マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

寒い時には、鍋で体の芯から温まろう。

2008年03月17日 | お玉で出汁を覚えよう
日本はだいぶ暖かくなってきたようだが、大連では春はもう少し先なのか、まだ暖房が無いと寒くて部屋に居れないような状況だ。

うちの店でも、寒い日には鍋が良く出ている。
しゃぶしゃぶ、すき焼きの他に、活きた魚介類をふんだんに使用した「やん衆鍋」という鍋もあり種類も多いのだが、隠れたヒット商品が今回紹介する「たらば鍋のチゲ風」だ。(写真をクリックすると拡大)

作り方はとても簡単なので、作って食べてみてはどうだろう。

ちょっと贅沢にタラバ蟹を使えば、心も体もポカポカに温まる。



【たらば鍋チゲ風】

材料:
たらば蟹(できればボイルではなく生)250g
白菜                    4~5枚
木綿豆腐                 1/2丁
長ネギ                   1/2本
椎茸                    2枚
えのき茸                  1束
春菊                    1/2束
うどん                    1玉

スープ:
チキンスープ                1.5リットル
味噌                     お玉1
キムチの素                 お玉1
砂糖                     お玉1/2
醤油                     少々

さて、作り方はいたって簡単だ。
野菜は普通の鍋に使う時のように切り揃えよう。
チキンスープ(お湯に顆粒の中華スープの素で十分)に、味噌を加えて薄めの味噌汁を作り、そこにキムチの素と砂糖と醤油をほんの少し加えるだけだ。

後は、たらば蟹をスープに入れたら、火の通リ難い野菜から順番に入れて行き、熱々を食べよう。

たらば蟹はできたら生を使おう。ボイルタラバより生タラバの方が出汁がよく出る。

こってりした味が好きなら、白菜を多めのゴマ油で炒めてから、鍋に入れると良いだろう。白菜キムチを入れても構わないが、生の白菜を使った方が食感が良い。

白菜と蟹はとても相性が良い。白菜の硬い部分を細く切ると食べやすくなる。

この鍋は一度食べたら、必ずやみつきになるだろう。。。






しゃぶしゃぶのタレをつくってみよう

2008年01月07日 | お玉で出汁を覚えよう
大連は日本の秋田県と緯度がほぼ同じで冬はとても寒い。三方を海に囲まれていることもあり、冷たく突き刺さるような風が吹く日もある。しかし、なぜか今年の冬は寒さを感じない。地球温暖化の影響なのかも知れないが、冬は寒い方が冬らしくて良い。以前、タイに2年程暮らしていたことがあるが、常夏というのは脳みそが煮えるような感じがすることがある。
寒い日に食べる鍋物は最高だ。白菜も冬に甘みを増す。ネギもうまい。
大連っ子も鍋が大好きで、街のそこいら中に「火鍋店」(しゃぶしゃぶのお店)があるが、どの店もタレに工夫を凝らしている。美味しくて評判の店を食べ歩くのも冬の大連の楽しみの一つだ。

さて、今日は「しゃぶしゃぶのタレ」のついて説明する。

いつものように、配合は「お玉」が基準だ。今回は「ポン酢」と「ごまダレ」を紹介するが、日持ちがするので一度にたくさん作っておくといいだろう。

まずは「ポン酢」からだ。配合は下記の通リだ。(どれもお玉が基準)

◆ポン酢のタレの配合

酒 ・・・1
みりん・・1
醤油・・・8
果実酢・・5
米酢・・・3
 (合計18)
昆布     15cm角を1枚
削りかつを  大きくひとつかみ(約50g)
レモン 2個

さて、まずは大きめの鍋を用意して中火にし、酒とみりんを入れてアルコールを飛ばす。次に醤油を加えて強火にし沸騰直前に火を止める。十分に冷めてから果実酢と米酢を加え、汚れを拭き取った昆布と削りかつを大きくひとつかみ加える。
それからレモン2個分を絞って加えて一晩寝かせて漉す。

容器に移して3日目以降から使用しよう。寝かせることで柑橘酢の角が取れてまろやかになる。

さて、柑橘酢だが、今の店ではミ○カンの業務用の「ポン酢」を使用している。価格が安いからだ。日本から生の「すだち」等輸入していたとても採算が合わない。ただし、たぶん柑橘酢と言っても本物の果汁は少しだけで、醸造酢に色と香りを付けたものだろう。レモン2個を絞って加えると美味しく仕上がる。

