会報いしかり
第114号(令和元年9月14:日)
いしかり手打ちそば同好会 初版発行:平成20年9月13日
〒061-3202 石狩市花川南2条6丁目256 URL:http:blog.goo.ne.jp/it sobo
粗挽きおじさん誕生秘話 志摩 辰也さん
前回までのあらすじ ~そばを始めて打った時から四段取得まで~
おじさんは、あれだけ苦しめた粗挽き粉を、しばらく見たくなかったのである。
四段取得の疲れを癒し、久々に二八でそばを打ち始めた時、何んと!摩訶不思議?四段取得の日より腕が上がっていたのである。
粗挽粉様様であるムム・・・ヒヒ・・・。
おじさんは考えた、何でだろう?嗚呼!粉が違うのである。粗挽きのように、優しく打つからか。
いやいや逆だ。姿勢をただし、体で力を加え、膝を使い、優しく効果的に打つ方法に悩み考えたのが基本なのである。
そばの一粒一粒の働きを調べた日々。
おじさんは、はっと気がついた、二八は、多少無理してもつなぎがあるために、正しく打っている気になっている、慢心し、甘い考えになってしまった事に。
粗挽粉を生粉で打つと、何とわかり易い、少しでも水が足りないと、ビリビリとひび割れ、まるでおじさんの人生の様である。
おじさんは、単純で明解な粗挽きに、とても他人と思えない親しみと底しれ無い魅力を感じ、虜になったのであった。
『粗挽きおじさん誕生秘話~ヒィヒィィヒー編~』
おじさんは、考えている。粗挽きと言うけれど、どんだけ👆~、粗いのか、分かっていない事。
粗いことが、水回しにどう影響しているのか。
粉一粒に、水がどの様に、どの時点で、完全に入るのか、水がまわって、練り方は、打ち方は、
二八とどう違うのか。頭の中が「何故か」で、いっぱいになっている。
ふと、藤田会長会長から言われたひとこと、「四段合格しても、打たないと、腕が落ちる」と頭によみがえり、
よし、やるぞ!実に分かり易い。
おじさんは、思い出しているのである。‥そば粉に触れてあれから9年目、1119回打って来た、
~実は、おじさんは、コツコツなんでも記録が大好きな記録魔なのだ~
この3年で、684回、年平均228回、ほとんど粗挽きである。
しかし、上砂川名人戦に出て、北海道は広い、上には上がいるみちのりは、遠く、深く、まだまだ未熟のおじさんであった。トホホ。
おじさんは、調べ始めた。困ることがあると、やたらと本を読むくせがある。踏まれて、燃えるタイプ。(燃え尽きる場合がある。)
先人や人生極め人の声を聴きたくなるのである。~失敗を恐れるな~
なぜ、手がべとべとになるのか。手にそば粉が付かない方法は。なんでだろう~なんでだろう~。
付かないと言うことは、手につく前に、そば粉一粒一粒に、表面の水を浸透させれば、付かないのでは。
触るなのおじさんが新得方面にいたよな・・・・・・ほっとくか。そうか、ほっとくとなにやら固まったて来た。崩してみると・・・・・・これだ。
手につかない。ヒィヒィヒィヒィヒー。発見。面白い。実に面白い。
はっはっはっはっは。くっくっく。笑いが、‥‥止まらない。
待てよ。粉には、粗いのと細かいのがある、細かい粉に早く、粗い粉にゆっくりと浸透する。
粗いのは、どのくらいの時間がかかるのか。水の入れ始めが開始から2分、終了が8分30秒。6分30秒で水回し完了。
調べると、時間が足りない、次の練リの工程で、浸透するらしい。では、練リは、二八と違い、どのように練り込みをしたらよいのか。
練り込みは、空気を押し出し、水を押し出し、つやを出す目的でただし二八との違いは、せん断力を与えず、加圧に徹する。
そばに優しく、人にも優しく、真上から押さえる意識と鉢と練り玉の底のつやを出す意識が大切である。
おじさんは、考えています。形にこだわらず、決して、そば玉を切ってはいけないのである。
粗挽き粉は、そば打ちの原点、基本を見つめなおす、教科書といえるのです、是非皆さんも、粗挽きおじさんを目指してください。
おじさんは、楽しく、みんなで、そば打ちができ、美味しいそばがたべれればうれしいですね。
次回は、『そば料理おじさん誕生秘話』をお楽しみに!
※ 皆さんからの寄稿をお待ちしています。テーマは問いません。
“ そ ば 識 ” Part15
蕎道塾勉強会のおさらい・・・“そばつゆⅢ「出汁(だし)」”です。
1 出汁の材料
そばの出汁の材料は鰹節などの節類、昆布、その他干し椎茸など使われる。
これの組み合わせと煮出す時間などでお店や家庭の個性を出しています。
(1)節類:鰹節と雑節を総称する。魚を煮熟し、乾燥させたもの。
(2)昆布:真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布・・・etc
(3)その他:干し椎茸、野菜、鶏ガラ・・・他
2 節類について
鰹節の起源は不明だが、江戸初期には焙乾した土佐節(荒節)が作られはじめたと考えられています。
鰹節は製造面から「荒節」と「枯節」、形状面から「本節」と「亀節に分けられる。
本節はさらに「雄節(背身)」と「雌節(腹身)に分けられます。
荒節とは鰹を煮熟したもの(なまり節)を焙乾したものでタールが付いています。
このタールや脂分を落としたものが「裸節で、裸節に二番カビをつけたものを「枯節、三番カビ以上を「本枯節」と呼んでいます。
カビをつける理由としては、カビの働きにより節が充分に乾燥し、変質しにくくなり、うまみ成分のイノシン酸が分解されにくくなります。
また、脂肪分を分解するため脂焼けを防ぎ、清涼な出汁が取れます。
鰹節が普及しはじめたのは江戸時代中期で、関東では枯節、関西では荒節が好まれて、関東では枯節が好まれています。
節の呼び名は <鰹節:真鰹を原料> <雑節:宗田節、鯖節、鮪節、鯵節、鰯節など> <荒仕上節:二番カビで止めたもの>
<宗田節:丸宗田鰹を原料> <笹目近:宗節の小さいもの> <鯖節:ゴマ鯖を原料>
<鰯節:うるめ鰯、真鰯、片口鰯などの鰯類が原料。
小ぶりなものは煮熟されるだけの「煮干し」にされるが、中には節に加工されるものもある>
<鮪節:鮪の幼魚が原料> <鯵鯖:むろ鯵が原料> <ポックリ:頭と尻尾だけ落とされ、内臓は抜かずそのまま節に加工>・・・他いろいろあります。
次号は、“そばつゆⅣ「出汁その2」”です。
参考図書:「そば打ち教本」、だしの本(ハート出版)
第26回幌加内新そば祭り
第26回幌加内新そば祭りが令和元年8月31日(土)~9月1日(日)に開かれました。
今年の来場者は例年と同じくらいの4万人。当会が応援した「白樺」は、約3000食を販売しました。
昨年と比べると若干下回りましたが、1日目のゲリラ豪雨や2日目の午前の天気を考えれば、まずまずの結果になりました。
今年のそば畑は、昨年とは打って変わり見事な白い花を咲かせていました。このまま天気が続けば豊作を感じさせる初秋の幌加内でした。