マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

ムラサキイガイ(ムール貝)をバター蒸しにしてみよう。

2013年02月21日 | 魚やす UO-YASU のまかない料理
中国での5年の生活に終止符を打ち、バンコクに戻ってきて早くも1年以上経つが、バンコクに住んでいてとても感心することがある。

それは、朝の8時と夕方の6時になるとテレビの画面が変わりタイの国歌が流れることだ。

テレビだけではなく、駅のホームや広場などでもスピーカーから国歌が流れる。

するとどうだろう、すべての人が足を止めて直立不動の姿勢で国歌を聴いている。

そして何人かは自分でも国歌を口ずさんでいる。

下のURLをコピぺして見てもらいたい。

http://www.youtube.com/watch?v=IU5uWqnK3E4

http://www.youtube.com/watch?v=bvotwDzJEvM

ちょっと内容が難しいのだが、この歌を翻訳すると下記のようになる。

タイ国は、タイ国民の血と肉を結集して出来ている。

タイの国土はタイ国民すべてのもの。

タイ国民は平和を愛し調和を大切にする。
    
たとえ戦いとなっても勇猛果敢に戦い決して恐れない。

いかなるものにも侵略はさせない。
    
そのためには、国民すべての最後の血の一滴までも捧げる。
    
わがタイ国に永遠の栄光あれ、万歳!


このように、毎日、毎日、朝の8時と夕方の6時に国歌が流れる国というのはタイ以外に他にはないと思う。

それも嫌々そうしているのではなく、タイ人は本当に国王と国家に敬意を表しているのだと思う。

日本にも「君が代」という国歌があり、オリンピックで金メダルを取った選手が表彰台でメダルを受け取る時に流れる日本の国歌に胸がジ~ンとなる人も多いと思う。

しかし、日本では学校の卒業式に国歌を歌わない生徒が多いと聞く。それに国歌が流れても起立もしないという。

そして、それは何と先生が歌わないように生徒に指導をしているのだそうだ。

なんと悲しいことだろう。自分の国の国歌を歌えないなんて。。。

タイ人はとてもおおらかで自由な国民だが、タイという国を愛し王様をとても尊敬している。

日本も国歌を胸を張って歌えるような国になって欲しいと思う。

さて、今回の料理だが前回に引き続き「ムラサキイガイ」(ムール貝)を使った料理を作ってみよう。

とても簡単にできて、少し加える醤油と焦がしバターに貝のエキスが凝縮した味はワインにも合うし、日本酒との相性もピッタリだ。

とても簡単にできるので、ぜひ、実際に作って食べてみて欲しい。

◆ムラサキイガイ(ムール貝)のバター蒸しの作り方。

<用意する物>

写真手前の左から「ムラサキイガイ」(ムール貝)500g、「ニンニクのみじん切り」小さじ1、写真奥の左から「バター」10g、「万能ネギ」1束、「醤油」小さじ1、「酒」大さじ1、シメジ1/2パック。

<作り方>

①万能ネギを3㎝幅に切る。


②シメジの石づきを切り取る。


③フライパンを中火に掛けバター10gを入れて溶かす。


④ニンニクのみじん切りを小さじ1加える。


⑤ムラサキイガイ(ムール貝)を加える。


⑥酒を大さじ1加える。


⑦醤油を小さじ1加える。


⑧蓋をしてから火力を強火にして1分程蒸す。


⑨強火のまま蓋を取ってシメジを加えてさっと炒める。


⑩強火のままネギも加えて全体を混ぜ合わせる。


⑪皿に盛って出来上がり。


この料理は、あらかじめ材料の下処理をしておいて、さっと蒸し焼きにするのがポイントだ。

酒と醤油を加えたらフライパンに蓋をしてから火力を強火にして蒸すことによって、貝がいっせいに開くようにし、後からシメジと万能ネギを加えたら貝のエキスを凝縮させるように強火でさっと炒めよう。

貝は長時間火を通すと固くなり、またシメジも火を通し過ぎるとべシャっとした食感になってしまう。

尚、この貝を食べるコツは、まず1個目の貝の中身を食べたら、その貝を使って次の貝の中身を挟むようにして食べると食べやすい。(これはベルギーでムール貝を食べるやり方だ。)

ムラサキイガイ(ムール貝)は価格も安いので、べルギーの「ムール貝のワイン蒸し」のように、バケツ一杯分位を作って豪快に食べるといいと思う。

さて、次回は和食の煮物等、手間(時間)の掛かる「お惣菜」を電子レンジを使って簡単に作る方法について話をしよう。




天使の都バンコクで日本の「かきおこ」風のお好み焼きを作ってみよう。

2013年02月18日 | 魚やす UO-YASU のまかない料理
今日のバンコクはとても暑くて、お店のエアコンが悲鳴を上げるような状況だが、いよいよこれからバンコクはもっと暑くなっていくのだろう。

さて、先日、(A)さんよりコメントをいただき、「牛タンのインジェクション」について詳しく知りたいとのことだが、「インジェクションビーフ」に付いては、ブログ内に詳しく書いてあるので、探してもらいたいと思う。

