五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ ヤングキングアワーズ 感想

2018年04月19日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

2018年5月号

 

 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら
 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら
 今月の『ナポレオン -覇道進撃-』感想はこちら
 今月の『ドリフターズ』感想はこちら

 表紙は、『無尽』より、伊庭八郎!
 ・・・ですが、いつもと装いが違っていますね。
 これが未来の姿と思うと、晴れやかであると同時に寂しい気分かも。

 また、ネットでは『僕らはみんな河合荘』の聖地巡礼の話題なども。
 「僕らはみんな河合荘」モデルとなった岐阜市が聖地巡礼マップを作成・配布
 

  

 『ますらお 秘本義経記』 (北崎拓 先生)

 知盛の計略による罠にかかった義経たち・・・

 ということで、攻勢から一転ピンチになり、さすが知盛といった周到さで、
 少数の義経軍は、多数の平家軍の前になすすべなし・・・ではあるものの、
 知盛にも焦る理由があるようで、このあたり気になる所でありました。

 そして、指揮官・教経の狙うは義経の首。
 菊王丸は義経の顔を知らないとのことで、その特徴を伝えられていましたけど、
 なるほど、これが誤認を生んで、別の悲劇へつながる布石になるわけですねえ・・・
 一方、捨て石とされた那須家ですが、それでも神器を届けようとする日々子さんも、
 どうなることかと気になります。

 

 『MUJIN』 (岡田屋鉄蔵 先生)

 伊庭八郎 vs 山岡鉄舟!

 こんな剣豪同士の勝負が拝めるとは・・・ということで、緊迫ムードが漂います。
 しかし、2人とも微動だにせず、互いに出方をうかがっていると思いきや、
 三橋先生によると、動かないまま戦いをイメージして“戦っている”状態だとか。

 ゆえに消耗激しく、山岡さんは汗をかき、八郎さんは汗をかかないものの限界近い。
 そして、鳥の鳴き声をきっかけに緊張状態は解け、一気に打ち合いを始める2人。
 その激しさにはすさまじい迫力がありましたけど、ついに決着!
 そんな試合の強烈さが印象深い内容でしたね・・・名勝負でありました。

 

 『鬼を飼う』 (吉川景都 先生)

 百鬼夜行、その行方は・・・

 アリスを傷つけた者を許さないという想いで、理性を失う鷹名くん。
 彼の血に惹かれてきた奇獣たちを、四王天さんたちが捕らえるなどしてますが、
 司くんは鷹名くんの止血を頼まれ、彼のもとへ向かうことに・・・

 その頃、鷹名くんは孤独にさいなまれ、呪われた身であることに悩んでいるようで、
 そこを奇獣に付け込まれていましたが、司くんがあっさり払ってくれたのは象徴的。
 鷹名くんが自分の身の上話をしようとしても、そんなこと関係ないと言わんばかりに
 許容してしまう司くんの友情には感服でしたよ! そして「試験」も面白かった。
 鷹名くんの優秀さと、彼の決意が、痛快かつ爽快に響きます。

 

 『アラサークエスト』 (天野シロ 先生)

 相変わらず、ハイライトさんの所に通うベアさん・・・

 まるでダメ男にハマるように彼をお世話しながら、充実している様子。
 彼を見ていると「私が支えてあげなくちゃ」って思うらしく、パーティメンバーは
 恋する彼女を見守りモードになっているのが可笑しかった。

 しかし、ハイライトさんの所には別に親しい(意味深)女性もいて、
 1度は彼を諦めるも、占いで挽回を示唆されただけで戻ってゆくベアさんが(^^;
 占いの言葉に執着してしまうのも、それだけ愛に飢えているというか、
 焦りもあるのでしょうかね・・・ そう考えると悲哀を感じずにいられません。
 まあ、結局は泣くことになりましたけど、これはこれで結果オーライでしょう。

 

 『絶滅酒場』 (黒丸 先生)

 今回のお客様は、地下アイドルでセンターしていたルーシーさん。

 「ルーシー」ってどこかで聞いた記憶があったのですが、最後まで思い出せず、
 ネタ明かしで「あ~」と納得でした(´▽`;) だって外見が人間そのものでしたし。
 そんな彼女が何者なのか? 気になる内容でしたね。

 無銭飲食を歌で解決しようとしたり、注文取りでは客との距離が近かったり、
 ママさんへの微妙な対抗心があったりと、厚かましいルーシーさんのキャラが
 面白味になっていましたけど、まさかここから、住み込み展開になるとは・・・
 それにも驚きましたが、やはりラストページのインパクトがすごかった!

