鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1973~たくさんのふしぎ4冊

2020-12-30 10:51:12 | 鬼平
今年最後のお気に入りは、今年たくさん読んだ「たくさんのふしぎ」シリーズからの4冊です。
最近ヤフオクで、たくさんのふしぎを落札できなくなってきました。
今回の4冊は5冊入札した中での4冊落札で成績が良かったですが、つい先日は4冊入札して落札できたのは1冊だけでした。
「たくさんのふしぎ」の価値が評価され、読みたい人が増えることはうれしいですが、あまり高値に吊り上がらないことを願っています。

①「水辺の番人 カワウ」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
水鳥のカワウは、魚とりが得意。川や海の中を巧みに潜り、魚を見つけとらえると、一気に丸呑みしてしまいます。
他にも、魚がいる場所まで長距離を飛行したり、陸上の木につかまって過ごしたりと、カワウは「水」「陸」「空」の幅広いフィールドを舞台に活動する万能な鳥といえます。
その優れた運動能力をささえる、からだの秘密とは? 
活力あふれるくらしぶりに、自然写真家がせまります。
=====
本書ではカワウの万能選手ぶりが余すことなく紹介されています。
潜水能力は当然として、50kmも離れた餌場に通う飛行能力や樹上生活を可能にする足指の構造など、全てにおいて高い能力を持つことに驚かされました。
ここ札幌では、小樽に向かうときに海岸沿いにたくさんのウミウを見ることができます。
岩の上で翼を広げてじっとしている姿をよく見かけますが、なぜそうしているのか、その理由が本書で判りました。
ウの羽毛には油分が無く水がしみこむことで深いところへの潜水を可能にしているため、潜水後は翼を広げて乾かす必要があるのだそうです。
また「鵜の目鷹の目」「鵜呑みにする」などの身近な言葉が、カワウの高い能力を語源とすることを改めて知りました。

②「桜島の赤い火」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
四国で水のある風景を撮っている作者は、一枚の絵はがきをきっかけに鹿児島の桜島をおとずれます。
そこで見たのは、夜の闇のなかで赤く光る火口でした。
地球のなかの熱いマグマが火口を照らしているのです。
噴火の迫力に魅せられて鹿児島に通うようになった作者は、思いがけず、火山がつくりだした水の風景にであいます。
=====
本書を執筆するきっかけは、著者が修学旅行で買った阿蘇の絵葉書。
火口が赤く光る景色に魅了されたそうです。
こういう記憶って大人になっても消えないものなのですね。
徳島から車を運転して阿蘇まで行きましたが噴火がおさまっていて同様の写真は撮影できませんでした。
そこで桜島まで足を延ばして写真を撮ることにしました。
そこで撮影された写真の素晴らしいこと!
地元鹿児島の人々でさえ初めて見る桜島がいっぱい。
ぜひ皆さんにも見て欲しいです。
火口が赤く光る火映。
赤やオレンジ、黄色の溶岩。
ガンガン、カラカラと噴石同士が当たる音。
噴火による衝撃波、空振。
火山灰の静電気により発生する火山雷。
写真に添えられた文章によりバッチリ疑似体験。
きっとあなたも桜島の美しさに魅了されます。

③「ジャンプ ムツゴロウどろ干潟でとぶ」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
ムツゴロウは魚のくせに泳ぎは苦手、ユーモラスな顔をした干潟の生き物です。
毎年初夏になると、ムツゴロウはなぜかジャンプをはじめます。
こっちで、ぴょん! 
あっちで、ひょいっ! 
いったいなぜムツゴロウはジャンプするのでしょうか? 
小さな生物の生への躍動を伝えます。
=====
読み始める前に後ろの付録の著者あとがきを読みました。
そこにはのどかな内容紹介とは違うシビアな事実が書かれていました。
全国ニュースに繰り返し取り上げられた諫早湾干拓事業についてです。
干潟に壁を埋め込み外海から遮断する干拓事業が始まった後、複数の干潟でムツゴロウたちの生息が確認されて一安心と思いきや、漁業者の方が絶滅寸前だと書かれています。
ちなみについ先日「イッテQ」という番組でタレントがムツゴロウの引っ掛け吊りの技を習得するコーナーがありました。
伝統の技は師匠から弟子へ、今も確実に伝承されています。
当時悲壮なコメントを書いていた著者に教えてあげたいと思いました。
まずはそういう時期に書かれたものと理解しつつ、本文を読みました。
泥面すれすれにカメラを構えて、ジャンプするムツゴロウを泥だらけになって撮るカメラマンが想像できる、そんな写真集でした。
驚くなかれ数えてみると1時間に150回以上もジャンプしていたそうです。
この努力はすべて、誰よりも目立ってメスを獲得するため。
一度に2匹のメスが寄って来る幸せ者がいれば、干潮が終わり潮が戻ってきても誰も寄って来ない寂しい者も登場します。
その辺りは人間の世界とそう変わらないかもしれません。
ちなみにメスはお目当てのオスとともに巣穴に入って産卵すると、次の魅力的なオスの元に向かうそうです。
そしてオスは卵を守り続けます。
この辺りは人間の世界と随分違います。
などとなぜか擬人化しながらムツゴロウのジャンプシーンをたっぷり楽しみました。

