花ごよみ

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さまよう刃  (東野 圭吾 )

2006-03-30 | 本 な、は行(作家)


裁く権利は誰にあるのか?

蹂躙され無残にも、
死に至った愛娘への復讐の為、
犯人を追いかける父親。 

人間性のかけらさえもない未成年の犯人。

どうにもならない世の中の不条理に対して、
父親のとった敵討ちという行動。 
感情的には共感もする。
 
でも、その行為は法律的には当然認められない。
じゃ父親はどうすればいいのか?
 
どうすれば心の平穏をつかむことが出来るのか?
答えはきっと出て来ない。 

少年法の壁は加害者を守る。
全ての法は被害者に冷酷。
深く重い物語です。 

暗すぎるけど…。 
でも、引き込まれてしまいます。 

暗く沈んだ父親の心に、 
ペンションの女性との交流のみが、 
破滅の中にいて救いのないこの父親に、 
わずかにでも心の癒しを与えている。 

予想を裏切るラスト。 
この物語の結末はこのラスト以外に、 
納得のいく解決方法はないのかも知れません。

NHKでドラマ化された真保裕一の(繋がれた明日)では 
刑の終了が罪の償いか? 
というのを(さまよう刃)とは違う立場から 
問題提起しようとしていました。


少年法によって守られた犯人に対して、
復讐を考える親 。
その犯人を親から遮断しようとする警察 。
 
刑事達の心の葛藤。

正義って一体何?
考えさせられる物語でした。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も好きです! (tami)
2006-03-31 00:59:12
東野さんの本「容疑者Xの献身」は読みました。

彼は理系なのに、本が書ける。凄いですね。



重いけれど引き込まれる、読んだ後、充実感が得られる、そんな感じでしょうか。

返信する
いい本がありますね。 (kazu)
2006-03-31 18:15:07
東野さんの本は色々なパターンの

作風がありますね。 



「容疑者Xの献身」、図書館で1月頃

予約したんですよ。

もうすぐ読めるかな。 



この本はずっしりとした充実感もあるけど

どうしようもないむなしさも 

残ってしまいました。
返信する

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