配合をみてもらいたい。醤油と酢が8:8で同量だ。この配合でいろいろな柑橘類を使ってみるのも良いだろう。

配合表の数字を全部足すと18となり、1.8リットルの容器にちょうど収まる。
レモン等も加えるので1.8リットル以上になると思うかも知れないが、その分は削りかつをや昆布が吸い取るので、ちょうど容器にピッタシの分量だ。

次に「ごま酢」を紹介しよう。

◆ごま酢の配合  (同じくどれも「お玉」が基準)

いりごま・・・6(白)
砂糖・・・・・2
酒・・・・・・1
醤油・・・・・2
米酢・・・・・6
みりん・・・・1
   (合計18)

ポイントは、白ごま(いりごま)を根気良く「すり鉢」で当たってやるだけだ。
あとは、砂糖を加えてから酒とみりんでのばし、醤油と酢を加えれば良い。
お店では、ある程度「ごま」が細かくなるまで「フードプロセッサー」で挽いてやり、その後、「すり鉢」で当たっている。珈琲の豆を挽く電動の「コーヒーミル」等もいいだろう。機械を使うことに抵抗がある人がいるかも知れないが、仕上がりにあまり差が無いのならば、時間を有効に使うこともお店の経営にとっては大切なことだと思う。

尚、ちょっと変った食べ方だが、「ごま酢」にラー油を少し入れると格別に旨い。

さすがに店では出さないが、自分の家で食べる時には、「李錦記」のラー油を少し加えている。

信じられないかも知れないが試してみてはどうだろう。。。













  



調味料の入れ物について

2008年01月03日 | お玉で出汁を覚えよう
「お玉で覚える各種出汁」だが、お玉にどうやって調味料を入れるかを話すのを忘れていたので、調理場に行って写真を撮ってきた。

右から、酒、みりん、醤油だ。

写真奥の大きな容器の方は、中国ではお茶やお湯を飲むのに使用するものだが、容器自体が重いので、できればもっと軽い方が使いやすいだろう。日本では「麦茶」などを入れるアクリル製の容器があるが、そういう軽い容器の方がいいだろう。

手前の瓶は「ハインツ」のトマトケチャップの瓶で、蓋の中央に穴を開けて、ひと振りで、小さじ1杯分(約5CC)位が出るようになっている。

お玉に調味料を移す時は大きな容器から。炒め物の味付けや、味の調整には小瓶の方を使うといいだろう。

慣れると、とても使い易いので紹介しておく。



イカをやわらかく煮てみよう

2008年01月03日 | お玉で出汁を覚えよう
これまで、「魚を煮る時の出汁」で「煮魚」と「鶏の照り焼き」と「鴨のロース」煮について説明してきたが、もう、配合はしっかり覚えただろうか?この出汁はいろいろな料理に使用できるので、ぜひ、覚えて欲しい。

さて、今日もこの出汁をつかって、「イカのやわらか煮」の作り方を説明する。

配合は、お玉で、酒3、醤油半分、みりん半分の、砂糖が半分の半分(1/4)だ。
すべての調味料をボールに合わせておこう。

材料のイカだが、できれば「ヤリイカ」の新鮮な物を用意して欲しい。
「真イカ」より甘みがあって断然うまい。

「ヤリイカ」は、まず胴から足を外して、胴の内側の部分を軟骨を取り除きながら綺麗に洗う。足は目玉のところを裏から縦に包丁を入れて目玉を取り除き、墨と一緒に綺麗に洗う。目玉に直接包丁を入れると、目玉の中の墨が勢い良く飛んできて白衣が汚れることがあるから注意だ。

まず、鍋に配合調味料を入れて、中火にしてひと煮立ちしたら、「ヤリイカ」を入れる。

煮る時間は2分程でよい。あまり火を通すと硬くなっておいしくない。

まずは、「ヤリイカ」を取り出し、胴を一口大に輪切りにして皿に盛る。足の方も大きかったら、食べやすいように一口大に切ってやろう。それから、鍋に残った汁を煮詰めて上から掛けてやる。汁はあまりドロっとするまで煮詰めずに、薄い位の方がいいぞ。
さらにイカの上に「刻みゆず」を振ってやれば完成だ。

