華街)ではお正月用品が店頭に山積にされ、真っ赤なチャイニーズドレスや玄関に貼るお正月の飾りなど、中国で縁起が良いとされる色、「赤」、「赤」、「赤」、のオンパレードになっている。

また、食材の価格も急騰していて、ミカンなど果物の価格は既にいつもの2倍以上になっているが、「こたつにミカン」の習慣がなくなってきている日本とは違い、やはりお正月にはミカンが付きものなのだろう。

1月も明日の「中国の旧正月」で最終日となったが、先日、1月26日に「バンサレー」に船釣りに行ってきたので、今回はその時の話をしよう。

タイでの観光ハイシーズンは11月~2月とされているが、それは11月~2月は気温が低くなり過ごしやすいのと、この時期は雨がほとんど降らないということがある。

タイに観光に来る欧米人の多くがビーチでのんびりと過ごしたり、またはゴルフ好きには涼しくて雨がほとんど降らないこの時期は最高だと言えるだろう。

また、釣りに行くのも同じでこの時期がベストシーズンだと思う。

昨年の11月から何度か「ジンダ筏」と「シーチャン島での磯釣り」に行って来たが、やはりもっと大きな魚を釣ってみたいのと、大型の鯛を釣ってその料理の写真をこのブログにアップしたいと思い、「船釣り」にもチャレンジしたいと思っていた。

たまたま、昨年の11月に「アーチプラス」という情報誌からの依頼で「ブイヤベース」を作ったが、それが掲載されている12月号が届いたので目を通していると「mokoley」というバンコクで釣り具を販売しているお店が開催している「海釣り定期ツアー」の記事があり、早速、メールで問い合わせをしてみることにした。

直ぐに返事があり「mokoley」の担当は草間さんという女性の方で、次回は1月26日(日)に「バンサレー沖」での船釣りを予定しているとのことだった。

直ぐにでも予約を入れたいところだが、問題は土曜、日曜日に休みが取れるかどうかが心配だった。

うちの店の土曜、日曜のランチタイムは「ファミリーのお客様」がとても多く、万全の態勢にしておかなくてはならない。

いったんは諦めかけたのだが、年末年始も休まず営業をしたので、店のスタッフにその分の代休を与える為に自分は休みをほとんど取らなかったこともあり、1月26日(日)のランチタイムは調理スタッフ全員が店に出てくれることになり、また、バンサレーなら近くなので夕方までには店に戻れることもあり「mokoley」の「海釣り定期ツアー」に予約を入れることにした。

予約を入れた後、持っていく「仕掛け」についていろいろと考えてみたが、どんな魚が釣れるのかまったく見当もつかない。

そこで、草間さんにメールを送りどんな魚が釣れるのか尋ねてみたところ「小ぶりのタイ、イトヨリダイ、フエダイ、コロダイ、ベラ、アイゴ、アジ、キスなどなど」が釣れるらしく、仕掛けはジンダ筏と同じく「サビキ仕掛け」で餌の「イカ」は船の方で用意してくれるとのことだった。

しかし、今回の釣りでどうしても試してみたい仕掛けがあった。

それは、「鯛釣り」の仕掛けで、最近では日本中で流行っているという「一つテンヤ」という仕掛けだ。(どうしても大きな鯛を釣りたいという思いがあった。)

このテンヤ仕掛けでの釣りは外房の大原が発祥とされ、今では日本全国に広がっているが、簡単に言えば「小さなオモリと針が一体化した漁具」の事だ。

重いオモリを使って針を海底まで沈めるのではなく、ゆらゆらとゆっくりと餌の海老が付いた針が海底に向かって沈んで行く。それを見ながら一緒に海底に連いてきた鯛を釣るという方法で、これなら当たりがダイレクトに伝わるだろう。

今ではその仕掛けは日本ではどこの「釣り具店」でも置いてあるようだが、ここシラチャーでその仕掛けがあるかどうか早速、いつも行ってるシラチャー市内の2軒の店に行きメモ帳にテンヤ仕掛けのイラストの絵を書いて見せたところ「マイミー」(ありません)とのことだった。

しかし、2軒の店でそれぞれ、テンヤ仕掛けに使えそうな物を見つけることができた。

丸型の赤と白の物がロビンソンの近くで、また、もっと軽い物はいつもの楽器店で見つけたものだ。

これに、孫針を取り付ければ「テンヤ仕掛け」に近いものができるはずだ。

ここからは写真を交えながら話をしよう。

下の写真がロビンソンの近くの店(薬局と併設)で買った物。


孫針を付ける為に、金ノコで上下左右、切り込みを入れる。


孫針を取り付ける。


下の写真が楽器店(奥に釣り具コーナー)で買った物。


金ノコは使用せずに、外れないようにしっかりと結び付ける。


そして餌(海老)の付け方だが下記のように大き目の海老を用意する。


海老の尻尾を切り取る。(下の写真は指でちぎったが、ちゃんとハサミで切った方がよい)


尻尾の方から親針を刺し、海老の腹の中心付近で針先を出し、海老を水平にする。


孫針を頭に刺す。


どうして「孫針」が必要なのかよく分からないと思うが、後から実際の釣りの写真を見ていただければ納得すると思う。

果たして、この「一つテンヤ」仕掛けで待望の「大鯛」は釣れるのだろうか。。。

(1月25日)釣りの前日
「mokoley」の「海釣り定期ツアー」の集合場所は、バンコクのフジスーパー2号店の前のセブンイレブンの前に朝の6時に集合とのことだった。

しかし、パタヤの少し先のバンサレーに行くのに、わざわざバンコクに行くこともないと思い、直接、バンサレーに行くことを草間さんに了解してもらった。

そして、朝の8時に船に乗り込むとのことで、現地の「Khram Marine」ホテルの前で待ち合わせることにした。

こちらは、シラチャーからバンサレーなら車で30分~40分程なので、朝の7時にシラチャーを出れば十分に間に合うはずだった。

そこで、シラチャーからタクシーで行こうと思ったところ、シラチャーには「トゥクトゥク」と「モトサイ」しか無く、タクシーはつかまらないということが分かった。
(また、仮にタクシーを予約できてもバンサレーまで行ってくれるか分からないようだ。)

バンサレーまでの足が無いならば、もう、前日からバンサレーに入るしかなく、また、現地の「Khram Marine」ホテルの前で待ち合わせなので、そのホテルに泊まってしまうのが手っ取り早いのでホテルの電話番号をジャスミンのスタッフに調べてもらい予約の電話を掛けることにした。

インターネットのホテルのホームページに載っていた電話番号は2つあって、1つは固定電話の番号で、一つは携帯番号だった。

まずは固定電話に掛けてみたがつながらず、しかたがなく携帯番号に掛けてみるとタイ人の男が出た。

1月25日の夜の10時過ぎから1泊したいと告げたところ1泊800バーツとのことで、そのまま予約をお願いしたが、話を聞いていると彼は船の船長とのことだった。

1月26日に日本人の釣り客のブッキングがあるか?と聞いてみると「ある」という。

つまり、1月26日に乗船する船は、「Khram Marine」ホテルの所有で、電話に出たのがその船の船長(キャプテン)だったのだ。

これで、ホテルの予約も済み、また、夜遅くならジャスミンホテルの車が空いているので、バンサレーの「Khram Marine」ホテルまで送ってくれるということになった。

1月25日のディナータイムも多くのお客様がお店に来てくれて料理も一通りお出ししたあと、夜の9時40分にジャスミンホテルの車でバンサレーに向けて出発。

ジャスミンホテルの運転手もバンサレーは初めてとのことだったが、バンサレーまでは迷うこともなく、すんなりと行くことができた。しかし、問題はその後だった。

バンサレーに入ったのは既に10時半に近かったこともあり、街灯も少なく辺りは真っ暗で、たまに「セブンイレブン」の明かりが見えるだけだ。(不思議なのはセブンイレブンの正面にもう一つセブンイレブンがあり、すこし場所を変えればいいのにと思ってしまう。)

30分以上もバンサレーを車で走り回っても目的のホテルにはたどり着けず、何度かコンドミニアムの警備員などに道を尋ねながら、やっと目的のホテルにたどり着くことができた。

前日からバンサレーに入ったのは正解だったと思う。(これが当日の朝にシラチャーから車で来て道に迷ってしまったら、とても待ち合わせ時間には間に合わなかっただろう。)

ホテルに着いたのは既に11時を過ぎていたので店から持参した「おにぎり」を食べて、洗面を済ませて早めに寝ることにした。

(1月26日)釣りの当日
前の晩は早く寝たので、夜明け前には目が覚めてしまったが久しぶりに熟睡できたようだ。
(睡眠を十分にとることが船酔いの予防には何よりだと思う。)


シャワーを浴びて、前日、ロビンソンの1階の日系のパン屋で買った「クロワッサン」と「缶コーヒー」で簡単な朝食をとっていると部屋の窓から見える桟橋に船が横着けされた。


集合時間まではまだ1時間程あるので、荷物をまとめホテルをチェックアウトして船を見に行ってみることにした。

船の写真
(1)船の舳先の写真

(2)船の船首の写真

(3)船の中央部分の写真

(4)船の船尾の写真


桟橋の方からホテルを見た写真(赤丸の303号室に泊まっていた。)


