読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

アジア経済はどう変わったか―アジア開発銀行総裁日記 中尾武彦2020 Asian Development Bank President's Diary

2020年10月31日 | 経済・財政・産業(財務省・経済産業省・日本銀行)
著者は2013年から2020年1月までADB総裁を務めた人。 中国主導のAIIBについて  ADB総裁としてのメッセージは、①アジアのインフラ投資を助けると言う目的は理解、②調達や環境社会配慮の最良の基準を採用することが重要、③AIIBが設立されたときにはADBは共通の優先分野において適切な協力を検討する用意がある、の3つ。日本のAIIB参加については、国際機関の長として関与できない。 . . . 本文を読む

デジタル×地方が牽引する2030年日本の針路 江川昌史・藤井篤之2020 2030 Japan's course driven by digital and region

2020年10月23日 | まちづくり・地方創生
 著者はアクセンチュアの社長と社員。  第1章から第5章までは、現代日本の首都圏、地方それぞれの課題のまとめの後、最新テクノロジーが地方創生を後押しするという展望を示している。若年層を中心に地方移住の気運が高まっている、自動運転など最新テクノロジーが地方の生活コストを大幅に引き下げるなど。しかし、その根拠として示されていることの大部分はさして目新しいものではない。  この本の読者としては、外資 . . . 本文を読む

地形で解ける東京の街の秘密50改訂新版 内田宗治2020

2020年10月20日 | 地理、観光(国土地理院、観光庁)
 この本に書いてあることは、知っていたこと、知らなかったこと、見聞きしてはいても意識しなかったこと、といろいろだ。    なるほどと思ったところ  江戸城の本丸や大奥、天守閣などは、二重橋の奥ではなく、北1㎞ほど先の皇居の東のはずれ、現在の皇居東御苑の地にあった。西側の尾根筋から攻められることを想定し、当初は太田道灌時代の城があった東御苑の地に築城し、西側には三重四重の堀を築いた。   . . . 本文を読む

ルポ技能実習生 澤田晃宏2020 Reportage: Technical Intern Trainee / Akihiro Sawada 2020

2020年10月19日 | 福祉・医療・人口・労働(厚生労働省ほか)
 技能実習生というと、建前(技術移転・国際貢献)と本音(人手不足解消、単純労働力)の違い、悪徳ブローカーの横行、劣悪な労働環境と失踪者、といった問題点がすぐ頭に浮かぶ。しかしそうした問題はニュースとなりSNSで拡散される。ベトナム人(技術実習生の53%を占める)実習生はそれを知ったうえで自ら手を上げ日本を目指しているのだ。  序章で登場する24歳の青年ロイさんは3年の技能実習で毎月14万円仕送り . . . 本文を読む

新型コロナから見えた日本の弱点  村中璃子 2020

2020年10月11日 | 福祉・医療・人口・労働(厚生労働省ほか)
 新型コロナに関するツイッター記事で名前を知った女性医師による本。  韓国は2015年MERSへの対応で批判されたが、その経験によって感染者の発見・隔離・追跡というアウトブレイク対応の基本の大切さと難しさを実感し、PCRキャパを飛躍的に向上させる結果を生んだ。MERSは日本にいつ入ってきてもおかしくなかったが、偶然に守られて各種感染症が国内流行しなかった日本は、PCR検査体制の拡充に手をつけぬま . . . 本文を読む

マイホームの彼方に―住宅政策の戦後史をどう読むか 平山洋介2020

2020年10月10日 | 不動産・住宅(不動産・建設産業局、住宅局)
 日本の住宅政策を批判的視点から解説、論評している。  第5章 市場化する社会、その住宅システムでは、1990年代以降の住宅政策について次のように言う。 ・政府は、1990年代半ばから、経済・社会政策の運営について、新自由主義にもとづく方針をより明確に打ちだし…住宅政策は大幅に縮減され、…住宅供給の伝統的な「三本柱」(=公庫、公団、公営住宅)はあらかた解体した。p1 . . . 本文を読む

ネット興亡記~敗れざる者たち 杉本貴司2020

2020年10月04日 | 経済・財政・産業(財務省・経済産業省・日本銀行)
 757ページの大著。サイバーエージェント、IIJ、iモードから始まって、ヤフー、楽天、ライブドア、ミクシィ、LINE、メルカリまで、ネット系の主要企業、主要事業の起業者、経営者たちの人物像と人間関係を克明に描いている。 「新産業の創成期を彩るスター経営者たち。だが、彼ら彼女らの多くは、決して天才ではない。 目覚めはたいてい、ちょっとした違和感だった。それを黙ってやり過ごすことなく真正面から見 . . . 本文を読む