以前、タイに居た時には、食材会社から「カネクの刻みゆず」を冷凍で入手できたのだが、大連では手に入らないので、これだけは、日本から友人が来る時などに頼んで持ってきてもらっている。

「ゆず」の香りは中国人も好きなようだ。日本人は「香菜」(シャンツァイ)の香りが苦手な人が多いようだが、日本人の好きな「大葉しそ」の香りは中国人は苦手なようだ。

海外の日本料理店では、大型店になると日本人のお客様だけを相手にしていたのでは採算が合わないし、日本人が中国人を接待することもあるだろう。

その国(現地)の人の味覚も知り、料理を少しアレンジすることも必要なことだと思う。。。



鴨のロース煮は蒸らしてロゼに仕上げる

2008年01月02日 | お玉で出汁を覚えよう
昨日の「鶏の照り焼き」に引き続き今日は「鴨のロース煮」をつくってみよう。
合わせ調味料は、酒3、醤油半分、みりん半分、砂糖が半分の半分で同じ配合だ。
あらかじめ、ボールに合わせておこう。

さて、用意するのは「合鴨の胸肉」だ。今は冷凍物も販売されているが、冷凍物を使用する場合には、前もって冷蔵庫に移して中心までしかっり解凍しておこう。

まずは、鴨肉を皮を上にして置き、金串5本位を持って皮の表面にまんべんなく穴を開ける。合鴨は皮と身の部分に油が多いので焼いた時に油が出やすいようにする為だ。その後、皮の表面を布きんで拭きながら皮を伸ばす。「鶏の照り焼き」の時と同じ要領だ。

さて、フライパンを強火で熱して薄く油を敷き、火を弱火にして、皮を下にしてフライパンに貼り付けるように置いて、じっくりと焼いていく。途中、鴨肉から脂がたくさん出てくるので、キッチンペーパーなどで拭き取ってやろう。

皮がキツネ色になったら裏返して、身の方も焼くが「鶏の照り焼き」の時と同じように身の方は少し焼けば良い。身の方を長い時間焼くと硬くなってしまうからだ。

さて、両面を焼いてから、今度は配合調味料を入れて煮ていくが、その前にフライパンに湯を回しかけ、湯を捨てて脂を完全に取り除こう。
手間だが、こうして、余分な脂を取ることで美味しい仕上がりになる。

煮込みに入る。まずは、火を中火にして配合調味料を入れてから、落とし蓋をして10分程煮る。途中でひっくり返して全体に火を通してやろう。
上から箸で押してみて、少し血がにじみ出て弾力があれば7分程火が入っているので火を止めて、そのまま、あと10分程蒸してやればちょうどロゼに仕上がっているはずだ。

鴨肉だけを取り出して薄く切って皿に盛る。フライパンに残った煮汁を煮詰めて上から掛ければ完成だ。「鶏の照り焼き」と同じように上から「粉さんしょう」を振って、溶きがらしを添えよう。

もし、鴨肉を切った時に、鴨肉の両端には火が入っているのに、真ん中の部分に火が入っていなかったら、タレを煮詰める時にフライパンに戻して火を通してやろう。

鴨肉は煮過ぎると硬くなって美味しくないので、少し生の位に仕上げて、火が通っていない部分があれば、タレを煮詰める時に火を入れた方が良いだろう。

何度かつくれば、肉の中の状態は、箸で押してみるだけで分かるようになるだろう。失敗を恐れずに繰り返しつくってみよう。。。










鶏の照り焼きをつくってみよう

2008年01月01日 | お玉で出汁を覚えよう
あけまして おめでとうございます。

いよいよ、2008年のスタートだ。

昨日は店が終わってから、スタッフと忘年会などやったものだから、今日の午前中はちょっとキツかったが、昼飯をいっぱい食べたら回復した。

元旦の今日は、さすがにお客さんが少ないのでないかと思ったが、たくさんのお客さんが来てくれて、感謝、感謝である。

料理店はお客様が来てくれてなんぼ。暇な店は本当につらい。
食材は悪くなるし、従業員は遊んでばかりで、こういった悪循環を起こさせないようにするには、お客様がたくさん来てくれる店にするしかない。

◆繁盛店の条件
1)美味しい料理
2)心のある、気の付くサービス
3)その店しか食べられない特色のある料理と、くつろげる清潔な室内空間

この3つが揃えば、必ず繁盛店になる。

さて、前置きが長くなったので料理の話に入る。

「魚を煮る時の出汁」と同じ配合の出汁で「鶏の照り焼き」をつくる。
配合は覚えているだろうか?お玉で酒3、醤油半分、みりん半分、砂糖が半分の半分つまり1/4だ。まず、ボールにこの配合で調味料を合わせておこう。