いよいよ、集合時間の10分前になりホテルの正面玄関の方に移動する。


道路に面したところにホテルの案内看板があるが夜はほとんど目立たず、これではなかなかホテルを見つけられないし、ホテルの正面玄関にはホテルの名前を書いた看板など何も無い。


8時10分にバンコクからのお客さんのバスが到着して、早速、船に乗り込み出港。


船はどんどん沖へと向かう。(漁場に着くまでに竿とリールをセットし、サビキ仕掛けを用意する。タイ人のアシスタントは餌のイカを小さく短冊に切って釣り客に配る。)


1時間程で最初の漁場に着き、サビキ仕掛けに餌を付け海面へと下す。

最初の漁場の水深は40メートルとのことだが、どの辺りに魚がいるのか分からないので、海の底にオモリが着いたら1メートル程巻き上げて当たりを待つと、ちょっと型のいい「オコゼ」や「イトヨリ」それにいつもの「ジンダ筏」の小魚くん達のお兄さんサイズの魚が次々と釣れる。

どのお客さんにも当たりが来て、次々と魚が引き揚げられるがなかなか大物は上がってこないようだ。

そんな時、船の後ろの方(たも)の方から歓声があがってきた。

タイ人の船のスタッフの竿に何か大物が掛かっているらしい。他の釣り客も自分の竿を置いて見物にきている。

いったい何が上がるのかを皆固唾を飲んで見守っていると海面に浮き出てきたのは1メートルはあろうかという立派なクイーンフィッシュだった。


やはり沖釣りではちゃんとこんな魚が釣れるのだ。


どんな仕掛けを使っているのか、その後のタイ人の一投の時に仕掛けを見たが、大きな針2本のうちの1本を活きたイカ(体調15㎝位)の耳の先の部分に刺し、もう1本の針を胴の下のスカートの部分に刺して、オモリは250g以上の四角形の鉄の塊を使っていた。

やはり、大物の魚を釣る為には活きたイカや大きな針で泳がせながら釣るのだと、とても勉強になった。

その後は誰にも大物の当たりはなく、いつもの小魚くん達のお兄さん連中の顔を見るのも飽きてきたかなと思っていた頃に、船長から漁場を移動するとのアナウンスが流れた。

既に時間は午後1時近くになっていたが、この漁場を移動する間が食事タイムになっていて、タイ人スタッフが船上でこしらえたピラフ(炒飯)と、小魚の唐揚げの簡単な食事だが、船の上で海を眺めながら食べる食事は格別に旨かった。

自分で好きなだけ食べられる。


約30分で次の漁場に着き、ここの水深は17メートルとのことだったが、潮の流れが速く仕掛けが流どんどん流されていく。
お客さん同士の仕掛けも絡み合い(お祭り)が多くなり、15分程で次の漁場に移動した。


その漁場で仕掛けを海に下して暫くすると、船の中央辺りのお客さんに大きな魚がヒットしたらしい。

竿もリールも、またリールに巻いてある道糸も大きな魚用ではないので、いつ糸が切れるか分からない。

途中からタイ人スタッフが入れ替わり慎重に糸を巻いて行くが、相手の魚は暴れ回っていて結局、船尾で魚を取り上げたのだが、70㎝~80㎝はある「バラクーダ」だった。

サビキの小さな針でこんな大きな魚が釣れるということを知って、釣りというのは奥が深いと思った。

もしかしたら、小さな魚がサビキ仕掛けに掛かって、その魚をもっと大きなバラクーダなどの魚が襲うこともあるのかも知れないし、上げてみるまでは何が釣れるか分からないのが釣りの醍醐味だと思う。

さて大きな魚を見たこともあって、自分の仕掛けを「サビキ仕掛け」から「テンヤ仕掛け」に変えてみることにした。(今晩のおかずになる魚はサビキ仕掛けでもう十分に釣ってある。)

用意してきた「白海老」をクーラーボックスから取り出して、テンヤ仕掛けに付けて、孫針を海老の頭に刺してゆっくりと海に落としていく。

テンヤが海に沈んで、どんどんとリールから糸がでて行く。

でもちょっとおかしいぞ?

水深は約20メートルのはずだ。

もう、底に着いてもいい頃なのにまだまだリールから糸が出て行って止まらない。

そこで、今度はリールを巻き始めてみることにした。

そうすると何かグンと重い手応えがあった。その時は一瞬『やっちまった。根掛かりか』と思ったのだがリールの糸は巻くことができる。でも、とても重い。

近くでは船のタイ人スタッフが魚を船に取り上げる為の「フック」を持って既に待ち受けている。

一生懸命にリールを巻いていると何か魚のような物が海面近くに見えてきた。

そして、釣り上げたのが下の写真の「サメ」だった。(日本人はサメはあまり食べない魚なのでリリースしようと思ったが、船のタイ人スタッフが食べると言って持ち帰った。)


このサメの口のところを見ていただきたいが、「テンヤ仕掛け」の親針がしっかり口に食い込んでいる。


「テンヤ仕掛け」に最初に掛かった魚は何と「鯛」ではなく「サメ」という結果だった。

その後「テンヤ仕掛け」には「ハタ」のような根魚がたくさん掛かり、2時半の納竿の時間となった。

下の写真だが、テンヤ仕掛けの孫針が口に食い込んでいる。(やはり孫針は必要のようだ。)


今回、タイで初めての船釣りだったが下の写真のようにたくさんの魚が釣れて、また、「一つテンヤ」で初めて釣った魚が「サメ」だったことはいい思い出になると思う。


大きな鯛は釣れなかったが、活イカでの「泳がせ釣り」ではクイーンフィッシュなどの大物が掛かることが分かったし、また小さなサビキ仕掛けでも大きなバラクーダが釣れることに驚いた。

もう少し釣りを続けたいというなごり惜しさの気持ちを抑えつつ、帰り支度に取り掛かる。

帰港の途中ではいろいろな船とすれ違う。





日本に一時帰国してタイに戻っていつも思うのは、何でタイという国が心をなごませてくれて楽しい気分にさせてくれるのだろう。

それは、タイの気候やタイ人の優しさや、たくさんの微笑ということもあるが、とにかくタイはいろいろな色であふれていると思う。

タクシーの塗装の色も、黄色やピンクにグリーン、紫など、さまざまな色があるし、お寺に行ってもカラフルな色が使われている。

船も同じで、それぞれの船がこれ見よがしにアピールしているように感じる。

そんな船を眺めているうちに、バンサレーの港が見えてきた。


今朝の出向の時はホテルの桟橋のところからだったがどうやら帰りはバンサレーの港に接岸するようだ。


船の2階部分から下船。


帰港した船で賑わうバンサレー港。


港らしい生活感を感じる風景。


船を降りて、シラチャーから参加していた松本さんの車に便乗させてもらい、ジャスミンホテルに向かう(松本さん、たいへんお世話になりありがとうございました。)

それでは、持ち帰った魚を調理してみよう。


◆「アイナメのような魚」を煮つけにする。
魚を煮る調味料は、すべてお玉で(酒3、醤油1/2、みりん1/2、砂糖1/4)を合わせて使う。


完成写真。


◆「イサキのような魚(フエダイ?)」を塩焼きにする。


完成写真


◆「イトヨリ」を刺身にする。


完成写真。


◆「ハタ」を刺身にする。


完成写真。


◆小さなハタが一匹残っていたのでうちのタイ人スタッフがタイ料理にする。
 「プラー・カゥ、ヌン、マナオ」という名前の料理らしいが、プラー・カゥ(ハタ)、ヌン(蒸す)、マナオ(ライム)で蒸した魚にライムを絞って掛けて食べるが、タイ料理なので唐辛子も入っているので辛い。


◆今回作った料理の集合写真。


サメは船のタイ人スタッフが食べるとのことで持ち帰ったが、うちの店のスタッフからタイ料理にすると美味しいのに何故持ち帰らなかったのかと言われてしまった。

もし、今度サメが釣れたら(あんまり釣れて欲しくないが)持ち帰って、サメで作ったタイ料理を紹介することにしよう。

次回の「船釣り」はまだまだ先になると思うが、もし、次回も船に活きたイカを積んでいたら、活イカの泳がせ釣りにも挑戦してみたいと思う。

そして、「一つテンヤ」で次回こそは大きな鯛を釣ってみたいものだ。

尚、「海釣り定期ツアー」に興味のある人は下記(Mokoley Co., Ltd.)に連絡してみるといいだろう。

Mokoley Co., Ltd.
21-24 (RCA Block B) Soi Soonvijai-Rama 9
Rama 9 Rd. Bangkapi Huay Kwang Bangkok 10310 Thailand
Tel : (662) 203-1831-1833
Fax : (662) 203-1834
Email : kusama@mokoley.com
Web site : www.mokoley.com

ワインに合う和食(10)スズキのわさび焼き(熱々のニンニクオイル掛け)

