マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司、その5(スパイダーロール)

2011年09月25日 | 寿司・お造り
これまでに何回か「ちょっと変わったロール寿司」を紹介してきたが、今回は「スパイダーロール」を紹介しよう。

「ロール寿司」はアメリカから日本に逆輸入されたものが多いがネーミングがとてもユニークだ。

「ドラゴンロール」に「キャタピラロール」、そしてこの「スパイダーロール」にしても、料理に付ける名前とはとても思えないが、特徴をよく表していると思う。

このロール寿司がなぜ「スパイダー(クモ)」なのかは、ロール寿司の端から飛び出した足がまるでクモのように見えるからだ。

しかし、実際に「クモ」を料理するのではなく「ソフトシェルクラブ」という脱皮したての甲羅まで食べられるカニを唐揚げにして使用する。

実は以前、プーケットのマグロ工場でマグロの加工をしていたのだが、夏場はマグロ船(台湾船が多い)が、船の修理と夏場に台湾海域で獲れるクロマグロを狙って台湾に帰ってしまいプーケットでのマグロの水揚げがほとんど無くなってしまう。

工場には何十人もの女工さんを雇っているが、原料のマグロが無いのでは開店休業だ。

そんな時に、ある業者から「ソフトシェルクラブ」の加工をしてくれないか?という依頼があった。

ソフトシェルクラブは本来、アメリカ東海岸に生息するワタリガニの一種で、ブルークラブが脱皮したての甲羅が柔らかいカニのことを指すが、今ではアメリカ産よりも価格の安い「ミャンマー産」の「ソフトシェルクラブ」がアメリカ向けにたくさん輸出されている。

しかし、当時、ミャンマーの「アウンサンスーチー氏」の自宅軟禁の解除を要求するアメリカがミャンマーからの水産物の輸入禁止という措置を取った為に、アメリカでは「ソフトシェルクラブ」が不足していた。

この加工依頼の話は開店休業中のマグロ工場には願ってもない話しで、早速、プーケットからミャンマーとの国境近くの「ソフトシェルクラブ」を養殖している業者のところに行き、このカニを買い付けて「エラ」「目」「口」等を取り除いて、一匹ずつラップで巻き冷凍した商品を箱詰めにしてアメリカに輸出することになった。

実際に養殖場も見学したが、このカニは共食いするので、1匹ずつ小さな籠(かご)に入れられていて、何千個もの籠がロープにつながれているが、箱を開けてみると脱皮直後は籠の中に2匹のカニが居るようで、どちらが脱皮した甲羅なのか見分けがつかず、まるで2匹が入っているように見える。

さて、それでは早速作り方の話をしようと思うが、ソースはマヨネーズとスイートチリソースとテンメンジャンの3種類を混ぜ合わせている。

以外な組み合わせだと思うだろうが、このソースは幾つもの調味料を混ぜ合わせて試行錯誤しながら完成させたソースで、特にこの「スパイダーロール」にはとても合うと思うで試してみて欲しい。

◆「スパイダーロール」の作り方。

1)まず、ソースをつくる。
  「マヨネーズ」「スイートチリソース」「テンメンジャン」を用意する。


この3種類をボウルに入れて混ぜ合わせる。


2)ソフトシェルクラブを唐揚げにする。

①ソフトシェルクラブのエラ、目、口を切り取り水洗いする。


②6等分~8等分に切り、塩を振る。


③コショーを振る。


④片栗粉をまぶす。(水分が足りなければ料理酒を少量加えよう)


⑤170℃位の温度の油でカラッと揚げる。


3)用意する物。

写真の左から「キューリ」「アボカド」「ソフトシェルクラブの唐揚げ」「とびっ子」。写真奥「サニーレタス」。

4)作り方。
①海苔の上にシャリを敷く。


②黒ゴマを散らす。


③裏返してサニーレタスを置く。


④アボカドを置く。


⑤キューリを置く。


⑥とびっ子を置く。


⑦爪が両端から飛び出るようにソフトシェルクラブの唐揚げを置く。


⑧しっかりと巻く。


⑨8等分に切る。


⑩混ぜ合わせたソースをソーサー(容器)に移し、皿に「円」を描く。


⑪竹串や楊枝などを使い、中心から手前に引いてクモの巣の模様にする。


⑫ロール寿司を皿に盛って出来上がり。


この料理は盛り付けも楽しいので、家族連れのお客さんの多い土曜、日曜によく出ている商品だ。

カニと言えば、上海はもう直ぐ「上海蟹」のシーズンとなる。

以前、上海蟹を何万匹も買い付けて、蒸してから急速凍結した商品を作ったことがあるが、上海蟹は10月はメス(卵が入っている)が美味しく、11月からオスが美味しくなる。

昔の話だが日本のお台場で「上海蟹」が見つかって、活きた上海蟹を日本に輸入できないということがあった。
(今は逃げないように厳重に管理できれば輸入できるようだ。)

そこで、何万匹もの上海蟹を「太湖」で買い付け、これを蒸してから急速凍結する商品を作ったことがある。

蒸し上がった上海蟹の写真。

下の写真のようにパック詰めして凍結する。

袋のまま4~5分、ボイルするか蒸すだけで、出来立てと同じ上海蟹を食べることができる。

上海蟹の季節が来ると、毎日朝から晩まで江蘇省の工場で上海蟹と格闘していたことを思い出す。

さて、次回は「タジン鍋」を使った「料理長が自宅で作るまかない料理」を紹介しよう。

ほとんど水を使わずに「蒸し料理」を作るのならこの風変わりな鍋を使うと野菜の甘みが引き出せる。


タジン鍋の写真










寿司の食べ方(手でつまんで食べるのか箸で食べるのか)

2011年09月18日 | 寿司・お造り
今回は寿司の食べ方の話をしようと思うが、先日うちの店で寿司を食べているお客さんの面白い光景を見掛けた。

それは「軍艦寿司」を食べる時に、まず箸で摘まんだガリを醤油皿に浸し、その醤油まみれのガリを軍艦寿司の上に持って行き、醤油を軍艦寿司の上に垂らすのだ。

この光景を見て、何か違和感を感じたのだが、でも寿司の正しい食べ方は?と聞かれると困ってしまわないだろうか。日本人でさえ正しい寿司の食べ方が分からないのだ。

手でつまんで食べるのが正しいのか、それとも箸で食べるのが正しいのか?

醤油はどこに付けるのだろう?ひっくり返してネタに付けるのか?シャリの下に付けるのか?横に付けるのか?

それから、「チラシ寿司」はどううやって食べるの?醤油を上から掛けるの?ネタを剥がして醤油を付けるの?

日本人でさえ、知らない寿司の食べ方だから「中国人」となるともっと分からないのはあたり前だろう。

下の写真は、うちの店のホールスタッフに寿司を食べてもらった時のものだ。



日本料理店で働いているので、さすがに箸は使わず手でつまんではいるが、醤油皿に入れた「わさび」は半端な量じゃない。また、シャリの下にどっぷりと醤油を付けている。

先日、上海の中国人経営の「家順」という回転寿司に行った時に、中国人がどうやって寿司を食べるのか観察してみたのだが、ほとんどの客が寿司を箸でつかんで醤油皿に寿司をどっぷりと付けて食べていた。
そして、どの中国人客も「わさび」増量で、日本人ではとても考えられない量だ。あれでは、白身の魚なんて何を食べても同じ味になってしまうだろう。

では、どうやって寿司を食べるのが正しいのか、寿司屋の立場で少し考えてみよう。

1)カウンター席の場合には「手でつかんで食べて欲しい」

理由:カウンターのお客様にお出しする寿司は、手でつまんで食べることを前提に、ふんわり握っている。
食べ方:ネタに醤油につけて、 そのまま裏返した状態で口に運んでもいいし、シャリを下にしてもいい。

