食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

タクシー・ドライバー

2017-10-21 21:00:48 | 日記

「タクシー・ドライバー」を観返しました。 かつてベトナム戦争の兵士だった主人公(ロバート・デ・ニーロ)は、ニューヨークで深夜タクシーのドライバーになり、この都市にたむろする悲惨な階層の住民たちを見つめる証人となっています。 映画の前半、彼は、なにをしても成功しない、人生が完全にずれているという意識を自分にこびりつかせてしまっている、つまり、完全な強迫観念症に陥っている人物として演じさせられております。(ここで、あえて、他動詞を使いました) そして、後半の、あっと言わせる転換。 勝手な想像ですが、強迫観念症を患っている人間から、現実の世界の住人に転化できた、その瞬間が、まさに後半のストーリーだと考えます。 いずれにせよ、タクシードライバーに、都市の孤独という絶対的な症候群を象徴、投射させた、映画史に残る秀作・傑作であることに異論はありません。 それは、デニーロの迫真性の演技があってこそのものであることもまた事実であります。