 

 『マーチャンダイス』 (大石まさる 先生)

 今回は、車いすの老人エモンさんのお話。

 実は、宇宙海賊していた彼、今は娘さんのダンナに警戒されているのだとか。
 そんな中、孫娘エイラが誘拐されて、昔のツテを頼って情報収集することに・・・
 そしてラーテルさんも加わって、犯人襲撃! これで万事解決と思いきや?

 エモン&ラーテルの大活躍に燃えましたが、事件に裏があっての騒動には、
 やや心を痛める気分にさせられましたね・・・とはいえ、真犯人の前に
 まさかあの人が現れたのには、驚きつつも痛快すぎて、面白すぎでしたよ!
 自由を手に入れた真犯人の末路と、自由を失っても家族がいるエモンさん。
 その対比がお見事でありました。

 

 

 
 【最終回!】
●師匠シリーズ (原作:ウニ 先生/漫画:片山愁 先生)

 

 師匠がいなくなって・・・

 大学3回生の春、うに君の周囲にも変化があり、卒業した人たちの多くが就職して、
 オカルトフォーラムから足が遠のく中、うに君は変わらず大学で過ごしています。
 そこへ、なんと音響さんが1回生として現れ、「おばけの話」を相談しているのが面白い。

 音響さんによれば「夜の書」と呼ばれる本があり、夜に読むと奇妙なことが起きる
 ということらしく、暗闇の中でも読めるという点が、さらに不可解で引き込まれます。

 最初、関心の薄かったうに君でしたけど、音響さんが実際に読んだことを聞くと、
 少しずつ関心を示すような態度をみせていたのは彼らしいというか、良い感じでしたね。

 そして、「夜の書」対策を相談してくる音響さんに戸惑いつつも、
 師匠ならどうするかを考え、そのうえで、自分は違うやり方でもって対策を講じる所が
 彼の大きな成長を感じさせますし、何より、様になっているのが頼もしかった。

 その対策が正解か否かはわかりませんが、説得力がありましたし、音響さんも
 笑顔でお礼を言っていたのが清々しい・・・のですが、彼女の口から出た一言に、
 うに君が動揺していたのは、「師匠」の存在の大きさを思わせるものでした。

 それを感じさせる終盤の場面。
 メガネを外して眺める街の風景に、追ってしまう師匠の姿・・・

 メガネをかけることで「この世」に“戻って来る”うに君の心中に去来する切なさが、
 ラストの言葉に込められているようで、グッときちゃいましたね。

 などなど、師匠がいなくなってからのうに君の日常が描かれての最終回。
 まさに日常と非日常、その境目を平均台に乗るような危ういバランスで行き来する、
 そんな緊張感を伴うエピソードの数々が、毎回、引き込んでくれた作品でした。

 うに君の新しい物語など、いつか見てみたい気もしますけど、これにて完結。
 それにしても、歩くさんから受け取った「本当に危ない時に開け」るべき封書が
 とても気になりつつ・・・ 楽しませていただきましたー!

 

 

【最終回!】
●ゼロ エンジェル (麻宮騎亜 先生)

 

 完結4巻&「愛華が奔る」、4月28日・発売! ということで、最終回!!

 最後は、偽のゼロエンジェルとの戦い・・・ですが、
 愛華さんは公道を走ることを嫌がっていて、勝負も始まらない状態。

 しかし、そこで偽エンジェルは、愛華さんの車に対して卑劣な挑発をおこない、
 勝負を煽っている態度が、ドライバーの風上にも置けない人間であることを
 強く印象付けますね。

 なんて思っていたら、偽エンジェルのことを知る人間がやって来て、
 彼女のことを「天使の爪痕」と呼んでいましたが、それがおっちゃんだったのは
 何の因縁なのか・・・しかも、次元のおっちゃんと偽エンジェルは知り合いだったと。