鶏肉だが、照り焼きには「モモ肉」を使う。小さい物は煮上がりが硬くなるので、なるべく大きな物を選ぼう。

骨を取り除き正肉にして、筋の硬い部分には包丁を入れて筋切りをする。

皮の方は、布きんで伸ばしながら、水分を綺麗に拭き取ろう。
この時に、皮にシワが寄っていると焼きムラが出るのでしっかり伸ばそう。

さて、フライパンを強火であたため、薄く油を敷き、弱火にして、鶏モモ肉を皮がピッタリとフライパンの表面に付くように、貼り付けるように置く。
あとは、そのまま弱火で焼いていくが、ブロイラーの鶏肉は身と皮の部分に脂が多いので、皮がキツネ色にパリパリになるまでじっくり焼こう。鶏肉から出た脂は、こまめにキッチンペーパー等で拭き取ってやる。

途中、皮の焼け具合を確認してみて、もし、焼けむらが出ていたら、フライパン返しで、色のうすい部分を上から押してやるか、または、その部分だけに砂糖を少し振り掛けて焼けば、直ぐに綺麗なキツネ色になる。

皮側が焼けたら、肉をひっくり返して反対側(身の方)を焼くが、長い時間焼くと硬くなるので少しでよい。

火を中火にして、これから合わせ調味料を入れるが、フライパンに残っている脂を綺麗に拭き取ろう。鶏から出た脂なので美味しいと思うかも知れないが油くどい味になってしまう。ここがポイントだ。

調味料を入れ煮上げて、汁が少なくなったら鶏肉だけを取り出して、食べやすい大きさに切って皿に盛る。あとは、フライパンに残った汁を煮詰めて上から掛けて出来上がりだ。汁の濃さだが、あまりドロッとするまで煮詰めず、少しゆるい位が良いだろう。今の店では、上から「粉さんしょう」を振ってお客さんに出しているが、一味唐辛子でも良いだろう。海外では「鶏の照り焼き」に「ガリ」を一緒に添えると喜ばれるので、大連の店でも同じようにしているが中国人にもウケている。

同じ「鶏の照り焼き」でも、他店とは違う商品としてお客様に出すことで、繁盛店が見えてくる。

さて、次回は「鴨のロース煮」としよう。。。








魚を煮る時の出汁を覚えて欲しい

2007年12月31日 | お玉で出汁を覚えよう
お玉で覚える各種の出汁も「かつを出し」「天丼の出汁」「天つゆ」まできて、今回は「濃い味の煮物の出汁」のつもりだったが、今日は「魚を煮る時の出汁」を教えることにしよう。なぜ気が変わったのかって? 実は今日、大連のうちの店の系列店の中華料理店のコックが「カラスカレイのかぶと煮」を教わりたいと来たのだ。中華の店はこの店の近くなので、よく出前はするのだが、お客さんの評判が良いので自分でつくってみたいとのことだった。

この「魚を煮る時の出汁」だが、魚以外にも「鶏の照り焼き」や「鴨のロース煮」にも使えるのでしっかり覚えて欲しい。

うちの店では写真の「カラスカレイのかぶと煮の他」にも、「アイナメの姿煮」や「サーモンのかぶと煮」や「鯛のあら煮」といった煮魚のメニューがあるが、ほとんどが骨付きだ。

最近では『骨が付いた魚は食べるのがめんどうだ』という人が多いようだが、魚の骨からしみでる旨みが魚の煮物を美味しくすることを忘れないで欲しい。

さて、まずは魚の下処理だが、エラと内臓を取り、よく水洗いする。細かなウロコのある魚はさらに熱湯にくぐらせ冷水に取り、きれいにウロコを取り除く。
厚みのある魚の場合には火が通リやすいように、包丁で1~2箇所の切れめを入れておくといいだろう。

