鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2026~竹鶴政孝パート300

2021-12-31 15:28:18 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート300、奥山儀八郎です。

奥山儀八郎の版画「本邦に於ける本格的ウヰスキーの開宗たる竹鶴政孝先生之像」を入手したとブログに書いたのは2010年4月のことでした。
その後は部屋に飾る順番待ちのため仕舞い込み、他の版画や浮世絵などと一緒にファイリングしようとしたときに行方不明になっていることが判りました。
あちこち探しても見つからず、最近では入手したと思っていたのは夢だったのかも、とさえ思っていました。
仕方ないので再度入手しようと思い、定期的にヤフオクをチェックしていましたがなかなか出品されず今日に至りました。
ところが先日、飾っていた浮世絵を入れ替えようと裏ブタを開けると、中にこの作品が挟まっていたのです。
なぜここに?という疑問より、再会できた喜びで、しばらくの間、言葉も出ず見惚れていました。
マッサンともしばらくぶりの再会です。
そして作品全体を眺める余裕が出てきました。
他の作品よりタテ寸法が長いなとか、銀色の絵の具をこんなに多用していたのか、テーブルの上に魚が3匹あり皿に乗せられていないのはなぜか?など考えながら鑑賞しました。
思わぬプレゼントであり、今年一番のうれしい出来事でした。
もちろん二度と行方不明にならないようにファイリングしたことは言うまでもありません。

ちなみに今回取り上げた版画作品について2010年4月に書いたブログを再掲します。
=====
今回のお気に入りは竹鶴政孝パート179、奥山儀八郎の版画です。
奥山儀八郎の版画を落札しました。
作品名は「本邦に於ける本格的ウヰスキーの開宗たる竹鶴政孝先生之像」。
奥山儀八郎はニッカウヰスキーと関わりの深い作家ですが、この作品は
その第1号と思われます。
制作は1939年(昭和14年)。
ニッカウヰスキー第一号、ニッカブランデー第一号が発売される1年前です。
ニッカブランデー第一号や現在のX・O白のラベルにも使われています。
この作品は、神田神保町でさがしたときに見つけられませんでしたが、
こうして入手できて本当にうれしいです。
=====

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お気に入りその2025~箱根駅伝

2021-12-29 12:22:55 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、箱根駅伝です。
「この間来たお客さんが、家の親は箱根駅伝を始めから終わりまで観ていると呆れて話していました」と、床屋さんが髪を切りながら教えてくれました。
「実は私も観ています」と私は少し小さな声で答えました。
「えっ、そうなんですか?」
床屋さんは手を止め、私の顔をしげしげと見ました。
箱根駅伝を始めから終わりまで観る人ってそんなに珍しいですか?
1月2日の往路、3日の復路ともに6時間ほどの長丁場ですから、観ながら食事をしたり、居眠りをしたりもしますが、概ね観ています。
こんなにハマったのはいつからでしょうか?
記憶にないところをみるとかなり前からです。
2代目山の神、東洋大学の柏原が活躍した時代はすでに熱中して観ていました。
彼が活躍したのは2008年から2011年でした。
初代山の神、順天堂大学の今井の頃は往路から復路まで全部を観ていなかったと思います。
彼が活躍したのは2004年から2007年まで。
ということは箱根駅伝にハマって13~14年というところでしょうか。
箱根駅伝の長い歴史を考えるとまだまだ初心者です。
好きが高じて芦ノ湖そばにある箱根駅伝ミュージアムを見学し、駅伝コースで記念写真を撮ったのは5年前でした。
ということで2022年の箱根駅伝もとても楽しみです。
そんな気分にぴったりな本があることを知り、読むことにしました。
生島 淳著「箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ」