2014年01月25日 | シラチャー ジャスミンホテル
1月も29日となり、今月もあと2日あまりとなった。

シラチャーに引っ越してから早くも半年近く経ったが、この田舎の街での生活にもすっかり慣れ親しんできた。というより、田舎暮らしが既に身についているのかも知れない。

ずいぶん昔の話しだが、服部栄養専門学校を卒業して南米のべネズエラの首都カラカスの日本料理店に就職したが、その後、日本人コックが現地のスタッフに包丁で刺されるという事件があった。

日本人のスタッフの大半はこの事件の後に帰国したが、自分はスペイン語の学校に通っていて、中途半端に帰国したくないのでそのまま店に残ったが、その店の仕事を終えて移り住んだのが、カラカスから車で2時間程の「テヘリア」という田舎町だった。

この町の名前(テヘリア)の由来は屋根の「瓦」だが、その名前の通り瓦職人の町だった。

そんなところに日本料理店があるはずもなく、日本人が経営している「キッチン用品」を作る工場にしばらくお世話になることにした。(せっかく覚えたスペイン語も帰国したら直ぐに忘れてしまっていただろう。)

その町での住居は工場内にある6畳程の部屋で、窓には外からの侵入者を防ぐ為に鉄格子がはめられ、またドアも金属製の分厚いドアだった。

部屋にはテレビもなく、あるのは机と椅子とベットだけ(シャワー、トイレは工場内の別のところにある。)という、まるでアメリカ映画に出てくる刑務所の監獄のような部屋だった。

工場は2棟あって、工員は男が50名程、女は300名以上居たと思うが、ほとんどが18才~30才で、中には今まで学校にも通ったことがないのではと思われる16才位の(もしかしたらもっと若いかも)と思われる子たちもいた。

そこでの自分の仕事は「コーヒー漉し器」の生産管理だったが、ネル生地を三角錐になるようにミシンで縫って、取っ手のついた針金の輪に留める簡単な作業だったが、価格が安いのか又は他の国にも輸出しているのか、1日に3,000個、多い日には5,000個を作ることもあり、忙しくて時間はあっという間に過ぎたが、工員達が皆、家に帰ってからの時間は本当に寂しかった。

工場の食堂で自分一人分の夕飯を作って食べてから寝るまでの間、テレビも無く、スペイン語の教科書以外は読む本も無く、他には日本から持ってきたカセットテープを聴く位しかやることがないので、当時流行っていたフォークソングを繰り返し聴いていたが、「ユーミン」や「さだまさし」の曲を聴くと、むしょうに日本に帰りたくなったものだ。

そんな生活が3か月以上も続いて、その後、工場で働いていた日本人のエンジニアのアパートに空き部屋が出たので移り住んだが、当時のことは今でもたまに思い出す。

南米やアメリカ、ヨーロッパ、そして中国にも5年程住んで、最後はタイに戻ってきたが、やはりこの国の、そしてタイ人や優しさが微笑みが心を癒してくれるのだと思う。

さて、今回の「ワインに合う和食」の10回目は「スズキのわさび焼き(熱々のニンニクオイル掛け)」を作ってみよう。

中国料理で蒸した魚に醤油等の調味料を振り掛けて、その上から200℃以上に煙が出る位に熱した油(ピーナッツオイルなど)を掛けて香りを引き出す調理方を「清蒸」と言うが、今回はその調理法を応用して、サラマンダーで皮をパリッと焼いたスズキに醤油ダレを掛け、その上に200℃以上に熱した油を掛けることにした。

今までに無い調理法だと思うが味の説明が難しいので、ぜひ、このレシピ通リに作って食べてみて欲しい。

◆「スズキのわさび焼き(熱々のニンニクオイル掛け)」の作り方。

(野菜の下処理)
①カボチャの皮の硬い部分と種と周りの柔らかな果肉を削り取り5㎜位にスライスする。


②サツマイモも同じく5㎜位にスライスする。


③アスパラの軸の硬い部分をピーラーで切り取り、3~4cmに切る。


④長ネギの白い部分を4㎝位の千切りにする。


⑤香草と一緒に水にさらしておく。



(スズキの下処理)
①スズキは3枚に卸し80gの切り身にして、塩を両面に振る。


②コショーも両面に振る。


(醤油ダレを作る)
①ニンニク1片をすりおろしボウルに入れる。


②生姜もすりおろし小さじ1をボウルに加える。


③酒を大さじ1加える。


④みりんを大さじ1加える。


⑤醤油を大さじ1加える。


⑥米酢を大さじ1/2加える。


⑦レモン汁を大さじ1/2加えよくかき混ぜる。


⑧フライパンか小鍋を火に掛け⑦を入れてアルコール分を飛ばす。


(ニンニクオイルを作る)
①ニンニク2片を薄くスライスする。


②フライパンを弱火に掛けてオリーブオイルを大さじ3入れる。


③ニンニクを加えて色ずくまで炒める。


④キッチンペーパーで余分な油を取り除く。(ニンニクオイルはボウルに取っておく)


(本調理)
①スズキをサラマンダー又はグリラーで両面を焼く。


②鍋で油を170℃に熱し、かぼちゃとさつまいもを入れて素揚げし、火が通ったらアスパラも加える。


③アスパラもさっと火を通して素揚げする。

④キッチンペーパーで余分な油を取り除く。


⑤スズキが焼けたらサラマンダーから取り出す。(皮目には焦げ色が付くように焼く)


⑥皮の面の方だけに「ワサビ」を塗る。


⑦皿に④の野菜を盛る。


⑧ワサビを塗ったスズキを皿の中央に置く。


⑨熱した「醤油ダレ」をスズキの上から掛ける。


⑩200℃以上に白い煙が出る位に熱した「ニンニクオイル」をスズキの上から掛ける。


⑪ニンニクチップを散らす。


⑫水切りをした「白髪ネギ」と「香草」を天に盛る。


(完成写真)


さて、先日(1月26日)に、いよいよ「船釣り」にチャレンジすることができた。

シラチャーからパタヤ方面に向かい、パタヤを通り過ぎたところに「バンサレー」という港があるのだが、そこから船に乗り、沖合に1時間程のバンサレー沖ではいったい何が釣れるのか?

次回は「バンサレー沖」の船釣りの話をしよう。












ワインに合う和食(10)牛肉のピリ辛ステーキ、彩り野菜のソテー添え

2014年01月22日 | シラチャー ジャスミンホテル
中国人は豚肉、韓国人は犬肉、日本人は牛肉。

ちょっとおかしな書き出しになったが、これは各それぞれの国民の好きな肉のことなので変に誤解をしないで欲しい。

以前、中国で5年程生活していたが、中国では一般的に肉と言えば豚肉のことを指す。

たとえば、日本人の好きな「牛肉とピーマン炒め」(チンジャオロースー)だが、中国に行って「チンジャオロースー」を注文すると「豚肉とピーマンの炒め」が運ばれてくる。

なぜなら中国では肉(ロー)と言えば豚肉のことを指す場合が多く、もし、「牛肉とピーマン炒め」が食べたければ「チンジャオ・ニューロースー」と言わなければ通じない。

今では中国の上海や北京などの大都市では中国料理店でも牛肉料理を出す店が多くなったが、まだまだ一般家庭では圧倒的に牛肉よりも豚肉を好んで食べている。

次に韓国だが韓国の犬食文化は起源が分からないほど大昔からあり、さすがに今では料理名を変えて出しているところが多いが、日本人が夏の暑い時に「うなぎ」を食べるように、犬肉は精がつくと今でも犬を食べることは韓国人にとってはご馳走のようで、年間200万匹以上の犬が食用とされている。

誤解の無い様に補足するが、食文化というものは各国それぞれ違うので、他国の食文化を批判することは誰にもできないと思う。

日本や欧米諸国では犬を家族のように思っている人が多いので「犬食」はかわいそうと思う人が多いと思うが、フランスではガチョウや鴨に機械で強制的に餌を食べさせて「脂肪肝」にさせた「フォアグラ」を好んで食べているし、多くのヨーロッパの国で「馬肉」や「ウサギの肉」はどこのスーパーマッケットでも販売されている。

日本では「イルカ」を食べる地域もあり「魚の活き造り」や「おどり食い」も海外から批判を受けている。

また「鯨」だが、今のように石油を燃料として使ってなかった時代には欧米では鯨を乱獲し「鯨の油」だけを取って「鯨肉」は海に捨てていた。(これが鯨の個体数が少なくなった大きな原因とされている。)

鯨を一頭捨てるところなく無駄なく有効に使う日本に、急に「捕鯨禁止」を押し付けるのはご都合主義以外の何ものでも無いと思う。

韓国以外に中国の大連など東北地方でも犬食をするが、日本で「犬」という漢字が中国では「狗」(ゴゥ)という漢字で、天狗の「狗」の字なのでメニューを見れば直ぐにわかる。(自分も大連に1年半程住んでいたことがあるが、さすがに一度も犬肉は食べなかった。)

韓国料理店で「犬肉の鍋」を勧められたことも何度かあったが実際にとても美味しそうで、寒い日には確かに体が温まるのではないかと思う。

ただし、犬はもしかしたら食べたかも知れないが韓国の「ホンオ・フェ」というガンギエイの切り身を発酵させた物はものすごい匂いがするらしい。

世界で一番臭いとされているスエーデンの「シュール・ストレンミング」というニシンを塩漬けにして缶の中で発酵させた食品(缶詰)以上の臭さとの話もありそんな物を本当に韓国では食べているのだろうか。

