[0013] (第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる半導体装置について説明する。本実施形態にかかる半導体装置は、基板厚み方向に電流を流す縦型のIGBTとFWDとが1つの基板に備えられたRC−IGBT構造により構成されている。この半導体装置は、例えば、インバータ、DC/DCコンバータ等の電源回路に使用されるパワースイッチング素子として利用されると好適である。具体的には、本実施形態にかかる半導体装置は、以下のように構成されている。
[0014] 図1に示されるように、半導体装置は、セル領域1と、このセル領域1を囲む外周領域2とを備えている。
[0015] セル領域1は、図1、図2、図3Aおよび図3Bに示されるように、IGBT素子が形成されたIGBT領域1aおよびFWDが形成されたダイオード領域1bが交互に形成されている。また、IGBT領域1aとダイオード領域1bの間に境界領域1cが形成された構成とされている。
[0016] 具体的には、これらIGBT領域1aとダイオード領域1bおよび境界領域1cは、図2、図3Aおよび図3Bに示すように、ドリフト層11として機能するN- 型の半導体基板10に形成されることで1チップで形成されている。IGBT領域1aとダイオード領域1bおよび境界領域1cは、半導体基板10の一面10aの一方向、図1で言えば紙面上下方向に沿って延設されている。そして、IGBT領域1aとダイオード領域1bが延設方向と直交する方向に交互に繰り返し形成され、その間に境界領域1cが形成されている。
[0017] ドリフト層11の上、つまり半導体基板10の一面10a側には、P型のベース層12が形成されている。そして、ベース層12を貫通してドリフト層11に達するように複数個のトレンチ13が形成され、このトレンチ13によってベース層12が複数個に分離されている。
[0018] なお、本実施形態では、複数のトレンチ13は、半導体基板10の一面10aの面方向のうちの一方向、図2で言えば紙面奥行き方向に沿って等間隔に形成されている。また、半導体基板10の一面10aは、ベース層12のうちのドリフト層11と反対側の一面などによって構成されている。
[0019] ベース層12は、IGBT領域1aとダイオード領域1bおよび境界領域1cとでP型不純物濃度が変えられており、IGBT領域1aでは、ダイオード領域1bおよび境界領域1cよりもP型不純物濃度が高くされている。以下、IGBT領域1aに形成されたベース層12を第1ベース層12aといい、ダイオード領域1bおよび境界領域1cに形成されたベース層12を第2ベース層12bという。
[0020] 第1ベース層12aは、チャネル領域として機能しつつ、ボディ領域としても機能する。この第1ベース層12aの表層部には、図2および図3Bに示すように、部分的に、第1ベース層12aよりも深さが浅くされたN+ 型のエミッタ領域14が形成されている。
[0021] エミッタ領域14は、ドリフト層11よりも高不純物濃度で構成され、第1ベース層12a内において終端し、かつ、トレンチ13の側面に接するように形成されている。本実施形態の場合、エミッタ領域14は、各トレンチ13の間において、トレンチ13の長手方向に沿って等間隔に複数個点在させられている。換言すれば、エミッタ領域14は、半導体基板10の一面10aに対する法線方向から見て、複数のトレンチ13の長手方向に対して交差するように、より詳しくは直交するように延設されている。そして、複数のトレンチ13の間に位置する各エミッタ領域14が、隣り合うトレンチ13の両方の側面に接した状態となっている。
[0022] なお、複数のトレンチ13の長手方向に対する垂直方向において、隣り合う各エミッタ領域14を繋げると直線状となっているが、各トレンチ13によって分断されているため、各エミッタ領域14は矩形状となっている。そして、各エミッタ領域14は、トレンチ13の長手方向両端よりも内側に配置された状態となっている。
[0023] また、第1ベース層12aは、エミッタ領域14が形成されていない部分において半導体基板10の一面10a側まで形成されており、この部分が後述する上部電極19とオーミック接触させられる第1コンタクト領域15aとされる。トレンチ13の長手方向における第1コンタクト領域15aの幅は、例えば同方向におけるエミッタ領域14の幅と等しくされ、これらの面積比が1:1とされている。
[0024] 第1コンタクト領域15aは、第1ベース層12aの一部によって構成されるが、部分的に表面濃度が高くされた領域であっても良い。本実施形態の場合、第1コンタクト領域15aは、半導体基板10の一面10aに対する法線方向から見て、エミッタ領域14と同様の上面レイアウトとされており、エミッタ領域14とされていない部分が第1コンタクト領域15aとされている。すなわち、第1コンタクト領域15aは、複数のトレンチ13の長手方向に対して交差するように、より詳しくは直交するように延設されており、複数のトレンチ13の間に位置する各第1コンタクト領域15aが隣り合うトレンチ13の両方の側面に接した状態となっている。