鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその983~愛すべきハズレ本

2014-11-29 13:18:41 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、愛すべきハズレ本です。

最近読んだハズレ本2冊をご紹介します。
著者には申し訳ありませんが、どちらも期待外れでした。
ただ著者の熱心さは痛いほど伝わってきました。
決して手を抜いて書いているのではなく、私の期待とはベクトルが違っただけ。
そのため「愛すべきハズレ本」としてご紹介します。


①溝口優司著「アフリカで誕生した人類が日本人になるまで」

国立科学博物館の人類研究部長である著者が、形質人類学から日本人のルーツを探ります。
本書は新聞の書籍広告の見出しが目につき、購入した本です。
そこには「発行から3年で10万部に達した」というようなことが大きく書かれていました。
3年で10万部って多いんですか?
本は読む方ですが、10万部の価値ってよくわかりません。
でもきっと見出しになるくらいすごいことなんだろうと想像し、興味がわきました。

ところがところが本書で知って心に残ったのは一つだけ。
「ユーラシア」の語源が「ユーロ(欧州)」&「アジア」、つまり「ユーロ&アジア」。
ということだけでした。

以前、ミトコンドリアDNAの解析により、人類はアフリカに生まれた女性の子孫であり、そこから世界に広まったことが判った!というニュースを聞いたときは衝撃的でした。
それに比べ本書の形質人類学はいかにも地味。
地圧で変形した頭蓋骨を補正して形質特性を拾い出し、人類の歩んだ経路を探ることは、大変な作業だとは思いますが素人を驚かす派手な発見がなくDNA解析の結果を後追いで補強しただけなのは残念。
もっと新発見があることを期待していただけに残念でした。


②唐沢孝一著「カラスはどれほど賢いか都市鳥の適応戦略」

本書は、発行が1988年といささか古いですが、数あるカラス本の中でも名著といわれているので選びました。

まずはアマゾンの内容紹介を引用します。
=====
都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって積極的に都市に進出する鳥群が観察される。
その頂点に君臨するのがカラス集団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが熾烈に進行中なのである。
本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。
=====

本書で知ったこと。
・「ねぐら」を一文字で表す漢字がある。 → 「塒」
・住宅地でよく目にするスズメ・ハト・ヒヨドリなどの野鳥たちは、カラスから身を守るためにわざと人の近くで暮らしている。
・カラスは都市の生態系で人の次に君臨する準王者。
・都市カラスは食物確保が容易なので余暇(遊び)を楽しむ時間が多い。
・カラス撃退の決め手はない。
・カラスは人に嫌われるが、地球環境に悪影響を与える人類ほどは悪くない

本書は、身近な嫌われ者カラスを理解し有効な対策をたてるヒントにしようと思って読みました。
しかし四半世紀前に書かれた内容の多くは現在では周知の事実。
著者ら研究者の啓蒙の成果ともいえますが、おかげで本書を改めて読むまでもなかったと残念に思いました。
またどれほど研究が大変だったかに多くの紙面を割いており、肝心のカラスの賢さを述べる部分が少なかったことも不満でした。
とりあえず苦労して基礎研究している著者に対し敬意を表します。

最後に。
これまで自分を「地道な苦労は正しく評価すべき」という考えの人だと思っていましたが、今回の2冊で派手な成果しか評価しない人だと気づき反省しました。

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お気に入りその982~竹鶴政孝パート269

2014-11-27 12:49:01 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート269、ザ・ニッカ12年です。

80周年を記念して発売された「ザ」という冠をいただいたウイスキーが2種類発売されました。
ニッカファンとしては両方味わいたいのは山々ですが、50万円の「ザ・ニッカ40年」には到底手が出ません。
という訳で「ザ・ニッカ12年」だけを味わうことにしました。

アニバーサリーに販売を開始した新たな定番。
ならば5000円という価格にみあうコストパフォーマンスがあるはず。

パッケージやボトルのデザインは確かに重厚です。
さて味わいは?

