読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

教育大国シンガポール~日本は何を学べるか 中野円佳 2023

2023年04月25日 | 教育・歴史(文部科学省・文化庁)
シンガポール政府は教育(とりわけ試験)を重視している。コロナ禍でもできるだけ休校を避け、同時にオンライン対応の準備を進め、ソフトロックダウン発動時にはスムーズに移行が進んだ。シンガポールの教育は、国家へのアイデンティティと謙信の精神を身につけさせることと経済発展の持続を達成することを目的としている。教育を媒介として能力ある人材=学歴エリートを官僚、そして政府に引き入れる。優秀な高校卒業生数百名には . . . 本文を読む

理系思考入門 高橋洋一 2022

2023年04月24日 | 経済・財政・産業(財務省・経済産業省・日本銀行)
著者が過去に書いた「消費増税」と「戦後経済史」と「官僚とマスコミ」に関する3冊の本の内容を収録再編したもの。よって、第1部第2部は経済学をベースにした税財政と日本経済に関するかなりオーソドックスな論考、第3部は財務省と官邸の内幕話。タイトルの理系思考に関する記述は探してもなかなか見つからない。辛うじて見つかった理系思考と関連していそうな記述箇所をメモ。p37 財政投融資の金利変動リスクを算定するに . . . 本文を読む

歴史を読み解く城歩き 千田嘉博2022

2023年04月23日 | 地理、観光(国土地理院、観光庁)
 意外にもこの本の1章は日本を離れて世界の城の話となった。シュリーマンが発掘したミケーネの城は巨石を積んで城壁が築造され、紀元前13世紀にライオンのレリーフを掲げたゲートが成立した。徳川大坂城のように人工的に形を整えた石材が隙間なく積み上げられている。 石垣の「算木積み」や「屏風折れ」、城内道が直角に折れ曲がる「桝形」と同じ構造は、世界の城に共通する普遍的な防御のしくみであり、ミケーネと同時期のテ . . . 本文を読む

住宅団地 記憶と再生~ドイツと日本を歩く 多和田栄治 2021

2023年04月15日 | 不動産・住宅(不動産・建設産業局、住宅局)
 ドイツ語で住宅団地をSiedlungジードルングと呼ぶ。1850年代以降、ルール地方では企業が工場労働者のための団地アルバイタージードルングを建設した。 ベルリンではワイマール時代に行政が主導し非営利組織が建設管理する団地が多く建設された。うち6つの団地はモダニズム住宅団地として世界遺産登録され、しかも現在も住民が居住している。 日本でも有名なブルーノ・タウトが設計した小規模な団地ファルケンベル . . . 本文を読む

2035年の世界地図—失われる民主主義 破裂する資本主義

2023年04月14日 | その他・未分類
「世界最高の知性」4人へのインタビューとそれに基づく対談。短いインタビューなのでそれぞれの発言の背景根拠は今ひとつよくわからないところがある。 1.エマニュエル・トッド 民主主義は後退あるいは破壊され続けており、まもなく寿命を迎える。民主主義のリーダーである米国は、不平等でカネがあまりにも重要な国になった。中国は権威主義であるけれども平等主義的な価値観がある。 グローバル化は格差を生み出し夢はな . . . 本文を読む

流山がすごい 大西康之2022

2023年04月12日 | まちづくり・地方創生
流山在住の元日経記者が書いた流山を賛美する本。流山はつくばエクスプレス開通がきっかけとなって大きく発展、市の人口増加率は6年連続日本一となったが、それだけではないことを示している。送迎保育ステーション。駅前ビルに設置され、朝子どもを預けると市内各所の保育園に連れて行ってくれ、夕方は6時まで(8時まで延長可)預ってくれる。保育士に就労奨励金や家賃補助を与えて保育士を確保し「保育の楽園」になった。流山 . . . 本文を読む

地域学入門 山下祐介2021

2023年04月03日 | まちづくり・地方創生
江戸時代より前に形成された古い村には暮らしていくための資源がすべてある。明治初期の村地図を見る。境界線。水源になる川。肥料・馬のエサ・薪・山菜のとれる山林。一方、江戸後期に低湿地を改良して形成された新田村は、渇水時の水源や薪炭林、畑が十分でない。それぞれの集落に固有の歴史がある。それぞれの村は、基礎となる生業の上に、様々な副業があった。城下町には、城を築く盤石な土地、水源となる川と用水、食料やエネ . . . 本文を読む

ドローン空撮で見えてくる日本の地理と地形 藤田哲史 2021

2023年04月03日 | 地理、観光(国土地理院、観光庁)
地理の本によくある自然地理や村落、歴史都市とは異なる、人下の営み、特に土木技術史と関わりの深い空撮写真が多く紹介されている。堤防、分水路、瀬替え、新田開発、畑の地割、山上の大規模住宅地、採掘場と炭鉱跡、二重ループの山岳道路、高速道路の線形。地図の色彩について、山地が緑色、低地が茶色に塗られていることにちょっと違和感。 . . . 本文を読む