しかし、日本にも「くさや」が好きな人がいるので、案外いけるのかも知れない。

また、テレビ番組などで韓国の「トンスル」が取り上げられることがあるが、今でもこんな物があるのか疑問だ。(とても説明する気にならないので、気になる人はインターネットででも検索するといいだろう。)

そして、日本人が好きな肉はなんと言っても「牛肉」ではないかと思う。

日本でも戦前までは肉と言ったら「豚肉」を指し、今でも地方に行くと「すき焼き」と言えば「牛肉」ではなく「豚肉」を使うところもあるようだが、たいていの日本人に好きな肉はと尋ねれば「牛肉」と答える人が多いと思う。

また、日本人の好きな料理のランキングの上位にも「ステーキ」や「牛丼」など牛肉を使った料理が多い。

さて、今回は牛肉のステーキにたくさんの野菜のソテーを添えた料理を紹介するが、この料理にはなるべく多くの種類の野菜をたっぷり使い「牛肉と温かい野菜のサラダ」のようにして食べてもらいたい。

現代社会ではどうしても野菜が不足がちになるが、「肉料理を食べる場合には肉の2倍量の野菜を食べよ」とも言われているので、健康管理の為にもとくに繊維質の多い根菜を中心にたくさんの野菜を使っていただきたい。

豆板醤とワサビが味にアクセントをつけているので、1人前では少し多いかと感じても、女性でもこの一皿をぺロット食べることができると思う。

ダイエットで肉を敬遠している人にもおすすめの一品だ。

◆「牛肉のピリ辛ステーキ、彩り野菜のソテー添え」の作り方

(調味液を作る)
①ボウルに三杯酢を大さじ2入れる。


②醤油を大さじ1加える。


③みりんを大さじ1加える。


④酒を大さじ1加える。


⑤砂糖を小さじ1加える。


⑥豆板醤を小さじ1加える。


⑦ゴマ油を小さじ1加える。


⑧よくかき混ぜる。


⑨牛肉を⑧の中に20分程浸しておく。


(野菜の下処理)
①野菜を用意する。(季節の野菜をお好みで)


②キューリ、長ネギ、ニンジンは千切りにする。その他の野菜は食べやすく切る。


③揚げた千切りポテトを皿に盛り、千切りにした野菜を散らす。


(本調理)
①フライパンを中火に掛けてサラダ油を敷き、⑨の調味液に浸しておいた牛肉を焼く。


②両面をこんがりミディアムレアーに焼く。


③フライパンから牛肉を取り出す。


④フライパンは洗わずそのまま中火に掛け、野菜を加える。


⑤さっと炒める。


⑥肉を浸しておいた調味液を加えてさらに炒める。


⑦炒めた野菜を中心に盛る。


⑧牛肉を食べやすい大きさに切り、ワサビを少量ずつ牛肉に塗って炒めた野菜の上に盛る。


⑨完成写真。


この料理に合うワインだがやはりボルドーの赤でブドウの品種は「カベルネ・ソーヴィ二オン」がおすすめだ。力強い味のソースにはボディーが重いワインを合わせよう。

さて、次回の「ワインに合う和食」だが「スズキ」を使った魚料理を作ってみよう。

中華の技法も使って今までにどこにもなかった料理にしたいと思う。




ワインに合う和食(9)甘海老とアボカドのサラダ

2014年01月20日 | シラチャー ジャスミンホテル
1月も早いもので20日となったが、タイで続いている反政府デモは収まるどころか規模が拡大しているようで収拾の見込みがつかないようだ。

2月2日には総選挙が行われる予定だがタイの北部で圧倒的な支持を集めている与党の勝利が予想され、そうなるとまたこの混乱は暫らく続くのではないかと思う。

ジャスミンホテルの「魚やす」のあるシラチャーはバンコクから離れていることもあり、バンコク市内で大規模な反政府デモが続いていることななどまったく感じられず、また、デモが長引いていることもあり、タイのテレビの報道番組にもうちの店のスタッフ達は皆あまり興味がないようだ。

何よりデモに参加している人達がまるでお祭りにでも来ているかのように楽しそうに見え、面白そうだから行ってみようかと思う人もいるのではないかと思う。

ただし、11月から2月の気温が涼しく雨の少ない観光客が多い「ハイシーズン」の時期にデモが行われていることもあり、バンコクへの観光客が減っているようだ。

日本でこのブログを見てくれている人も多いが、デモや集会が行われている場所に行かなければ安全なので、ぜひ、タイに来てこの国の良さを知ってもらいたい。

2年前のタイの洪水の時もそうだが日本のマスコミは「大袈裟な報道」が多く、あたかもバンコクまでが水浸しになっているかのような報道が多かったが、実際にはバンコクの一部の地域に洪水がせまってきただけだった。

さて、今回の「ワインに合う和食」だが、甘海老とアボカドのサラダを紹介しよう。

うちの店のメニューに「マグロとアボカドのサラダ」という人気メニューがある。(下の写真)



今回の料理はマグロを甘海老に置き換えて、「レモン」も添えてサッパリとした味にしたが、酸味の中に甘海老の「甘さ」が際立ち「口代わり」の一品として、コース料理の途中に加えるのもいいのではないかと思う。

アボカド(Avocado)は別名「森のバター」とも呼ばれ脂肪分が多いが、その脂肪分のほとんどがコレステロールを下げる不飽和脂肪酸で、また栄養価も優れ、欧米やメキシコなどのラテンアメリカでも人気の高い食材だ。

日本でも最近はスーパーマーケット等でよく見かけるようになったが、アボカド(Avocado)を「アボガド」と呼んでいる人が多いようだが、「アボカド」が正しいので間違えないようにしよう。

尚、アボカドを購入する場合だが皮が緑色の場合にはまだ熟していない。それを常温に置いておくと2日~3日で色が茶色(チョコレート色)になり実が熟し柔らかくなり食べ頃になる。

たまに料理の指導で他の店に行くと、まだ若い緑色のうちに冷蔵庫で保管しているのを見掛けるが、アボカドを未だ熟していないのに冷蔵庫に入れてしまうと、その後で常温に置いても熟成が進まないので熟すまでは必ず常温に置いておこう。

アボカドを切る時にはアボカドを縦に置き中心に縦に包丁を入れ、真ん中の種に包丁が当たったら包丁を一回転させ、包丁を外して両手で左右を掴み、半回転させてると二つに割れる。

そして包丁の手元の方の「尖った角」を種に突き刺して左右に動かしながら手前に引けば、簡単に種を引き抜くことができる。

アボカドを直ぐに使う場合にはそのまま包丁で皮を剥くか、またはスプーンなどで果肉の部分をすくい取ればいいが、半分だけを使う場合には種は取り除かすにそのまま残し、切り口にレモン汁を塗りラップで包んで冷蔵庫で保管するといいだろう。(だだし、熟したアボカドは傷みが早いので早めに食べよう。)

甘海老はグリーンランドなどから「刺身用」の甘海老がたくさん冷凍で輸入されているが、頭や足が黒く変色しているのもは鮮度が落ちているので綺麗なピンク色の物を使おう。

それでは早速作ってみよう。

◆「甘海老とマグロのサラダ」の作り方。

①アボカドは縦に2つに割り種を取り除き、果肉をスプーンですくい取る。冷凍の甘海老は解凍しておく。


②鍋を強火に掛け甘海老を入れ10秒程さっと茹でる。(茹で過ぎると固くなるので注意しよう。)


③直ぐに氷水に入れて冷やしたら水気を切る。


④甘海老の皮を剥く。(頭は味噌汁にするので捨てないで取っておく。)


⑤アボカドを1㎝角の食べやすい大きさに切る。


⑥ボウルにマヨネーズを大さじ2入れる。


⑦ワサビを小さじ1加えてよく混ぜ合わせる。


⑧ボイルした甘海老とアボカドも加えてソースと合える。


⑨レモンをクシ型に切り中央に1箇所切り込みをいれておく。(こうすると、レモンを絞った時にレモンの汁が周りに飛び散らない。)


⑩皿にアボカドの皮の器を置き、レモンを添える。


⑪アボカドの器の中に⑧を盛る。


⑫完成写真。


さて、この料理では頭は使わないので頭は味噌汁にした。甘海老の頭の味噌の出汁が効いた柔らかい味の味噌汁になるので、ぜひ、作ってみるといいだろう。


さて、次回の「ワインに合う和食」だが、牛肉を使った料理をもう一品、作ってみよう。


ワインに合う和食(8)煮穴子とキューリのロール寿司

2014年01月14日 | シラチャー ジャスミンホテル
今、日本はとても寒いようで『東京でも明日は雪になる』と、ジャスミンのうちの店にある日本語放送のテレビで話していたが、ここシラチャーでも夜はカーディガンが欲しくなるような寒さの時もあり『タイで何でこの寒さ?』と思う時がある。