2)テーブル席の場合には、箸でも手でつまんでもよい。

理由:カウンター席のお客様の寿司よりかたく(普通)に握ってある。

食べ方:箸でネタとシャリを摘まんで横にして少量の醤油を付ける。

3)味の薄いものから食べるのが一般的

理由:味の淡白な白身魚の前にトロや穴子など味の濃い物を食べると、淡泊なネタを充分に味わえない。
しかし、次のネタを食べる前にガリを食べるかお茶を飲めば舌がさっぱりするし、お腹がすいている時には自分の好きな物から食べるのが一番美味しいので、順番は気にせずに自分の好きなネタを思う存分食べよう。

4)寿司屋で嫌われる客

①タバコを吸う客。香水がプンプンの客。
ネタは味だけではなく香りも味わうもの。廻りのお客さんにも迷惑。

②知ったかぶりの知識をひけらす客。
○○産の鯛はないの?等とグルメ番組の情報なんて、ほとんどが嘘ばかりだ。

③やたらと寿司屋の「符牒」を使う客。
「アガリ」は最後に出すお茶のことで「上がり」から来た言葉。『お客さんもう帰るからお茶出しといて』と店側が使う言葉。『お茶をください』と言おう。

「オアイソ」は「客に愛想を使う」という意味。お客さんが店に愛想使ってどうすんだい。

さて、寿司というのは江戸時代に、ちょっと小腹が空いた時にパッと手でつまんで食べたファーストフードなのだから、食べ方のルールなど気にせずに、手でつまんで食べても箸で食べても、自分の好きなように食べればいいと思う。

それから、チラシ寿司だが、自分でも醤油皿にわさびを溶いて、上から掛けて食べている。

せっかく綺麗に盛り付けてくれたチラシ寿司からネタを剥がすのは気が引けるからだ。

寿司職人さんのことも考えながら寿司を食べればその気持ちが伝わって、その日に一番美味しいネタに出会えるだろう。

最後に、握り寿司の食べ方で絶対にやってはいけないことが一つある。

それは、握り寿司からネタを剥がし、醤油を付けてから、またシャリの上に乗せて食べるというやり方だ。

すべての寿司職人が、こんなことをする客は2度と来てもらいたくないと思うはずだ。

一貫の握り寿司も立派な作品だし、この一貫の握り寿司を握る為に、毎日、毎日、つらい修業をしているのだ。

そして、寿司職人はその一貫の握り寿司に心を込めながら握っているのだから。








中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司、その4(ツナマヨロール)

2011年09月18日 | 寿司・お造り
今回は「ツナマヨロール」の作り方を紹介するが、コンビニで売られている「おにぎり」では、「ツナマヨ」がず~っと不動の1位のようだ。

「おにぎり」の具材と言えば、小学校の頃、母親が運動会や遠足に作ってくれた「梅干し」「おかか」「鮭」を連想してしまうが、実は子供の頃は「梅干し」が苦手で運動会で家族揃っての昼飯では「梅干し」を引いてしまわないよう願ったものだ。

それと、今、回転寿司ではネタは「サーモン」が1番人気のようで、2番が「マグロ」だという。

自分が子供の頃には「サーモン」を生で食べた記憶が無いが、当時は今のように養殖の「サーモン」も出回っていなかったと思う。

天然のサーモンには、「アニサキス」という寄生虫がいるので、サーモンを生で食べる習慣がなかったのだろう。

しかし、今では養殖技術が進み、生育環境や飼料などが徹底管理がされているので、アニサキスなどの寄生虫の感染も心配なく回転寿司でも安心して、安くサーモンが食べられるようになった。

さて、「ツナマヨ」の話に戻るが、使用するマグロ(TUNA)にもいろいろな種類がある。

たいていの場合「ツナマヨ」を作る時には「ツナ缶」を使うが、日本では「ツナ缶」と言えば「はごろもフーズ」の「シーチキン」が代名詞になっている。

戦後、日本がまだ貧しかった頃は、海外に輸出する商品も少なく、「マグロの油漬けの缶詰」がアメリカ向けにたくさん輸出されたので、「ツナ缶」は日本人の発明と思っている人も多いが、実はアメリカの「チキン・オブ・シー」という会社が1914年に「Chicken of the Sea」という名前で「ツナ缶」を商標登録している。

「Chicken of the Sea」は「海の鶏肉」という意味だが、「ビンチョウマグロ」を原料にすると色が白く「鶏肉」のような食感になるので、「海の鶏肉」と名付けたのだろう。

マグロ油漬け缶詰がアメリカで発明されたのが1903年。日本では1929年に静岡県の水産試験場が製法を解明、「はごろもフーズ」が 「Chicken of the Sea」を「シーチキン」と文字って1958年に日本で商標登録している。

本来、「Chicken of the Sea」は「ビンチョウマグロ」を使用するので鶏肉のように色が白い。

また、「カツオ」や「キハダマグロ」「メバチマグロ」を原料としたツナ缶は「Light TUNA」と呼ぶ。

「ほごろもフーズ」の日本でのシェアは50%以上あるようだが、「シーチキンL」という、「ビンチョウマグロ」を原料にしていなくても「シーチキン」という名前を付けて販売している商品もあるので、商品を購入する前に必ず「原料表示」を確認しよう。

スーパーなどで安売りされている「ツナ缶」の多くは、「ビンチョウマグロ」が原料ではなく、「カツオ」や「キハダマグロ」「メバチマグロ」等、安価な原料を使用している。

実は、以前、日本のマグロ商社に14年程勤めていたことがあるが、この会社は日本のマグロ船が漁獲した「ビンチョウマグロ」を買い集め、年間2万トン以上を海外のマグロ缶詰工場に輸出をしていた。

缶詰用には脂の無い「ビンチョウマグロ」を使用するが、8月頃に日本の近海の高緯度の海域で獲れる「ビンチョウマグロ」は脂がたっぷり乗ってとても旨い。

さて、また話が長くなってしまったが、「ツナマヨ」を作る時には原料に「ビンチョウマグロ」を使った物を選ぶといいだろう。

今回は「ライトツナのツナ缶」を使うが、早速、作ってみよう。

◆「ツナマヨロール」の作り方。

1)材料を用意する。

写真の左から、「薄焼き玉子」、「キューリの細切り」、「ツナ缶」、「玉ネギのスライス」、「マヨネーズ」、「白ゴマ」。

2)作り方。

①ボウルに「ツナ」と「マヨネーズ」を入れる。


②よく混ぜ合わせる。


③「巻きす」の上に海苔を敷いて、シャリを乗せる。


④「白ゴマ」を散らす。


⑥裏返す。


⑦「サニーレタス」を乗せる。


⑧「キューリの細切り」を乗せる。


⑨「玉ネギのスライス」を乗せる。


⑩「ツナマヨ」を乗せる。


⑪上から「サニーレタス」で覆う。


⑫「巻きす」でしっかりと巻く


⑬巻き上がった状態。


⑭「薄焼き玉子」を乗せる。


⑮再度、しっかり巻く。


⑯8等分に切る。


⑰出来上がり。


さて、日本人が好きな「丼物」となると、1位は「牛丼」で2位が「かつ丼」になるらしいが、あちらこちらで牛丼が280円で食べられるのであれば、もはや、牛丼を食べるのが習慣のようになっている人も多いのはないか?と思う。

戦後、日本人はずいぶんと食習慣が変わったようだが、アメリカから進出したハンバーガーチェーンの影響が大きいように思う。

「柔らかくて、喉越しの良い」食べ物ばかりが好まれ、また高カロリーの食品が多い。

それにつれて日本人の体形も立派になったが、子供たちには「焼き魚」は骨が面倒と敬遠され、親も小骨が喉にささったらたいへんと子供たちに食べさせないという。

本当は、煮魚でも焼魚でも「骨」が付いている方が旨いのに残念な話だ。

そして、最近の日本人には「骨」のある男が少なくなってしまったように感じる。

さて、次回は「寿司の食べ方」の話をしよう。









中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司、その4(スパイシー・ツナロール)