出版社の内容紹介を引用します。
=====
「箱根」だけは、泣けてしまう
どうして箱根駅伝は泣けてしまうのだろう。
2015年、青山学院大学初優勝から駒沢、東洋、明治、早稲田…
奇跡と真実のストーリー。
=====
箱根駅伝については、三浦しをんの代表作「風が強く吹いている」でたっぷり感動させていただきましたが、あれはあくまでフィクションであり、それに比べ今回のは実話。
実在の選手や監督を思い浮かべながら読み、本番に向けて心の準備をしたいと思います。
これを書いている時点でまだ本が届いていません。
「たくさんのふしぎ」や「かがくのとも」を読みながら届くのを待っています。
先ほど天気予報で元日は関東も氷点下になると聞きました。
いつぞやのように山下りで転倒者続出ということになりかねません。
選手のみなさんにはケガなどせずに日頃培った実力を存分に発揮されることを祈っています。


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お気に入りその2024~蛍光鉱物

2021-12-27 12:46:03 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、蛍光鉱物です。
久しぶりに蛍光鉱物を2種類入手しました。
①アフガナイト
最近寝る前に読んでいる「石の辞典」で知った鉱物です。
アフガナイトはアフガニスタンで産出する緑青色、透明の鉱物で、紫外線によりオレンジ色に蛍光します。
アフガニスタンといえば昨年中村哲医師が殺害され、さだまさしさんが追悼曲「ひと粒の麦~Moment~」を制作し、絵本「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」を翻訳したことを思い出します。
アフガニスタンが昔のようにのどかな農業国に戻ることを願った中村哲さんを偲び、1cm角にも満たない小石を鑑賞することにしました。
ちなみに「石の辞典」にはたくさんの鉱物が紹介されていますが、驚くべきはその全てが細密イラストであること。
内田有美さんという方が描いていて、他の作品を鑑賞したくて本を探したけれど見つかりませんでした。
いろいろな雑誌にイラストを提供しているようですので、集約して作品集になったらいいなと思います。

②オパール
北海道の然別で採取された蛍光オパールを200gほどの小片セットで入手しました。
以前からひとつくらい地元のものを欲しいと思い検討していましたが、たくさんの蛍光色があることを知り、全色を一度に鑑賞するため思い切ってセット購入しました。
このオパールについてはいろいろなHPで紹介されていますが、一番正確と思われる研究論文を見つけたので、興味のある部分を抜粋してご紹介します。
「地質調査研究報告 2015年 第66巻 第7/8号」
「北海道然別地域で採取されたオパールの鉱物学・地球化学に関する予察的研究」
・然別のオパールが赤色・緑色・オレンジ色・黄色・青色などの鮮やかな蛍光色を呈することは
 2014年に岡崎らによって初めて明らかにされた
・然別のオパールには金、銀、水銀、ヒ素、アンチモン、テルルなどが高濃度に含まれる部分が
 ある
・然別は大雪山国立公園にあるため現地での詳細な調査はほとんど行われていない
・然別のオパールは長波長紫外線でも短波長紫外線でも蛍光を発するが、長波長の方が明るい
・オパールは熱水の上昇路や温泉の湧出口などに沈殿してできる非晶質含水ケイ酸
・然別のオパールは過去の熱水活動の結果と考えられる
・蛍光は不純物質や結晶構造の欠陥・ゆがみに起因するものが多いが、蛍光を発する生物起源
 物質の混入も含め、さらなる研究が必要
 (バクテリアコロニー様の繊維状組織が一部で観察されている)
・蛍光の原因となる微量金属元素(アクチベータ)は次の通り
  緑色 ⇒ ウラン、銅
  赤色 ⇒ クロム、鉄、マンガン
  青色 ⇒ ユーロビウム(希土類元素)
 ただし、主成分と微量成分の微妙な組み合わせで発色は変わるため、発色から微量成分を
 特定することはできない 

然別のオパールなどのように強蛍光の蛍光鉱物を暗い中でブラックライト照射すると、赤熱した木炭のように石の内部から蛍光が湧き出ます。
その様は、いつもながら魔法を目にする感覚です。
頭に浮かぶのはラピュタの飛行石。
まだ目にしたことがない方は、一度は体験されることをお勧めします。