アメリカでも大寒波でナイヤガラの滝が凍ってしまったり、中国のモンゴルではマイナス46℃以下の日もあると聞く。

昔、マグロの商社で働いていた頃には、静岡県にある自社のマグロの加工工場で何度も-45℃や-60℃といった「超低温」の冷凍庫に入ったことがあるが、厚着でも5分と中に居られないほどの寒さで、この寒さが朝から晩まで何日も続くとなると想像を超える寒さだろう。

地球温暖化と言われているが世界中のいろいろな国での今回の寒さは異常で、やはりどこか地球のリズムがおかしくなっているのではないかと思う。

さて、今回は「ご飯物」として煮穴子とキューリをロール寿司にした通称(アナキュウ巻き)を作ってみよう。

欧米人では「蛸」を姿や形が気持ち悪いと言って食べない人が多いが、「ウナギ」はだいたいどの国の人も好きなようで、ヨーロッパでもアメリカや中国でも「うな重」などウナギを使った商品はよく売れたが、ここタイでもウナギは嫌いという人は少ないようだ。

また、最近では「穴子」を好んで食べる外国人客も多く、うちの店でも日本の築地から活〆された穴子を業者を通して輸入しているが「穴子の一本握り」や「穴子の天ぷら」は、日本人だけではなく外国人のお客様からの注文も多い。

穴子は「ウナギ属アナゴ亜目アナゴ科」に属する「魚」で、美味しい旬は春から夏に掛けてと冬だが、寒さで身が凍える頃の穴子が脂が乗って美味しい。

また、穴子は東京湾の羽田沖で漁獲される江戸前の穴子だけを使う寿司屋も多いが、それは東京湾が地理的に大きな川が流れる河口で、穴子の餌になるごかい等の線虫類や小魚、小海老などが多く、また砂地が多いことがあげられる。(穴子は夜行性で昼間は砂の中にいて、夜になると活動を始める。)

うちの店でも羽田沖の穴子を使っているが、羽田沖の穴子は小ぶりの物が多いものの太っていて脂があり、サイズの小さい穴子を寿司に、少し大き目のサイズの穴子を天ぷらに使っている。(特に腹の部分が黄金色の穴子は脂の乗りが最高だ。)

尚、昨年はホテルや有名料理店での食品偽装の話題がテレビ番組を賑わしていたが、「回転すしではほとんどのネタが偽物」というテーマの番組も多かった。

たとえば、回転すしで使っているアワビがチリの「ロコ貝」だったり、真鯛は「ティラピア」という淡水魚だということを取り上げていたが、回転すしで穴子の代用として使っているペルーの「マルアナゴ」を海蛇として紹介していた。

頭の足りないバカ芸人が『今まで回転すしで「海蛇」を食べさせられていたのか!』とわざとらしく激怒するいつもの筋立てだが、これは正しくないので少し補足させてもらう。

日本で漁獲される穴子はウナギ属アナゴ亜目アナゴ科の魚で、一方、ペルーで漁獲される「マルアナゴ」はウナギ属ウミヘビ亜目ウミヘビ科の魚で穴子の近縁種だ。

どうやらバカ芸人がたくさん出ている低俗番組では、この「ウミヘビ亜目ウミヘビ科」という部分だけで、あたかも爬虫類を回転すしで出しているように演出しているがこれは大間違いだ。

ロブスターを「伊勢海老」と偽って高く売ろうとするような行為に対しては腹が立つが、2個でたった100円の回転すしで同じ種類(近縁種)の魚をうまく利用することについては、名前の付け方の問題は別として資源の有効活用の面からも否定はできないと思う。

江戸前の本物の「穴子」を食べたい人は、お金をたくさん抱えて「数寄屋橋次郎」へでも「銀座久兵衛」へでも行けば間違いなく「蛇」を食べさせられることはない。

また、テレビや報道関係者の方々も、しっかり調べてから報道していただきたい。

さて、今回、煮穴子の仕込み方から説明するが昨日の昼に煮穴子を仕込んだばかりであいにく写真がないが、文章で詳しく説明するので参考にして欲しい。(また、次回穴子を仕込んだ時に写真をアップしたいと思う。)

◆「煮穴子」の作り方
(タレの配合)
穴子 正味   2㎏
だし   2,100cc(頭、骨を焼き水に加えて煮出す。)
酒      90cc
砂糖    180cc(できれば黄ザラメ)
醤油    360cc
みりん   180cc
(作り方)
①穴子を背開きにして骨を取り除き、背びれと腹ビレを切り取る。骨と頭は捨てない。(ウナギと同じく、関東では背開き、関西では腹開き)の場合が多い。

②開いた穴子の皮目を上にしてまな板の上に並べて上から熱湯をそそぐ。

③皮の表面の表面が白くなったら、直ぐに氷水の中に入れる

④水気を切り、包丁の背で皮の部分の白くなった部分(ぬめり)をこそげ取る。

⑤骨と頭は血の部分を流水でよく洗い流す。(うちの店では生臭くなるので頭は使わない。)

⑥よく洗った頭と骨をこんがりと両面焼く。(黒く焦げないように注意しよう。)

⑦大きな鍋に水を3,000cc入れ中火に掛けて⑥の焼いた頭と骨を加え30分~40分煮てエキスを抽出して漉す。(出来上がりが2,100cc以上になるように)

⑧味を見て十分にエキスが抽出されてなかったら、そのままもう少し煮て十分にエキスを抽出する。

⑨鍋を用意し、十分にエキスが抽出された出汁を2,100cc入れ中火に掛ける。

⑩酒90ccとみりん180cc、砂糖180gを加えて砂糖が完全に溶けるまでよくかき混ぜる。(※この時点では醤油は加えない。)

⑪穴子の開きを加えて落し蓋をして10分間、吹きこぼれに注意しながら煮る。

⑫醤油を加えて落とし蓋をして更に10分間煮て味を含ませる。

⑬火を消して、そのまま蒸らす。

⑭冷めたら穴子を取り出しツユ切りしてラップに包んで冷蔵庫に入れる。

⑮ツユは約半分になるなべ煮詰めて(ツメだれ)にする。もし、ツメだれが既にある場合にはツユは冷
蔵庫で保管して、2度目に使う時に酒を360cc足して使う。)
これで煮穴子が完成したので早速、「穴子とキューリのロール寿司」を作ってみよう。

◆「煮穴子とキューリのロール寿司」(アナキュウ巻き)の作り方。

(用意する物)

煮穴子、ツメダレ、キューリの細切り、海苔、寿司飯

(作り方)
①シャリを右手に握り、海苔の左側の中央部から右に向かって寿司飯を敷く。


②左手のひらを広げて海苔の左側に添え、右手の指先で上と下の方へ寿司飯を広げていく。


③左側のシャリを広げたら今度は右手のひらを海苔の右側に添え、左手の上と下の方へ寿司飯を広げていく。


④全体の寿司飯を均一にして隙間がないようにする。


⑤寿司飯の上に白ゴマを振る。(多目に)


⑥海苔が上になるようにひっくり返し、キューリの細切りを中央に置く。


⑦キューリの細切りの上に煮穴子を乗せる。


⑧端から「巻きす」で巻く。


⑨更にしっかり巻き形を四角形に整える。


⑩「巻きす」を外し、上にもう煮穴子をもう一本乗せる。


⑪もう一度「巻きす」を上にかぶせてしっかりと押さえつけて形を整える。


⑫包丁で食べやすい大きさに切る。


⑬皿に盛る。


⑭ツメダレを塗る。


(完成写真


さて、この料理に合うワインだが、白ワインもいいが味付けが甘辛い味なのでブルゴーニュの赤がおすすめだ。そして、ブドウの種類は「ピノ・ノワール」ということになる。

尚、次回は「甘エビ」を使った料理を紹介しよう。


ワインに合う和食(7)ギンダラの西京焼きと鮭の粕漬け焼き

2014年01月14日 | シラチャー ジャスミンホテル
昨年からのバンコクでの反政府デモはなかなか終結せずにその規模が拡大していて、今日(1月13日)はバンコク市内7か所の集会場所ではかなり大規模なデモが行われるとのことだ。

各政府機関も閉鎖され道路もデモの影響を受けると思うので、バンコクの飲食業界にとっても大きな打撃ではないかと思う。

そんなバンコクの様子と打って変わってわってここ「シラチャー」ではいつものように「まったりと」時間が流れている。

特にジャスミンリゾートホテルはたくさん緑に囲まれ、「魚やす」はプールサイドに面していることもありバンコクで大規模なデモが行われいることなど微塵も感じられない。

本来、タイ人というのは争いごとを嫌う国民なので、テレビでデモ隊の様子を見ても緊迫感がなく、皆、和やかにまるでお祭りにでも来ているように感じるのは自分だけではないと思う。

さて、今回のブログは「漬け魚」について話をしたいと思う。
漬け魚をワインに合う和食に選んだのは、既に海外の多くの高級日本料理店が「ギンダラの西京焼き」をメニューに載せて高い評価を得ているからだ。

フランスの高級日本料理店でもワインを片手にギンダラの西京焼きを美味しそうに食べているフランス人を見かけたりするが、実際にちょっと甘い「ギンダラの西京焼き」は白ワインと相性がいいのではないかと思う。

