読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

検証 能登半島地震 日経XTECH+日経アーキテクチュア+日経コンストラクション共同編集 2024

2024年05月07日 | 防災・復興(内閣府防災、復興庁、気象庁)

今年の元日、1月1日に起きた能登半島地震を徹底取材し、報じた記事をまとめて緊急出版した本。大判、総カラーの迫力満点の内容。印象的な点をノート。

珠洲市を震源とするM7.6の地震、最大深度7。
内灘町や新潟市の液状化発生地では、震源から遠くにもかかわらず不同沈下し建物が大きく傾いた。
七尾市の免震構造の病院は無傷で救急診療を続けることができた。
(トンネルは地震に強いと言われているが)国道249号大谷トンネル(珠洲市)や中屋トンネル(輪島市)では覆工コンクリートが大規模に崩落した。どちらも地滑り地形の範囲とかぶっており、地震動で地山が変異した影響を受けた可能性がある。
直後の道路啓開(緊急復旧)がうまくいかなかったという批判報道が目立った。①元日の発災だったこと、②山地が多い地形で幹線道路がない、③東日本大震災と異なり直下型地震で道路構造物の被害が大きかったという不利な条件があった。
地元建設会社は、県からの要請を受け、被害の全容もわからぬ状態で金沢を出発した。元旦の発災で資機材調達先と連絡とれない、現場付近での車中泊と食料燃料の自前調達、携帯電話が繋がりにくい、道路損傷と渋滞による移動時間長く作業進まないといった困難と直面した。

<検証・東日本大震災10年>(2011年3.11号の記事を再構成)
震災10年で37兆円超の関連予算を投じて未曽有の復興事業が進められた。
市街地を大規模にかさ上げした陸前高田市では土地活用率が5割を下回る水準だ。
石巻市では4400戸の災害公営住宅と1300戸の既存市営住宅を管理し、市営住宅の廃止を進めている。
石巻市の半島部高台には1戸当たり当たり1億円以上の事業費で住宅団地を造成し住宅が建っているのは15区画中7戸(うち4は公営住宅)。
被災自治体に責任を持たせる一方国が全額事業費負担をしたことがモラルハザードを招いたのは当然のことだ。
大船渡市では既存集落の付近に土地を確保する「差し込み型」の防災集団移転事業を行い、比較的早く、相対的に安価に達成した。

 


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