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お気に入りその2023~しもかわらゆみ

2021-12-24 12:15:44 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、しもかわらゆみです。
最近、岩渕真理、荒井真紀という2人の絵本作家の細密で美しい絵に出会いました。
今回のお気に入りも魅力的な絵を描く女性の絵本作家です。
しもかわらゆみさんという方で作品は「ほしをさがしに」という絵本。
これまで細密で美しく、そして正確な絵が好きでいろいろな画家の絵を鑑賞してきました。
植物、昆虫、鳥、魚、動物。
いろいろなモデルを美しく描いていました。
ただ動物、特に哺乳類を上手に描く方が少ないことが気になっていました。
植物、昆虫、魚の3種は動きが限定的で輪郭が取りやすいので描きやすいでしょう。
鳥も哺乳類ほど動きが複雑ではありません。
実際に描くなら哺乳類が一番難しそうです。
一律に哺乳類といっても種類によって生活が違い、動きが大きく違います。
当然骨格や筋肉も違います。
それらが実にしなやかに動くため、骨格や筋肉を意識しながら観察し、たくさんのデッサンを積まないと自然に見える姿を描くことはできないと思います。
しもかわらさんの描くネズミやウサギなどの動物たちは実に自然で、ビアトリクス・ポターが描いたピーター・ラビットに近いものを感じました。
何でもしもかわらさんは野生動物を描くワイルド・ライフ・アートを本格的に学んだそうで、ナルホドと思いました。
以前、海外のワイルド・ライフ・アートの画家さんたちの作品集を鑑賞した時に、一幅の絵画作品としての完成度の高さに感服したものです。
しもかわらさんの「ほしをさがしに」は絵本版ワイルド・ライフ・アートとして素晴らしい出来ですし、その後も擬人化したかわいい動物たちを描き活躍されていますが、いつかはその動物固有の動きを取り入れた見事な絵画作品にも挑戦していただきたいと思います。

また日本でワイルド・ライフ・アートを教える講座があり、しもかわらさんのような才能ある作家さんが誕生していると知り、しもかわらさんに続くワイルド・ライフ・アートの名手が誕生することも楽しみです。

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お気に入りその2022~荒井真紀

2021-12-22 12:38:37 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、荒井真紀です。

先日、岩渕真理さんの絵本2冊を読み、ていねいな観察と美しいイラストに魅了されました。
他の作品も読みたくて探しましたが見当たらずとても残念に思っていました。
その後、もしかしたらこの人もお気に入りの作家に仲間入りするかも、という方を知りました。
荒井真紀さんという方です。
「ひまわり」という作品が素晴らしい、と評判なのです。
どんな人かを調べて驚きました。
この方、花や昆虫の細密画家として有名な熊田千佳慕のお弟子さんなのだそう。
これまで熊田さんの弟子は舘野鴻さんしか知りませんでした。
舘野さんはとにかく寡作なため、まだ数冊しか鑑賞できておらず、とても残念に思っていたので、もう一人のお弟子さんとの出会いはとても貴重です。
しかも今度のお弟子さんにはたくさん作品があるようです。
1冊試し読みしてから他も、と思っていましたが、気が付くと4冊まとめて注文していました。
師匠のビッグネームが効いており、間違いなく期待に沿った作品でしょう。

4冊それぞれの感想を書きます。

・あずき(かがくのとも2014年5月号)
 あんこをたっぷり使ったお菓子が画面いっぱいに描かれています。
 辛党の私でも美味しそうに見えますから、甘党の方はヨダレが出るのではないでしょうか。
 またあずきひと粒を土に植え、芽と根が出て葉が広がり、花をつけ、さやが伸び、収穫するまでを
 丁寧に描いています。
 作者の観察では306粒のあずきが収穫できたそうです。
 つやつやのあずき、生き生きした葉や花、美味しそうなお菓子。
 その全てを手に取るように鑑賞できる作者の手腕に脱帽です。

・じゃがいも(かがくのとも2017年5月号)
 北海道の主要作物であるじゃがいも。
 作者はじゃがいもから芽が出て、それが葉や根として伸びていき、次世代のいもが育っていく
 様子を丁寧に描いています。
 じゃがいもから出たばかりの芽に注目し、画面いっぱいに描いているのは衝撃的でした。
 まさに生命のエネルギーを象徴する場面だと思います。
 今まで何度も目にしてきましたが、次見つけたらじっくり観察しようと思います。