さて、調理に取り掛かることにする。

鍋に「魚を煮る時の出汁」の分量の酒、醤油、みりんを入れる。配合は覚えているだろうか?
お玉で、酒が3、醤油が半分とみりんが半分。それに砂糖が半分の半分で1/4だ。
そこに、ネギの青い部分約3cmに数箇所切れめを入れたものと、生姜のスライスを2枚程入れて上から魚を置く。姿煮の場合には鍋のふちに尻尾が触れていたら、焦げ付いて取れなくなってしまうので、笹の葉やクッキングシートをあてておくとよいだろう。
さて、火を付けて煮始める。出汁は魚の3分の1位の高さまで有るだろうか?もし、出汁がそこまでなければ水を足してやれば良い。
水を足して大丈夫?と思うかも知れないが、最後に煮汁が少なくなった時には、しっかりとした味に詰まっているから水を足しても大丈夫だ。しかし、一度魚を煮始めたら後から絶対に水を足さないこと。ここがポイントだ。なぜなら、後から水を足してしまうと鍋の中の温度が急に下がって、魚の表面のたんぱく質が凝固して、それ以上は旨みが出てこなくなってしまうからだ。
そして、あとは落とし蓋をして中火で煮ていこう。汁が少なくなってきたら、蓋をはずして、汁をまわしかけながら煮詰めれば出来上がりだ。

できれば、「ごぼう」(皮を剥いて5cmに切り、縦に4つ割りにする)を一緒にいれてやる。魚の旨みがしみこんで美味しいし箸休めにもなる。同じように途中で椎茸を一枚入れるのもいいだろう。ただし、椎茸は最初から入れると魚が煮えた頃には小さくなってしまうので、必ず途中から入れて欲しい。

さて、今回は「魚」を煮たが、同じように「鶏の照り焼き」や「鴨のロース煮」を作っても美味しいので、次回、説明しよう。

今、大連のお店の外では、そろそろ、花火が打ち上げられている。あと1時間半程で、2008年のスタートだ。

12月22日から始めたブログで、誰にも話をしていないのに、既に多くの人がこのブログを見てくれているようで、とてもうれしいし、感謝の気持ちでいっぱいだ。

どうか、皆さん良い年をお迎え下さい。。。

謝謝!





天つゆと、天丼のつゆ

2007年12月30日 | お玉で出汁を覚えよう
美味しい「かつを出汁」が引けたところで、いよいよ各種出汁の説明に入る。

先日の配合を思い出して欲しい。
   
下記が、「天丼のつゆ」と「天ぷらのつゆ」の配合だ。

すべて、お玉1杯(100cc)が基準だ。

みりん 醤油  だし
1: 1 : 2 天丼のつゆ(好みで、砂糖を味をみながら加える)
1: 1 : 4  天ぷらのつゆ

まずは、鍋にみりんを入れて火に掛ける。中火ぐらいでいいぞ。しばらくすると、みりんに火が付くから、アルコールを飛ばして、醤油を加える、その後に分量のかつを出汁を入れて、沸騰する直前に火を止める。いたって簡単だ。

さて、「天丼のつゆ」だが、ちょっと塩分が強く、「しょっぱい味」だ。
筆者は東京の浅草生まれなので、「蕎麦」も濃い味の方が好きなので、この配合でちょうど良いが、「しょっぱい」と感じたら、砂糖を少し入れると良いだろう。甘みは増したが味が濃いと思う場合には、さらに酒を少し加えればいいだろう。

「天丼のつゆ」は最初の1回~2回は、はっきり言って美味しくない。

揚げたての「天ぷら」を、温めた天丼のつゆにくぐらせて、丼に盛ったごはんの上に乗せていくのだが、つゆにくぐらした時に旨みがつゆに移るのだ。さらにこれを繰り返していくうちに、だんだんとつゆの味が良くなって、とろみも付いてくる。

お店では、その日につくった「天つゆ」が残ると、「天丼のつゆ」に継ぎ足している。「天つゆ」が残っても次の日には使えないし、捨てるのはもったいない。ただし、醤油とみりんを足して、味の調整をするのを忘れないで欲しい。

◆おいしい天ぷらを揚げる

おいしい天ぷらを揚げるコツだが、衣より、まずは鮮度の良い材料を使用することだ。寿司の場合には、魚を冷たくして食べるが、天ぷらは魚を衣に包んで、揚げるので、鮮度が悪い材料を使うと、食べた時に「プ~ン」と匂いがして寿司の場合より、もっとはっきり材料の良し悪しが分かってしまうのだ。だから、天ぷらに使う魚は、寿司に使う魚より鮮度の良い物を選ぶのが美味しい天ぷらを揚げるには一番重要だ。