70周年のときの「ザ・ニッカウヰスキーピュアモルト35年」は絶品でした。
芳醇な香りはそれだけで30分は楽しめる高いレベルの仕上がり。とても感動したものです。

今回の「ザ・ニッカ12年」はブレンデッドウイスキー。
「しっかりした熟成感とメローなコクがとけあい、心地よい余韻へと続く」といううたい文句がそそります。

HPのテイスティングノートは次の通り。
「香り」
豊かなモルト香と、果実やブーケのような華やかな香り。
バニラやキャラメルを思わせる、甘い樽熟成香。
「味わい」
まろやかでスムースな口当たり。
しっかりとしたモルトのコクと、カフェグレーンのやわらかな甘さが調和した、軽やかで伸びのある味わい。
「余韻」
カカオやクッキーのような甘く豊かな芳香が、微かにスパイス、ビターを伴い、心地よく続く。

早速グラスに注ぎました。
まずは香り。
確かに甘い香りですね。
複雑な香りをかぎわけられませんが、この系統は大好きです。
もう少し広がりが欲しいところですが、そこそこ満足。
さて次は味わい。
一口含んで驚きました。
あまりにスムースに舌の上におさまるのです。
43度を感じさせないほど軽やかに甘さが広がります。
このおさまりの良さは、先週味わったシングルカスク余市5年と大違い。
もっとも余市5年は61度もあったので舌の上で暴れていました。
さて具体的な味わい。
モルトの美味さは当然として、カフェグレーンがいい役目を果たしています。
うたい文句にあった「メローなコク」を見事に演じているようです。
最近はモルトウイスキーばかりが前面に出ていましたが、ニッカには自慢のカフェグレーンがあるぞ!という主張を強く感じました。
お気に入りの晩酌シリーズ、シングルモルト余市10年、竹鶴ピュアモルト12年、同17年、ピュアモルト白ばかりを回していてニッカファンを自称するのは間違っていたと反省。
今後はレパートリーにブレンドウイスキーも入れましょう。

「ザ・ニッカ12年」
さすがに「ザ」を冠したアニバーサリーウイスキー。
ニッカ80年の歴史を饒舌に表現する完成度の高いウイスキーです。
定番ということなので急がず、財布と相談しながら付き合っていきたいと思います。




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お気に入りその981~日本植物図説集

2014-11-25 12:41:36 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「日本植物図説集」です。

牧野富太郎博士の昭和10年ころまでの業績を集めた「日本植物図説集」(牧野植物学全集第1巻、昭和15年復刻版)で、細密かつ美しい植物図をまとめて鑑賞しています。
74年も前の本ですから今と違い、使われている紙は粗く薄いです。
また印刷技術も原画の細密表現を再現しきれていません。
それでも老眼鏡ではとても細部まで鑑賞しきれない出来映えのため、ハズキルーペを使っています。
ページ一杯に描かれた美しい牧野式植物図は190図版にものぼり、ひとつひとつじっくりと鑑賞していると時を忘れます。
ただしまえがきや解説文は漢字とカタカナばかりの典型的な戦前の文語体。
牧野博士の博学この上ない解説がすらすら読めたらいいのですが、不勉強のためほとんど読めず残念です。

さてここで本書を入手することにした経緯について書きたいと思います。

本書に先立ち「牧野富太郎植物画展」図録を読みました。
平成12年に開催された牧野富太郎記念館の開館一周年を記念して高知県立牧野植物園が発行した図録です。
そこには牧野富太郎の手による神業ともいえる植物図がどのように描かれたかが克明に解説されていました。
著者は牧野博士の弟子にして牧野植物園の小山園長。