2011年09月17日 | 寿司・お造り
今回はマグロを使ったロール寿司をもう一品紹介しよう。

ロール寿司と言うとマヨネーズやマンゴー等のフルーツのソースを掛けた甘い味を連想するが、そういう甘いロール寿司は欧米人は好きだが、中国人にはあまり好まれないようだ。

今回、紹介する「スパイシー・ツナロール」は、中国人も大好きな「白菜キムチ」と「マグロ」を巻いた物で、今から4年程前に「WASABI大連店」でスタートした。

最初はこの商品がお客さんに受け入れられるかどうか?とても不安でメニューブックに載せるかどうか迷ったものだが、それから半年もするとこの「スパイシー・ツナロール」を目当てに食べに来てくれる中国人のお客様も出てきて定番商品となったが、今でも人気商品の一つになっている。

さて、それでは早速作ってみよう。

◆「スパイシー・ツナロール」の作り方。

1)用意するもの。

写真手前の左から、「万能ネギの小口切り」「松の実」「白ゴマ」。写真奥の左から「白菜キムチ」「ゴマ油」尚、写真には無いが「マグロ」と「サニーレタス」を用意しよう。

2)作り方

①白菜キムチに「ゴマ油」を少量(小さじ1程)加える。


②「巻きす」の上に海苔を置き、シャリを敷く。


③白ゴマを散らす。


④裏返す。


⑤海苔の上にサニーレタスを置く。


⑥白菜キムチを置く


⑦マグロを置く。


⑧「松の実」を散らす。


⑨ネギを散らす。


⑩上からサニーレタスをかぶせる。


⑪しっかりと巻く。


⑫八等分に切る。


⑬皿に盛って出来上がり。


さて、このロール寿司に使う「白菜キムチ」だが、味見をして「酸っぱい」又は「塩辛い」と感じたら「はちみつ」を少し加えるといいだろう。

また、「白菜キムチ」に「ゴマ油」を少量加えることで、とても香りがよくなるので試してみて欲しい。

前回、今回と「生マグロ」を使ったロール寿司を紹介したが、次回は「ツナ缶」を使ったロール寿司を紹介しよう。

日本のコンビ二で販売されている「おにぎり」の具で、いつも不動の一位は「ツナマヨ」のようだが、その「ツナマヨ」を使ったロール寿司は子供からお年寄りまで楽しめる味で、お花見の弁当などにも、もってこいだと思う。




中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司、その3(ダイナマイト・ツナロール)

2011年09月16日 | 寿司・お造り
ロール寿司について2回に渡って説明してきたが、今回はちょっと辛いソースを使ったロール寿司を紹介しよう。

欧米人は辛い料理は好まないが、このダイナマイトロールは欧米でも人気のロール寿司で、韓国の「コチュジャン」など辛い調味料を使うが、コチュジャンには甘味もあり、また甘いマヨネーズと一緒に混ぜるのでそんなに辛味は感じられない。

このダイナマイトロールという名前だが、口の中に入れると、とたんに辛さが「ダイナマイト」のように炸裂するからではなくて、むしろ、ソースの中に混ざっている「とびっ子」が口の中でプチプチと弾けるので「ダイナマイトロール」と言うようだ。

また、中に入れる具には「海老の天ぷら」や「海老フライ」が多いようだが、海老の尻尾をロール寿司からはみ出させると、ダイナマイトの引火線に見えるから「ダイナマイトロール」と呼ぶようになったと言う説もあるが、カニカマ等を使ったダイナマイトロールもあり、どうやら「とびっ子」が口の中でプチプチと弾けるので「ダイナマイトロール」という名前になったという説に軍配が上がりそうだ。

中国人は欧米人と違い、辛い料理も好きで「四川料理」の辛さは半端ではない。

同じようにタイ人も辛い料理が好きで、昔、タイに3年程住んでいた頃は、たまにタイ料理のレストランで「即死するのではないか」と思われる辛い料理に何度か出くわしたことがある。

しかし、逆にタイ人のお客に寿司を握る時に「山葵を多くして欲しい」というリクエストで山葵を多めに握って出してあげると、目を真っ赤にして涙をいっぱいにしていたタイ人がいたが、どうやら、唐辛子の辛さと山葵の辛さは本質的に違うようだ。

今回は「コチュジャン」では無く、中国人やタイ人も好む辛い味になるように「豆板醤」を使ってみよう。

◆「ダイナマイトTUNAロール」の作り方。

1)用意するもの。

写真手前「キュウリ」「まぐろ」「玉ねぎのスライス」「とびっ子」。写真奥「豆板醤」「マヨネーズ」「ゴマ油」

2)作り方。

①ボウルにマヨネーズ、豆板醤、ゴマ油を入れる。


②「とびっ子」を加える。


③玉ねぎのスライスを十分に水切りしてから加えて、よく混ぜ合わせる。


①「巻きす」の上に海苔を置き、シャリを敷く。


②シャリの上に「白ゴマ」をまんべんなく散らす。


③裏返す。


④「サニーレタス」を敷く。


⑤「キューリ」を置く。


⑥「まぐろ」を置く。


⑦ソースを掛ける。


⑧上に「サニーレタス」を置く。


⑨きっちりと「巻きす」で巻く。


⑩八等分に切る。


⑪出来上がり。


しっかりと味の付いたソースが中に入っているので、上からは何のソースも掛ける必要もないし、醤油に付けたりしないでそのまま食べるのが旨い。

さて、以前にも書いたと思うが、中国人は「キムチ」がとても好きなので、日本料理店でも中国人オーナーの店等に行くと、定食には「お新香」や「たくあん」ではなく、キムチが出てきたりする。

このキムチだが、マグロとの相性がよくうちの店では「マグロのピリ辛キムチ」というオリジナル商品がある。(下の写真)


マグロをサイの目に切って、白菜キムチと少量のゴマ油を加えて混ぜ合わせ、松の実と万能ネギの小口切りを散らした商品だが、つまみとしてよく出ている商品だ。

さて、次回はこの「マグロのピリ辛キムチ」を具材にして巻いた「スパイシー・ツナロール」を紹介しよう。


中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司、その2(フライドチキンロール)

2011年09月14日 | 寿司・お造り
前回は「トンカツソース」を使ったロール寿司を紹介したが、今回は「スイートチリソース」を使ったロール寿司を紹介しよう。

「スイートチリソース」とは、タイのソースで、タイでは「ナムチムガイ」と呼ばれている。

赤唐辛子、にんにく、砂糖、酢などが主な原料のソースだが、砂糖、酢が多めで味は濃厚。揚げ物や付けダレによく使われる。

タイ人も「鶏の唐揚げ」が大好きで街のあちこちの屋台でも売られているが、タイ料理の高級店に行くと「鶏の唐揚げ」にはこのスイートチリソースが小皿に盛られて出てくるか、または、鶏の唐揚げに直接このソースを絡めて出されることが多い。