今回は「ギンダラの西京焼き」と「鮭の粕漬け焼き」を紹介するが、この料理にも白ワインが合うだろう。

ブドウの品種は「ギンダラの西京焼き」が「シャルドネ」で、「鮭の粕漬け焼き」には「ソーヴィ二ヨン・ブラン」がおすすめだ。

ところで、料理にワインを合わせる時に牛ステーキなどには赤ワイン、豚肉、鶏肉、魚には白ワインと決め付けている人がいるが、マグロの赤身など「鉄分」を多く含む場合には赤ワインの方が合う場合も多く、今回はワインと料理の合わせ方について少し話をしよう。

ただし、個人的にワインが好きなだけでワインの専門家ではないのであくまでも参考にしていただけたらいいと思う。

まずはワインと料理を合わせる時にメインの食材の色を思い浮かべ、赤に近ければ赤ワイン、白に近ければ白ワインを選ぶといいだろう。

牛肉、それから先ほども話したマグロの赤身やカツオ、鴨肉、そして野菜ではトマトやニンジンは赤に近い色なので赤ワインに合う食材だ。

野菜に赤ワインの相性は以外に感じる人もいるかと思うが、トマトなど酸味のある野菜は赤ワインに似た味わいと言える。

一方、豚肉や鶏肉、白身魚や大根などは白に近い色なので白ワインに合う。

ただし、味付けやソースの種類によって赤ワイン、白ワインを選ぶこともある。

この場合には「濃い味」には赤ワイン、「さっぱり味」には白ワインを選ぶといいだろう。

たとえば、皆さんもきっとよく食べてる「とんかつ」だが、ソースはかなり濃い味の場合が多いので赤ワインが合い、またトマトソースを使った料理(たとえばパスタなど)にも赤ワインが合う場合が多い。

また、イカをさっと炙って「わさび」で食べる場合など「さっぱり味」には白ワインとの相性がいい。

先程、「とんかつ」には赤ワインが合うと話したが、それでは「白身魚のフライ」の場合はどうだろう?

これを赤ワインではなく、白ワインに合わせる場合には「とんかつソース」ではなく、ソースを「タルタルソース」に変えてあげれば白ワインにぴったりの味になる。

また、ハンバーグ(デミグラスソース)を作って食べる予定だったのが、あいにく白ワインしか無い。(わざわざ赤ワインを買いに行く時間も無い。)

こんな場合には大根おろしと醤油で「和風ハンバーグ」にすれば白ワインに合うだろう。

このように味付けを変えることで、間違って赤ワインを買う予定が白ワインを買ってしまった場合や、その逆の場合でもワインに料理を合わせることも可能だ。

さて、赤ワインを飲むか白ワインを飲むかが決まったところで、今度はブドウの品種は何を選んだよいかの話をしよう。

まず、ブドウの種類だがフランスで栽培されているブドウの品種だけでも30種類以上もある。

赤ワインの代表的な品種には「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」「メルロー」「ピノ・ノワール」「シラー」「ガメイ」「カベルネ・フラン」等があり、ブルゴーニュ産のワインは赤はピノ・ノワール、白はシャルドネと単一品種で作られる場合が多いが、ボルドー産は単一品種でワインを作ることは稀で、ほとんどのワインが2種類以上の品種をブレンドしてる。

カベルネ・ソーヴィ二ヨンはメルローとブレンドされることが多く、また、カベルネ・フランもメルローとブレンドされることが多い。

また、白ワインの代表的な品種には「ソーヴィ二ヨン・ブラン」「シャルドネ」「リースリング」「ミュスカデ」「ゲヴュルツトラミネール」などがある。

それでは、それぞれのブドウの品種の味わいや特徴、料理の合わせ方について話をしよう。

個人的に赤ワインのおすすめは「ピノ・ノワール」でとてもエレガントで優しい味わいだ。それに比べて「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」は荒っぽく力強くて重い(ボディーが大きい)。

「シラー」はこの両者のいいとこ取りをした感じで、「メルロー」は「シラー」よりも果実味がふくよかな感じがする。

先程、『個人的には「ピノ・ノワール」をおすすめする。』と書いたが、それには理由があってピノ・ノワールが和食に合うからだ。

「マグロの刺身」や「すき焼き」等でぜひ、試していただきたいと思う。

「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」はボディーが大きく力強いので、油を多く使う中華料理や和牛のステーキ等に合う。

また、「メルロー」は先程も書いたが果実味がふくよかなので、トマトソース系のイタリア料理や鴨料理にも合うだろう。

次に白ワインだが和食には「ソーヴィ二ヨン・ブラン」がおすすめだ。

冷たい前菜から刺身、天ぷら、寿司など、素材の鮮度を活かす料理にはピッタリの相性だ。

「シャルドネ」はとても香りが強いのでマユネーズ、ホワイトソース、それにバターを含んだソースとの相性がいい。

また、「リースリング」だが、前にも書いたが『困った時のリースリング』でハムやソーセージ等の加工品や蒲鉾などにも合うと思う。

さて、また話が長くなってしまったので今回の「漬け魚」の話をしよう。

まず今回紹介する「ギンダラの西京焼き」と「鮭の粕漬け焼き」の「ギンダラ」という魚だが、日本の近海でも漁獲されるがごく僅かで、ほとんどがアメリカ(アラスカ)やカナダから輸入されている。

名前や鱈に似た姿から鱈の仲間ではないかと思ってしまうが、実はホッケやアイナメの仲間に分類される。

とても脂のある魚で栄養価も高く、ビタミンAの含有量はウナギ以上とされている。

戦前はマグロの大トロが二束三文だったように、ギンダラも一般庶民が食べる魚として食卓を賑わせていたが、戦後の食生活の変化とともに脂のある魚が高くなってきたのと、漁獲規制があり水揚げの減少も相重なって最近では高級魚になってきている。

中国などの新興国がこぞって脂のある魚を食べるようになったのも価格高騰に拍車をかけているようだ。

「養殖サーモン」については現在、スコットランド、ノルウエー、チリなどからバンコクに新鮮な物が輸入されている、近年では日本でも宮城県などで盛んにサーモンの養殖を行っている。

ところで「鮭」と「サーモン」とはどこが違うのだろうか?
単に日本語の鮭を英語ではサーモン、フランス語ではサルモンと言うのだろうか?

少し気になったので調べてみると、本来、日本で鮭と呼べるのは「白鮭」だけで、後は鱒(マス)になるようだ。
カラフトマスやサクラマスという名前を聞いた人もあるかと思うが、これらのマスのうち、ひときわ大きい物だけを「鮭」と呼んで区別していたようだ。

一方、欧米では海に下って産卵をしてまた同じ川に戻ってくるものを「サーモン」と呼び、「トラウト」と区別しているようだ。

鮭と鱒についてはどの大きさまでが鱒で、どの大きさから鮭になるのかの区別が難しいのが、よく安いお弁当に入っている5年~6年も回遊して身がパサパサした鮭を「白鮭」と呼べばいいのだと思う。

しかし、鮭児(けいじ)と呼ばれる1歳~2歳の鮭の子供や時知不(ときしらず)と呼ばれる春から夏にかけて一般の魚に混じって漁獲される脂の乗った白鮭もあったりしてなかなか難しい。

今回の「鮭の粕漬け焼き」はノルウエーの養殖サーモンを使うが、脂が乗っていてとても美味しいと思う。

◆「酒の粕漬け」の作り方(4人前)
(粕床)
鮭粕   500g
酒    80cc
みりん  50cc
砂糖   100g
塩 15g
(作り方)
①粕床の材料をすり鉢であたる。
②鮭の切り身の両面に軽く塩を振り2時間程置き身を締める。
③表面を水洗いしてから水気を切る。
④容器を用意し粕床を③の両面に塗り冷蔵庫で保存。(一週間位後が食べ頃) 
たくさん作ったと時には1つずつラップして冷凍しておくといいだろう。
⑤食べる時には、表面の粕床を洗い流して魚のグリルやオーブントースターで焼くといいだろう。
⑥今回はきゅうり、ニンジン、大根の千切りを甘酢に漬けて添えたが、「ハジカミ」等を添えてもいいだろう。



◆「ギンダラの西京焼き」の作り方(4人前)
(味噌床)
西京味噌   500g
酒      30cc
みりん    30cc
砂糖      20g
(作り方)
基本的には「酒の粕漬け」と同じ。
今回は、マスタードと上記の味噌床を混ぜたソースを添えて味にアクセントを漬けた。
下が完成写真。


さて、次回はワインに合う和食の7回目として「ご飯もの「を作ってみよう。


ジンダ筏での魚釣り(3回目)常連の小魚くん達を紹介しよう。

2014年01月10日 | シラチャー ジャスミンホテル
1月も早くも10日となり、皆さんもすっかり正月気分が抜けたことと思う。

タイでは4月のソンクラーンが正月にあたるので1月の正月休みは少ないが今年は4日が土曜日、5日が日曜日だったので6日が仕事始めと休みが長い会社が多かったようだが、うちの店はホテル内にあるので年末年始も休まず営業となった。

しかし、日本人のお客さんの多くはクリスマスの後に日本に一時帰国するので、年末年始はまったくお客さんが無いのではないかと思っていたが、たくさんのお客さんに来ていただき、本当にありがたいことだと思う。