園長は次のように述べています。
・牧野博士の代表作は「牧野日本植物図鑑」といわれている
・しかしそこに収録されている植物図のほとんどは牧野博士の指導で画工が描いたもの
・牧野博士自らが描いた牧野式植物図の完成形は「大日本植物志」であろう
・「大日本植物志」は今なお植物図の頂点といわれている
・その中でも「シコクチャルメルソウ」が最も精密と評されている
・「大日本植物志」は明治33年から10年間刊行され中断した

ここまで知ってしまったらぜひ「大日本植物志」に収録された植物図をすべて鑑賞したい・・・。
明治33年に発刊された現物は物理的かつ経済的に到底入手不可能と考え、最初から復刻版を探しました。
そして見つけたのが「牧野植物学全集」第1巻「日本植物図説集」でした。

「日本植物図説集」は
・日本植物志図篇 (明治21年、敬業社、75図版+解説)
・新撰日本植物図説(明治32年、敬業社、100図版+解説)
・大日本植物志  (明治33年、東京帝国大学、16図版+解説)
という3冊の復刻です。

この3冊はそれぞれ性格がはっきりしています。
「日本植物志図篇」は自費出版のデビュー作。
細密で美しい植物図は見事ですが、若さで肩に力が入りすぎ、1画面に盛り込み過ぎの嫌いがあります。
「新撰日本植物図説」は、底をついた研究費を稼ぐために発行した図鑑。
それまでに描いた植物図を使いまわしたり、細密度合では他より少々落ちる図版があります。
ただしシダ類の図版は見事で高く評価されています。
「大日本植物志」は牧野の技量と気力がピークに達したときの作。
今なお日本の頂点と評される植物図が収められた図鑑です。

3冊の性格を知り比較しながら鑑賞することもまた面白いです。
そういう面では、これまで鑑賞してきたどの図鑑や図録よりも味わい深い作品集といえます。

もっと良い紙、もっと細密な印刷、現代語訳された解説文で第1巻だけでも復刻してくれないかな?と願っています。
ただ彩色図版がほとんどないので、高価な割には評価されないでしょうから、誰も手を付けないかな?

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お気に入りその980~竹鶴政孝パート268

2014-11-22 12:14:50 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート268、余市シングルカスク5年です。

先日アサヒショップからウイスキーと思われる包みが届きました。
直近でアサヒショップに注文した記憶がないので、何かのキャンペーンに応募したのを忘れていたかな?と思いながら梱包を開くと、「十年浪漫倶楽部5年貯蔵原酒」の文字が。

そうか! あれから5年経ったのですね。
2009年秋、「十年浪漫倶楽部」の会員募集が12月に終了する、というニュースを聞いてあわてて会員になったのでした。

「十年浪漫倶楽部」の仕組みについては、ニッカウヰスキーwikiなどで詳しく説明されているのでここでは省略します。
とにかく「5年貯蔵原酒」という、市場には出回らない若いウイスキーを味わう絶好のチャンスが訪れました。

ボトルには小さな説明書が入っていました。
内容は次の通りです。

=====

<十年浪漫倶楽部5年貯蔵原酒>

「十年浪漫倶楽部5年貯蔵原酒」は、ニッカウヰスキー余市蒸溜所で蒸溜し、会員様専用樽で貯蔵した原酒を、熟成の折り返し地点:5年目に確認していただく為に壜詰したシングルカスクウイスキーです。
5年の歳月をかけて、余市蒸溜所の自然に抱かれながら熟成されます。
これまでの「5年間」を振り返っていただきながら、その香りと味わいをお楽しみください。

<テイスティングノート>

・香り
バナナのようなフルーティーさとバニラアイスクリームを思わせるクリーミーな甘さ。
新樽らしいウッディさとスパイス、ビスケットの香ばしさ。

・味わい
フレッシュなウッディさと、バニラや果実の甘さが徐々に調和しつつあります。
新樽のビターな味わいが引き締まったフィニッシュです。

<ブレンダー評>

5年の熟成を経て、新樽特有のウッディさとバニラを感じさせる甘い香りが感じられ、華やかなフルーティさと共にこの原酒の特徴をなしています。
若々しいモルトウイスキーのパワフルさが熟成し、ピーティさと新樽の特徴が徐々に馴染みながら調和して、より芳醇で複雑な味わいへ変化していくことでしょう。
5年後の「10年貯蔵シングルカスクウイスキー」は、期待してお待ち頂くに十分足るものになると思います。