さて、衣を作るポイントだが、まず、水をよく冷やすこと。できれば、粉も冷蔵庫に入れておいて、冷やしておくと良い。グルテンを押さえる為だ。

ボール(小さな物)に良く冷えた水をお玉で4杯分位を入れてから、卵を1個割って入れホイッパーでかき混ぜる。次に小麦粉をお玉で3杯半程入れて、ホイッパーで最初は十文字に切るようにする。水と粉が馴染んだら、大きく回しながらかき混ぜるのだが、何度もグルグルとかき混ぜないようにする。少し位ダマが残っていても問題ない。衣の固さはホイッパーを持ち上げてみて、「スー~~」と垂れる位の固さがちょうど良い。衣が固ければ、冷水を足して調節しよう。

さて、衣の準備ができたところで次は油だ。海外で油を調達する場合には、「大豆油」が一番手ごろだと思う。しかし、できたら、「ひまわり油」か「コーン油」を探してみて欲しい。「大豆油」は劣化すると独特の異臭がするし、それを食べると胸焼けする。少々値段が張るが、油は良い物を使おう。

ここからが、調理のポイントだ。まず、天ぷら鍋にたっぷりの油を入れる。よく、少量の油の方がカラッと揚がるという料理人がいるが、決してそんなことはない。
ガス台の火を付け、強火にする。そして、しばらくすると油が動き出す。この油が動き出す温度が約150℃だ。まず、油が動き出すのを確認してから、箸で衣を1滴垂らしてみてほしい。衣は一番下の鍋底まで着いて上がってくるはずだ。この時点ではまだ具材を入れるには早い。ここで、具材に薄く粉をまぶそう。まず、具材の表面の水分を綺麗な布きんでぬぐってやる。そうしないと、打ち粉がまんべんに付かないばかりではなく揚げた時の色が悪い。料理はこういうことを毎回、しっかりできるように習慣づけるのが大切だ。

さて、打ち粉を付けているうちに、すでに油の温度は160度になっている。また箸で衣を一滴落としてみると、鍋底から1cm位までのところまで行って、上がってくるはずだ。まず、火を中火にしよう。
いよいよ、具材を揚げて行く。まずは、火の通りにくい根菜類からだ。さつまいも、ニンジンなど硬い野菜は、火が通リにくいので、仕込みの時に薄く切ったり、ニンジンなどは、縦に包丁で切れ目を入れておくと火が通リやすくなるぞ。

次に、比較的、火が通リやすい椎茸や、茄子などの野菜を入れる。

野菜の次は、海老等の魚介類だ。油の温度はこの時点で既に180度になっているはずだ。ここで、またポイントがある。野菜を鍋の中央に集め、海老は鍋から近いところに真っ直ぐに入れる。なぜなら、鍋に近いところの方が温度が高いからだ。
料理店では、海老の上からさらに衣を落として「花を咲かせる」のだが、この時に温度が低いと、衣が団子状になって重なり、綺麗に花が咲かない。少しでも温度の高いところに海老を入れてやる訳だ。

花を咲かせる衣を落としてからは、なるべく、そのまま触らないようにしよう。せっかく綺麗に海老に咲いた花が、散ってしまうからだ。

2分程すると衣が揚がって、カリっとしてくるので、箸でつまんでみよう。衣が箸にまとわり付くような感じがすれば、まだ揚がっていないし、カリッとした感じがすれば鍋から取り出そう。この感覚は、なんども実践で覚えて欲しい。
尚、具材をたくさん入れた時には、強火にしてやるといいだろう。

さて、補足しておくが「天つゆ」はポットに入れておくと便利だ。
その都度、温めなくても良いし、「天つゆ」は他の料理にも応用できて便利だ。今の店でも「揚げ出し豆腐」や「鶏のみぞれ煮」等、いろいろな料理に、この「天つゆ」をベースに醤油や砂糖を足して使っている。