・ひまわり(花の絵本シリーズ第2弾)
 身近なひまわりですが、作者の観察記録でいろいろ知ることができました。
 ひまわりは花が常に太陽を向いていると言われていますが、実際は葉だけの状態のときに
 常に太陽を向いていたそうです。
 花は小さな花の集合体で外周から順に開花し、大きな花の場合、全ての花が咲くのに2週間も
 かかるそうです。
 花が開花するに従い、花全体が大きくなり、作者のひまわりは2000個もの種をつけました。
 細密な絵でひまわりの外観の成長を描くだけでなく、花全体の断面や、大きな花を構成する
 小さな花がつぼみから開花し種になるまでも描いています。
 これは素晴らしい。
 子どもたちに読んでもらいたいです。

・たんぽぽ(花の絵本シリーズ第3弾)
 多年草のたんぽぽは地面に沿って葉を広げ、ごぼうのような根を深く延ばして冬を越します。
 葉の奥にはすでにつぼみがあります。
 春になると葉を伸ばし、つぼみを伸ばします。
 つぼみは2日から3日かけて花を咲かせます。
 たんぽぽの花はひまわりと同様で小さな花の集合体であり、外周から内周に向けて順に開花
 します。
 花は毎夜閉じますが、4日目閉じたまま開かなくなり、種を成長させます。
 種が熟すとパラシュートのような綿毛を広げ、大空に飛ばします。
 作者が観察したたんぽぽは200個の種をつけたそうです。
 その後、地面に落ちた種が芽を出し、葉や根を伸ばし、冬を迎える準備をするところまで
 しっかり描いていることに好感を持ちました。
 たんぽぽってどこにでもあるけれど、じっくり観察しないと気づかないことが本書には
 たくさん紹介されていました。
 これも子どもたちにはぜひ読んでもらいたいです。

どの作品も観察記として素晴らしかったです。
子どもの頃にこういう素敵な本に出合っていたら、自分は何を観察したかな、と考えることも楽しかったです。




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お気に入りその2021~岩渕真理

2021-12-20 12:28:55 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、岩渕真理です。
以前、たくさんのふしぎ「光をつむぐ虫」を読み、ヤママユガのつむぐ糸がとても美しいことを知りました。
それが天蚕糸であり、とても高価なことから「繊維のダイヤモンド」と呼ばれています。
たくさんのふしぎは写真で紹介していましたが、先日美しい絵で紹介している絵本を見かけました。
岩渕真理さんという方の作品です。
カスタマーレビューによると著者自身が飼って観察し、絵と文章を書いたそうです。
これは楽しみです。
早速読むことにしました。
かがくのとも「ヤママユ」 2020年9月号
内容紹介を引用します。
=====
大きな美しいまゆをつくる虫、ヤママユ。
そのまゆづくりは、幼虫が糸を三日三晩出し続けて行われるものです。
そうして出来上がったまゆの色は、周囲の木の葉の色にそっくりな黄緑色。
そのため、身近な雑木林や森にもまゆはあるはずですが、気付いたことのある人は稀でしょう。
自然の中で人知れず行われている生命の営み、そして、その造形美に迫りました。
=====
コナラの葉をモリモリ食べていた幼虫は葉の付け根をかじって葉がぶら下がるようにすると糸を吐きはじめます。
翌日には糸の向こうに姿が見えなくなりますが、耳を寄せるとカサカサ動き回る音が聞こえ続けます。
三日目ついに音が止みました。
繭は触るとまだ湿っていますが、やがて乾き、雨に耐える繭の完成です。
繭はコナラの葉から半分顔を出しているにもかかわらず、葉と同じ色をしているためすっかり同化して見つかりづらいです。
ある日、繭の先端が濡れてくると、そこを破ってヤママユガが羽化し、飛んでいきました。
岩渕さんはこの一部始終を五感を使って観察しました。
そして繭を固定する糸の果てまで細密に、そしてその美しさをそのままに描き上げました。
何度でも鑑賞したくなる美しく細密な絵としっかりした観察記録は実に魅力的です。
ぜひ他の作品も鑑賞したくて調べると、一冊だけ作品が見つかりました。
早速取り寄せて読むことにしました。