④「アリクイサスライアリ」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
熱帯雨林は、アリの宝庫です。
たとえばボルネオの熱帯雨林では、たった1本の木から200種をこえるアリを見つけることができます。
そんな中から今回は特に、アリ喰いアリのツヤヒメサスライアリを取り上げました。
巣を持たず熱帯雨林を移動しながら、わずか2mmの体で他のアリの巣を襲っては食糧にしてしまう、驚くべきアリの暮らしを迫力ある絵でご紹介します。
=====
アリを食べるアリの生態が見事に描かれています。
アリは一匹一匹が小さいけれど、集団行動をすることにより生物界では圧倒的な強者であり、テリトリーに他者を侵入させない凶暴な生き物です。
そのためアリの巣が増えていくと他の生物が住めない環境になることさえあります。
それに対して自然界が環境バランスを維持するために登場させたのがアリクイサスライアリです。
サスライアリが次々アリの巣を絶滅させていく様は、まさに「毒を以て毒を制す」。
自然界のメカニズムにはいつも感心させられます。
それにしてもいくら数の力とはいえ、わずか2mmのアリが他のアリの巣を次々壊滅させて歩くとは信じがたい事実です。

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お気に入りその1972~呪術廻戦

2020-12-28 12:46:32 | 鬼平
今回のお気に入りは、呪術廻戦です。
マンガといえば電子版少年ジャンプでワンピースなど3作品だけを読んでいましたが、今年は「鬼滅の刃」ブームに刺激されて、他の作品も読みました。
まず話題の「鬼滅の刃」を全話、続いてアニメ化が決まった「チェンソーマン」も全話制覇しました。
ただし全話といってもチェンソーマンは「第一部終了」ということで完結ではありませんでした。
個人的には「鬼滅の刃」がお気に入りで「チェンソーマン」はそうでもありませんでした。
好みは別にして、どちらも独特の世界観をもった作品であることは間違いありません。
そして今回取り上げるのは「呪術廻戦」。
すでにアニメがスタートしているそうで、相乗効果で人気がうなぎのぼりなのだそうです。
現在コミックが売れすぎてスムーズに入手できない!などと書いた記事まで見かけます。
本当かな?
取りあえず読んでみました。
なるほど面白い。
電子版少年ジャンプを契約しているおかげで、初回から最新作までぶっ通しで読むことができました。
主人公の少年の成長物語と、ストーリー展開に現在と過去がうまく交錯していること、悪には悪の論理があることがとても魅力的でしたが、美形キャラの登場、感動シーンや考えさせられるシーンなども豊富で、なるほど人気が出る訳です。
これからどのように展開していくのかは分かりませんが、最強の呪術師と最強の呪霊が登場している以上、いずれ両者が激突するでしょうね。
まずはその日を楽しみにしています。
というような話を含めて、先日息子と「呪術廻戦」の話題で盛り上がりました。
質の良い作品をネタにして互いに盛り上がることができるのはうれしいことです。
また近年少年ジャンプで読む作品がどんどん減ってきたのを残念に思っていましたが、ここにきて「チェンソーマン」や「呪術廻戦」も加わり、うれしいことです。

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お気に入りその1971~言葉のビタミン

2020-12-25 12:14:33 | 鬼平
今回のお気に入りは、「言葉のビタミン」です。
今回読んだ本「言葉のビタミン」は、日高晤郎という芸人がラジオ番組の「言葉のビタミン」というコーナーで紹介した名言を集めたものです。
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
「日高晤郎ショー」で折にふれゲストからもらったもの、歩いている途中で目にした名言をまとめる。
「あっ、これはビタミンになるな、活力になるな」というような言葉を、あなたも「体のいい薬」にしてみませんか。
=====
日高晤郎というお気に入りの芸人が亡くなって3年近く経ちます。
晤郎さんは北海道のラジオで9時間生放送というお化け番組を長くつとめました。
毎週土曜の朝8時から夕方5時までの「ウイークエンドバラエティ日高晤郎ショー」。
1983年から2018年までの35年間という長きに渡り、ラジオの面白さを伝え続けました。
スタート翌年の1984年から聴き始めましたが、外回りの仕事をしていたため、フルに聴き通したことはありません。
でもどのパートを聴いても全力投球であり、抜群に面白かったです。
本書は2004年、晤郎さんが60歳、番組開始から21年目の年の発行です。
奇遇にも今の私は同じ歳。
60歳だった晤郎さんが番組の中で語った「言葉のビタミン」を読み、大好きだった語りを懐かしく思い出すとともに、いろいろな方の名言に触れることができました。
それぞれの名言にはそれを語った方の経験が裏打ちされており、晤郎さんの心にどのように響いたかが語られています。
ソクラテスのような哲学者の名言だけではありません。
晤郎さんの母親や習字の先生などの名言も登場します。
また小説の一節や映画のワンシーンも紹介します。
「どんな駄作でもその一節、そのワンシーンに出会っただけで儲けもの」という晤郎さんの言葉は私にとっての名言となりました。
後半に入ると、スタジオ見学のお客様の奥様から届いた手紙の「ありがとう」という実にシンプルな言葉も丁寧に拾い上げて紹介していました。
もちろん晤郎さんの半生で得た名言も随所に語られています。
ひとり語りの芸人としてのプライドから語られる遠慮の無い言葉は、時に煙たく感じる人もいるでしょうが、そこまで自信を持って語ることのできる凄さの方が上回り、聴き入ってしまいます。
晤郎さんは寝る間を惜しみ、まさに命がけで準備を重ね、9時間生放送に望みました。
リスナーを満足させること、そして先週より面白くすることを目標にしました。
納得できなければ番組の中でもスタッフを厳しく指導しました。
自分にもスタッフにも厳しい人でした。
こんな芸人は後にも先にも晤郎さんただひとり。
もっとじっくり聴きたかったけれど、仕事のため何分の一も聴けなかったので、本書を通して“聴く”ことができて本当に良かったです。
ラジオを通してその生き様を本気でぶつけてくる、まさに昭和の芸人といえる晤郎さんの言葉をたっぷり“聴く”ことができて、まさに私にとっての“言葉のビタミン”となりました。