 そんな流れの中、勝負を受けることになった愛華さん。
 おっちゃんも同乗して、結局、公道での戦いに挑むことに。

 といった内容でしたけど、愛華さんとしては偽エンジェルの戦意を喪失させるような
 走りを見せねばならず、かなり困難な目的にも思えて、より緊張感が高まります。

 しかも偽エンジェルは、公道を荒らすような危険な走りで愛華さんを挑発し、
 一歩間違えれば死すらあり得る状況での、万能感ゆえの愚かさを見せつけるかのよう。
 死を意識していないというか、見えていない視野の狭さが、もどかしいですね。

 そして、極限状況での決着が、とんでもない形でついていて、
 愛華さんの凄味と怖さを感じさせる流れになっていたのは、むしろ痛快でありました。
 身を挺した教訓を、偽エンジェルに与えていたのは効果的でしたけど、恐ろしかった。

 などなど、偽エンジェルとの公道勝負が描かれた最終回。
 本作は、公道でのレースを描きつつ、その危険性から目をそらさず、
 時にスピード以外の勝負方法で、楽しく走る様子を見せてくれたのはよかったですね。

 今後、愛華さんはどうするのかわかりませんけど、やはり公道から離れるのでしょうか。
 それでも、どこかで走る彼女を見てみたい・・・と感じつつ、楽しませていただきました!

 

 

【コミックス6巻、発売中!】
●聖骸の魔女 (田中ほさな 先生)

 

 牙をむく敵の正体は・・・

 「師父」ベルビデロさんらと共に、石棺開けに挑む二コラくん。
 しかし、魔女の聖骸を入れた石棺は見つからず、途方に暮れています。

 ベルビデロさんによれば、浄皇さんは負けず嫌いで、
 「遊戯の相手としては厄介だった」とのことですが、それは裏を返せば
 浄皇さんは手ごわいということで、むしろ良い事のようにも思えますね。

 そのため、ここに「正解」はないのでは? なんて疑惑も出てきますが、
 全ての石棺を開けたことで地下墳墓の仕掛けが作動し、ついに浄皇が
 姿を現すことになりますが・・・?

 彼女が待っていたのは二コラくんだけ。
 ベルビデロさんの登場には、意表を突かれたようで、はたして誰が敵なのか?
 と気になる展開となっていました。

 結局の所、二コラくんがピンチに陥ることで、敵はハッキリしましたけども、
 そこで見られた浄皇の人間味は、エゼルさんも「かわいい」と評するもので、
 なかなかよろしかったですね。

 そして、二コラくんのピンチに動くエゼルさんの機転が痛快!
 これには敵もしてやられたようで、エゼルさんグッジョブでありました。

 それにしても、敵はなぜ二コラくんを欲していたのでしょうね。
 「調停者」としての役割を担わせたいようですが、はてさて・・・
 と気になりつつ、ここから反撃ということで、今後も楽しみです!

 

 

【4月23日、コミックス3巻・発売!】
●真・一騎当千 (塩崎雄二 先生)

 

 大和武尊(やまとたける)・・・

 冒頭、手を鎖でつながれ、裸になっている人物が何やら薬を打たれていますが、
 まさかそれが大和武尊だとは。

 伊勢神宮で舞っている姿は静かで、どこか凄味を感じさせはするものの、
 「華奢な女性」であり、「これだけ知られ恐れられている」とは思えないほど。

 ところが、鎖につながれていたのは「残虐性ゆえ」と言いますし、
 薬で意識を朦朧とさせているというから、徹底しています。
 それだけ恐るべき存在ということでしょうが・・・

 卑弥呼の刺客としてやって来ていた伐折羅さんでしたが、
 大和武尊の力を見せつけられ、はたしてどうなることか、気になる展開。

 一方、卑弥呼の要請を受けた鞍馬山では、弁慶さんが要請を拒否。
 と思いきや、義経さんは卑弥呼はどうでもいいけれど、曹操への執着ゆえに
 参加を考えていたのは、曹操との再戦を期待させる要素でした。

 が、ここでまさかの襲撃!?
 弁慶の前に現れたのは・・・ え?もう来たの?? と驚かされましたね。
 はたして、彼の目的は何なのか? 嵐の予感におののきつつ、今後も楽しみです!

