Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

General Electric model A1-203 について

2021-06-03 14:21:55 | オーディオ

 歴史あるカートリッジ「バリレラ」はヴァリアブルリアクタンスという方式(よく理解していない)でGE社(General Electric)製品はモノラルからステレオまで幾つかの種類があった。カートリッジに複数の針が付いているのもあってターンオーバーさせることで78SPレコードとLP,EPレコードの切り替えも気軽に行うことができた。日本でもかつては小型電蓄にはクリスタルカートリッジが付いていてこの切り替えを行なっていた。クリスタルカートリッジの特性からフォノイコライザーは必要ないとされ出力も大きいことから内蔵の単球アンプとスピーカーでことが足りていた。(私の実家でも最初のオーディオ製品はこれだった。ラジオも付いてないからレコードがないと音出しができない。親が一緒に買ってきたのはお店で勧められたのか西田佐知子の「アカシヤの雨が止む時」とアメリカの合唱団の「クワイ河マーチ」の45回転EPレコードだった。この2枚を繰り返して聞いていた)

 バリレラはプリアンプが必要でGEなど数社から簡素な作りの単球のイコライザーアンプが供給されていた。現在では本格的なオーディオ機器に混じることは少ないと思うが知人には常用されている方も居られる。

 今回入手したのはGE社 A1-203 というものであまり目にすることはない。入力はPhonoとMICで周波数特性の切替スイッチがありゲイン切替もある。回路は初段はトランジスターそして12AX7というハイブリッド構成でボリュームは出力に直結している。トランジスターのソケットが真空管ソケットと並んでいて真空管をトランジスターに置き換えただけというものだが初段に低ノイズ素子を用いた先進のアンプだったのだろう。電源トランスは単球製品と同じ形状なのでひょっとすると2本分のヒーター電力が不足していたためこうなったか?2N163トランジスターは頭に鶏冠みたいなのが付いていて「ここを引張ってソケットから抜け」ということなのだろうか。。初めて見る形だが当時は貴重品だったのだろうと思う。

 

  

 ヒューズもない117V仕様だがおそるおそる100Vをつないで電源電圧を測定すると回路図と比べて50V程度低い。セレン整流器が弱っている事も考えられるのでダイオードをパラ付けしてみたがあまり変化なく電解コンデンサーが寿命らしい。容量は大きめだが新品と交換して改めて各部の電圧を測定するとカップリングコンデンサーも漏洩がひどくて交換。部品の交換は配線が込み入っていてなかなか大変。全部取り外して整理すれば別だがちょっと不本意なゲリラ的な手法を使わないと作業は難しい。また古い抵抗器は抵抗値が上昇していて許容範囲か迷うこともある。

 内臓するヒューズホルダーも手配して木製の台座に取り付けた。中学生の技術家庭科で使うという水性ニスを頂いたので塗ってみた。板の裏にはゴム足が貼ってある。

   

早速バリレラで聴いてみましょう!

 

 プレーヤーはThorens TD184、A1-203には出力ボリュームが付いているが周波数特性に影響が出ると思われるので回し切った位置で試聴。残留ノイズは少なく運用にあたっては特に問題は認めず。音質については他と比較していないのでわからない。ハイゲインポジションでは過大入力で歪むのでローポジションとなる。inputは300,2000,5100Ωの3端子だがバリレラには5100Ωが適すると思う(それでもちょっと低いかもしれない)。Thorens TD184とは見た目の相性が良い気がするが各々の外観からか出音も何となくこじんまりとしている気分になる。高い入力インピーダンスのアンプにして久しぶりのアナログ音源を聴いてみたい。

 

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 追記1

 出力が500KΩのボリュームで受ける側もなるべく高抵抗が良いと思う。直接数百Ωのアッテネータに入れるとまるでイコライザーなしの特性に聞こえて低域が不足する。適当なプリアンプが見当たらなかったのでステレオ→モノーラル変換を兼ねた昇圧トランスとして使っているWE246Cを逆接続した。このトランスは500:78000Ωでとても気に入っているがCDプレーヤー出力を500Ω入力すると過大となって歪んでしまう。今回は78000Ωにイコライザー出力を入れてがゲインは十分あるので逆接続でも大丈夫だった。これで聴感上の周波数バランスが良くなった(と思う。測定なし)。

 

試聴したのは 「シューベルト 交響曲第4番  ベイヌム:コンツェルトヘボゥ  LONDON ffrr」 70年ほど前のレコードで盤質は悪いが広帯域録音の優秀さを満喫した。SPレコードしか聴いたことのなかった人はさぞ驚いただろうと思う。しばらくモノラル盤を聴きあさってみようと思います。