池辺も何かを感じ取ったらしい。
「行方不明になった事情は分かっていますか」
「んー、.そうですね、気になる噂が一つ。
行方不明になる少し前に住職が誰かに電話していたのを、
寺に出入りしていた者が聞いていました。
先方に、
『申し訳ありません。盗まれてしまいました』と釈明していたそうです」
「盗まれた。何がですか」
「聞かれたのに気付いて住職は電話を切ったそうです。
それでその者が、警察に届ける事を勧めたそうなのですが、
自分で取り戻すと言って聞く耳を持たなかったそうです」
「電話の相手に心当たりは」
巡査は首を捻りながら答えた。
「おそらく、この土地の所有者じゃないでしょうか。
住職は管理を任されていると言っていましたから」
「へえ、所有者は別にいたのですか」
「はい。詳しい話しは知りませんが、工業団地を閉鎖する時に、
この土地の人間ではなく、余所の民間人に払い下げられたそうです。
それも、ただ同然だったとか」
加藤が口を出す。
「すると占領軍と特殊な関係にある民間人ですね。
その名前は分かっていますか」
「はい。北海道のマリヤさんです」
「マリア・・・」
「いいえ、マリヤ。
毬の谷で、毬谷と書きます」
「ほう、珍しい。毬谷ですか」
「昔は京都のお公家さんで、明治になると伯爵さま。
今は酪農家だそうです。
住職が独り者で、捜索願を出す者がいないので、そこに電話しました。
すると事情を聞いて毬谷家の方が飛んで来られまして、
それで捜索願いを出していただきました」
「ほう、随分と行動的な方のようですね。
盗まれた物の事は」
「その事に関しては知らないの一点張りで」
住職や毬谷家の態度は、公にしたくない物の存在を知らしめていた。
さらに興味が湧く。
「そうですか。・・・捜索は」
「普通は一般人の家出人扱いで、
コンピューターに登録するだけで終わるのですが、どういうわけか、
たぶん毬谷家が働きかけたのでしょうが、
内密で小さな捜索チームが組まれました」
突然、県警の刑事が声を出した。
「思い出しました。
県警本部で奇妙な噂が立った頃ですね。
年嵩の者達が、『昔の亡霊が現れた』と言っていました。
もっとも箝口令が敷かれたのか、直ぐに立ち消えになりましたがね」
「その『昔の亡霊』とは」
「口にチャックするだけで誰も話してくれないのですよ」
ただの酪農家が県警を動かせるわけがない。
敗戦で華族制度は廃止されたが、今もって影響力を有しているのだろう。
その根源は・・・。
加藤は巡査に問う。
「捜索に進展があったのですか」
「まったく」
「住職が最後に見られたのは」
「四月にここの草刈り作業中のところを大勢がみています。
それが最後です。
二ヶ月ほどで捜索チームは解散、毬谷家の者も北海道に戻りました」
県警も毬谷家も最善を尽くしたのであろう。
「寺は今はどうなってます」
「閉鎖です」
「本山から代理の住職は来ないのですか」
「どこにも属さぬ寺で檀家もありません」
「檀家がないとは珍しいというより、奇妙ですね」
「戦後のドサクサに設立されたそうです。
何でもありの時代だったようですね。
行方不明になった住職は三人目だとか」
「へえ、三人目。どういうルートで来るのですか」
「どうも毬谷家の絡みらしいですね」
「ほー、・・・。
寺を覗いてみたいですね。礼状はないですが、入れますかね」
巡査はちょっと考える仕草。
「寺の留守を任されている者の許可さえあれば。
鍵が掛かっていますからね」
「それでは許可を得てもらえますか」
巡査はニコリと笑って自転車に跨った。
「いいですよ。さあ、行きますか、寺へ」
「鍵は」
「駐在が預かっているんですよ。つまり、本官ですがね。
県警本部から、
『留守中に何かあってはいけないので、重点的に巡回するように』
との指示がありました」
第一印象は人の良さそうな巡査であったが、
どうやら茶目っ気もあるらしい。
自転車で嬉しそうに覆面パトカーを先導した。
★
酒井ノリピーが中国政府の依頼で、「薬物追放」のCMを・・・。
双方にどのような思惑があるのか知らないけど、
ノリピー、あの年齢でも可愛いですね。
私はノリピーが好きでした。
その前は内田有紀とか、藤原紀香、末広涼子、辺見えみり、石田えり、・・・。
みんな離婚しました。
大好きだった女房も私と離婚しました。
どうも私は、「離婚するタイプの女性」が好きなようです。
★
ランキングです。
「行方不明になった事情は分かっていますか」
