切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

京都府宇治市 地蔵院・・・白川金色院の夢の跡

2018-02-17 22:51:17 | 撮影

地蔵院は、弘治年間(1555-58)に創建され、藤原頼通の娘・四条宮寛子(1036-1127)が康和4年(1102)に建立し、のちに廃絶したと伝えられる白川金色院の遺宝を多数所蔵しています。
白鳳時代の阿閦如来(あしゅくにょらい)立像と釈迦如来坐像などをはじめ平安時代の銅造・木造の仏像のほか、板彫両界曼荼羅、建武二年(1335)の年号と金色院の名が刻まれた梵鐘、また大般若経563巻、紺紙金泥法華経などがあります。
(門前説明書きより)

    
 宇治市の白川地区。少し前に紹介した白山神社があるところ。その時に神社の近くに九重石塔があることを紹介した。
 同じ地域にある地蔵院は歴史的には比較的新しいが、ここには多数の国指定の重要文化財があり注目すべき寺院と言える。それらの多くの文化財は、かつてこのすぐ近くにあった、白川金色院の遺宝がこちらに預けられたものである。地蔵院そのものは、白川地区の幹線道路から極めて細い道を入り、普通車としてはかなり厳しい駐車場に駐めると、目の前のこれまたは極めて細い道の奥に地蔵院の表門が見える。
 境内はかなり狭く、小さな庭に社務所などが迫っている。重要文化財が保存されていた宝物庫があり、その横に京都府指定の文化財である梵鐘が据えられていた。本来なら宝物庫の中の多数の仏像などを拝観したいところだが、約30年前に数体の仏像が盗難に遭い、それ以降、残りの仏像などは奈良国立博物館にすべて寄託されることになってしまった。従って貴重な白川金色院時代の仏像などを見ることはできない。
     
 しかし先ほど記した梵鐘は白川金色院のものだったし、白山神社の近くにあった九重石塔もその遺物である。白川金色院は元は平安時代末期に、平等院の奥院として建立されたものだが、明治時代になって廃寺となった。上記のもの以外に、惣門であったといわれる門が今も立っている。
 地蔵院そのものの情報はネット上を見ても極めて少ない。由緒については掲載画像および、上記の表門前にあった説明書きで見ておいてもらいたい。しかし地蔵院が所有していた文化財の一覧はネット上に掲載されているので、ここでもその一覧を下に紹介しておく。このように見ると、かつて盗難にあったことが大切残念だ。きっとそれらは国内の大金持ちコレクターの床の間に飾られているか、あるいは外国に持ち出され、やはり金持ちの収集家の元にあるのかというところだろう。
 
 このような文化財を所有することになってしまうと、小さなお寺としてはそのセキュリティ上の課題というのが、経済的な負担とともに大きな問題となってしまう。そういった意味では被害に遭う前に極めて貴重な文化財については、予め京都や奈良の国立博物館に預けているケースが非常に多い。それはもう決して常設展示されているものではなく、何かのテーマの展示会において公開されるくらいで、頻繁に目にすることはほとんどないのが残念といえば残念だ。以下に文化財一覧を掲載しておく。

「重要文化財(国指定)」
 ・白山神社拝殿
 ・木造伊邪那美尊坐像(白山神社所有)
 ・木造十一面観音立像(白山神社所有)
 ・木造阿弥陀如来立像(地蔵院所有)
 ・木造観世音菩薩坐像(地蔵院所有)
 ・銅造阿弥陀如来及び脇侍像 2躯(地蔵院所有)
 ・銅造阿閦如来(あしゅくにょらい)立像(地蔵院所有)
 ・銅造釈迦如来坐像(地蔵院所有)
 ・銅造大威徳明王像(地蔵院所有)
 ・板彫両界曼荼羅 2面 平安時代(地蔵院所有)
  *地蔵院所有の仏像のうち銅造阿閦如来立像、銅造釈迦如来坐像、銅造大威徳明王像は1991年5月10日に盗難に遭っている。他の4件は京都国立博物館に寄託。
(銅造阿弥陀三尊像(奈良前期))
(銅像阿しゅく如来立像(奈良))
(木造観音菩薩坐像(平安時代後期))
 (以上はWEBより)

「京都府指定文化財」
 ・梵鐘:建武二年(1335年)銘(地蔵院所有)
     *南北朝時代、「金色院 建武二年(1336年)」の銘ある「梵鐘」は、金色院最古の遺物になっている。
 ・金色院御堂再興勧進状(寛正四年)(地蔵院所有):京都国立博物館に寄託。

「宇治市指定文化財」
 ・春日版大般若経五六三巻(地蔵院所有) - 弘安二年(1279年)三月「願主西大寺沙門叡尊」の奥書あり。
 ・紺紙金泥法華経八巻(地蔵院所有) - 大治三年(1128年)の年紀あり。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 京都府八幡市 戸津八幡神社... | トップ | 京都府宇治市 萬松院と萬寿... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

撮影」カテゴリの最新記事