 


◆ 今月のドリフ

2018年04月17日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年5月号より

 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら
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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ドリフターズ (平野耕太 先生)

 

 決死の殿。

 敗色濃厚となる中、殿(しんがり)を務めることとなった総大将・島津豊久。
 彼に従うは、命知らずのドワーフたち・・・という状況でしたね。

 敵陣ど真ん中への突撃を、笑顔で宣言する豊久。
 「(殿が)前へ!?突進すんのか」と驚くドワーフたち。
 それでいて、豊久と同じように笑っているのは、頼もしい。

 黒王軍は、軍の大きさの割に、侍大将(一軍を率いる指揮官)の数が少ない。
 ゆえに、総大将である黒王を狙えば、全軍が自分たちに集中して攻撃してくる。
 そのスキに、自軍の主力である信長たちを逃すことができる・・・

 と述べる豊久の戦い方は、理にかなっていて納得できる凄味があります。
 島津の軍法は今際の際までやけは無い、とも言っており、単なるやけくそ突撃とは
 わけが違うというのも、狂気の中の理を感じさせますね。

 

 

 

 己の死すら、高らかに・・・

 自分たちは死ぬことを分かりきっている殿部隊。
 それでも豊久は、信長が逃げた後で勝ってくれるから問題ない、
 百代末まで語り継がれるだろう、なんて言っているのが面白い。

 ドワーフたちは、吟遊詩人が自分たちの歌を格好よく作るかのうと述べ、
 やはり嬉しそうな所に、悲壮感など微塵も感じさせない“前向きさ”がうかがえます。

 そして、突撃!
 鋒矢の陣を組み、黒王の本営めざして突進を始める豊久たち。

 「鋒矢」は矢印型で、強力な突破力を持ちますが、防御力に難のある陣形ですね。
 すなわち、ただ突撃するためだけに組んだ陣形で、守ることは考えない。
 まさに決死の覚悟で放つ最期の一撃を思わせます。

 だからこそ、凄まじい威力を発揮!
 側面にも後方にも目を向けず、次々と敵を討ち倒し、ただただ前へ突撃あるのみ。
 それを「晴れ舞台」と言ってのける豊久の笑顔の、なんと痛快なことか!

 続くドワーフたちも、若干引き気味ながら、豊久の狂気に引っ張られるように
 大笑いしてますが、「なんでおめえドワーフに生まれなんだ」とか言っているのには、
 声を出して笑ってしまいましたよ。

 

 

 

 土方歳三が見るものは・・・

 そして、そんな豊久たちの突撃を眺める土方さん。
 彼が思い浮かべるのは、彼にとって最期の地である函館での戦いの風景・・・

 負け戦となり、脱走兵が出る状況、怖じ気づく面々に、発破をかける場面。
 逃げ場などない、ここを死に場所と思うべしと語る土方に対する反応は、
 「ついていけない」「戦さ狂い」「お前に殺される義理など無い」といったもの。

 「いつまで新選組気分だ」とまで言われ、彼について来る者のなかったことが
 描かれていて、土方歳三の無念を思わせます。

 ゆえに、敗軍の将であるはずの島津豊久、その決死の突撃について来る者がいる
 という事実だけでも、彼にとっては大きな衝撃だったのではないでしょうか。

 ラストの言葉に、敵である豊久に対する真っすぐな想いを感じてしまいます。
 それは、武士への憧憬の念と重なっているようにも見えて、切なくなりますね。

 などなど、ついに始まった豊久による決死の突撃。
 これで信長たちは逃れらるのか? 豊久たちは黒王に迫れるのか?
 そして、その命運や如何に? ・・・と気になりつつ、今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


◆ 今月のナポレオン

2018年04月16日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年5月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

 

 ナポリ王ミュラ!