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お気に入りその1970~筒井康隆

2020-12-23 12:43:45 | 鬼平
今回のお気に入りは、筒井康隆です。
筒井康隆のサイン本セットが届きました。
「心狸学・社怪学」「メタモルフォセス群島」「短編小説講義」の3冊ですべてサインの脇の印が違います。
最初の2冊はかなり古い本で、活字が小さいことが難点ですが、何とか読み切りたいと思います。
若い頃、星新一は読みましたが、筒井康隆は読みませんでした。
初めて読んだのは妻の蔵書。
「関節話法」を涙を流すほど笑いながら読んだものです。
その後、復刻原稿版「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」を読みました。
異星人とのファースト・コンタクトがワースト・コンタクトになる話。
どちらも筒井康隆の天才ぶりに舌を巻いたものです。
また深田恭子主演の「富豪刑事」には原作者自身がレギュラー出演するという離れ業を演じました。
おそるべき才能です。
ということで、まずは「メタモルフォセス群島」から。
何とも言えないブラックな短編集です。
冒頭の「毟り合い(むしりあい)」から凄まじい。
殺人犯に家族を人質にとられたサラリーマンが主人公。
殺人犯の家に行き、子どもの指を1本ずつ切断していき失血死すると、次は妻の指を・・・。
ナンセンスなユーモア小説を期待して読み始めましたが、余りに救いのない展開に、愕然としました。
続く2作目は飛行機モノ、3作目は相撲取りモノ。
どれもこれもブラックで気持ちは落ちる一方。
朝からこの手を読むのは辛い・・・。
この先ずっとこの調子が続くのでしょうか?
解説を読んで本書の全体像を把握し、読み進めるかどうかを判断する事にしました。
あらら解説者は3作目「走る取的」だけを取り上げ、全体的に同じと雑にまとめています。
それでも最も欲しかった情報である本書の全体像が、「走る取的」と同じ、と判っただけで収穫です。
即座に4作目以降を読むのを止めて次の本に乗り換えました。
次は「心狸学・社怪学」。
今度こそ「関節話法」っぽい作品がありますように!と願いつつ読みました。
冒頭の「条件反射」は、動物の臓器を移植されてしまった作家がとる奇妙な行動を描いています。
次の「ナルシシズム」はロボット三原則の盲点によりロボットに殺される男を描いています。
本書は「メタモルフォセス群島」ほどブラックではないため、そのまま読み続けられそう。
「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」に近いブラックユーモア作品集というところです。
ああ「関節話法」のような爆笑作品が読みたい!と思いつつ、3作目以降に着手しました。
とりあえず本書は全作品を読み切ることができました。
でも期待した「関節話法」のようなユーモア作品や「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」のような天才を感じさせる作品はありませんでした。
解説は著者の友人の漫画家が書いており、当時筒井氏の評価が完全に二分されていたことを知りました。
小松左京は笑い過ぎてイスから落ちたとか、田辺聖子は人物が描けていないとと酷評したとか・・・。
解説の著者は劇画漫画家を目指していたが筒井氏の作品に影響を受けて路線を大きく変更したと書いています。
ここで、私と同じく爆笑作品に惹かれた読者の名に小松左京の名があったことに感激しました。
さて残るは「短編小説講義」。
これまでの2冊で、筒井氏はこれまで抱いていたイメージとは違うジャンルの作品を多く書く作家だと知りました。
そこでまえがきやあとがき、解説、目次をよく見て、お気に入りのジャンルっぽいものからピックアップして読もうと思いました。
変わったタイトルと思いつつ、まえがきを読むと、本書はタイトルそのままで短編小説の講義について書かれているようです。
本文も読んでみましたがそれに間違いがありません。
本書は小説ではなく、世界の高名な作家たちの短編小説について筒井氏が講演会で語ってきた内容をご本人が文章にしたものです。
しかも小説家を目指す人向けのように中身が濃いのです。
単にナンセンスなユーモア小説を読みたかった私には最も不向きな本でした。
ということで今回の3冊の中に望む作品は皆無でした。
サイン本3冊セットという名に惹かれてタイトルをチェックせずに購入したのが失敗でした。
やはり本は内容を吟味してから購入すべき。
そんな当たり前のことを再認識しました。
今回はモヤモヤが残る読書でしたので、いずれ事前調査をしっかり行い、期待通りの筒井作品を読みたいと思います。

