金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(辻斬り)19

2011-04-08 23:00:12 | Weblog
 池辺も何かを感じ取ったらしい。
「行方不明になった事情は分かっていますか」
「んー、.そうですね、気になる噂が一つ。
行方不明になる少し前に住職が誰かに電話していたのを、
寺に出入りしていた者が聞いていました。
先方に、
『申し訳ありません。盗まれてしまいました』と釈明していたそうです」
「盗まれた。何がですか」
「聞かれたのに気付いて住職は電話を切ったそうです。
それでその者が、警察に届ける事を勧めたそうなのですが、
自分で取り戻すと言って聞く耳を持たなかったそうです」
「電話の相手に心当たりは」
 巡査は首を捻りながら答えた。
「おそらく、この土地の所有者じゃないでしょうか。
住職は管理を任されていると言っていましたから」
「へえ、所有者は別にいたのですか」
「はい。詳しい話しは知りませんが、工業団地を閉鎖する時に、
この土地の人間ではなく、余所の民間人に払い下げられたそうです。
それも、ただ同然だったとか」
 加藤が口を出す。
「すると占領軍と特殊な関係にある民間人ですね。
その名前は分かっていますか」
「はい。北海道のマリヤさんです」
「マリア・・・」
「いいえ、マリヤ。
毬の谷で、毬谷と書きます」
「ほう、珍しい。毬谷ですか」
「昔は京都のお公家さんで、明治になると伯爵さま。
今は酪農家だそうです。
住職が独り者で、捜索願を出す者がいないので、そこに電話しました。
すると事情を聞いて毬谷家の方が飛んで来られまして、
それで捜索願いを出していただきました」
「ほう、随分と行動的な方のようですね。
盗まれた物の事は」
「その事に関しては知らないの一点張りで」
 住職や毬谷家の態度は、公にしたくない物の存在を知らしめていた。
さらに興味が湧く。
「そうですか。・・・捜索は」
「普通は一般人の家出人扱いで、
コンピューターに登録するだけで終わるのですが、どういうわけか、
たぶん毬谷家が働きかけたのでしょうが、
内密で小さな捜索チームが組まれました」
 突然、県警の刑事が声を出した。
「思い出しました。
県警本部で奇妙な噂が立った頃ですね。
年嵩の者達が、『昔の亡霊が現れた』と言っていました。
もっとも箝口令が敷かれたのか、直ぐに立ち消えになりましたがね」
「その『昔の亡霊』とは」
「口にチャックするだけで誰も話してくれないのですよ」
 ただの酪農家が県警を動かせるわけがない。
敗戦で華族制度は廃止されたが、今もって影響力を有しているのだろう。
その根源は・・・。
加藤は巡査に問う。
「捜索に進展があったのですか」
「まったく」
「住職が最後に見られたのは」
「四月にここの草刈り作業中のところを大勢がみています。
それが最後です。
二ヶ月ほどで捜索チームは解散、毬谷家の者も北海道に戻りました」
 県警も毬谷家も最善を尽くしたのであろう。
「寺は今はどうなってます」
「閉鎖です」
「本山から代理の住職は来ないのですか」
「どこにも属さぬ寺で檀家もありません」
「檀家がないとは珍しいというより、奇妙ですね」
「戦後のドサクサに設立されたそうです。
何でもありの時代だったようですね。
行方不明になった住職は三人目だとか」
「へえ、三人目。どういうルートで来るのですか」
「どうも毬谷家の絡みらしいですね」
「ほー、・・・。
寺を覗いてみたいですね。礼状はないですが、入れますかね」
 巡査はちょっと考える仕草。
「寺の留守を任されている者の許可さえあれば。
鍵が掛かっていますからね」
「それでは許可を得てもらえますか」
 巡査はニコリと笑って自転車に跨った。
「いいですよ。さあ、行きますか、寺へ」
「鍵は」
「駐在が預かっているんですよ。つまり、本官ですがね。
県警本部から、
『留守中に何かあってはいけないので、重点的に巡回するように』
との指示がありました」
 第一印象は人の良さそうな巡査であったが、
どうやら茶目っ気もあるらしい。
自転車で嬉しそうに覆面パトカーを先導した。




酒井ノリピーが中国政府の依頼で、「薬物追放」のCMを・・・。
双方にどのような思惑があるのか知らないけど、
ノリピー、あの年齢でも可愛いですね。
私はノリピーが好きでした。
その前は内田有紀とか、藤原紀香、末広涼子、辺見えみり、石田えり、・・・。
みんな離婚しました。
大好きだった女房も私と離婚しました。
どうも私は、「離婚するタイプの女性」が好きなようです。



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