さて、そんなお正月の最中の1月5日(日)の夕方の6時頃にうちの店に大きなクーラーBOXを提げて1人の男性のお客様が来られた。

クーラーBOXの中には大きな魚が2匹と、アイゴが10匹程、サヨリが5匹程、そしてアジが数匹入っていて、これらの魚を調理して欲しいとの依頼だった。
調理がOKならば7時に4名で来られるとのことだ。

釣ってきた魚を調理して欲しいとうちの店に魚を持ってこられるお客様は週末には割と多いので引き受けることにしたが、クーラーBOXの中に入っている大きな魚2匹のうち1匹は40㎝はある魚で「コロ鯛」という魚らしい、そしてもう1匹は30㎝を超えるサイズの黒鯛だった。

また、調理の方法はこちらに任せてくれるとのことで、大きな魚は刺身に、アジはフライに、サヨリとアイゴは唐揚げにすることにした。

そして料理を一通りお出ししてお客様のところに挨拶に行ったが、これらの魚は船での沖釣りで釣ってきたものとばかり思っていたのが、なんと「ジンダ筏」で釣ってきたとのことだった。

自分は「ジンダ筏」で大物を取り逃がしてから釣りにはまったが、『やはりこんな魚がいるんだ。』と思ったら居てもたってもいられなくなってしまった。

そして、なんとか休みを取る段取りをしてジンダ筏の土方さんに電話をして1月8日(水)に釣りに行くことになった。(ジンダ筏は通常は土曜、日曜日のみ営業)

さて、シラチャーに住んでいて、これから釣りに行ってみたいというファミリーの方もいると思うので、今回は「ジンダ筏」での釣りについて少し詳しく話をしようと思う。

自分も釣りを始めたばかりなので恐縮だが、素人の失敗談も少しは役に立つだろう。

まず、釣りに行くには道具が必要だと思う。

ジンダ筏でも貸し竿があるようだが、もし、購入するなら前回紹介した「ギターも売っている楽器店」か、またはロビンソンの左側で現在ビルを建設中ところの直ぐ脇にある薬局でも釣り竿やリールや仕掛け等を売っている。

下がその店の写真


仕掛けは「サビキ仕掛け」がどちらの店でも売っているが、針は6号から8号位がいいのではないかと思う。

大きな針を付ければ大きな魚が釣れそうな気がしてくるもので、自分も13号とか15号とかを買って付けてみたが、小魚くん達にみごとに餌を取られるだけだ。

また、サビキ仕掛けの下に付ける「おもり」はロビンソンの近くの薬局の方でいろいろな種類の物があるが20号位でいいと思う。(オモリの上部に輪っかが半分突き出ている物)

これで、竿とリールと仕掛けが揃ったが、飲み物を冷やしたり釣った魚を持ち帰るのに「クーラーBOXがあると便利だと思う。

ロビンソンでも売っているが高いので、ロビンソンの裏にあるホームセンターで買うといいだろう。

尚、釣りをするのには「餌」が必要だが、サビキ仕掛けの場合には「コマセかご」を仕掛けの上か、または下に取り付け、その中に「オキアミ」や「フイッシュミール」を入れて、海の中で魚を集めて疑似針で釣るのだが、ジンダ筏の周りにはいつもたくさんの魚がいる。

コマセを撒くと余計に小魚ばかりが集まってしまうので、コマセは使わず針に直接「海老のむき身を小さく切った物」を付けて釣っている人が多いようだ。

しかし、海老のむき身の餌だと柔らかくて小魚に餌を取られても「あたり」がまったく感じられないまま餌だけを取られることもあり、これでは面白くないので飽きてしまう。

そこでお勧めは「イカの短冊切り」だ。

イカの皮を剥いて、長さを3㎝位で幅は5㎜~7㎜位に切って、イカの端の方に針を通して「ちょんがけ」するだけだ。
これだと、魚の「あたり」がビンビン感じられるし、餌代も海老よりも安くつく。

実際に「海老のむき身」と「イカの短冊」の両方を試してみたが、「ジンダ筏」の周りの魚はどちらの餌にも食いつくようで、まったく大差は感じられないと思う。

尚、釣りに行く時に持って行く物として「アイストング」があると魚から釣り針を外す時に便利だ。(ロビンソンの1階のダイソーで60バーツ位で売っている。)

シーチャン島では「アイゴくん」が磯でも堤防でもジンダ筏でもどこにでもはびこっているが、背びれが毒針になっていて、これに間違って指が刺さると20分位は痺れて痛い思いをすることになる。

この魚が釣れた時には「アイストング」で魚を挟んで釣り針を外すといいだろう。

さて、ここからは写真を交えながら話をするが、今回はめでたく大物が釣れたのだろうか・・・

いつものようにロイ島から朝8:00出発の船でシーチャン島に向かう。



今回はカム・ヤーイからではなくシーチャン島から「ジンダ筏」に向かう。


ジンダ筏を管理している土方さんの話しでは、シーチャン島のジンダハウスの事務所を引き払い、「カム・ヤーイ」に事務所を移したとのこと、これからはジンダハウスの小船はカム・ヤーイでお客さんを乗せてジンダ筏に行くことになるそうだが、「カム・ヤーイ」はロイ島で乗船する時にあらかじめ言っておかないと停まってくれないので気をつけよう。

ジンダ筏に到着して早速大物釣り仕掛け(オモリと大型の針だけのぶっこみ仕掛け)で、5㎝から7㎝の海老をそのまま1匹付けて釣りを始めるが、まったくあたりもなく根掛かりで針を3個も失うがそのまま午前中は粘ったものの結局は大物は釣れそうもなく諦めることにした。

大物を釣りに来たのに本当に残念だ。

やはり、大物を釣るのにはまだまだ修行が足りないようだ。

しかたなく、いつもの「サビキ仕掛け」に変えたところ、直ぐに小魚くん達が釣れ始める。

これから、ジンダ筏に釣りに行こうと考えているファミリーの方々の為にどんな小魚くん達が釣れるのか少し紹介しよう。

お馴染みの「アイゴ」くん。

たくさん居るらしく、2匹、3匹といっぺんに釣れる。

ちょっと大型の「アイゴ」くん。

背ビレの部分に毒があり指を刺したりすると激痛がはしるので注意しよう。

この魚は何と言うのか分からないが「アイゴくん」と同じく常連だ。


とっても綺麗な「サヨリちゃん」。(海面近くを泳いでいるようで、たまにサビキ仕掛けにも掛かる。)

見かけによらず、腹を開けると腹の内側の色は真っ黒だ。
また、エラの部分に「サヨリヤドリムシ」という寄生虫がついているのをよく見かける。

甲殻類なので食べても大丈夫だが、やはりなんとなく気持ちが悪いものだ。

これもお馴染みのブグくん。


他に「ウマズラハギ?」
写真を撮り忘れたので、前回の写真。

この魚が面白いのは体の色が太陽の光にあたると、この色から→黄色→白色に変わる。

アジは回遊魚なので、アジが連れ始めるとイカの餌にたくさん掛かる。


こんなところが、いつもの「ジンダ筏」の常連の小魚くん達だ。


さて、今回も大物には出会うことができなかったが、いつか大物をヒットさせることを夢みてこれからも頑張りたいと思う。





ワインに合う和食(6)ビーフステーキ(味噌バターソース)

2014年01月02日 | シラチャー ジャスミンホテル
今日は1月3日でタイでは今日から仕事始めの会社もあるのではないかと思うが、今日は金曜日なので来週の月曜日から仕事を始める会社が多いのか街中がひっそりしていて、また、ジャスミンに滞在しているお客さんも多くが日本に一時帰国していたり旅行に出かけているのか外で遊んでいる子供達の姿も見掛けられず、プールで泳いでいる人もいないので何かひっそりしていて、とても寂しい感じがする。

うちの店のスタッフも交代で休みを取っていて、いつもの半分のスタッフしかいないので本当に静かだ。

また来週からは慌しい日々が続くと思うのでたまには「骨休み」もいいだろう。

さて、今回は「ビーフステーキ」を作ってみようと思うが、ソースは「味噌バターソース」にするので、牛肉はあまり脂の多くない「ヒレ肉」か「オージービーフのサーロイン」などを使うといいと思う。

日本の味噌(信州味噌など)と酒と砂糖を合わせた「味噌だれ」をベースにバターを加えてソースにするが、これでは甘いので「コチュジャン」を少し加えるのがポイントだ。

コチュジャンは米麹味噌に唐辛子を加えて発酵させた韓国の味噌でビビンバには欠かせないが、マイルドな辛味が特徴でコチュジャンを少し加えることで、この甘めの味噌バターソースの味を引き締めてくれる。

下にコチュジャンの写真を添付しておこう。



尚、この料理に合うワインだがボルドーの赤(ミディアムボディー)で、ブドウの品種は「シラー」か「カベルネ・ソーヴィ二オン」がおすすめだ。

さて、それでは早速作ってみよう。

◆ビーフステーキ(味噌バターソース)の作り方

(味噌バターソースを作る)
①ボウルに※みそダレを大さじ3入れる。

※(みそダレは、信州味噌など100g、砂糖大さじ2、酒大さじ1をよく混ぜ合わせる。)