=====

なるほど、あの荒々しかった未貯蔵原酒が5年の歳月を経て熟成し、各々の特徴が徐々に調和しつつあるということですね。

早速味わいました。
グラスに注ぐと濃くも薄くもない平均的な色合いでした。
5年で見かけは一人前になるのですね。

次は香り。
その若さから弱めを考えていましたが想像を超えて高らかに立ちのぼっていました。
フルーティな香りです。
説明書にあった「新樽特有のウッディな香り」についてはよくわかりませんでした。
わずか5年で香りも一人前になるものです。

そして味わい。
61度のストレートは強すぎ。でも美味しい!
2倍に加水して味わうと、余市らしい力強さとフルーティさのバランスが良い!
これなら毎日でも味わいたい、そう思わせる美味しさです。
これで本当に5年ですか?
5年でこんなに美味しいのなら10年はどんなに美味しくなるのでしょうか?
この後は、2019年に余市シングルカスク10年となって届くことになっていますが、楽しみで仕方がありません。

寿屋(後のサントリー)の白札、大日本果汁(後のニッカ)の一号ウヰスキー。
どちらも最初のウイスキーは樽詰めから5年ほどで出荷しました。
仕入れて樽詰めするばかりで売上がない5年間は会社の経営を傾けたことでしょう。
そのため5年目でまだ若く満足の出来ではないけれど仕方なく出荷した、と思っていました。
ところが今回の5年原酒で考え方が変わりました。
5年で色合いも、香りも、味わいもすべて製品として出荷できるレベルに達するのです。
8年10年と経つうちにさらに熟成することを知ったうえでも、製品として出荷することに、寿屋も大日本果汁も自信があったことでしょう。
そんな確信を持った「十年浪漫倶楽部5年貯蔵原酒」体験でした。




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お気に入りその979~竹鶴政孝パート267

2014-11-19 12:32:53 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート267、「ウイスキーとダンディズム」です。

竹鶴孝太郎著「ウイスキーとダンディズム~祖父・竹鶴政孝の美意識と暮らし方」を読みました。
朝ドラ「マッサン」にあやかり続々と発行されるマッサンとリタの伝記モノ。
新旧取り混ぜていろいろ読みましたが、本書はそれらとは若干異なる内容でした。
それはマッサンの孫である著者が、家族しか知らないマッサンとリタを描き出している点です。

著者は次のように書いています。

リタはよく美談として書かれるように日本人になりきろうとしたのではない。
彼女はスコットランド人としてのアイデンティティを生涯大切にし続けた。
それでいて日本人・マッサンとの生活をバランスよく成り立たせた。

これは国際結婚の理想でしょう。
いえ、結婚そのものの理想でしょう。
日本人同士でさえ人格は互いに異なり、それをバランスよく成り立たせることは困難なのですから。
互いの異なる部分を是として受け入れる度量が強く求められたことでしょう。

マッサンとリタが取り仕切る和洋のバランスがとれた家庭に生まれ育った孝太郎。
彼は成長する過程で他の家庭との違いに大いに驚きます。

・すべての部屋には鍵がついていてプライベートが守られており、部屋を出るときにはきちんとした服装をしていなくてはならない。
・荷物を持つときはどんなに辛くても別の手に持ち替えるのははしたない。
・ジェントルマンという言葉の元になったイギリスの支配階級の道徳観がリタの振る舞いの各所にみられた。