「チリ」という言葉が入っているので、辛くて甘いソースを連想するが、あまり辛みは感じられず、逆にかなり甘い味のソースだ。

うちの店ではこのソースを、ロール寿司に使ったり、マグロを具材にした「ベトナム風生春巻き」のソースとしても使っている。

下が「李錦記」の「スイートチリソース」の写真だが、中国でもカルフール等の大きなスーパーに行けば入手することができる。



この「チリソース」と「鶏の唐揚げ」を使ったのが、うちの店の「フライドチキンロール」だが、なぜか中国人にも好評で、よく出ている商品だ。

それでは早速、作ってみよう。

◆「フライドチキンロール」の作り方

1)海苔の上にシャリを敷く。


2)ゴマを散らす。


3)裏返してサニーレタスを敷く。


4)キューりの細切り、玉ねぎスライスを乗せて「スイートチリソース」を掛ける。


5)「巻きす」で巻く。


6)8等分に切る。


7)皿に盛って完成。


「鶏の唐揚げ」には「マヨネーズ」も合うので、お好みで上から「マヨネーズ」を少し掛けてもいいだろう。

さて、下が、マグロを具材にした「ベトナム風生春巻き」の写真だ。


この料理は「スイートチリソース」つけてを食べるのだが、特に女性に評判がいい。

市販の「スイートチリソース」は甘さが強すぎたり、酸味が強いものがあるので、そういう場合には味をみて「トマトケチャップ」を加えて味を整えればいいだろう。

さて、次回も「ロール寿司」の話をしよう。



中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司、その1(とんかつロール)

2011年09月14日 | 寿司・お造り
今回はちょっと変わったロール寿司を紹介しよう。

ロール寿司と言うと、まず頭に浮かぶのが「カリフォルニアロール」だろう。

裏巻きにしてシャリの方に「とびっ子」を散らし、具材にはサニーレタスにアボガドとカニカマとキューリ等の野菜や厚焼き玉子を巻いて、マヨネーズを上から掛けて食べるが、このロール寿司が大ヒットした理由は、「生魚」を使用していないことだと思う。

今から20年以上前のアメリカでは、「寿司=生で魚を食べる」ということは考えられず、当時「ヤッピー」と呼ばれていた、若くて仕事もでき、ウオールストリート等で働く比較的裕福なサラリーマンが、気取って寿司をつまむという程度だった。(実際に彼らが本当に旨いと思って食べていたか?は疑問だ)

今の中国を見ていると、その当時のアメリカのことを思い出す。

うちの店の中国人の「ホールスタッフ」でさえも、魚を生で(刺身や寿司で)食べることができる人は何人もいない。
調理スタッフでさえ、魚は生では絶対に食べないという人が多い。

まだまだ中国では魚を生で食べられない人が多いので、うちの店には生魚を使用しないロール寿司のメニューがたくさんある。
魚を生で食べられない人に、少しでも寿司に親しんでもらいたいからだ。

定番の「カリフォルニアロール」や「ドラゴンロール」もあるが、しかし、これら定番のロール寿司よりも中国人に好まれているロール寿司がある。

それが、「トンカツロール」だ。

この変わったロール寿司はうちの店の「オリジナル」なので他の店では食べられないと思うが、作り方は簡単なので是非一度作って食べてみて欲しい。自分で言うのもおかしいが、なかなかいけると思う。

◆「トンカツロール」の作り方

1)海苔の上にシャリを敷く。


2)ゴマを散らす。


3)裏返してサニーレタスを敷く。


4)キャベツの千切りを置く。


5)キューリの細切りを置く。


6)マヨネーズをかける。


7)トンカツを並べる。


8)「巻きす」で巻く。


9)8等分に切る。


10)皿に盛り、上から「トンカツソース」を掛けて出来上がり。


さて、うちの店の「トンカツソース」だが、市販の「トンカツソース」にケチャップと、料理酒と醤油を加えてオリジナルの「トンカツソース」を作っているので、その配合を書いておこう。

◆「トンカツソース」の配合
市販のトンカツソース  1.8L
トマトケチャップ     500ml
料理酒          500ml
醤油           大さじ3
(全部を鍋に入れ火に掛けて混ぜ合わせる。)

この「トンカツロール」の「トンカツ」を「大きな海老フライ」に換えて、マヨネーズの代わりに「タルタルソース」にすると、「海老フライロール」になるが、これも中国人にとても好評な人気商品だ。

◆「海老フライロール」の写真


他にも「牡蠣フライロール」等の「ロール寿司」もよく売れているが、どちらかと言うと中国人は「マヨネーズ味」よりも「醤油味」や「トンカツソース味」の方を好むようだ。

そう言えば、中国人の「マヨラー」というのは、あまり聞いたことがない。

さて、次回も「中国人も大好きなちょっと変わったロール寿司」の話をしよう。





空気を入れて寿司を握る(続き)

2011年09月13日 | 寿司・お造り
中秋節も終わり、またいつもの騒々しい上海に戻った。

人や車も多いが、街のあちこちで新しいビルを建てているので工事の雑音が拍車を掛ける。

せめて、夜の10時過ぎから朝の8時頃までは工事はやめて欲しいものだ。

さて、今回は「ちょっと変わったロール寿司」の話をしようと思っていたのだが、前回、「寿司の握り方」の話をした時に、「シャリだけ」を握ったので、今回は実際にネタを使って寿司の握り方を説明しよう。

「基本の握り」と、タコや貝類 等、「ネタとシャリがはがれやすい物を握る時の握り方」の2種類の握り方の説明をする。

「ネタとシャリがはがれやすい物を握る時の握り方」の方は、ネタの位置が分かりやすいように、タコや貝類ではなく蒸し海老を使った。

写真が多いので早速、始めよう。

◆寿司の握り方「基本の握り」

1)左手の手の平にネタを取る。


2)ワサビを付ける。


3)シャリを乗せ、親指でくぼみをつくる(空気を入れる)


4)上下を親指と人差し指でおさえる。


5)底を作る。


6)中指の右側面を使いながら寿司を右側に半回転させて、ネタが上になるようにする。


7)親指と中指で寿司をはさんで、元の位置まで戻す。


8)人差し指で軽く上を押さえながら、親指で舟形にする。


9)親指と人差し指でつかんで時計周りに180度回転させ、上下を入れ換える。


10)寿司の脇をしめると綺麗な形になる。


11)人差し指で軽く上を押さえながら、親指で舟形にする。


12)出来上がり。


続いて、もう一種類の握り方を紹介しよう。

◆寿司の握り方「ネタとシャリがはがれやすい物を握る時」

1)左手の手の平にネタを取りワサビを付ける。


2)シャリを乗せ、親指でくぼみをつくる(空気を入れる)


3)上下を親指と人差し指でおさえる。


4)人差し指で軽く押して底をつくる。


5)親指と人差し指で寿司を挟む。


6)寿司を回転させる。




7)人差し指で軽く上を押さえながら、親指で舟形にする。


8)親指と人差し指でつかんで時計周りに180度回転させ、上下を入れ換える。


9)寿司の脇をしめると綺麗な形になる。


10)人差し指で軽く上を押さえながら、親指で舟形にする。


11)出来上がり。


下は「基本の握り」で握ったマグロと、「ネタとシャリがはがれやすい物の握り」で握った蒸し海老の写真だが、どちらも舟型になっている。


前回も書いたが、本当に旨い寿司とは「手でつまんで口に入れるとフヮ~っと口の中でほぐれる寿司」だ。
「手に持っては崩れず、食べてほぐれる」寿司が一番の寿司だ。

さて、次回は「ちょっと変わったロール寿司」の話をしよう。


ガリを使った寿司屋の「まかない料理」

2011年09月10日 | 寿司・お造り
前回は「ガリ生姜」の作り方を説明したが、今回はその「ガリ生姜」を使って「まかない料理」を作ってみよう。

刺身や寿司をメインに商売をしている寿司屋などではサーモンやカンパチ、鯛や平目など、毎日たくさんの魚をさばいている。

うちの店も「マグロ料理と寿司」が売り物なので、魚の仕入れはとても多い。

特に中国人はサーモンの刺身や握り寿司、それにサーモンを使ったロール寿司が好きなのと、サーモンは塩焼などにも使うので、ノルウェーから空輸された4㎏~6㎏の大型のサーモンを1日に2本も3本もさばくことがある。

