◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

5月1日~5月10日

2024-05-01 20:09:39 | Weblog
5月10日(5名)

小口泰與
沼の藻のぎいと曲がりて緑雨かな★★★
それぞれの声の主張や夏の森★★★
青空に映ゆアカシアの花匂う★★★

多田有花
遠山は日差しておりぬ青葉冷★★★
茄子紺を残し鮮やか茄子料理★★★★
踊子草踊りゆくかな土手の道★★★

弓削和人
薫風や陽光なれど汗の引く★★★
渚過ぎペダルの軽し風薫る★★★
夏に入るサイクリングの憩いかな★★★

桑本栄太郎
薫風の木漏れ日伝うバス通り★★★
新緑の嶺より里へ送電線★★★
薔薇咲いて団地の窓を被いけり★★★

廣田洋一
金雀枝や無住の庭の夕明かり★★★★
始まりはビール一杯宴かな★★★
さやさやと風の吹き抜け紫蘭咲く★★★

5月9日(5名)

小口泰與
夏めくや水面のはじく日の光★★★
すててこに成りて昼寝や大広間★★★
上州は麦秋誇り山誇り★★★

桑本栄太郎
美はしき山膚なりぬ五月山★★★
こでまりの花の仕舞いや錆色に★★★
木々の枝の風に躍りぬ新樹冷ゆ★★★

多田有花
夕刻は晴れてきたるよ青葉冷★★★
膝掛で机に向かう青葉冷★★★
はつ夏や思い立ったら片付ける★★★

廣田洋一
生垣の咲き溢れたるさつきかな★★★
白々と朝日を浴びて月見草★★★★
金雀枝や咲き枝垂れたる自動車道★★★

弓削和人
昨日より軽めに羽織る夏始め★★★★
童らの自転車残して五月鯉★★★
傘ささずいっときのこと若葉雨 ★★★

5月8日(4名)

小口泰與
沼の朝湖面にぎわす燕かな★★★
初夏の朝は絵本をめくるごと★★★★
ぼうたんの花の崩れし雨の中★★★

廣田洋一
黄の蝶や姿を変えし金雀枝か★★★
自転車で通学の子や桜の実★★★

思いきり弱気を払い風薫る(原句)
思いきり弱気払えば風薫る(正子添削)

多田有花
明早し街眠れるに白む空★★★★
しゃが群れて咲く大杉の根元かな★★★
目の前をくるり旋回夏燕★★★

桑本栄太郎
消息の取れぬ旧友新樹冷ゆ★★★
さざ波の途絶えなきなる代田かな(原句)
「途絶えなきなる」の表現が、もってまわって感じられますので、直しました。(髙橋正子)
さざ波の絶えず生まるる代田かな (正子添削)

若葉寒む一木枝の撓りけり★★★

5月7日(5名)

小口泰與
満緑や沼を震わす蟇蛙★★★
あけぼのの鳥語数多や初夏の森★★★
うとうとと静寂の森や閑古鳥★★★

多田有花
はつなつの雨音激し夜を眠る★★★★
年毎の新緑開山堂包み★★★
新しき趣味得てこの夏の楽し★★★

廣田洋一
門前の金雀枝明かり客迎え★★★

サーファーも乗れぬ高さや卯波立つ(原句)
サーファーの乗れぬ高さや卯波立つ(正子添削)

雨に濡れ新緑いよよ瑞々し★★★

桑本栄太郎
ジャスミンの紅のつぼみや小雨降る★★★
こつ然と蛙鳴き初む雨予報★★★
どの枝も揺るるみどりや夏は来ぬ★★★★

弓削和人
濡れそぼつ葉脈青し夏来る★★★
漕ぎいでしスワンボートや初夏の湖★★★
明日に向け水天一碧夏来る★★★

5月6日(4名)

小口泰與
こきこきこきと枝伐るや四十雀★★★
透き通る野鳥の声や花は葉に★★★★
水田の畦を越えゆく雨蛙★★★

廣田洋一
筍の白き肌見せ売られけり★★★★
江の島のどっしり座り卯波立つ★★★
金雀枝の黄金輝く日の光★★★

多田有花
こどもの日子らの自転車軽快に★★★★
青空へ飛び出てゆくよ夏つばめ★★★★
五月来る弾き初むバッハのインヴェンション★★★

桑本栄太郎
携帯の雨の予報や忍冬花★★★
傘雨忌の天に咲きたる楡の花★★★
木斛の花の夕べや雨となる★★★

5月5日(5名)