など、彼が余市を出る15歳までに経験したことを中心に書かれており、新しいリタ像を知ることができました。
また政孝に関する記述も豊富でした。
著者はソフトバンクの孫社長をはじめとして、これまで世界中の数多くのトップと交流する機会があったが、政孝の存在感(オーラ)を超える人物はほとんどいなかったそうです。
唯一政孝を超える存在感を感じたのはイギリスで後に首相になったマーガレット・サッチャーだったそうです。
なるほど「鉄の女」だけですか!
この見解は身内の言葉ということで話半分としても実に面白いと思いました。

本書には、これまで伝えられてきた「政孝とリタ」よりもドラマの「マッサンとエリー」に若干近い姿を感じるエピソードがありました。
一般的な伝記モノに飽きた方が読むと面白いかな?というくらいの軽い読み物です。

なお後半部の政孝とリタの伝記にあたる部分は目新しい記述が少なく不要です。

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お気に入りその978~枝廣淳子さんのメルマガ②

2014-11-17 12:11:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、枝廣淳子さんのメルマガ②です。

以前、環境ジャーナリスト枝廣淳子さんのメルマガを紹介しましたが、今回も素晴らしいコメントがありましたので再び紹介します。

それは11月12日付の朝日新聞に掲載された、
「新しいエネルギー基本計画をつくるときのパブリックコメントで、94%が「脱原発」を求める意見で、「原発維持・推進」は1%だった」
という記事についてのコメントです。

従軍慰安婦問題や福島原発吉田調書問題で世間の非難を一身に浴びている朝日新聞ですが、素晴らしい仕事をしている記者がいることを紹介しています。
ここで要旨を引用して紹介したいと思います。

=====

民主党の野田政権は、2030年に向けての日本のエネルギー政策について、パブリックコメントや全国11カ所での意見聴取会などの「国民的議論」を行い、民意を入れた上で「2030年までに原発依存をゼロに」という方針を決定しました。

その後経済界からの猛反対などがあり、この方針が採り入れられることはありませんでしたが、少なくとも、国民的議論をおこない、民意を反映しようとしたことは評価できます。
自民党政権になってからは、一転して、民意を問うこともしない、ましてや耳を傾けることもしない、という姿勢が強く、大きな後退だと思っています。

上記の朝日新聞の記事の「背景」について、朝日新聞WEBRONZAに掲載されています。
どうやってこの「脱原発の意見が94%」という政府が発表しなかった数字を明らかにしたのか? ジャーナリスト魂を感じる奮闘ぶりを読むことができます。

この現実を記事として発信したいとお願いし、許可を得た”かいつまんでの紹介”バージョンをお届けします。

=====

ここから引き続き「朝日新聞WEBRONZA」の全文の3分の1の”かいつまんでの紹介”バージョンが掲載されています。
これも要旨を引用して紹介します。

=====

経産省は2013年12月、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた基本計画の原案を示し、それから1カ月間、パブリックコメントに付しました。

経産省は2014年2月、「集まった意見は約1万9千件だった」と発表し、寄せられた主な意見も明らかにしましたが、「原発の賛否割合」という重要な情報は出さず、当時の茂木敏充経産相は「数ではなく内容に注目して整理を行った」と国会で説明しました。

「政府がやらないなら自分で分類をやってやる」――朝日新聞の記者のひとりが、経産省に対して、パブリックコメントに寄せられた意見のすべての開示請求をし、20,929ページのコピーを20万円余りの費用をかけて入手しました。

日々の仕事の傍ら、1枚ずつ賛否の印を付けていく作業を進め、2ヶ月ほどかけて、ようやく全部に目を通し終えました。
複数ページに及ぶものを一件として数えると、1万8711件。
原発への賛否では、廃炉や再稼働反対を求める「脱原発」が1万7665件で94.4%、「原発維持・推進」は213件で1.1%、「その他」は833件4.5%。やはりパブリックコメントの結果は「脱原発」が圧倒的だったのです!