サーモンのカブトは「カブト焼」にしたり「カブト煮」等の一品料理でも出しているが、アラ(骨)や尻尾等は大根と一緒に煮てお通しにも使っている。

また、塩を振ってグリルで焼いてから身をほぐして「鮭茶漬」や「おにぎりの具」にもするが、毎日何本ものサーモンを卸しているのでそれでも余ってしまう。

そこで、今回はそのほぐし身を使って「まかない料理」を作ってみよう。

ポイントは「ガリ」を加えることだ。「ガリ」が入ることでチャーハンにしてもサッパリとした味になり、思わず2杯も3杯もお替わりしてしまう。

◆「ガリを使った鮭チャーハン」の作り方

1)材料を用意する。

写真の皿の上、時計回りに、サーモンのほぐし身。万能ネギの小口切り。ガリ(約5㎜角に切る)。大葉しその千切り。写真右、卵。写真奥、ご飯。

2)作り方
①フライパンを熱し、サラダ油を敷き、卵を加えて半熟状態まで炒める。


②鍋から卵を取り出す。


③再度、フライパンを火に掛けサラダ油を敷いてサーモンのほぐし身を炒める。

直ぐにご飯も加える。


④卵とガリを加える。


⑤よく混ぜ合わせるように炒め、塩、コショーと、少量の醤油で味を整える。


⑥皿に盛る。


⑦上から万能ネギの小口切りと、大葉の千切りを散らす。(お好みで白ゴマを散らす))

⑧完成写真。


今回はサーモンを使ったが、カンパチや鯛や平目、又は鯖を大量に仕込んだ時のアラを焼いてほぐし身にして使ってもいいだろう。

鯖のようにちょっと臭みがある魚をチャーハンにすると生臭さを感じるが、ガリを加えることで美味しく食べることができる。

まかない料理なので、捨てるようなところを有効活用することが大切だ。

中国人のキッチンスタッフがよく作るまかない料理で「鶏のガラとジャガイモの煮物」があるが、醤油味で煮て、鶏のガラに付いている僅かな肉をしゃぶるように食べるのだが、これがとても旨い。

昔から飲食店のまかない料理は美味しいと言うが、捨てるようなところをどうやって美味しく食べれるようにするのか?それができるようになった料理人の料理は何を食べても美味しいし、そういう料理人はメキメキと腕を上げていく。

料理人が料理人に対して作る「まかない料理」はいつも真剣勝負なのだから。






寿司屋の「ガリ生姜」を作ってみよう。

2011年09月10日 | 寿司・お造り
今回は「ガリ生姜」の作り方を紹介しよう。

日本では6月頃に「新生姜」が出回るが、ほとんどがハウス栽培でハウスの中の温度を高くしてむりやり作った物だ。

本来の新生姜の旬は10月の中旬から12月で、上海ではちょうど「上海蟹」が出回る頃だ。

ところで、「上海蟹」を食べる時には、「鎮江産の黒醋」に「生姜の千切り」を入れて、これをタレとして食べたり、「紹興酒」を飲んだりするが、これには訳がある。

以前、食べ物には体を冷やす「陰性」の食べ物と、体を温める「陽性」の食べ物があることを話したが、「上海蟹」等の淡水の蟹は体を冷やす「陰性」の食べ物だ。逆に「黒酢」や「生姜」は「陽性」の食べ物なので、一緒に食べることで体を冷やさないようにする訳だ。

また、お酒を飲むと体が温まるので「上海蟹」を食べる時には「紹興酒」を飲んだり、また、お酒の飲めない人は「生姜湯」を飲んだりしている。

さて、今回は「ガリ生姜」の作り方を紹介するが、「新生姜」が手に入ったらぜひ自分で作ってみて欲しい。
市販の「ガリ生姜」にはたくさんの添加物が使われていて、普段はそれがあたり前の味と思っているが、ピンク色のガリはほとんどが着色料で色ずけされた物だし、その他にも甘味料や酸味料や保存料といった添加物や化学調味料がたくさん使用されている。

また、味付けも甘過ぎるものが多い。

自分で「ガリ生姜」を甘さを控えて作れば、これだけで立派な酒のアテになる。

下は市販の業務用の「ガリ生姜」の写真だ。

表面

そして、裏面の原材料表示のところを見て欲しい。


白い字で表示されているので、ほとんど読み取ることができず、わざと白い字にして見え難くしているのではないかと疑ってしまう。

表示の内容はこうだ。
    ↓
漬け込み(食塩、醸造酢)酸味料、甘味料(サッカリンNa)、保存料(ソルビン酸K)着色料(赤102、赤3)

工場で大量生産し保存性を高めるには、このような添加物を入れることになる。

さて、また話が長くなってしまったので、さっそく「ガリ生姜」を作ってみよう。

尚、冒頭にも書いたが、「新生姜」の旬は10月中旬からなので、今回は「ヒネ生姜」を使って説明しよう。

◆「ガリ生姜」の作り方

1)材料の生姜(ヒネ生姜)


2)生姜の皮をむき薄くスライスする。

繊維にそってスライスする。

3)用意するもの。

生姜のスライス500gに対して、米酢600CC、砂糖200g、塩大さじ1(甘めが好きならば、砂糖を250g)

4)作り方
①鍋を火に掛け、米酢を入れる。


②砂糖を加える。


③塩を加える。


④生姜のスライスを加える。


⑤再び沸騰したら火を止める。


⑥容器に移す。


⑦出来上がり。


ガリ生姜を作る場合には、甘酢を先に作って冷めてから生姜を入れる方法もあるが、生姜も鍋に入れて再沸騰させてから火を止めることで、生姜を「殺菌」することができる。

冷めたら直ぐに食べることができるし、一度熱を入れて殺菌してあるので保存料等の添加物を入れなくても冷蔵庫で1週間以上は保存が可能だ。

さて、次回はこのガリを使った「まかない料理」を紹介しよう。








中国の寿司事情について(3)寿司の握り方。

2011年08月31日 | 寿司・お造り
前回も書いたが、中国で日本料理店を何店舗もやっていると、「食中毒」等の事故が起こらないように、衛生管理にとても気をつかうことになる。

仮に1店舗でも「食中毒」を出してしまったら、全店に影響が出てしまうし、また信用も大きく失ってしまう。

とにかく、魚など生で食べたことがない中国人は衛生観念が日本人とはまったく違うのだ。

今から5年程前になるが、杭州にあるフランス系大型スーパーのカルフール(家乐福)の店内で販売されている寿司を浙江省工商局が抜き取り検査を行ったところ、基準を超える大腸菌が検出され、一時、中国全土のカルフールで寿司を販売中止するということがあったが、同じく杭州の日本料理店でも相次いで細菌数が基準をオーバーする寿司が発見され、なかでも元緑回転寿司の7種類の寿司は大腸菌数が基準の7倍もあったという。

トイレに行って「大きい方」の用を足しても手を洗う習慣がない中国人の手は、「大腸菌」や「一般生菌」等、バクテリアでうじゃうじゃしているのだ。

カルフールだけではなく、現在も中国人経営の日本料理店で寿司の抜き取り検査をすれば、間違いなく基準以上の「大腸菌」が検出されるだろし、黄ばんだまな板からは「ブドウ球菌」や「サルモネラ菌」や「腸炎ビブリオ」も見つかるだろう。

1日の仕事が終わって、毎日、まな板を消毒する店など、ほとんど無いと思っていい。

そういう店で働いていた調理スタッフが、もっと高い給料が欲しくて、店を転々としているのだから、悪い習慣の連鎖となっている。

実際、うちの店にも「スタッフ募集」の張り紙や求人広告を見て、毎日のように若い中国人が面接に来るが、面白いことに、全員が全員、『私は寿司も天ぷらも煮物も何でもできます』と言う。

少しでも高い給料を貰いたいからで、何もできないヤツでも平気な顔で何でもできると言うのだ。

日本人では恥ずかしくて、とてもこんなことは言えないが、そういう連中で前に働いていた店が上海では高級店とされている店だったりすると、試しに1個、2個、寿司を握らせてみたりする。

