ごっとさんのブログ

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日本は「薬服用大国」になぜなったのか

2021-06-06 10:19:04 | 
生活習慣病という言葉が宣伝され、いろいろなところでこれが万病の元のようなイメージができています。

私はこういった自覚症状のない生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症など)は、高齢者は気にする必要が無いものと思っています。

ところが注意すべき中壮年者は無視していて、気にしなくてもよい高齢者が治療するという、おかしな逆転現象が起きているようです。

その結果高齢者が多剤服用となり、日本は世界有数の薬服用大国となり、OECDの調査によると1人当たりの薬剤費支出額はアメリカに次ぐ2位となっています。

厚生労働省の調査では、75歳以上の40.3%が5種類以上の薬を処方されており、7種類以上の処方があった人も23.9%となっています。高血圧などの生活習慣病の薬は、症状を抑えるにすぎず、完治することはありませんのでずっと飲み続けるしかありません。

血圧を下げる薬にコレステロールを下げる薬、最近では睡眠薬なども高齢者に処方され、薬の種類はどんどん増えています。また日本では1つの症状について複数の薬を飲むことも当たり前になっています。

トロント大学の研究報告によると、アメリカでは処方薬の副作用で年間約10万6000人が死亡しています。アメリカでは処方薬は1人4剤までというルールがありますが、それでもこれだけの死亡数が報告されています。

日本では処方薬の副作用による死者数の統計はありませんが、面白いデータが出ています。厚生労働省の人口動態統計によると、新型コロナが猛威をふるった2020年度の国内の死亡者数が11年ぶりに前年を下回りました。

これは約15年前財政破綻をした北海道の夕張市と似た状況かもしれません。夕張の市立病院がなくなり、高齢者を中心として患者たちは市外の病院しか行けなくなりました。通院の機会が減る中、夕張市民の死亡者数は減少したのです。

コロナ禍の「受診控え」が目立つ現在と似た状況と言えるのかもしれません。この事をもって現在の医療が過度に行われており、過剰な服薬となっていると断定することはできません。

しかしコロナが始まった昨年初頭に多くの医療関係者(医学会のトップクラス)が、受診控えによって他の病気による死者数が増加するとの懸念は杞憂であったことは確かです。

なぜ高齢者の多剤服用が危険かについては、このブログでも何度か書いていますのでここでは触れませんが、いろいろな臓器の機能が低下していると副作用が増幅されることは確かなようです。

私は小児科と同じように老人科の設置が必要という意見ですが、現場の医療従事者がこういったことに関心を持ってくれることを祈るばかりです。


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