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お気に入りその1969~チェンソーマン

2020-12-21 12:31:19 | 鬼平
今回のお気に入りは、チェンソーマンです。
「このマンガがすごい!2021」に選ばれた「チェンソーマン」が少年ジャンプに連載されていたことを知り、読むことにしました。
こちらにはいつでもバックナンバーが読める電子版少年ジャンプという強い味方があります。
連載開始が契約以降だったため第一話から最終話まで読むことができました。
出勤前、会社の昼休み、休日に少しずつ読みました。
女性に興味津々の少年が、エッチな願いを叶えるために命がけで悪魔と戦う、というストーリーです。
60歳のオッサンが読むようなマンガではないな、と思いつつも全話読み切りました。
伏線を張るセリフ、伏線を受けたセリフが多く、しっかり理解するためには読み返した方が良いと思いましたが、一通り読んで終了としました。
どうも私の好みではないようでしたので。
好まない理由は殺戮シーンの多さです。
悪魔がたくさんの人間を殺し、デビルハンターがたくさんの悪魔を殺します。
その数が度を越していて、登場する人間や悪魔の99%が殺されるといっても過言ではありません。
脈絡なくたくさんの命が失われるシーンも多く、どうも好きになれませんでした。
また「鬼滅の刃」では家族を鬼に殺された者が鬼殺隊の隊士になったように、この作品では家族を悪魔に殺された者がデビルハンターになったという設定でしたが、わずか数人の半生しか語られなかったことが残念でした。
特に主要人物マキマさんの半生が語られないため、感情移入ができず彼女を理解できませんでした。
最終回の最後の一コマに第一部完結となっており、物語がすべて完結したのではなく第二部が始まることが判りました。
もしかしたらマキマさんの半生はそこで語られるのかな?
それを期待したいと思います。
先ほどから好みでない理由を列記していますが、この作品では多くのセリフに伏線が細かく張り巡らされていてとても把握しきれなかったため、作品の良さに気づかなかった可能性があります。
セリフに宗教、哲学、論理のスパイスも取り込まれている風で、一回流し読みしただけではとても理解できません。
とにかくストーリーは骨太で、下手な青年向けマンガよりも深いように思いました。
ただし先ほども書いた通り、体質的に受け入れにくいため、2回目を読み始める気は起きませんでした。
評価の高い小説が、その文体が肌に合わなくて読めなかったことがあります。
それと同じかな?
まあ全ての話題作がお気に入りになる訳ではないということでしょう。
最後に、この作品は人気が高くテレビアニメ化が決定したそうですが、あれだけの殺戮シーンをそのまま放送するのかが気になるところです。

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お気に入りその1968~たくさんのふしぎ5冊

2020-12-18 12:15:45 | 鬼平
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎです。
「たくさんのふしぎ」シリーズから5冊読みました。
今回も好奇心をたっぷり刺激してもらい満足満足。

①「エゾクロテンのすむ森で」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
北の森で、雪の上を駆け抜けるしなやかな生きものに出会いました。
その正体はエゾクロテン。
その姿をもっと見てみたいと思った写真家がやがてねぐらを見つけると、そこには3匹の若いエゾクロテンがすんでいました……。
北海道だけにすむイタチの仲間エゾクロテンの生活を、写真家が毎日のようにねぐらに通って追い続けた3年間の観察記録です。
=====
以前、畑が広がる道を自転車で走っていると、まっ黒で細長い小柄な生き物が上半身を草むらから出してこちらを見ていることに気づきました。
しばらく見つめ合った後、その生き物は静かに草むらに戻っていきました。
あれは何だったのでしょうか?
その昔この地で養殖されていたミンクが野生化したものでしょうか、それとも本書の主人公エゾクロテンだったのでしょうか?
本書を読むとその答えが判るかもしれないと思いました。
結果、どうやらミンクだったようです。
エゾクロテンは大人も子どもも、そして夏毛・冬毛のどちらでも、頭まで真っ黒になることはないからです。
やっと長年の疑問に答えが出てホッとしました。
さて本書の感想です。
著者のカメラマンらしい視覚的な文章のおかげで、まるで自分が一緒に観察しているような錯覚を覚えました。
若いエゾクロテンのそれぞれに名前をつけて毎日のように観察していく内にすっかり顔見知りになり、名前を呼ぶと顔を出すようになります。
その内に足元に置いてある望遠レンズにおしっこをかけられたり、手袋を持ち去られたりと、イタズラの対象にされた辺りをとても微笑ましく読みました。
やがて成獣になった三兄弟のもとにメスが加わります。
そして別れ。
交通事故で死ぬ者、老いて死ぬ者、天敵に襲われて死ぬ者。
その後久しぶりに誰もいないはずのねぐらを訪ねると、若いエゾクロテンが3匹いるではありませんか。
どうやらあのメスの子どもたちのようです。
著者は再び彼らに名前をつけて観察を始めます。
「たくさんのふしぎ」シリーズにはいろいろな観察記録が登場し、そのどれもが興味深かったですが、本書ほど感情移入して読んだものはありません。
素晴らしい観察記録でした。
これはお勧めです!