 ダヴーの負傷で浮足立つ兵士たちでしたが、そこへミュラがやって来て、
 兵士たちに一喝し、指揮を執ることを宣言していたのは、さすが。

 兵士たちは、ミュラのことを「クソ野郎」と認識しつつも、なんで
 「戦場でだけこんなに格好いいんだよ」と、彼のカッコよさを認めているのが面白い。
 おかげで兵士たちも落ち着きを取り戻し、ロシア軍に対抗できるようになった様子。

 そんな感じに、混乱につぐ混乱の戦場でありますが、
 両軍ともに損害を出しつつも、決定打の出ていない状況で、混迷を深めるばかり。
 出口の見えない戦いは、どこへ行きつくのか気になる展開となっていました。

 

  

 

 ロシア軍の動き。

 クトゥーゾフは、ラヴァーロフの進言を受け、無防備なフランス軍左翼への攻撃を命じ、
 騎兵で回り込んで、直接ナポレオンを攻撃することを企図します。

 その動きを察知したナポレオンも、「こちらの弱いところ」を攻められたと考え、
 即座にグルーシの騎兵に迎撃するよう指示。

 第3軍団予備騎兵を率いるグルーシは、表情も変えず、ひたすら落ち着いた風情で、
 向かってくるロシア騎兵を、ただ冷静に斬っていたのが凄味ありましたね。

 エマニュエル・グルーシ。
 後にどのような行動をとるかを思うと、この機械のような描き方は納得かもしれません。
 ある意味、ナポレオンに忠実過ぎる男といえるのかな・・・

 おかげで、ロシア騎兵を撃退できはしましたが、この襲撃に衝撃を受けたナポレオンが
 近衛兵を温存する方針に傾いたことは、大きなマイナスだったかも?
 と思わせる流れになってゆくのは、不吉でありました。

 

 

 

 大角面堡を攻めていたネイ元帥・・・

 しかし、その堅固さは圧倒的で、ネイも「死を撒き散らしてやがる」と、
 大角面堡を落とす困難さを噛みしめています。

 それでも「行くしかない」と決意を固め、前進を命じますが、
 やはり尋常でない敵からの攻撃を受け、大きな被害を出しているのが厳しい。
 そして、あと一押しという所まで迫った所で、皇帝に近衛軍投入を進言しますが・・・

 ロシア騎兵の動きを警戒したナポレオンは、近衛軍を温存する方針。
 これにはさすがのネイも、帽子を地面にたたきつけるほど激怒して、
 「皇帝はもう将軍じゃない」と叫んでいたのが、痛烈でしたね。

 つまり、戦場では役に立たないから宮殿に帰ってろと批判しているわけで、
 それだけナポレオンへの不信感が高まっていると察せられます。

 ボロディノの戦いにおけるナポレオンの采配に、諸将が疑問を持っている
 と考えると、今後の皇帝への態度の伏線ともいえるかもしれませんね。

 

 

 

 コランクールの騎兵。

 馬事総監・コランクール公の弟であるオーギュスト・コランクール。
 戦死したモンブランに代わって、騎兵第1軍の指揮を執ることになりますが、
 この激戦、死を覚悟しているようなことを兄に告げているのが悲しい。

 兄は「死を願っているように聞こえるぞ」と叱るものの、
 弟は「予感がするんです」と、達観した物言いで不安が募ります。

 「生き残ったら会いましょう」と言葉を残し去るオーギュストさんでしたが、
 ミュラ元帥から、大角面堡を後方から襲うという決死の任務を与えられることに。

 よどんだ空気に包まれる兵士たちだったものの、そこでオーギュストさんが
 「モンブラン将軍の報復に行く!」と告げたことで、騎兵たちの雰囲気が変わったのは
 さすがと言うべきなのでしょうかね・・・

 そして、大角面堡への決死の突撃。
 その中で、オーギュストさんも命を落としていたのは、戦いの苛烈さを感じさせます。

 彼の活躍が、大角面堡を落とすきっかけだったとも言われることがありますが、
 別の部隊が落としたという話もあって、ここでも明確には描かれていないのは、
 興味深い所でありました。

 

 

 

 積み重なる死・・・

 激戦に次ぐ激戦、続々と死んでゆく兵士たち。
 無慈悲な状況におののくロシア兵セルゲイさん。

 「逃げ場なしだ」「俺たちは全員」「ここで死ぬ」
 死にたがっていたセルゲイさんも、死が迫っていることを感じては、
 やはり穏やかではいられない様子で、それほどの苦境であると察せられます。

 転がる死体の山が、あまりにあまり過ぎて、地獄絵図。
 しかし、それだけの激戦の結果、大角面堡が落ちたかのようにも見えましたが、
 はたしてどうなったのか?

