【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ヘアスプレー」:渋谷駅西口バス停付近の会話

2007-10-20 | ★池86系統(東池袋四丁目~渋谷駅)

あれ?渋谷で有名だった三千里薬品のネオンが、いつのまにかどこにでもあるような屋外広告スクリーンに変わってる。
時代の変化だな。昭和は遠くなりにけりってな。創業40年ていうから、店自体は1960年代からあるってことだ。
ヘアスプレーはいまでも売ってるわよね。
たぶんな。でも、どうして?
いえ、アメリカ映画の「ヘアスプレー」も、1960年代を舞台にしたミュージカルだったなあと思って・・・。
1962年のボルチモアが舞台になっている。バリー・レビンソン監督の名作「わが心のボルチモア」に描かれた町だ。
あれはよかった。アメリカンドリームを信じて移民してきた一家のつつましい物語だったわね。
開巻、いきなり町並みが映されて「グッド・モーニング・ボルチモア」っていう歌で始まるから、うかつにもあの名作が頭の中によみがえってしまって、感慨無量だった。
アメリカ人なら、この映画の隅々にまであふれている1960年代の風俗を懐かしく思い出すんでしょうね。
日本人が「Always 三丁目の夕日」を観て昭和30年代を懐かしく思い出すようなもんなんだろうな。
太った女の子がそれをハンデにもせず、地元のアイドルになっていくという物語は単純で、肩ひじ張らずに楽しめたわ。
とはいっても、古き善きアメリカ、といいながら、黒人はまだまだ差別されている当時の社会背景もきちんと押さえられていた。デブってことで差別されている白人の女の子が音楽を通して黒人と仲良くなっちゃって、結局人種の垣根を壊していく。人間なんて、姿形も肌の色も関係ないじゃない、なんて、なかなか痛快なメッセージだ。
それを深刻に描くんじゃなくて、ミュージカル・コメディとして軽やかに描くから、観ていてとにかく楽しい。
あの主人公の女の子、あんなにいつも踊りまくっているのに、どうしてやせないのか不思議だけどな。俺には、ビリー・ザ・ブートキャンプの何倍もエネルギーを使っているように見える。
遺伝じゃないの?お母さんも同じように太ってる。
お前の家系と同じってことか?
でも、私の母親はジョン・トラボルタじゃないけどね。
そうそう、デブの母親をジョン・トラボルタが演じていて、これが予想以上にはまってる。
みごとに太った中年女性になりきっていて、しかも昔とったきねづかの踊りまで披露している。
トラボルタ・ファンなんていまどきいるかどうか知らないが、数少ないファンにとっちゃあ感涙ものだ。「パルプ・フィクション」以来の当たり役なんじゃないか。
それもそうだけど、とにかく太った女性が勇気をもらえる映画よね。君はそのままで十分美しいんだよ、と言われているみたいで、ほっとするわ。
とくに、アメリカ人は半端なデブじゃないからな。ヒットした要因のひとつかもな。
三千里薬品でやせる薬でも買おうかなと思っていたけど、やめたわ。
うーん、お前の場合はやめないほうがいいと思うけどな。


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渋谷駅西口バス停



ふたりが乗ったのは、都バス<池86系統>
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