下記の写真のように、「ピックルインジェクター」とう、注射針が100本程付いている機械を使用して、水と脂を乳化した「エマルジョン」を注射するのが「インジェクションビーフ」という商品で、日本でも価格の安いステーキチェーン店の牛肉はほとんどこの「インジェクションビーフ」と言っていいだろう。



「牛タン」へ「インジェクション」をする場合には皮が堅く、針が刺さらないので事前に牛タンの皮を剥いておくのがポイントだ。

もっと詳しく知りたいのなら、お手数だがバンコクに来ていただければと思う。

このインジェクションビーフだが、粗悪品も多いが、良い材料を使用し牛脂100%をインジェクションすることによって、価値の低い赤身肉をとても美味しく食べることができる。

よく、「いんちき」な商品と勘違いされるが、これからは世界中で食べ物の奪い合いになる中で、日本で開発された画期的な方法であると思う。

この「インジェクション」の話を続けるとまた話が長くなってしまうので、今回は「かきおこ」という岡山県のお好み焼きの話をしよう。

この「かきおこ」は岡山県、備前市日生町の名物だが、とにかく獲れたての「たっぶりの牡蠣」と「キャベツ」と「ネギ」だけというとてもシンプルなお好み焼きだ。

今回は牡蠣の代わりに「ムラサキイガイ」で代用するが、水分が多い場合には生地と混ぜる前にさっと、フライパンで炒めておくといいだろう。

また、ふっくらした生地が好きならば、生地に生卵を1個加えるといいだろう。

それでは早速作ってみよう。

◆「かきおこ」風のお好み焼きの作り方。

<用意する物>


写真手前の左から「万能ネギ」50g、「かつを出汁」200ml、「小麦粉」カップ1(100ml)、「ベーキングパウダー」小さじ1、写真中央の左から「ムラサキイガイの剥き身」300g、「キャベツ」小の1/2、
写真奥の左から、「お好み焼きのソース」適量、「マヨネース」適量。

<作り方>
①キャベツを太目の千切りにする。


②ボウルに小麦粉を入れる。


③かつを出汁を少量ずつ加えながらかき混ぜる。


④ベーキングパウダーを加える。


⑤よくかき混ぜる。


⑥キャベツを加える。


⑦貝(ムラサキイガイ)を加える。


⑧万能ネギの小口切りを加える。


⑨具材全体を混ぜ合わせる。


⑩フライパンを弱火に掛けて、サラダ油少量(小さじ1)を敷く。


⑪生地を流し入れる。


⑫蓋をして蒸し焼きにする。


⑬両面をこんがり焼く。


⑭ふっくらと焼き上がったら皿に盛る。


⑮お好み焼きのソースを掛ける。


⑯マヨネーズを掛ける。


⑰お好みで「花かつお」を上から散らして出来上がり。


今回は牡蠣の代わりに「ムラサキイガイ」を使ってみたが、やはり「牡蠣」には適わないかな?という感じを受けた。

次回も「ムラサキイガイ」を使って、「ムラサキイガイ」をもっと美味しく食べられる料理を作ってみようと思う。。。








天使の都バンコクのお好み焼き「ホイトート」にはビンロウを入れるの?

2013年02月16日 | 魚やす UO-YASU のまかない料理
今年も早くも2月の中旬になったが、「魚やす」2号店を出店する話があり、物件の下見や実際にお店を作る場合の厨房のレイアウトの作成などに追われて、ここのところブログの更新がなかなかできなかったが、このブログにちょくちょく立ち寄ってくれている方々には大変申し訳ないと思う。
さて、昨日は「エラワンの祠」に行ってきたのだが、セントラルデパートの前のクリスマスツリーはさすがに撤去されて、春の訪れを感じさせるような景色になっていた。



東京では3月の後半には桜が満開になると思うが、やはり日本の桜は世界で一番美しいと思う。

さて、タイの国のことを「微笑みの国」と言うことが多いが、バンコクの正式名称は下記のようにとても長い。

“กรุงเทพมหานคร บวรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยามหาดิลก ภพนพรัตน์ ราชธานีบุรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์ มหาสถาน อมรพิมาน อวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์

(クルンテープ・プラマハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット)と言い、世界中で一番長い都市名だそうだ。

この長い都市名の意味は、“天使の都、偉大なる都城、帝釈天の不壊(ふえ)の宝玉(エメラルド)、帝釈天の戦争なき平和な、偉大にして最高の土地、九種の宝玉の如き、心楽しき王都、数々の大王宮に富み、神が権化して(国王のこと)住みたまう、帝釈天が建築天ヴィシュヌカルマをして作らせたまいし”ということだが、どうやらラマ一世の詩がそのまま都市名になってしまったようだ。
 
今回の料理は「ホイトート」というタイの庶民が好んで食べる「貝のお好み焼」を作ってみるが、「天使の都」バンコクのお好み焼きと日本のお好み焼きはどう違うのかを比べてみるのも面白いと思う。