 などなど、ボロディノの戦いの過酷さを、ひしひしと思わされる今回。
 大角面堡は落ちたのか? 損害は? これでフランス軍は勝利を得られるのか?
 と気になりつつ・・・ 今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


◆ 今月の河合荘

2018年04月15日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年5月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●僕らはみんな河合荘 (宮原るり 先生)

 

 今回の主役は・・・愛美さん!

 「瀬戸係長」と呼ばれていますが、もともとは課長だったらしく、
 親会社に吸収合併されて、今の立場になっているとは何とも複雑な気分。

 それでも、現在の課長さんの無茶ぶりにも対応する愛美さん、社会人の鑑ですね。
 また、女性陣には大いに尊敬・支持されているようで、人望があることもわかって、
 愛美さんの会社での立場への理解が深まります。

 それにしても愛美さん、33歳なんですね~。
 本人は「数え年だから32」と言い張ってますけど(^^;
 今回は、そんな愛美さんのお話になっていました。

 

 

 

 社会の波にもまれつつ・・・

 現在の課長さんに仕事を押し付けられつつ、そのことを忘れたかのように
 ふるまわれても笑顔で対応し、下心ありげに食事に誘われても上手くかわして、
 色々と心労が積み重なってそうな様子。

 そして、誉め言葉をかけられても「等しく毒を感じてしまう」というのは、
 よくわかる心の動きですねえ・・・正直、共感してしまいます。
 皮肉か何かと受け止めることが多くなったりしますし(ぇ

 「人の機微に聡い大人になったのか」「大人気なく退化してるのか」
 なんてセリフにも、悲哀を感じてしまいますね。

 

 

 

 泣きっ面に蜂。

 そんな風に落ち込んでいる所、愛美さんにさらなる不運が・・・
 住んでいるアパートで出火があって、帰れなくなっていたのは気の毒すぎ。

 そこで、実家に連絡していますが、弟夫婦に子供が生まれて忙しそうな中、
 それでも母上は帰って来なさいと言ってくれたものの、愛美さんは配慮して断り、
 さらに友人や会社関係の人も、頼れないと考えています。

 「キャリアを積んでも」「こんな時に一人にならない」「方法が見つからない」
 という言葉から、彼女の微妙な孤独感が漂ってくるかのよう。

 なんて、しんみりムードな愛美さんの所へ、誰かからの連絡が。
 ふたたび母上からと思った愛美さんでしたけど、そこから聞こえてきたのは・・・

 

 

 

 愛美さん、河合荘へ・・・

 麻弓さんからの連絡を受け、愛美さんが泊まる場所が見つかったと考えていたのは、
 それだけ麻弓さんが、気安く付き合える間柄だからなのでしょうね。
 孤独も癒されるというものです。

 出迎えてくれたのは、宇佐くんと住子さん。
 そして食事をとりながら、ほぅ…と一息つく、愛美さんの様子がよかった。

 さらに、住む場所が決まるまで、空いてる部屋を間借りできることになりますが、
 はじめ遠慮した愛美さんに、住子さんが「心配するのって辛いの」と、
 恩を着せない言い方で、愛美さんの心をほぐしていたのが好感触でありました。

 それにしても、宇佐くんと部屋シェアしている人がいて、
 カナダに短期留学中と言っていましたけど、これってシロさんではないですよね?
 話を聞いていると、麻弓さん男バージョンみたいな感じですけど、どんな人なのか(^^;

 それから、河合荘の生活に触れながら、そのあたたかみを感じる愛美さん。
 生活用品を買い込んで疲れて帰って来ると、「おかえり」と迎えられ、
 食事も用意され、皆で食卓を囲む暮らしの中、笑顔になってゆくのが微笑ましい。

 

 

 

 律さんも・・・

 今は河合荘を出ている律さんも、時折やって来ているようで
 愛美さんと顔合わせしてますけど、互いに話を聞いているから
 初対面という気がしないというのは面白い。

 ちょっと大人っぽくなっている律さんですが、これまで長い髪の毛だったようで、
 そちらのバージョンもじっくり見てみたかった気がしますね(ぇ

 しかし、何よりアレだったのは、宇佐くんが律さんのこと
 「律」って呼んでたことですよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 ナチュラルに「律」って、「先輩」じゃなくて「律」・・・まじかー。
 前回は「先輩」付けてたんですよ、それが呼び捨て。
 「『先輩』はもうやめてって言われてる」とは言ってましたけど。