②「自転車ものがたり」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
べんりでたのしい乗り物、自転車
自転車が自動車よりも後に発明されたと聞くとびっくりしませんか。
前後に並べた二つの車輪でも倒れないことに、人間はなかなか気がつかなかったのです。
簡単な機械に見える自転車ですが、たくさんのすばらしい発明が積み重なって、今の形になりました。
足でけってこいでいた最初の自転車からマウンテンバイクまで、自転車はどのように発達してきたのか。
そして、これからの自転車は? 
素敵な乗り物、自転車のすべてを紹介します。
=====
車輪が発明されて5000年。
左右2輪の台車から4輪の馬車までいろいろ発明されたのに、前後2輪の自転車が発明されたのは自動車より後だったと知り、とても驚きました。
確かに「車輪が回転すると自立安定すること」や「ヒトは二足歩行のためバランス感覚に優れていること」などの自転車が乗り物として成り立つ条件は後付けでしかなく、こんな不安定そうな乗り物の実用化に着手する人がなかなか現れなかったことは十分理解でします。
まさに逆転の発想といえます。
フレームにサドルと車輪だけだった自転車の先祖は両足で蹴ることで石畳の道路を馬車より速く走って華々しいデビューを飾りました。
前後2輪の不安定そうな乗り物が実はとても実用的であることを知った人々は短期間の間にどんどん改良を進め、今の自転車に近いものができあがるまで長い時間はかかりませんでした。
チェーン、ベアリング、金属パイプ、スポーク、ゴムチューブなどの新しい技術を取り入れた成果です。
ちなみに車輪にゴムを巻いて乗り心地を良くしたのがダンロップさんで、タイヤとチューブの二重構造にしてパンク修理をしやすくしたのがミシュランさんだそうです。
知った名前が出てきてなんだかホッとしました。
また移動にかかるエネルギーは歩行の1/5で済み、いかにも省エネ。
自動車や飛行機などの乗り物は歩行の何倍ものエネルギーを使うため省エネとは程遠いそうです。
当初、本書にあまり期待していなかったのでなおさら面白く感じました。

③「道 きみと出会いに」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
ここは南那須町の一角。
道脇の春の田んぼのあぜには、レンゲ、タンポポ、スミレなど春の花がいっぱいです。
その花を求めて虫たちも、やってきます。
道をゆけば、夏には夏の、秋には秋の、季節ごとに花が道を彩り、虫たちが飛び交い、小川にはカエルや魚が泳ぎ、イタチが草むらから顔を出す。
そして、冬には、雪の上をウサギやキツネが走りすぎる。
素敵な野の道の四季を美しい写真で紹介します。
=====
内容紹介を読むまでタイトルの「きみ」が花や動物などの生き物を指すとは思いませんでした。
春夏秋冬のそれぞれの季節に応じた植物、動物、昆虫の暮らしぶりが丁寧に描かれています。
栃木県南那須町の農家が行き交うこの道に隣接するのはまさに里山。
「所さんの目がテン」や「鉄腕ダッシュ」でもお馴染みの里山風景に憧れています。
テレビでは決して紹介されない里山の1年を丁寧に紹介されると、実際に行ったような気分になります。
少し疲れたときにリラクゼーション音楽をBGMにページをめくるとリフレッシュできる、そんな絵本です。
④「オルカの夏」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
夏のカナダ・ジョンストン海峡には、産卵前のサケを追いかけて、オルカの家族がたくさん集まってきます。そこでおこなわれている、音声による生態調査に、著者は毎年参加してきました。
「音」をたどってゆくことで出会った、夏のオルカたち……。
カナダのおだやかな海にひびきわたる、野生のオルカの力強い潮吹きの音や、ユニークな水中でのはなし声が、ダイナミックな木版画にのって聞こえてくる一冊です。
=====
カナダの険しい山々とモノクロのオルカたちを描くのに木版画がピッタリなことに驚きました。
筆者兼画家は脱サラをして夏のオルカを観測するボランティアをしています。
24時間を3交代で5台の水中スピーカーの音声を記録する仕事です。
本書ではオルカたちの暮らしぶりが目に見えるようでした。
・オルカはメスをリーダーとして群れで暮らす
・背びれが弧を描くのがメス、垂直なのがオス
・群れごとに交わす鳴き声が違う
・鳴き声の違いで群れを特定し、音声記録からその行動を研究する
・冬になるとオルカたちは穏やかな海峡から外海に出て行く

⑤「魔女に会った」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
歴史上の魔女、今も生きている魔女。
魔女っていったいなんでしょう。
『魔女の宅急便』の著者が、ドイツやベルギーのお祭りを訪ね、ルーマニアに今もいるという魔女を訪ねて、魔女とは何かを探る、とってもおもしろい魔女見聞記です。
=====
本書の著者・角野栄子さんの代表作「魔女の宅急便」。
原作を読んだことはありませんが、ジブリ映画で何度も観ました。
好奇心旺盛な見習い魔女が新しい町で人々に認められていくまでを描いた大好きな作品です。
「魔女に会った」に登場する角野さんは、まるで「魔女の宅急便」の主人公のようにとても好奇心旺盛。
魔女のお祭りを見るためにドイツとベルギーに行き、最後は魔女に会いにルーマニアまで行きます。
魔女と一緒に山に入り薬草を採取する場面では、ハリー・ポッターにも登場した有名な薬草が登場します。
根が女性の体の形をしていて抜くと悲鳴をあげるマンドレイク。
ハリー・ポッターの名シーンです。
ルーマニアでは違う名前で呼ばれていますが、添えられた絵が一緒なので間違いないと思います。
著者は魔女と一緒に山に入り、その薬草の群生地を見つけ、引き抜くところに立ち会いますが、悲鳴は聞こえなかったそうです。
本当は薬草を採るところを誰にも見せてはいけないそうですが、角野さんは外国人だからと特別に許してもらいました。
何ともうらやましいー!
ただしせっかくベルギーまで行って、魔女(人形)が牛乳を腐らせたという理由で火あぶりの刑に処せられるリアルなお祭りに参加しておきながら、魔女狩りの悲劇について触れていないのはとても残念でした。
3か国を渡り歩いたため、書ききれなかったのでしょうか。