この分類作業を行って、数字を世に出した記者さんは、「この分類は実質的に筆者1人でできた。経産省であれば一週間もあればできた作業だろう。やはり、この分類結果を出したくなかったのだろう。原発回帰のエネルギー基本計画、そして原発の再稼働への動きは、民意の裏打ちを欠いている。筆者としては94%の反対、1%の賛成という情報を世に出せたことをよかったと思っている」と述べています。

=====

冒頭にも書きましたが、慰安婦問題、吉田調書問題と報道機関としてやってはいけないことをして社会的に非難されている朝日新聞。
そんな中でも縮こまらずに、地道な調査の上でこんな素晴らしい記事を書く気骨のある記者がいることは称賛に値すると思います。
そしてできれば他の新聞社やTV局も同調して民意を問う圧力になって欲しいと願っています。
電気は私たちの生活になくてはならない大切なエネルギー。
政府は民意を入れて原子力以外の安全な電源開発に向けて舵を切って欲しいと思います。

今回の記事の全文は「朝日新聞WEBRONZA」で読めるそうです。

最後に。
皆さんも環境ジャーナリスト・枝廣淳子さんのメルマガを読みませんか?
「枝廣淳子」「メルマガ」のキーワードですぐに検索できます。




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お気に入りその977~北海道のトンボ

2014-11-14 12:55:12 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「北海道のトンボ」です。

先日、洞爺湖町立「火山科学館」に行ってきたことは当ブログで書きました。
その建物と棟続きに「洞爺湖ビジターセンター」があります。
そちらでは洞爺湖周辺に生息する動植物が紹介されています。
その展示で気に入ったのは、小鳥の鳴き声を学べるコーナーと足跡で動物を当てる床でした。
帰り際に図書コーナーに立ち寄り、何冊か立ち読みしていて面白い本を見つけました。
北海道のトンボ72種すべてを見事な細密画で描いている図鑑です。
これは立ち読みではなく手元でじっくり鑑賞すべき本。
帰ったらアマゾンで買おうっと。

ところがなかなか見つかりません。
タイトルは不確か、著者・出版社不明ではなかなか探しようがありませんでした。
諦めきれずアマゾン以外もあちこち探しました。
そうしてやっと見つけました。
「日本の古書店」という古書検索サイトでヒットしました。
二橋 愛次郎という人が著者でエコ・ネットワークというところで発行していました。
改めてその著者名や出版社名でアマゾンを検索しても該当なし。
グーグルで検索してようやく発行元が札幌の環境市民団体であることを知りました。
なるほど見つからない訳だ。

前置きが長くなりましたが、こういう事情でやっとめぐり合えたのが本書「北海道のトンボ」です。
2002年発行のB5判、わずか76ページの実にシンプルなトンボ図鑑。
解説文は必要最小限。
大きくてきれいな細密画を楽しむにはもってこいの図鑑です。
細密画のサイズはほとんどが原寸大。
イトトンボなどの小さなトンボは2倍に拡大して描かれています。
「トンボを細密に描いた外国の図鑑に触発されて素人ながら描いた」と著者はあとがきで述べていますが、何の何の、実に素晴らしい細密画が次から次に登場します。
宝物がまたひとつ増えました。

最後に、本書で初めて知った(私にとっては)驚愕の事実をご紹介します。
羽の先端の班が特徴的なトンボを、子どものころからクルマトンボと呼んで親しんでいましたが、正式にはノシメトンボというのだそうです。びっくり!