 一体2人に、どんなやりとりがあってそうなったのか、気になりますね。
 あの宇佐くんが、そう簡単に「律」なんて呼ぶわけないでしょうから。

 まあ、それはともかく、椎名さんは宇佐くんと同じ大学へ行ったらしく、
 どうも律さんは、いまだ彼女の存在に振り回され気味でもあるようで、
 そのあたりは変わらないな~と、ちょっとだけ安心感。

 この場面だけで、色々と現在の状況が伝わって来るのは嬉しい所でしたが、
 宇佐&律のイチャイチャ(?)っぷりを眺めて、生温かい視線を向ける
 麻弓&愛美さんは愉快でありました。

 

 

 

 話題はシロさんへ・・・

 そして、お酒の入った愛美さんが、あれこれ愚痴り始めると、
 他の皆がフォローする中、麻弓さんだけは違ったことを言っていて、
 そのあたりは興味深い内容でした。

 今まで勝ち組だった愛美さんは、自分に自信があるから人の言葉に流されず、
 幸せだから人と比べなかった「ナチュラルに上から」だという話。
 これは、納得できちゃいますねえ・・・

 しかし、そんなこと言われて黙っている愛美さんでもなく、
 受けて立っている所は痛快でしたけど、宇佐くんと律さんから
 「愛美さんも」「なかなかの…」なんて思われていたのは、可笑しかった!

 そこから、話はシロさんのことになるも、軽く挑発された麻弓さんが、
 いきなりシロさんを呼びだすと言い出して・・・

 なんて感じに、愛美さんが河合荘へやって来るという話になっていた今回。
 キャリア女性の世知辛さを感じさせる内容と、現在の河合荘などなど、
 面白い話が色々でありました。

 どうやら次回は、シロさんも加わって、にぎやかになりそうな気配。
 愛美さんが河合荘にいる中、どのようなやりとりが繰り広げられるのか。
 彼と麻弓さんとの関係や、今の状況など、色々と気になりつつ、今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


◆ 今月のアルペジオ

2018年04月14日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年5月号より
 
 
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●蒼き鋼のアルペジオ (Ark Performance 先生)

 

 裸の群像・・・

 アドミラリティ・コードの出現と、群像の復活。
 前回、様々なことが起きて驚きの連続でしたが、今回は2人の会話が色々興味深い。

 グレーテル・ヘキセ・アンドヴァリと名乗ったアドミラリティ・コードは、
 そのまま謎めいた言葉を、目覚めたばかりの群像にかけていますけど、
 まずやったことが裸の彼に服を用意することだったのは、少し面白かったかも。

 しかしこの服装、幼いイメージがあって、「グレーテル」に対する「ヘンゼル」を
 意識しているのかな? なんて考えたりも・・・考えすぎかな。

 そんな感じに、グレーテルと群像のふれあいが興味深い内容になっている今回。
 謎は深まるばかりでありながらも、物語の核へと迫っているような雰囲気も
 感じられましたね。

 

 

 

 ハシラジマの軌道エレベーターへ・・・

 グレーテルさんに誘われて、「グンゾウ」ことショタ群像と共に行く群像。
 人類が創り上げた軌道エレベーターに、グレーテルさんも驚いているようですが、
 それは人類の発展速度に対する驚きの様子。

 その際、「私の意識がまどろんでいた1世紀程度」と言っているのも気になる所で、
 この期間、アドミラリティ・コードはどのような状態にあったのか、
 それによって“霧”は放置状態だったのかなど、考える余地はありそうです。

 

 

 

 魂の鋳型。

 そして2人の話は、ショタ群像=グンゾウに及び、彼の存在について
 グレーテルさんが語っていましたが、これは驚愕でありました。

 彼は群像のクローンであり、本体から意識を移すつもりだった・・・
 という想像は当たっていたようですけども、その意識、魂というべきモノを
 移し替えようとしていた話の内容は、たいへん興味深い部分でした。

 グレーテルさんによれば、そんなことは不可能とのことで、
 コンゴウ様とチョウカイさんらが、その不可能をわかっていなかった
 という点が、“霧”の限界のようなものを感じさせてくれます。

 さらに、グレーテルさんの語る所では「精神にも肉体と同じように鋳型がある」
 なんて話があり、肉体の鋳型がDNAで、精神にもそれに該当するものが存在する
 ということで、このあたり、なかなか引き込まれるSF的要素になっていますね。

 こうした分野に詳しくないのですが、実際に物理学の面から
 「魂の鋳型」に迫る研究とかあったりするのでしょうかね?