「天ぷら」は油に慣れてしまえば、それほど難しい料理では無い。

まずは、油の動きをよく見て欲しい。。。













かつを出汁をとる

2007年12月29日 | お玉で出汁を覚えよう
日本料理で欠かせないのが、「かつを出汁」だ。

まずは、「かつを出汁」のとり方を教えよう。

でも、この方法はあくまでも海外の日本料理店用である。

今まで世界中を渡り歩いてきたが、日本の懐石料理のような上品な「かつを出汁」では、外人のお客さんには好まれない。

しっかりと味が無いと、椀物や蒸し物をつくってお客さんに出しても『味が無い』と、お客さんから突っ返されてしまう。

特に中国人がそうで、食にうるさい彼らは、遠慮も何もなく、突っ返してくる。

ただし、日本人も同じで最近は、しっかり味のついた椀が喜ばれるようだ。

さて、まずは「昆布」だが、できたら利尻産の分厚い物を用意する。
といっても、海外で調達する訳だから思うようにはいかないと思うので、幾つか食材会社の物を取り寄せ使ってみるしかない。

次に「かつを」だが、今は「フレッシュパック」に入った、業務用の「削りかつを」が、割合簡単に海外でも入手できるようになったので、これも、幾つかサンプルを取り寄せて使ってみるしかない。なるべく血合いの少ない物を選ぶと良いだろう。「昆布」も「かつを」も、実際に使ってみないと、どの位の時間で味が出るのかは判らないので、とにかく、いろいろな種類を使って比べてみるしかない。

さて、「だし」を引く手順を説明する。

1)昆布を乾いた布きんで、綺麗に拭く。この時に表面に付いている粉はなるべく取らないようにする。この粉は海水が作り出した旨み成分(マンニット)なので、これを取ってしまってはもったいない。昆布は15cm角位にカットすると良いだろう。

2)鍋に水(浄水)を2リットル入れ、火に掛けて昆布を入れる。火は中火位で良い。しばらくすると、鍋のまわりから小さな泡が出てくるので、弱火にする。
それから、約15分間、じっくりと昆布の旨みを引き出す。

3)昆布の旨みが十分に出たら、昆布を取り出して「アク」を取り除く。この「アク」が出るころには、昆布の旨みが十分に出ているはずだ。

4)鍋はそのまま弱火にし、お玉一杯分の差し水をして、「削りかつを」を大きくひとつかみ入れる。美味しいお茶を入れる場合と同じで、沸騰した湯に「削りかつを」を入れると、エグイ味となってしまう。差し水をすることによって、温度を85℃~90℃位にして、ゆっくりと「かつを」の旨みを引き出してやる。約20分間弱火で煮て「かつを」の旨みが十分に出たら布で濾してやる。

この方法で、「かつを出汁」を取ると、「削りかつを」の旨みはすべて出てしまうので、「追いがつを」をして2番出汁は取らない。

この出汁には「昆布」と「かつを」の旨みが十分に引き出されているはずだ。

料理に使う時に、味が濃ければ、水で薄めて使ってやればいいし、逆に味が薄ければ「追いがつを」をしてやればいい。1日に何百人ものお客様を相手にする料理店では、出汁の味が薄ければ、「顆粒の本だし」を少し入れてやるのもいいだろう。お客さんを待たせないのも飲食業では大切なことだと思う。






お玉で出汁を教える(1)

2007年12月29日 | お玉で出汁を覚えよう
さて、いよいよ料理のコツの話しをしよう。

私が海外で直面した大きな問題は、現地人コックにいかに料理を教えるかだ。

料理店というのは、いつでも、同じ味の料理をお客様に提供しなければならない。

こないだは美味しかったけど、今日はまるで美味しくないでは、お客様がリピーターとはなってくれない。

日本料理の基本はまず、美味しい「出汁」を取ることだが、それに、醤油やみりんを加えて、料理に使う出汁を思考錯誤で幾つかつくってみた。

分量は、すべてお玉が基本だ。

みりん  醤油  だし
1 :  1 : 2 天丼のつゆ(好みで、砂糖を味をみながら加える)

1 :  1 : 4  天ぷらのつゆ

1 :  1 : 6  濃い味の煮物のだし

1 :  1 : 8  冷たい蕎麦のつゆ

1 :  1 :10  薄い味で煮含める時のだし(できれば薄口醤油)

1 :  1 :16  温かい蕎麦のつゆ


酒   醤油  みりん
3:  1/2 : 1/2  魚を煮る時のだし(砂糖を1/4加える)

3 : 2 : 3  すき焼きの割り下(砂糖を1/4加える)

まずは、上記の「だし」をしっかり覚えれば、いろいろな料理に使える。

今日のところは、この配合をしっかり頭に記憶して欲しい。

次回は、「だし」(かつお出汁)の取り方について説明する。