さて話は変わりますが、最近ヤフオクで「たくさんのふしぎ」シリーズを落札しづらくなりました。
誰も入札しないと思ったら直前で高値更新されており、1冊も落札できないということが増えました。
「たくさんのふしぎ」シリーズの人気が高くなってきたのかもしれません。
自分の好きなものが他の人にも認められるということはうれしいものです。
ここは焦らず、1冊1冊を吟味しながらゆっくり入手していこうと思います。


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お気に入りその1967~鬼滅の刃2

2020-12-16 12:23:41 | 鬼平
今回のお気に入りは、鬼滅の刃2です。
以前、「鬼滅の刃」を少年ジャンプ電子版で読んだことを書きました。
第1巻を無料購読で、続いて第27話から最終205話までを読みました。
確かに子どもから大人まで楽しめる名作まんがでした。
その後外伝がふたつあることを知り、これも電子版で読むことができました。
電子版っていつでも遡って読むことができるので本当に便利ですね。
ここまでくるとどうしても未読の26話以前も知りたくなりました。
そこでDVDをレンタルして今度はアニメで観ることにしました。
内容を確認したらvol.6まで観ると電子版で読んだ第27話・蜘蛛山に追いつくことが判りました。
早速予約を入れ、次々届きました。
アニメは映像がキレイで、戦闘シーンも丁寧に制作されています。
アニメをじっくり観るのは久しぶり。
アニメスタジオの人海戦術での動画制作と一味も二味も違うコンピューターならではの滑らかな映像を満喫でき、改めて時代が変わったことを知りました。
未読部分には鬼殺隊隊士を育てる育手が登場し、主人公は1年に及ぶ剣の修業で体力をつけ、呼吸法を身に付けます。
そして鬼退治の中で善逸、伊之助と出会い、友情が芽生えます。
やっと全てのストーリーがつながりました。
やはりヒットするにはヒットする理由があるものです。
戦闘シーンや殺戮シーンが多いことよりも、和やかなシーンや登場人物の人生を振り返るシーンなどの方が心に残ること、そして何より主人公の優しく真っ直ぐな性格が全ての世代に高く評価されたポイントだと思います。
家にいた頃は少年ジャンプを回し読みして、その内容についてよく話し合っていた息子や娘に「鬼滅の刃」について聞くと、息子はマンガで、娘はアニメですでに楽しんでおり、共通の話題がまたひとつ増えました。
これからもこういう良質な作品を味わい、一緒に語り合いたいと思います。
先日「このマンガがすごい!2021」に少年ジャンプ連載中の「チェンソーマン」が選ばれたというニュースを目にしました。
電子版で全話読めることもわかりました。
連載中は一話も読んでいないので予備知識ゼロですが、暇暇に読むのを楽しみにしています。
それにしてもいつでもバックナンバーを読める電子版って最高です!

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お気に入りその1966~世界の甲虫

2020-12-14 16:54:29 | 鬼平
今回のお気に入りは、世界の甲虫です。

「原色 世界の甲虫 限定版」という古い昆虫図譜を鑑賞しました。
注文した時に送料がやけに高いなと思いましたが、分厚くて大きくて重たい本だったので、これでは仕方ないと納得しました。
ちょうど50年前の1970年に3000冊だけ発行された限定版で、本書はシリアルナンバー16。
著者と関わりの深い方に贈られたものかもしれません。

前書きには次のようなことが書かれていました。
・昆虫の世界は、蝶と甲虫に美しいものが多い
・甲虫は立体的なので写真よりイラストの方が細部まで判りやすい
・一般的な図鑑ではなく鑑賞用の図譜を目指したため、大きくて見栄えのする甲虫を
 200種限定して収録した
・標本を借りて細密に写生を行った
・戦争を挟み社会がようやく鑑賞用の図譜を求める機運になったので
 研究者・玉貫光一と画家・関口俊雄の積年の願いを込めて制作した
・二人は40数年前、松村松年先生の北大農学部昆虫学教室の学生だった頃に
 ロシアの美しい昆虫図譜にあこがれ、同様の図譜の制作を夢見た仲