しかし、今までに何十人と面接をしてきたが、寿司を握る前に手を洗ったヤツを見たことがない。

そして、パフォーマンスだけは立派だが、空気を入れて寿司を握ることはないし、寿司の形や大きさもバラバラだ。

寿司を幾つかを握らせてから、ネタだけを取ると本人も驚くほどブサイクなシャリで、秤を持ってきて重さを調べると、20gのシャリもあれば30gのシャリもある。

結局、すべてを最初から教えなければならないのだが、調理スタッフを採用する基準は、「まじめ」かどうかだけだ。

それと、面接に来た時の服装も見て採用するかどうか決めることになる。

よれよれのTシャツに、いつ洗ったか分からないジーンズ、ぼさぼさの髪の毛に、ピアス。それに、鼻毛が伸びきっているようなのは丁重にお帰りいただくことになる。

また、採用の前に必ず言っていることが1つある。

それは、『手を洗わない、掃除のできない人には辞めてもらいます』また、『それが出来ない人の給料が上がることはありません。』と釘をさしておくのだ。

実際、今、各店舗の調理場のチーフをやらせているスタッフは、手洗いや掃除が習慣になったから任せているのであって、いくら仕事ができても手洗いや掃除ができなければチーフにさせることは絶対にない。

さて、また話が長くなったので、「寿司の握り方」の写真を紹介しよう。

◆空気を入れて寿司を握る(基本の握り方)

1)右手で軽く握ったシャリ玉を左手に乗せ、親指でくぼみを作り、空気を入れる。

右手の親指と人差し指で上下をおさえる。

2)右手の人差指をそえて、寿司の底をつくる。


3)シャリ玉を右手の中指を使いながら手の平の右の方に半回転させる。


4)右手の親指と中指ではさんで、シャリ玉を左手の元の位置まで戻す。

これで、シャリ玉の上の面と下の面が入れ替っている。

5)右手の人差指で上の面をそっとおさえると同時に、左手の親指で船型にする。


6)右手の親指と人差し指で寿司を握って、時計回りに180度、回転させる。


7)脇をしっかりしめると、綺麗な形の握り寿司になる。


8)右手の人差指で上の面をそっとおさえると同時に、左手の親指で船型にする。


このように舟型にする。


本当に旨い寿司とは「手でつまんで口に入れるとフヮ~っと口の中でほぐれる寿司」だ。

「手に持っては崩れず、食べてほぐれる」寿司が一番の寿司だろう。

毎日、毎日、「シャリ玉だけを握る」練習を続けることが、旨い寿司を握る一番の近道だと思う。



さて、明日から9月となるが、「日替わりランチ」も明日から幾つかの料理が入れ替る。

次回は、その料理の話をしよう。


もしよろしかったらココをクリックお願いします。
     ↓
人気ブログランキングへ









中国の寿司事情について(2)寿司の握り方。

2011年08月30日 | 寿司・お造り
先日、中国の名が知れているらしい雑誌がうちの店のことを書きたいので、料理長に取材をしたいと申し込みがあった。

中国の雑誌などはあまり見たこともないし興味も無いが、店のことを中国人のお客さんに知ってもらえるチャンスもあるかと思い取材に応じることにした。

約束は夕方の6時で、「南京西路」店で行うことになり、当日は夕方の5時半にタクシーを拾って店に行く途中、ドドン~という大きな音がしたかと思ったとたん大雨が降りだしてきた。

こういう時の上海の道路は水はけが悪いのか、道路に水が溢れだし車もノロノロ運転で、結局、1時間以上も遅れて店に着いた。

店ではカメラマンと記者(編集者)が2人で待っていたが、何と彼らは5時半には店に来ていたというから、1時間半も待たせてしまったようだ。

たいていは、中国人は時間にとてもルーズで、こちらが30分以上待たされることになるのだが、こういう律義な連中もいるらしい。

さて、早速、取材が始まったのだが、まず最初に聞かれたのは「料理長の仕事は何ですか?」といきなり、振って来るではないか。

こういう場合には、「どういう難しい料理を、どのようにスタッフに教えて、お客様に喜んでもらって」などと、気の効いた話をすればいいのだろうし、相手もそれを期待していることは、こっちも十分に承知だ。

だが、その応えは、たぶん相手の予想に反するものだったと思う。

『料理長の仕事は食中毒を出さないことです。』

そして、これこそが、中国に来てから5年、毎日のように悩み苦しみ続けてきた本音なのだ。

前にも話をしたと思うが、バンコクから中国に来た時には、既に「WASABI大連店」はOPENしていたが、昼も夜もお客さんがゼロという状況だった。

店の立地場所も最悪だったが、それ以上に驚いたのは、中国人の調理スタッフの対応だった。

最初に大連店の調理場に入った時には、当時の日本人料理長と料理長の通訳を兼ねて、中国料理は作れるスタッフの2人だけは白衣を着ていたが、その他の5~6人の調理スタッフはTシャツにジーンズで、何と調理場の中で平気でタバコを吸っているではないか。
また、調理場の床にまるで外を歩いているかのようにぺッと「痰」をはき捨てるヤツもいる。

中国人の衛生観念については「食品加工」で何度も中国の食品工場に来ていたので、おおよそは分かっていたが、さすがに食品工場の加工場内でタバコを吸う人は居なかったし、今まで行った工場は日本向けの商品を作っている工場が多かったので、ちゃんと教育もされていたのだろう。

とにかく、日本人と中国人は衛生観念がまったく違うのだ。

中国料理は生で食べる料理が少なく、火を通して食べるのだからと言っても、調理場で料理を作る前に手を洗うヤツもいないし、トイレに行って「大きい方」の用を足してきても誰も手を洗わない。

人の見ている前で鼻をほじることにも、恥ずかしいという考えはまったく無いようだ。

女性スタッフは、Tシャツの脇のところから、「脇毛」がモジャモジャとはみ出ていても平気で、ズボンからはみ出て見える赤いパンツは、もう3日以上も履き替えてないのだろう。

そして、これも前にも書いたが、調理場で大きな声を出して怒ったりすると、面子を潰されたと思うのか「逆ギレ」して襲ってくるバカもいる。

また、調理場では腕時計を外すように何度も言っても絶対に言う事を聞かなかった調理スタッフもいた。

そういう状況から、今のように安心して「寿司」や「刺身」を出せるようにするのは、調理スタッフ1人1人に根気よく付きあっていくしか他に道はないのだ。

実は昨夜は、とても嬉しい光景を目にした。

昨日も夜は大雨でお客様が少なかったのだが、5号店に顔を出すと調理スタッフ皆で大掃除をしているではないか。

このように店が暇な日には、他の店でも同じように皆で大掃除をしている。

皆が自発的に掃除をするようになるまで、とにかく自分で率先して、毎日、毎日、掃除をすることを辞めなかった結果がこのようになったのだと今では自信を持って言える。

最初の頃は、こっちが掃除をしていても、誰ひとり手伝うヤツはいなかった。

中には、掃除をするように言うと『あんたはたくさん給料をもらっているのだから、あんたが掃除をしたら』と平気な顔で言うヤツもいた。

しかし、諦めずに続けて行くことで掃除が習慣になっていくものだ。

手を洗うのも同じで、そういう習慣のなかった人でも、毎日、毎日、続けることで次第に習慣になっていく。

それでも、気になることは幾つもある。

たとえば、今、肉を切ったまな板で、平気で刺身を切ったりすることだ。

そこで、うちの店ではどこも、調理場と寿司カウンターは離してあり、寿司カウンターでしか「生魚」は切らないし、ここに豚肉や牛肉や、肉があることもありえない。

また、「ふきん」も肉用、魚用と色分けして使っている。

『料理長の仕事は食中毒を出さないことです。』

これは、5年間、毎日、毎日考えている本音なのだ。ここは日本ではなく、中国なのだから・・・

さて、また話が長くなってしまったので、「寿司の握り方」の話は次回にしよう。


もしよろしかったらココをクリックお願いします。
     ↓
人気ブログランキングへ


















中国の寿司事情について(1)シャリに空気を入れて握る。

2011年08月26日 | 寿司・お造り
いつも<kyohey>さんからコメントを送ってもらっているが本当にありがとう。

きっと、飲食店か料理の仕事に関わっている方ではないかと察するが料理は勉強すればするほど楽しくなってくる。

このブログが料理を勉強する人達に少しでも役に立つならば、とっても嬉しいしやりがいもある。

さて、今回は下記のコメントを送ってもらった。
       ↓
コメント

石焼ビビンバ、おいしそうですねー。

最近中国では、色んな日本の料理
が食べられる様になってきてると思うんですが
ベーシックに戻り、寿司に関しては
中国では未だに人気がありますか?

