読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

チャイナ・インパクト 柴田聡 2010

2010年12月31日 | 国際関係・海外事情(外務省、JICA)
チャイナ・インパクト 柴田聡 2010  著者は財務省から北京の日本大使館に出向している経済官僚。  前半は、迅速な政策対応により世界金融危機からのⅤ字回復を果たした中国の政経一体システムをうらやましく感じているような記述が散見される。  後半に進むにつれて、地方政府の土地依存財政、一流グローバル企業がほとんどないこと、資本市場が自由化されていないこと、司法の独立性が低いことなど、中国経済の抱え . . . 本文を読む

『日本は世界のまほろば』 尾島俊雄 2010

2010年12月20日 | 国土・都市(国土政策局・都市局)
著者は建築、都市計画の世界では著名な早大名誉教授。温室効果ガス削減や人口減少を前提として21世紀の日本の将来像を描いている。しかし、どうも、その前提があってもなくてもおそらく尾島先生は同じことを書いただろうと思う。クリエイティブなアイデアは前提や制約条件といった外的要因から生まれるのではなく、先生の頭の中からこんこんと湧き出てくるのだろう。 本書に描かれた将来像の中には、琵琶湖運河のように明らかに . . . 本文を読む

『デフレの正体』 藻谷浩介 2010

2010年12月13日 | 経済・財政・産業(財務省・経済産業省・日本銀行)
 相変わらず統計データの目のつけ方には感心するところが多い。付加価値率が高いのはサービス業、就職氷河期に実は就業者数は246万人も増えていたなど。  ところで、これまでの藻谷氏の本や講演と異なる本書の特徴は、従来得意としていた地域経済論だけでなくマクロ経済に踏み込んでいるところ。   私の感想としては半信半疑というか、デフレの要因を人口要因のみに帰着させていること、マクロ経済政策を全否定しているこ . . . 本文を読む

『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』 高松平蔵 2008

2010年12月13日 | 国土・都市(国土政策局・都市局)
 地方都市は誰のために、何のために、どうあるべきか?という問いに、関西出身でドイツ、バイエルン州のエアランゲン市に住む著者が提示する答。  エアランゲンは人口たった10万人の地方都市だが、中心市街地のにぎわい、統一感のある街並み、文化・芸術活動による地域のアイデンティティ、活力のある産業といった、日本の地方都市が求めても手が届かないものが全て揃っているようだ。  外国の紹介ものは結構手にとるが、な . . . 本文を読む