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お気に入りその976~竹鶴政孝パート236

2014-11-11 12:31:05 | 竹鶴
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート236、余市蒸溜所です。

久しぶりに余市蒸溜所に行きました。
車で1時間半の距離にあるので、好きならいつでも行けばいいのに、と思われるでしょうがなかなか行けません。
隣町・仁木の果樹園に行く用事も今年からなくなり、「ついで」は減る一方です。
何度も私の趣味に付き合わすこともできないので、私一人が休みの日を狙って行ってきました。

蒸溜所では真っ赤なリンゴをイメージした制服のガイド嬢が忙しそうに案内していました。
朝ドラ「マッサン」効果で団体や個人の来場者が増えているのは明らかです。

レストランや売店がある駐車場で降りて、まずはすべての施設を素通りして正門まで移動しました。
そこからいつものようにひとつひとつの施設を見学しました。

今回の見どころは蒸溜棟。
3基のポットスチルが稼働していました。
キーとかギーとかそれぞれが違う大きな音をたてて撹拌しながらの蒸溜作業中でした。
温度計は97度~99度を指していました。
石炭を焚いている独特の臭いが全身をつつみます。
今や世界でここだけ、伝統をかたくなに守る蒸溜方式を満喫しました。

次は旧竹鶴邸。
政孝の晩酌ボトルやグラス、政孝がリタにメッセージを書いて贈った本などが展示されています。
建物の奥に入ることができませんが、見取り図と写真で紹介しています。
マイウイスキー作りの時に奥まで入って見学したときのことを思い出しました。

そしてウイスキー博物館。
ここは何度行っても発見があります。
今回は有料試飲室近くに展示しているオールドボトル。
ボディにラベルが無く、首にスペシャルウイスキーと書かれたボトルがありました。
この深い刻みの入った横長丸のデザインボトルの存在はこれまで気づきませんでした。
1989年と表記していたような気がしますが定かではありません。
次回デジカメで撮ってきて調査したいと思います。

そしてその右にある古地図ボトル4種。
琉球・中国・九州の古地図ボトルは入手済みなので、残り1種類をじっくり観察してきました。
他の人の目を気にせずにガラスに張り付いて時間をかけましたが、歳のせいで細かい字が厳しい・・・情けないけれどこれが現実です。
何となく判ったのは、もしかしたらこれは世界地図ではないか?ということ。
正面を向いている辺りはシベリア辺りでしょうか?
大陸の右端にあるのが日本列島のようです。
そしてさらに右、大洋を越えてボトル裏側に描かれている大陸の名がAMERICAと読める気がします。
しっかり確認できずコレクターとして実に残念でした。
次に行くときは単眼鏡とデジカメの完全装備を持参するつもり。

この話、ニッカのオールドボトルコレクター以外にはどうでもいい話でしょうね。

最後は売店。
余市蒸溜所限定のボトルが増えていました。
「1980's 余市」「1990's 余市」「2000's 余市」のフルボトルと180mlボトル。
予算の関係で一番安い「2000's 余市」の180mlボトルを買ってきました。
それでも2700円!
他のボトルはアニバサリーでもないとなかなか買えません。
昨夜は当然これを試飲しました。
2000年から2009年の余市モルトで作られたウイスキーは、フルーティさと余市らしい力強さをすでに兼ね備えていました。
57度のストレートは私には強すぎましたが、水で半分に割るとこれが実にうまい!
何とか我慢して半分残し、次の機会に楽しみをつなぎました。

さあ次は小金を準備して覚悟して行かねばなりません。




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お気に入りその975~闇に香る嘘

2014-11-08 12:36:24 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「闇に香る嘘」です。

第60回江戸川乱歩賞受賞作品にふさわしい作品と高く評価されていることを知り読むことにしました。
読み始めて思い出したのですが、推理小説っていつもなかなか読み進みません。
少しの空き時間があっても手が出ず、さて読むか!という気合が必要なのです。
理由を考えてみると、推理小説の多くが殺人などの事件性を持った事象を解決するという筋立てになっていることが大きな原因のようです。
物語全体が暗く不安な空気に支配されており、私の気持ちもつられて沈みます。
さあ、謎を解き明かすぞ!という意気込みを感じる推理小説マニアのようには行きません。

