「愛する妻よ、君に伝えたい」劉暁波氏が残した愛と平和のメッセージに世界は震えた(全文)
中国で民主主義と言論の自由の尊さを訴え続け、
ノーベル平和賞を受賞した
人権活動家の劉暁波(リウシアオポー)氏が、
7月13日に亡くなりました。
2009年12月のノーベル平和賞の授与式には、
出席がかなわなかった劉氏でしたが、
自らの裁判審理で読み上げるために記した陳述書
「わたしには敵がいないーー私の最後の陳述」が、
彼の死を機に、
もう一度世界の人々の目に触れることになりました。
その当時、
私はその陳述書は読まなかったのですが、
今回日本語訳の全文を読んで、
劉氏の人格と思想のすばらしさに、
圧倒されてしまいました。
特に胸打たれた部分は以下の文です。
憎しみは人類の知恵と良心を腐らせ、敵対意識は民族の精神を傷つけ、生きるか死ぬかの残酷な闘争を煽り、社会の寛容性と人間性を破壊し、1つの国家が自由と民主主義へと向かう道のりを阻むものだ。私は個人的な境遇を超越し、国家の発展と社会の変化を見据えて、最大の善意をもって政権からの敵意に向き合い、愛で憎しみを溶かしたい。
彼の死が、
「一粒の麦」となって、
彼が願ってやまなかった民主主義と言論の自由が、
近い将来中国にもたらされるようにと、
今一度祈らされたことでした。
そして、
憎しみと敵意を放棄し、
善意と愛で巨大な権力に立ち向かった劉氏に
敬意を払いつつ、
私も日常生活の中で、
彼の生き方に倣いたいとも思わされました。
少なくとも私たちキリスト者は、
「敵を愛し、敵のために祈りなさい」と言われた
イエスさまを知っています。
そしてイエスさまは、
十字架の道を歩み、犠牲の死をとげることで、
身をもって敵を愛する生き方を示してくださいました。
この劉氏の陳述書は、
私たち世界中のキリスト者にとっても
大きなチャレンジになったことでしょう。