②コチュジャンを小さじ1加える。


③バターを大さじ1/2加える。


④酒(大さじ2~3)でのばしなからよく混ぜ合わせる。



(付け合せのキャベツを作る)
①キャベツを食べやすい大きさに切り塩を軽く振る。


②コショーも軽く振る。


③オリーブオイル大さじ1.5を加え、全体を混ぜ合わせる。


④ラップで蓋をする。


⑤レンジで2~3分加熱する。



(ステーキに天盛りの白髪ネギを準備する。)
①ネギの白い部分を細く千切りにする。


②水にさらしてシャキッとさせる。



(牛肉の下処理)
①牛肉を常温に戻して塩を両面に軽く振る。


②コショーも両面に軽く振る。


(本調理)
①フライパンを中火に掛け、サラダ油大さじ1を加えステーキ肉を焼き始める。


②両面を焼き(中心はレアの状態)焦げ色を付いたら味噌バターソースを加える。


③皿に「かぼちゃの煮物」と「茶わん蒸し」を皿に盛る。


④レンジから「キャベツ」を取り出して皿に盛る。


⑤ステーキを食べやすい大きさに切る。


⑥切ったステーキを皿に盛る。


⑦味噌バターソースを掛ける。


⑧ステーキの上に「白髪ネギ」を盛る。


⑨完成写真


さて、今回はたまたま「かぼちゃの煮物」を店で仕込んであったので付け合せに添えたが、付け合せは硬くない物で好みの物を添えればいいと思う。

ただし、日本では温かい料理に冷たいサラダを一緒に添えることが多いが、西洋料理では基本的に温かい料理には温かい付け合せを添えることになっている。

今回は「茶碗蒸し」と「キャベツ」を添えたがとても相性がよく、ステーキにも合うようだ。

特に「茶碗蒸し」が付け合せになるとは思っていなかったので、自分でも新しい発見だった。

次回の「ワインに合う和食」だが「漬け魚」の料理を紹介しよう。




シーチャン島での陸釣り(2)

2014年01月01日 | シラチャー ジャスミンホテル
サワッディー・ピーマイ
明けましておめでとうございます。

タイでは12月31日の大晦日の夜のテレビ番組も相変わらず「シンデレラストーリー」のドラマばかりやっていて、大きなお屋敷に住む大金持ちの一人息子と貧乏人の娘が周囲のいじめにあいながらも最後には結ばれるといった、いつもワンパターンの同じストーリーだ。

タイ語の勉強になるのではないかとたまに見ることもあるが、女同志が取っ組み合いの喧嘩をしたり怒鳴り合ったり、やたらと「おかま」が出てくるので、こんな変な連中の話すタイ語を覚えてしまったらどうしようと思ってチャンネルを変えることもしばしばだ。

タイの大晦日は本当に大晦日なのかまったく実感が湧かないものだが、元旦を迎えた今日から1月7日までジャスミンの「魚やす」では「お雑煮」をサービスで出しているので、お客さんには少しでもお正月の気分に浸ってもらえたらいいと思う。

さて、昨日はまたシーチャン島へ陸釣りに行ってきた。

大晦日くらいはお店(魚やす)で「日本のテレビ番組」でも見てのんびりしようかとも考えたのだが、どうやら釣りにはまってしまったようだ。

人から聞いた話なので確かかどうかは分からないが中国では次のような「ことわざ」があるようだ。

「一日幸せになりたければ酒を飲みなさい。」

「三日幸せになりたければ結婚しなさい。」

「七日幸せになりたければ豚を殺して食べなさい。」

「一生幸せになりたければ釣りをおぼえなさい。」


何十年も釣りには行っていなかったが、釣りというのはなかなか奥が深く、さまざまな条件の変化が釣果につながってくるし、同じ仕掛けで同じ餌でも釣れる人と釣れない人がいる。

元々、凝り性の性格にどうやら火がついてしまったようだ。

さて、昨日も朝の6時半に起きてシャワーを浴びて、7時半にアパートを出てシーチャン島への乗合船に乗る為に「ロイ島」に向かう。

ここからは写真を交えよう。

年末ということもあり、いつもより大きな船だが乗客はとても少ない。


カム・ヤイの船着き場が見えてくる。

ここで降りる場合には船に乗る前に「カム・ヤイ」で降りることを言っておかないと停まってくれない。ちなみに「ジンダ筏」の小船がここで待っていてくれることがあるようだ。ここからの方が筏に近いからで、ジンダ筏に釣りに行く人は「ジンダハウス」まで行って小船に乗るのか、ここから小船に乗るのかをジンダ筏を管理している土方さんに確認しておこう。
尚、「赤い旗」が上がっているが、次のシーチャン島からロイ島への戻りの乗り合い船がここに停まってお客さんを拾うのだろう。

カム・ヤイの船着き場でも釣りができるようだ。

ここでは釣りはできないのだと思っていたが、3組程釣りをしているグループがあった。
しかし、水深は2メートル位しかないと思うので、小魚くん達を釣るか沖に向かって投げ釣りをするのだろう。(夜釣りでは鯵などの回遊魚の大型も期待できるかも知れない。)

シーチャン島に着いてサムローに乗る。

船着き場から降りて、有料トイレの前に座っているおばちゃんに5バーツを支払い、竿やクーラーやリュックを見ていてもらい小用をすませる。
トイレから出てくると「サムロー」(タクシー)の運ちゃんが近寄ってくる。彼は乗り合い船を降りた時からこっちをチラチラと見ていたので、きっとトイレの前で待っていたようだ。

今回も前回と同じ場所(シーチャン島での陸釣り(1)を参照)に行こうかと考えていたのだが、もしかしたらもっといい釣りポイントがあるのではないかと思い、彼に聞いてみることにした。
たとえば、知らない街に行った時に「安くて美味しいレストラン」の情報をタクシーの運ちゃんに聞くと以外と穴場を紹介してくれるのと同じで、いい釣りポイントを知っているかも知れないと思ったからだ
でも、磯の場合には足場が悪かったり、あまり人目につかない場所でも危ないような気がして、紙とボールペンを取り出して「堤防」の絵を書き「プラー・ヤイ」(大きな魚)と得意のジェスチャーを交えながら説明したところ、あっさり理解してくれたみたいだ。

やったー!と思い早速サムローに乗り込もうとしたが、まずは乗る前に「運賃」確認だ。

降りる時に聞いたのでは幾らふっかけられても後の祭りになってしまう。

サムローの運ちゃんは『往復で300バーツ』だと言う。

シーチャン島観光で島を一周しても300バーツ位と聞いたことがあるので、ちょっと高いかな?とは思ったが、『でも、いい穴場の釣りポイントを教えてくれるのなら情報料込みなら安いかも』と浅はかな考えが頭をめぐり、勢いよくサムローに乗り込む。

サムローはどんどん島の頂上の方に向かって登って行くが、途中から今度は下りとなり海が見えてくる。

15分程で運ちゃんおすすめの釣りポイントに到着。

海は見えているが、堤防は無いようであの「堤防の絵」と得意の「ジェスチャー」はあまり意味がなかったようだ。

この場所の目印。

この場所(釣りポイント)の名前を運ちゃんに聞いたのだがよく聞き取れなかったので、また紙とボールペンを出して『ティニー・チューアライ?』(この場所の名前は?)と聞いたら何と彼の携帯電話の番号を書いてくれた。
もう一度、繰り返して聞いたのだが通じてないみたいで諦めた。
もし、ここでの釣りに興味がある人はこの壊れかけた小屋を写真に取ってサムローの運ちゃんに見せればいいと思う。

ここが一番つれるポイントらしい。

運ちゃんの話では、両手を水平に上げている競輪選手みたいな恰好の人が立っているところが一番の釣りポイントのようだ。

その右側に自分の場所を確保。

堤防に来るはずがいきなり磯になってしまったので、なるべく平らな場所を探す。

ここなら足場もよく、滑ることもなさそうだ。

水面までも1メートル程で前回のように魚を陸に取り込む時にバラしてしまうこともなさそうだ。

*今回の釣果*

残念ながら今回も常連の小魚くん達ばかりで「アイゴ」は30匹以上釣れたが下の写真のように小さなサイズばかりで全部をリリースした。



手前を狙っても、沖に向かって投げても「アイゴくん」ばかりで、海には「アイゴくん」しかいないのでないかと思うほどだ。

たぶん、サビキの仕掛けを使っているのに「コマセ籠」を付けて撒き餌をしないのが原因ではないかと思う。

しかし、シラチャーでは「コマセ籠」も撒き餌の「オキアミ」も入手できそうもないし、たぶんバンコクでも同じだろう。

次回の釣りまでに、手作りの「コマセ籠」と「オキアミ」の代わりとなる撒き餌を研究してみたいと思う。

「一生幸せになりたければ釣りをおぼえなさい。」

今回は惨敗だったが、また行きたくなるのが釣りの魅力のようだ。

さて、次回は「ワインに合う和食」の続きで、牛肉を使った料理を作ってみよう。