これこそ私の求めていた昆虫図譜です。
これまで手仕事の美しさを鑑賞したくていろいろ古い図鑑を集めてきたのでピッタリです。
ページ構成は、英文の解説文、日本語の解説文、昆虫画、生息地の地図という順。
解説文は生息地と体長、名前の由来など必要最小限です。
昆虫画は本来の大きさよりも大きめで、1ページに1匹から5匹程度と実に贅沢に細密に描かれています。
もちろん色彩も豊か。
まさに一般の愛好家が甲虫の美しさを鑑賞するための図譜です。
この手の本は現代でも発行されており、当然現代の方が美しい甲虫が多く掲載されています。
美しい甲虫の多くは東南アジアや中南米に生息しており、それらの標本は50年前の日本には少なかったかもしれません。
また世界の甲虫事情についても情報が不足していたことでしょう。
そんな時代に本書のような冒険的な試みをした著者らを高く評価したいと思います。
昆虫研究者と画家の40年来の夢の結晶という素敵なエピソードを絶妙なスパイスとしつつ、ウイスキーを片手にゆっくりページをめくり、大きくて細密な昆虫画を楽しむことができました。

難点が二つ。
一つ目は大きくて厚いこと。
本棚に納めるスペースがありません。
すぐに取り出せないので横積みしたくないのですが、してしまいました。
二つ目は発行数が少なすぎること。
50年前に3000冊だけ発行された、専門家が手を出さないマニアックな本のため、ネット上に感想を書いている人が見当たりません。
同好の士がいないというのは寂しいものです。

どちらも本書の価値を下げるものではありませんが・・・。




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お気に入りその1965~外国の名作絵本3冊

2020-12-11 18:20:34 | 鬼平
今回のお気に入りは、外国の名作絵本3冊です。
外国の名作絵本3冊を読みました。
①エリカ 奇跡のいのち
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
わたしが1944年に生まれたことはたしかです。
でも、誕生日がいつであるのかはわかりません。
生まれたときにつけられた名まえもわかりません…。
お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです。
第2次世界大戦中のドイツで奇跡的に生きのびた、ひとりの女性の物語。
小学校中級~一般。
=====
ガス室へ向かう列車が速度を落としたのを機に小窓から外に投げられた赤ん坊。
ユダヤの子をかくまうと危険な目にあうかもしれない時代でしたが、彼女は親切な人に拾われ大切に育てられました。
戦後50年目の年、50歳になった彼女はアメリカ人旅行者と出会い身の上話をしたことで、この本は誕生しました。
彼女の母親の最期の願いは聞き届けられ、彼女は子や孫に恵まれた幸せな人生を送っていました。
ユダヤ人大虐殺は人類史上最も残虐な国家犯罪です。
そのことを決して忘れてはいけないと本書は静かに語りかけます。
あえて登場人物の顔を描かないことでエリカ個人ではなく多くのユダヤ人たちが辛い体験をしたことが伝わります。

②急行「北極号」
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
少年の日の素敵な奇跡は大人になった今も色あせることはない。
それは、心から信じているから・・・。
サンタクロースを待つ僕のもとに現れたのは白い蒸気に包まれた汽車、急行「北極号」。
僕はその謎めいた汽車に乗り込み、クリスマス前夜の幻想的な旅が始まる。
森を抜け荒地を抜け、山を越えて汽車は北へ北へと進み・・・。
1986年コールデコット賞受賞作品。
=====
村上春樹が訳した絵本。
サンタクロースを心待ちにする子どもたちの心が生んだ幻想物語。
サンタからもらったプレゼントが、子どもにしか判らないもの、というのが素敵です。
急行「北極号」なんて来ないし、サンタなんていないよ、と思ってしまう夢のない大人としては、この壮大な物語をどう受け止めたらいいのだろうか?と考え込んでしまいました。
まだサンタを信じている子どもに読み聞かせしたい絵本であることは確かです。

③漂流物
AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
漂流物 ― やがて、それはどこかの浜辺にうちあげられることだろう。
そして、それを見つけた者はとても驚き、だれかに伝えずにはいられない。
ウィーズナーがあなたに伝えたい世界とは…。
2007年コールデコット賞受賞作品。
=====
字のない絵本には絵だけでドラマを伝える力が必要です。
これまで読んだ絵本を思い返すと字のない絵本が案外と多かったことに気づきました。
お気に入りの一番は「アンジュール ある犬の物語」、二番は「アライバル」。
三番以下は接戦です。
本書は三番を争う美しい絵本でした。
浜辺に打ち上げらた古いカメラ。
その中のフィルムを現像すると少年が写真を片手に写っていました。
写真の中に写った写真を拡大するとそこでも少年が写真を片手に写っています。
写真の中の写真の中の写真に写った写真を拡大すると・・・。
入子細工のような写真を顕微鏡で拡大して見ると古い古い時代の少年や少女が写真を片手に写っていました。
何人もの子どもたちの手を経てきたであろうカメラ。
それを知った少年は何をしたでしょうか?
結末はご自身でご覧ください。
初代の少年はモノクロ写真が一般に普及した時代に楽しいアイデアを思い付きました。
彼の遊び心は未来の子どもたちへと引き継がれていったという楽しいお話。