特に今回の「闇に香る嘘」はその傾向が強い作品でした。
人間の感覚の85%を支配するといわれる視覚を失い、積極的な訓練を怠ってきた主人公。
まわりで起きていることを把握できない不安に満ちています。
中国の残留日本人孤児である兄は本物か?
その疑問が浮かび上がったところにもうひとり、兄を名乗る男からの電話が・・・。
気を重くしながらも何とか読み続けました。

ところが謎が次々解けていく最後の辺りは実に爽快でした。
家族との絆が蘇り、周囲を含めきっと明るい希望が待っているであろうという終わり方。
そうです。
読書はこの読後感を味わいたくて続けているのです。
満足満足。

点字俳句の謎解きや冒頭部に硬い表現が続くことなど、一部に違和感もありましたが、推理を満喫できる佳作であることは間違いありませんでした。

推理小説もたまにはいいね!と思って読み終えたことはきっと次につながることでしょう。



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お気に入りその974~火山科学館

2014-11-06 12:38:43 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、火山科学館です。

多くの犠牲者を出した御嶽山の噴火から1か月が過ぎました。
北海道の活火山についてもっと知りたいと考えたときに「有珠山」が思い浮かびました。
有珠山は物心ついてからだけで1977年と2000年の2回噴火しています。
1977年の噴火では直線距離で80kmも離れた札幌の我が家にまで火山灰が降りました。

という訳で行ったのは洞爺湖温泉町立「火山科学館」。
悪天候が予想される中を強行軍で行きましたが、予想外に日差しがあって暖かかったです。
館内には限られた予算の中で精いっぱいの展示物が収められていました。

被災した実物が提示されており衝撃的でした。
・道路に突き刺さっている大きくて鋭利な火山岩
・火山の隆起によってぐにゃりと曲がったJR室蘭本線のレール
・火山の隆起によって壊れた舗装道路

映像や音響、その他の展示も素晴らしかったです。
・噴火から避難に至るまでを体験できる部屋
・重低音と3つのスクリーンで映像記録を学習できる映画館
・避難所生活の大変さを実感させる動く紙芝居

火山科学館のすぐ裏には被災施設や噴火口が続きます。
・被災した町営住宅や温泉保養施設がそのまま保存されています
・そのすぐ脇には90mも流されてきた巨大な橋が横たわっています
・歩いて20~30分の距離に有くん・珠ちゃんという愛称の2つの噴火口があります

雨の後で足元が泥で滑りやすかったので手前の珠ちゃん噴火口だけを見てきました。
珠ちゃん噴火口に溜まった水が黒く見えたのは光の関係でしょうか?
解説にはエメラルド色に見えると書いてありましたが、それは有くん噴火口だけなのかな?
それとも雨の後は濁っているとか、季節によって違うとかの別の理由によるものでしょうか?
その疑問は、噴火口登り口の案内のオジさんたちに聞きそびれて未確認で終わってしまいました。

聞きそびれたのには理由があります。
噴火口への道の途中に熊の糞らしきものがあり、それに関する話に集中したものですから。

その糞は舗装道路の中央にありました。
直径は40㎝ほど。
まるままのドングリなどが混じっていました。
こんなに大きな糞は熊以外に考えられないので、熊出没の情報提供をしようと、帰り道に案内所のオジさんたちに話しかけました。
するとこんな答えが返ってきました。

・この辺りには熊はいない。
・その糞はタヌキの貯め糞(同じところで繰り返し糞をする)に似ている。
・ただし最近はタヌキの代わりにアライグマが住み着いている。
・アライグマの習性はほとんどタヌキと一緒。

つまり結論はアライグマの貯め糞だそうです。
ヘー、と驚きながら我々夫婦は帰路につきました。
今思えば噴火口の水の色の話を聞き忘れていました。
残念。

最後は銘菓「わかさいも」を買いがてら2Fの食堂で洞爺湖を眺めながら昼食を食べて帰ってきました。
ん10年ぶりの洞爺湖。
さらっと満喫できて満足の一日でした。



コメント
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