小口泰與
おちこちや鳥と蛙の声合わせ★★★
囀りや木の葉舞い落つ丘の径★★★
晩春の森は賑やか鳥盛ん★★★

廣田洋一
電話にてごきげんようとこどもの日★★★
子供の日お面かぶりの稚児来迎★★★
二十五の菩薩来迎風薫る★★★

多田有花
静けさや快晴連れて今朝の夏★★★
風強しこいのぼり高く泳ぐべし★★★
並木みな立夏の風に揺れており★★★

桑本栄太郎
亡き父母の面影偲ぶ子供の日★★★
両手もて赤児水飲む立夏かな★★★★
堰水の遥か眩しく奥比叡★★★

弓削和人
鶯のあちやこちやの朝の軒★★★
うぐいすの谷渡りいる石清水★★★
うぐいすの初音の敲く村戸かな★★★
 
5月4日(5名)
廣田洋一
アザレアやもっこり咲きし白き花★★★
アザレアの垣根鮮やか日の光★★★
木下の木椅子に座りみどりの日★★★★

小口泰與
なだらかな長きすそ野や長閑なる★★★
引鴨や妙義の巌荒荒し★★★
春の雨丘の木木の若若し★★★

多田有花
春日遅々広場に響く子らの声★★★
AIと対話している暮の春★★★
泥咥え腰赤燕飛び交いぬ★★★

桑本栄太郎
緑さす京西山の濃く淡く★★★
新緑の美味しそうなる在所かな★★★
来てみればなんじゃもんじゃの花盛り★★★

弓削和人
すず鳴らし八十八夜の家路かな★★★★
逃げ水のさきの逃げ水白き道★★★★
惜春やウグイの銀に影慕い★★★
「影慕い」が気になります。(髙橋正子)

5月3日(4名)

小口泰與
いとけなき菊戴の声すみて★★★
糸遊を追いかけ行くや吾子もまた★★★
妻帰るや否やきぎすを見たと言う★★★

廣田洋一
憲法記念日改めて読む第9条★★★
道の端一つ残れる八重桜★★★
窓を打つ木の葉の音や夏隣り★★★

多田有花
つつじ咲く街路を下校の少年ら★★★★
遅日かな横断歩道の点滅に★★★
憲法記念日二十五条を確かめる★★★

桑本栄太郎
踏みしだく道の木蔭や春落葉★★★
枝の影揺れるを踏みて木蔭行く★★★
花槐憂いの白の垂れにけり★★★

5月2日(5名)

小口泰與
満緑の渓に出湯と巡り合い★★★
万緑(ばんりょく)は草田男が初めて使って季語となりましたが、「満緑」は季語として十分とは言えません。(髙橋正子)

いとけなき小鮎は渓に留まりし★★★
利根川のいとど濁りて帰る雁★★★

廣田洋一
筍の頭剥かれて売られけり★★★
筍の一山積まれ無人店★★★
春の山弱音こらえて登りけり★★★

多田有花
雨のまま八十八夜は冷えており★★★★
夏隣る朝の光の明るさよ★★★
うららかや老人クラブへ講演に★★★

弓削和人
恐山嗄れたる風の風車★★★
鳥帰る宇曽利湖ひそと青みたり★★★
真白なる南部片富士若みどり★★★★
「若みどり」は、松の新芽のことですが、句にリアリティをもたせるために「松の芯」、「緑立つ」などの季語も考えてみてはいかがでしょうか。(髙橋正子)

桑本栄太郎
ぱたぱたと風の甍や鯉のぼり(原句)
「や」は切字で、そこでいったん意味が切れます。「ぱたぱた」は甍を修飾しますので、「甍」が「ぱたぱた」しているのでしょうか。(髙橋正子)

艶ややかに美味しそうなり柿若葉★★★
じゃが芋の畝に花咲く大原野★★★

5月1日(4名)

小口泰與
桜しべ山道紅に染めにけり★★★
早咲きの春の牡丹の微笑みし★★★
一天を押し広げたる帰雁かな★★★★

廣田洋一
風を待ち横になりたる鯉幟★★★
公園の隅々青く草若葉★★★
雨後の樹の青々揺れて夏隣★★★★

多田有花
目覚めれば暁の光雉の声★★★
丁寧に大きく書けり深き春★★★
かきかたの練習八十八夜かな★★★

桑本栄太郎
メーデーの雨の代々木の彼の日かな★★★
雨に濡れ茂みにひそと著莪の花★★★
美味しそうな木々の緑や五月来る★★★ 
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2 コメント

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御礼 (高橋正子先生)
2024-05-08 11:34:07
高橋正子先生
5月7日の「サーファーも乗れぬ高さや卯波立つ」を
「サーファーの乗れぬ高さや卯波立つ」と添削して頂き有難う御座います。
句がすっきり致しました。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2024-05-09 08:45:59
高橋正子先生
5月8日の「思いきり弱気を払い風薫る」を「思いきり弱気払えば風薫る」と添削して頂き有難う御座います。
原句は報告分っぽいと思っていました。
有難う御座います。

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