世界の寿司事情も大分変ってきたと聞きます。
中国の寿司事情で面白い話があれば
是非聞かせて頂きたいです。


さて、中国の寿司事情に付いてだが、中国では未だに「生の魚は食べられない」という人が多く、今から20年以上も前のアメリカのような状況だと思う。

今では、アメリカに行けば普通のスーパーマーケットでも「SUSHI」が売られているが、以前は魚を生で食べる習慣がなく、寿司を食べている人は、まるで「エイリアン」を見るように不思議がられていた。

寿司が世界中に広まったのは1980年代頃にニューヨークで流行した「カリフォルニアロール」の影響が大きいだろう。

アボカド、カニカマ等を生魚の替わりに使用し、「マヨネーズ」味のロール寿司だが、これが今まで寿司を食べたことのなかった人達に寿司の美味しさを伝え、また、ヘルシーな料理として認知されて行くことになった。

中国人はどういう訳か、サーモンの刺身と赤貝、アワビ、ミル貝の刺身は大好きなようで、大きな中華料理店では、これらの刺身をメニューに載せている店も多い。

ただし、「わさび」は日本のわさびより2倍~3倍も辛い物を使用するので、うかつに食べてしまうと辛さで涙が止まらず、恥ずかしい思いをすることになる。

北京に「HATSUNE」という米国系華僑が経営する創作日本料理があるが、20種類以上もある「ロール寿司」と中国人の好きな「サーモン刺身」などをメインに、行列のできる繁盛店となっている。

この店は北京の「Best Japanese Restaurant」にも選ばれているが、天ぷらを揚げた後の「天かす」をロール寿司の表面にビッチリとまぶしたものや、めちゃくちゃ辛いロール寿司等は、もはや食べ物とは言えないと思う。

また、上海には「板長寿司」という香港で寿司店をチェーン展開する企業の店が現在2店舗あるが、けっこう流行っている。

香港では「板前寿司」という店名らしいが、この企業は築地市場の初競りで4年連続 最高値でマグロを落札したことでも有名だ。

寿司だけではなく「うどん」も目玉商品らしく「板長寿司/自家うどん」という店名になっている。

ただし、どちらも店もアルバイトらしき料理スタッフが、透明なビニール手袋をつけて寿司を握っていて、寿司を握っているというより、小さな「おにぎり」を握って、その上に寿司ネタを乗せているという表現がピッたりだろう。

「わさび」は卓上の入れ物に入っていて、小皿に醤油を入れて自分で醤油とワサビを混ぜて、そこに寿司を付けて食べるスタイルだ。

お茶の湯のみには、よく日本の回転寿司にある「お茶のパック」が入っているが、回転寿司ではないのだから、どうしたものだろうと思ったりしてしまう。

この2店の共通点は、店の雰囲気が明るく清潔な感じで内装にとてもお金を掛けている「カジュアルレストラン」といったところだろう。

カップルがデートに使う場合にも、家族で一緒の誕生会にも、ちょっと「はれの日」気分には使い勝手の良い店だ。

出された寿司を、「寿司」と呼べるか?どうかは別としてたくさんのお客さんが来て流行っているということは素晴らしいことだと思う。

うちの店にも「トンカツロール」等の創作ロール寿司があるが、写真が無いので店で写真を撮ってからブログにアップしたいと思うので暫く待っていて欲しい。

それと、握り寿司だが、うちの店では「シャリに空気を入れて握る」よう教えている。

本当に旨い寿司とは「手でつまんで口に入れるとフヮ~っと口の中でほぐれる寿司」だ。

「手に持っては崩れず、食べてほぐれる」寿司が一番の寿司だろう。

その為に寿司スタッフ達には、まず、シャリだけを空気を入れて握るよう練習させている。

店のスタッフ(新人)が練習で握った寿司玉。まだまだ形が揃っていない。
(ベテランの寿司職人になると、1個ずつの「シャリ玉」の米の数さえ同じだという。)

練習の為にシャリ玉を毎日、毎日つくるという単純作業は中国人にとっては辛いようで、直ぐにカッコよく寿司を握るパフォーマンスを始めるが、何事も基本をしかっり覚えることでしか前には進めない。

さて、前回は「石焼きビビンバ」の話をしたが、「コチュジャン」の作り方の説明を忘れてしまった。

次回は「コチュジャン」の作り方についての話をしよう。


もしよろしかったらココをクリックお願いします。
     ↓
人気ブログランキングへ















握り寿司1貫は1個か2個か?

2011年06月29日 | 寿司・お造り
昨日の夜のことだが、虹橋1号店で日本人のお客様から握り寿司1貫は2個ではないかと質問があった。

うちの店では握り寿司は1貫とは表示せずメニューには1個、2個と、個数での表示を心がけているだが、通常は1個ずつお出ししている。

以前、握り寿司1貫とは1個なのか2個なのかを調べてみたことがあるので今日はその話をしよう。

そもそも、なぜ、1貫と言うのか、「かん」の語源は諸説あって定かではないようで、海苔巻きや棒寿司などの巻寿司1つを「1巻」と数えたことからという説もあるし、重さの単位「貫」から転じたという説などがある。

しかし、1貫=3.75㎏にもなってしまって、こんなに大きな握り寿司はありえないだろう。

そこで、江戸前寿司について文献を調べてみた。

江戸時代、当時流通していた穴のあいた銭96枚を銭さしに通してまとめると100文(銭さし百文、通し百文)として通用し、これを10個まとめて輪にした960文が1貫(銭さし一貫、通し一貫、1000文)として通用していた。江戸年鑑によると、この通し100文の重量が360gであり、当時一般的だった鮨とほぼ同じ重量であった事から、当該鮨を景気付けて「一貫鮨」と呼んでいたとされる。その際の鮨は現代の押し寿司の様なものであり、鮮魚の保存技術に乏しい時代でもあったため、大変贅沢な縁起物と考えられていた。また、それは寿司飯の上に9種類あまりのネタを載せた大きな食べ物であったと伝えられている。

文献(守貞漫稿 - 1853)によれば、文政年間(1818-1830)に、その一貫鮨を江戸両国の華屋与兵衛が、より気軽に、各々が好きな部分(好きなネタ)だけを食べられるようにとネタ1種類と、それに対応する寿司飯の分量(文献によると40g×9個)に分けて出し、支持を得たとされる。当時一般的となったこの分量を、一貫鮨にあやかり、貫という助数詞を付加して寿司の分量単位における「1貫」であると定め、多くの寿司職人や消費者の合意を得て確定していった。

それにしても、江戸時代の握り寿司は1個40gもあって、おにぎりのような大きさである。
現代の握り寿司は約20g位で、せいぜい大きくても25gだろう。

握り寿司の数え方が「貫」であることは分かったが、なぜ、2貫ずつになったのか?理由はこの寿司の大きさにあるようだ。

もともと、江戸時代の寿司とは大工や左官ら力仕事の職人の食べ物だったようで、ネタも大きくておにぎりのような食べ物だったのが、一口では食べにくいので、包丁で二つに切って出したのが、その後、すしが小さくなった後でも、二つづつ出すということになった。