外国の絵本といえば、一時期、ガブリエル・バンサンの絵本にハマったことがあります。
「アンジュール ある犬の物語」や「ヴァイオリニスト」などの鉛筆デッサンの確かな技と優しい物語にすっかり惚れてしまいました。
そしてそれらとは全く違う、丁寧に着色された「くまのアーネストおじさん」シリーズの親娘の優しい優しい物語に癒されたものでした。
彼女の作品集は宝物で時々開きますが、一番のお気に入りは「くまのアーネストおじさん」シリーズの最終話「セレスティーヌのおいたち」です。
捨て子だったことを知ったセレスティーヌが勇気を振り絞ってアーネストに自分の生い立ちを聞くシーンや、アーネストが包み隠さず優しく丁寧にセレスティーヌが納得するまで何度も何度も彼女を拾った経緯を説明するシーンはとても感動的でした。
大切に育てた最愛の娘が傷つかないように苦しまないようにと願いながら誠心誠意答える父の愛はゆっくりと確実に娘に届きます。
こんな素敵な絵本が絶版とは実に残念です。
もし図書館などで見かけたらぜひ読んで欲しいシリーズです。

ちなみに今回取り上げた3冊はどれもなかなかの作品でしたが、この先何度も読み返すかというとそこまでのお気に入りではなかったので、年末の本棚整理で古書店に持って行きました。
その古書店は絵本コーナーが充実しており、子どもたちが立ち寄ります。
きっと早い時期に新しい読み手の元に渡ることでしょう。


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お気に入りその1964~復刻版浮世絵

2020-12-09 12:07:48 | 鬼平
今回のお気に入りは、復刻版浮世絵です。

浮世絵が好きで展覧会に行ったり、画集を鑑賞したりしています。
今では芸術の一分野に数えられる浮世絵ですが、江戸時代は庶民の娯楽でした。
絵師の芸術的な作品を、彫り師と摺り師の高い技術で大量生産したことで、ソバ一杯ほどの価格で気軽に買えたそうです。
また薄くて軽くて安いことから旅の土産としても重宝されたそうです。
明治になってヨーロッパに陶磁器を送る際のパッキンとして丸めた浮世絵が使われたことから、その芸術性が高く評価され、美術の一分野として日本に逆輸入されました。
その後、彫り師と摺り師の伝統的な技術は何度も廃れそうになりながらも有志の力により後世に伝えられました。
今でもごく少数の伝統工芸士の方々により浮世絵が制作されています。
残念ながらソバ一杯ほどの価格とはいかず、かなり高価です。
しかし浮世絵の構図や色彩の美しさ、生え際などの繊細な彫り、空摺り・キラ引きなどの美しい仕上げなどをじっくり鑑賞するには江戸時代の浮世絵よりも現代の復刻版の方が鮮やかですし安めなので、お気に入りの作品は復刻版を購入しています。

今回はこの1年間に仲間入りした作品2点について書きます。
まずは「The Great Wave」として世界的に有名な北斎「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」です。
これまで入手した復刻版浮世絵は予算の関係で中判※が多かったのですが、この作品はスケールの大きさを感じたかったので大判※を選びました。
なお江戸時代の浮世絵は大判が一般的だったので、当時の人々と同じサイズでの鑑賞です。

※浮世絵には主に大判・中判・小判というサイズがあります。
 それぞれ 縦39cm×横26.5cm、縦26.5cm×横19.5cm、縦19.5cm×横13cm。
 現代の用紙サイズA判やB判のように順々に半分のサイズになっていきます。
 大判は現在でいうとA3判とB4判の中間くらいのサイズで見応えのあるサイズです。

以前飾っていた「富嶽三十六景・江尻」は中判だったので今回は額ごと交換しました。
やはり大きい方が迫力があります。
復刻浮世絵一点を求めるには画集一冊分の出費が必要ですが、この繊細さと迫力を直に鑑賞できるのですから、その価値は十分あると思います。

もう1点は歌麿の「玩具を口にする娘」です。
このタイトルは知りませんでした。
一般には「ビードロを吹く娘(または女)」「ポッピンを吹く娘」などと呼ばれ、町娘がガラス製の玩具を吹いているあの有名な作品です。
生え際の彫りの正確さや背景のキラ引きの輝きが娘の美しさを引き立てています。
復刻したのはかの有名な「アダチ版画研究所」。
浮世絵の技術を世に残すために尽力してきたあのアダチさんです。
そこの解説者が「玩具を口にする」と書かないと意味が通じない!と説明していたのですからナルホド、そちらのタイトルで覚え直ししましょうと思ったものです。
ところが先日「ビードロを吹く娘」というタイトルで「アダチ版画オンラインショップ」で販売していることを知りました。
えー、どういうこと?
手元にあるのはオクションで入手した古い作品。
アダチさんといえどもあまりに有名になった作品タイトルを変えることはできなかったということかもしれません。
タイトルの謎は謎として、歌麿美人を彫りの繊細さ、摺りの美しさとともに間近に鑑賞できて良かったです。

最後に復刻版を直に鑑賞したいと思いつつまだ入手できない作品について。
歌川国芳の「相馬の古内裏」または「宮本武蔵の鯨退治」です。
どちらも3枚続きの巨大な作品なので他より高価なのは仕方ありませんが、復刻版でも数万円もするのでとても手が出ません。
でもやはりアートプリントではなく、あくまで浮世絵技法で仕上げられたものをドアップで鑑賞したいので、ネットオクションでお手頃価格のものが出るのを待っています。
ぜひ国芳の代表作を原寸大の大迫力で鑑賞したいものです。




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