感動的な、思わず胸が熱くなるように思いにかられる原田マハさんの連作短編集です。「芸術新潮」2016年5月~8月号連載。
物語~溶接工のウィルは、自動車産業の斜陽化で突然レイオフされてしまう。妻のジェシカは「私にまかせて」と笑顔で働きだすが、一つだけ願いがあるという。それは、二人で是非、美術館へ友人に会いに行きたいのだと。その友人とは、セザンヌ夫人であり、他の多くのアートだった・・・。
2013年、米国デトロイト市は財政破たんをきたし、年金債務等に充当するためセザンヌやゴッホなどの高価なアートを売却すべしとの声があがる。しかし、アートは市民のものと、愛好家たちは知恵を出し合い協力してこれを阻止する。
たった4話104頁の小冊子なのだが、拝見していて思わず胸があつくなった。何も、長大で複雑な物語だけが読者を魅了するものではないことを知った。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)