「んー、.そうですね、気になる噂が一つ。
行方不明になる少し前に住職が誰かに電話していたのを、
寺に出入りしていた者が聞いていました。
先方に、
『申し訳ありません。盗まれてしまいました』と釈明していたそうです」
「盗まれた。何がですか」
「聞かれたのに気付いて住職は電話を切ったそうです。
それでその者が、警察に届ける事を勧めたそうなのですが、
自分で取り戻すと言って聞く耳を持たなかったそうです」
「電話の相手に心当たりは」
巡査は首を捻りながら答えた。
「おそらく、この土地の所有者じゃないでしょうか。
住職は管理を任されていると言っていましたから」
「へえ、所有者は別にいたのですか」
「はい。詳しい話しは知りませんが、工業団地を閉鎖する時に、
この土地の人間ではなく、余所の民間人に払い下げられたそうです。
それも、ただ同然だったとか」
加藤が口を出す。
「すると占領軍と特殊な関係にある民間人ですね。
その名前は分かっていますか」
「はい。北海道のマリヤさんです」
「マリア・・・」
「いいえ、マリヤ。
毬の谷で、毬谷と書きます」
「ほう、珍しい。毬谷ですか」
「昔は京都のお公家さんで、明治になると伯爵さま。
今は酪農家だそうです。
住職が独り者で、捜索願を出す者がいないので、そこに電話しました。
すると事情を聞いて毬谷家の方が飛んで来られまして、
それで捜索願いを出していただきました」
「ほう、随分と行動的な方のようですね。
盗まれた物の事は」
「その事に関しては知らないの一点張りで」
住職や毬谷家の態度は、公にしたくない物の存在を知らしめていた。
さらに興味が湧く。
「そうですか。・・・捜索は」
「普通は一般人の家出人扱いで、
コンピューターに登録するだけで終わるのですが、どういうわけか、
たぶん毬谷家が働きかけたのでしょうが、
内密で小さな捜索チームが組まれました」
突然、県警の刑事が声を出した。
「思い出しました。
県警本部で奇妙な噂が立った頃ですね。
年嵩の者達が、『昔の亡霊が現れた』と言っていました。
もっとも箝口令が敷かれたのか、直ぐに立ち消えになりましたがね」
「その『昔の亡霊』とは」
「口にチャックするだけで誰も話してくれないのですよ」
ただの酪農家が県警を動かせるわけがない。
敗戦で華族制度は廃止されたが、今もって影響力を有しているのだろう。
その根源は・・・。
加藤は巡査に問う。
「捜索に進展があったのですか」
「まったく」
「住職が最後に見られたのは」
「四月にここの草刈り作業中のところを大勢がみています。
それが最後です。
二ヶ月ほどで捜索チームは解散、毬谷家の者も北海道に戻りました」
県警も毬谷家も最善を尽くしたのであろう。
「寺は今はどうなってます」
「閉鎖です」
「本山から代理の住職は来ないのですか」
「どこにも属さぬ寺で檀家もありません」
「檀家がないとは珍しいというより、奇妙ですね」
「戦後のドサクサに設立されたそうです。
何でもありの時代だったようですね。
行方不明になった住職は三人目だとか」
「へえ、三人目。どういうルートで来るのですか」
「どうも毬谷家の絡みらしいですね」
「ほー、・・・。
寺を覗いてみたいですね。礼状はないですが、入れますかね」
巡査はちょっと考える仕草。
「寺の留守を任されている者の許可さえあれば。
鍵が掛かっていますからね」
「それでは許可を得てもらえますか」
巡査はニコリと笑って自転車に跨った。
「いいですよ。さあ、行きますか、寺へ」
「鍵は」
「駐在が預かっているんですよ。つまり、本官ですがね。
県警本部から、
『留守中に何かあってはいけないので、重点的に巡回するように』
との指示がありました」
第一印象は人の良さそうな巡査であったが、
どうやら茶目っ気もあるらしい。
自転車で嬉しそうに覆面パトカーを先導した。
★
酒井ノリピーが中国政府の依頼で、「薬物追放」のCMを・・・。
双方にどのような思惑があるのか知らないけど、
ノリピー、あの年齢でも可愛いですね。
私はノリピーが好きでした。
その前は内田有紀とか、藤原紀香、末広涼子、辺見えみり、石田えり、・・・。
みんな離婚しました。
大好きだった女房も私と離婚しました。
どうも私は、「離婚するタイプの女性」が好きなようです。
★
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