このお好み焼きには具材として、牡蠣や「ムラサキイガイ」(カラス貝)などを使うが、今回はタイの屋台等でもおなじみの「ムラサキイガイ」を使ってみることにしよう。

ヨーロッパのムール貝よりも小ぶりだが、価格も安いのでもし実際に作ってみて気に入ったら「おやつ」代わりにいつでも気軽に作れるだろう。

◆タイのお好み焼き「ホイトート」の作り方。

<用意する物>


写真手前の左から「もやし」一握り分、「万能ネギ」2束、「パクチー」2束、タイの「お好み焼きの粉」200g。「キンマーク」(キンマ)とも言う、大さじ1/2、「ベーキングパウダー」小さじ1。写真中央の左から「ムラサキイガイの剥き実」300g、「コショー」少々、「シーズ二ングソース」小さじ1、「梅ソース」大さじ1。写真奥の左から「酢」大さじ1/2、「ナンプラー」大さじ1、「スイートチリソース」大さじ2、「ホットチリソース」大さじ4。写真には無いが卵黄1個分。

<作り方>ソースを作る。

①ボウル等に「ホットチリソース」を大さじ4入れる。


②「スイートチリソース」を大さじ2加える。


③「梅ソース」を大さじ1加える。


④よくかき混ぜる。


<作り方>生地を作る。

①水200mlに「キンマーク」を大さじ1/2加える。


②ホイッパー等を使ってよく溶かす。


③ボウルに「お好み焼きの粉」を1カップ入れる。


④「ベーキングパウダー」を小さじ1加える。


⑤キンマークを溶かした水(200ml)を少しずつ加えて混ぜる。


⑥卵黄1個分を加える。


⑦よく混ぜる。


⑧シーズ二ングソースを小さじ1加える。


⑨「ムラサキイガイ」150gを加える。


⑩全体をよく混ぜ合わせる。


<作り方>パクチーと万能ネギを切る。

①万能ネギを小口切りする。


②パクチーを1㎝幅に切る。


<作り方>本調理

①フライパンを中火に掛けサラダ油を大さじ1敷く。


②生地を流し入れそのまま両面をじっくり焼く。


③別のフライパンを中火に掛けサラダ油を大さじ1敷く。


④「もやし」を加える。


⑤「酢」を大さじ1/2加える。


⑥「シーズ二ングソース」を小さじ1加える


⑦「塩」を少し振る。


⑧「コショー」を少し振る。


⑨炒めた「もやし」を皿に盛る。


⑩焼いた生地を乗せる。


⑪パクチーと万能ネギをを上から散らす。


⑫ソースを添えて出来上がり。


さて、この料理は生地の中に「キンマーク」(キンマとも呼ぶ)を少量加えるが、「キンマーク」とは「ビンロウ」(檳榔)という常緑樹の植物で、この樹の実に石灰をまぜたものを台湾ではビンランと発音し、ガムのように噛んで使用するのだが、今では台湾全土で煙草と並ぶ嗜好品として普及している。

この「ビンロウ」という植物には覚醒作用があり、興奮状態になったり精力増強強剤的な効能もあると言われており、長距離トラックやタクシーなどのドライバーの眠気さましとしても使われているようだ。

ただし、この「ビンロウ」を噛んでいると唾液が赤く変化し、それを口から吐き出すとまるで血を吐き捨てているようで異様な感じを受ける。

タイではこの「ビンロウ」は「キンマーク」(キンマ)と呼ばれ、キンマを噛む風習は、現在でもタイの農村部、山岳民族の間で残っていて、特にお年寄り(おばばちゃん)が好んでキンマを噛むようだが、昔のタイでは「歯が黒いほど美人」と考えられていたようで、その影響もあるのかも知れない。

さて、そのキンマだが、なぜ、「お好み焼きの生地」に入れるのかがどうしても分からないので、いろいろなタイ人に聞いてみたところ、どうやら生地をパリッと焼く為に入れるらしいが化学的な根拠はなく、昔からそのように伝えられているようだ。

「ビンロウ」=「キンマ」に付いては、発ガン性物質が含まれていて「口内がん」との関連性も指摘されているので、なるべくなら使用しない方が良いかも知れない。

さて、今回、タイのお好み焼きを作ったが、次回は「ムラサキイガイ」を使って日本のお好み焼きを作ってみたいと思う。

日本の岡山県は広島、宮城に続く牡蠣の水揚げが全国で3位だが、その岡山県の日生の名物に「牡蠣」をたっぷり使った「かきおこ」(牡蠣のお好み焼き)がある。

お好み焼きの生地には、これでもかと思う程の牡蠣と太目に切ったキャベツを加えて焼くというシンプルな料理だが、牡蠣の旨みを存分に味わえる大阪風とも広島風とも違うお好み焼きだ。

次回は「ムラサキイガイ」を使って、この日生の「かきおこ」風のお好み焼きを作ってみよう。