ビンゴ



D3X + AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED

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ある新年会に顔を出した。
そういうのは苦手で、なるべく参加しないようにしていたが、立場上そうもいかなくなった。
目立たないように隅のほうに座って、ほどほどの時間になったら退散しようと思っていた。

ところが会場で話好きのUさんにつかまった。
後ろの方で隠れていようと思ったが、紹介するからと言って、Uさんに来賓の議員さんたちの前に引っ張っていかれた。
仕方なく地域のお偉方に名刺を渡して挨拶をした。

着物姿のコンパニオンたちが入場してきて、ひとりひとり手をついて挨拶する。
よく知らないが、そういうしきたりらしい。

目の前のお刺身をつまんで、退出するタイミングを計る。
とはいっても、まだ会が始まったばかりだから無理がある。
女性が横にやってきて、お酒を注いでくれる。
当たり障りのない会話をする。

余興のビンゴゲームが始まった。
どうやら出るタイミングを逸した感じだ。
これが終わったら、目立たないように部屋から出よう・・と思いながら、渡されたビンゴのカードを手に、読み上げられる数字をめくっていく。

面白いもので、経営者ばかりの集まりだからか、こういう数字には誰もが敏感に反応する。
酔っているように見えて、数字を聞き逃さずに、確実にめくっていくのだ(笑)
僕のビンゴのカードは、困ったことにスムースにめくられていき、ほとんど最短に近いタイミングで、あとひとつで一列揃う状態になってしまった。

次の数字が読み上げられた時、僕より先に、隣で僕のカードを覗いていたUさんが大声を上げた。
「ビンゴ! ○○さんはもうビンゴになった!」
部屋中の皆の注目が僕に集まる。
僕は何も言えずに立ちすくんでいた。

僕ともう一人、その日来賓で来ていた一番偉い議員さんがビンゴになった。
二人揃って、ステージに上がり拍手を浴びた。
困ったなと思いながら、僕はティーカップと書かれた商品の箱を受け取った。
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