 それはともかく、グレーテル先生の言葉では
 「他次元時空の狭間にあるベールを」めくらなければ、
 魂の鋳型についてはわからないらしく、人類にはまだまだ遠い領域のようで(^^;

 

 

 

 創られた命・・・

 本来、魂の鋳型は母と父から少しずつ受け継ぐとのことですが、
 群像のクローンであるグンゾウは、群像の鋳型しかもらえていないらしく、
 それで自我を得てしまったのは「驚くべき事」であるのだとか・・・

 いわば、メンタルモデル達を「母」に、群像を「父」に誕生した
 「新しいタイプの生命体」がグンゾウであるというのは、確かに驚きであり、
 その重大事が、アドミラリティ・コードを動かしたのも納得であります。

 このあたり、人類が創り上げたデザイン・チャイルドと比較すると、
 どれだけ異なるのか気になりますが、あちらは「魂の鋳型」については完全で、
 結局は人類の延長上にある者ということなのでしょうかね。

 

 

 

 予言と、忠告と・・・

 そして、グレーテルさんも「自分が人間だと思っていた」と衝撃発言。
 だとしたら、いつ自分がそうでない者だと気付いたのか、
 そのきっかけは何なのか、それからどうしたのか等々、気になること色々です。

 それから、彼女が群像に残した言葉は、まるで予言のごとし。
 「主は永く戻らない」というのは、たとえば創造主、神のごとき存在はいない
 ということでしょうか? 「永く」とあるのが、永遠を思わせて不吉です。

 「古の盟約だけが残され、全てが曝される時が、もうすぐそこにまで迫っている…」
 これは最初の命令なり何なりが、主人不在で残されているだけということか?
 そして、それが白日の下に曝される時が近づいていると・・・?

 その結果、全てが試されることになる。
 人類に対して、剪定がおこなわれるとか、そんな感じですかね?
 アドミラリティ・コードとは、“神”の残した人類への剪定機なのでしょうか。

 謎が深まりつつ、グレーテルさんの従える6つの球体から噴き出すものが、
 6つの翼のように見えたのは、彼女が天使長ルシファーであるかのように思えて、
 天使と悪魔どちらにもなり得る存在であると、暗示しているのではないかと邪推。
 (ルシファーは12翼とも言われますが、6翼という話もあるので)

 また、群像が軌道エレベーターの上部で見た景色は、今後の人類の先行きを
 感じさせるものだと考えるのは、過ぎたる思考でしょうかね。
 “新たな海”へ漕ぎ出す日が、これから来ることがあるのかどうか・・・

 などなど、グレーテルさんとの邂逅から、様々な話が興味深かったお話でしたが、
 群像が目覚めたことで物語はどう動きだすのか? グンゾウの存在は何をもたらすか?
 諸々が気になりつつ・・・ 今後も楽しみです!

 

 

 

 今月のアド探~!

 いよいよ、アシガラ&ハグロの艦体も復活して、ナチさん捜索へ・・・
 と思いきや、ナチさんが沈められた座標がわからないらしく、グダグダに(^^;

 ミョウコウさんがナチさんの航跡を追えなくなったのは、戦闘中のアクシデントで
 やむなしですが、アシガラさんはどう考えても個人のミステイクなので、
 どんどん彼女の株が下がってゆくのが可笑しかったですね。

 そして困った姉妹が頼った先が、まさかのイオナさん!?
 そこで裏取引(?)がおこなわれてましたけど、いいのかアシガラさん!
 キミ、腐っても“霧”所属じゃろうに・・・

 これに対して、ミョウコウさんがどう出るのか、かなり気になる引きでしたね。
 まあ、いずれにせよ、ナチさんの捜索は、まだ先ということになりそうで(´▽`;)

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想