それと、握り寿司1個はもともと40gとして、これを2つにすると握り寿司1個は、半貫ということになってしまう。
しかし、昭和の時代にネタの大きさを売りにするお寿司屋さんがあり、そういう店では握り寿司1個を1貫として出していて、それが誤って真似され、1個を1貫として、お寿司を出す店が増えていったので、いつのまにかそれが定着してしまい、今では、握り寿司1貫が1個で通るようになってしまったという。

また、1貫という呼び方は、握りの中に職人が、1貫目に相当する気持ちを込めて握ったものであるから1貫という意味には、店によっては2個を1貫と表現する店もあるようだ。

今では、握り寿司1貫を1個とする店が多いようだが、本来40gの握り寿司を1貫としていたのならば、これを2つに分けても、1貫とするのが正しいのかも知れない。

さて、今日は上海 虹橋店の看板商品の「花ちらし」を紹介しよう。

和さ美 名代 花ちらし

この料理は、マグロ、カンパチ、玉子焼き、ホタテなどを約1cm各のダイスに切って、イクラを上から散りばめたちらし寿司だが、必ず蓋をしてお客様に出している。

蓋を開けると、ちょうど宝石箱を開けたように食材達がキラキラと輝き女性のお客様にも喜んでもらっている。
いといろな魚の味のハーモニーと、プチっとはじけるイクラの食感もたのしい商品だと思う。









ロール寿司を紹介しよう。

2008年03月30日 | 寿司・お造り
今回は店のロール寿司を紹介しよう。(写真をクリックすると拡大)

中国人も最近は、サーモンの刺身や赤貝などを刺身で食べるようになり、中華料理店でも高級な店には、ほとんど、これらの刺身が置いてあるが、魚を生で食べることに抵抗を感じている中国人も、まだまだたくさん居る。

しかし、海外の文化を取り入れることに抵抗がなく、また、流行に敏感な中国人の若者が寿司が気軽に食べられるようになれば飛びつき、あっという間に寿司ブームが起こるのではないかと思う。

うちの店のロール寿司は、こういう事情もあり、生魚を使ったものより、加熱をした物を巻いた物が多い。

もともと、日本人も中国人もお米を主食としているので、ごはんと一緒に食べて美味しい物なら、何でもロール寿司に合うだろう。

幾つか、簡単に作り方を説明しよう。

①カリフォルニアクランチロール
 海老天ぷら 3本、かにかま 2本、マヨネーズ
 サニーレタス、貝割れ、キューリ、アボガド、
 裏巻きでとびっ子
 上からマヨネーズを細くかける。

②とんかつロール
 トンカツ、キャベツ、からし、トンカツソース、貝割れ
 裏巻きで、白ゴマ
 皿にもトンカツソースを盛る。レモンを添える。

③海老フライロール
 エビフライ2本~3本、キャベツ、からし、タルタルソース
 裏巻きで、黒ゴマ
 皿にもトンカツソースを盛る。レモンを添える。

④カキフライロール
 カキフライ3個~4個、キャベツ、からし、タルタルソース
 裏巻きで白ゴマ
 皿にもトンカツソースを盛る。レモンを添える。

⑤スパイシーツナロール
 マグロの赤身を1cm角に切る。キューリ細切り
 マヨネーズ+豆板醤+ゴマ油+玉葱みじん切り+松の実+とびっこ
 裏巻きで白ゴマ
 皿にも同じソースを盛る。

⑥ドラゴンロール
 たまご、キューリ、たくわんの細切り、アボガドを入れてマヨネーズを
 掛けて最初に細巻きを作る
 ラップにシャリを敷き、細巻きを中心に巻き、外側にウナギの蒲焼を巻く
 蒲焼のタレを塗る。

⑦サーモンスキンロール
 焼き鮭の皮、焼き鮭のほぐし身、キューリ2本
 まず、鮭の皮をゴマ油を塗って、パリパリに焼く。身も一緒に焼いてほぐす。
 マヨネーズと鮭を合える。レモンを添える。
 裏巻きで黒ゴマ

⑧イタリアンロール
 ボイル海老3本、にんじん細切り、キューリ細切り、玉葱細切りを並べて
 マヨネーズを掛ける。
 裏巻きで、外側に生ハムを巻く。レモンを添える。
 上からマヨネーズを細くかける。

⑨フィラデルフィアロール
 アボガド、玉子焼、玉葱、ケッパー、クリームチーズ、貝割れ、マヨネーズ
 裏巻きで、外側にスモークサーモンを巻く。レモンを添える。
 上からマヨネーズを細くかける。

⑩フライドチキンロール
 鶏の唐揚、サニーレタス、玉葱の細切り、スイートチリソース
 裏巻きで白ゴマ。レモンを添える。
 皿にスイートチリソースを盛る。

⑪ダイナマイトツナロール
 まぐろ赤身を1cm角に切る。
 キムチ+ゴマ油+醤油を少々+松の身をマグロと合える。刻みネギを加える。
 裏巻きで白ごま
 キムチの素(ソース)を皿に盛る。

⑫海鮮おぼろ昆布ロール
 ひらめ(白身ならなんでも良い)、ホタテ、にんじん細切り、キューリ細切り。
 山芋、わさびマヨネーズ(わさび+マヨネーズ)
 裏巻きで外側におぼろ昆布を巻く。
 皿に盛り、わさびマヨネーズを細く掛ける。 レモンを添える。

⑬ハムカツロール
 細いハムカツ2枚~3枚。キャベツ、からし、トンカツソース、貝割れ、
 スライスチーズは後から一緒に巻く。
 裏巻きで、白ゴマ
 皿にトンカツソースを盛る。レモンを添える。

⑭フライドフィッシュロール
 魚のフライ、サニーレタス、レタス、からし、タルタルソース。
 裏巻きで白ごま。レモンを添える。
 皿にトンカツソースを盛る。

⑮ツナマヨロール
 ツナ缶詰、コーンをマヨネーズで合える。サニーレタスを敷いて上に乗せる。
 裏巻きで外側は薄焼き玉子。 レモンを添える。
 上からマヨネーズを細くかける。

⑯ソーセージロール
 ソーセージフライ2本、サニーレタス、レタス、タルタルソース、粒からし。
 裏巻きで黒ゴマ。レモンを添える。
 皿にトンカツソースを盛る。

⑰キングクラブロール
 たらば足の身の天ぷら1本(半分に切る)
 サニーレタス、レタス、わさびマヨネーズ。
 裏巻きで、外側は薄焼き玉子。
 上からわさびマヨネーズを細くかける。


先日、3月26日は筆者の誕生日だったのだが、店のスタッフ全員で料理を作って祝ってくれた。
もう、誕生日などは要らないと思う歳になったが、とても嬉しかった。

店の常連さんや、食材業者や、店の料理を仕出ししているクラブのママさん等からたくさんの花が届いた。

たぶん、店のスタッフが連絡をして手配してくれたものだろう。


今から約1年半程前にこの店に来た時には、料理が出来る中国人スタッフは居ないし、ホールも日本語のまったく分からない学生みたいな若いスタッフばかりで、これからどうしようか?と途方に暮れたが、やっとなんとかなってきたなという感じがする。

もしかしたら、自分も中国が好きになってきているのだろう。

今までずいぶん怒鳴ったりもしたが、中国人はこちらが心を開いて真剣に取り組めばちゃんと分かってくれるし、信頼関係も生まれる。

今月は、また店の売上げの新記録が出そうだが、良いスタッフが育たなければ店の発展も無いだろう。

自分でも忘れていた今年の誕生日は、家族とも言える中国人スタッフに囲まれ本当に嬉しかった。。。