かがくのとも「にわのキアゲハ」 2016年4月号
内容紹介を引用します。
=====
キアゲハが庭で38個の卵を産みました。
でも、卵も、産まれた幼虫も、次々に他の虫に食べられて数が減ってゆきます。
無事に蝶へと羽化できるものは、いるのでしょうか!? 
自然が織りなす生命のドラマを描きました。
身近でごく普通に飛んでいるキアゲハは、こうした無数の危険をくぐり抜けてきた奇跡の存在なのです。
=====
キアゲハはミツバの葉1枚に卵を1個ずつ、合計38個をていねいに産み付けました。
子どもたちが互いに食べ物に困らないようにするためにと、天敵に襲われる危険を少しでも減らすためにでしょう。
それでも孵った幼虫は18匹。
他はアリが持っていったり、寄生バチに寄生されました。
その後もカマキリや狩りバチなどの攻撃があり、蛹になったのはわずか2匹でした。
ところが2つの蛹の色が緑と茶で違います。
緑の方からは無事キアゲハが羽化しましたが、茶の方からは大きな寄生バチが羽化しました。
結局たった1匹しか大人になれなかったのです。
自然界の厳しさを改めて思い知らされました。
本書でも岩渕さんはしっかり観察してキアゲハの成長を伝えてくれました。
そして幼虫や蝶を実に細密で正確に描いています。
キアゲハの翅の模様は鱗粉までとはいいませんが、相当細部まで描き込んでいて見事なものです。

岩渕さんの作品をもっとたくさん読みたいのですが他に見つかりません。
どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら情報をお願いいたします。

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お気に入りその2020~クジラの解剖

2021-12-17 12:43:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、クジラの解剖です。
電子版の「少年ジャンプ+」で「ONE PIECE」を読んでいます。
そこではいろいろなマンガの試し読みもできます。
気になっていた「怪獣8号」を試し読みしたところ、抜群に面白かったです。
冒頭部分で退治された巨大怪獣を解体処分するチームが登場します。
怪獣を倒して称賛されるヒーローたちとは全く逆で、解体チームは誰からも注目されません。
大きくて重たい怪獣の解体は重労働の上、内臓の解体は臭いため、その晩は気持ち悪くて食事がのどを通らないほど。
と細部まで実に丁寧に描写しており、その後の展開にぐいぐい引き込まれていきます。
「怪獣8号」を読んだ直後に、海岸に打ち上げられたクジラを日本一たくさん解剖しているという研究者のエッセイ本を目にしました。
もしかしたら「怪獣8号」はクジラの解剖(解体)現場を参考にして描いたのかもしれません。
「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」に代表される生物学者の面白過ぎるエッセイ本と同類の香りがします。
早速、田島木綿子・著「海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること」を読むことにしました。
内容紹介を引用します。
=====
電話1本で海岸へ出動、クジラを載せた車がパンク、帰りの温泉施設で異臭騒ぎーー。
日本一クジラを解剖してきた研究者が、七転八倒の毎日とともに海の哺乳類の生態を紹介する科学エッセイ。
「田島さん、クジラが打ち上がったよ」電話1本で海岸へ出動!
解剖は体力&スピード勝負、クジラを載せたクレーン車がパンク、帰りの温泉施設で異臭騒ぎ、巨大な骨格標本ができるまで――。
海の哺乳類の知られざる生態に迫るなか、人間が海洋環境に与える影響も見えてきた。
日本一クジラを解剖してきた研究者が、七転八倒の毎日とともに綴る科学エッセイ。
哺乳類である彼らはなぜ、陸を捨てて海を選んだのだろう。
海での暮らしに適応するために、どんなふうに進化していったのだろう。
そして、なぜ海岸に打ち上がるのだろう。
それが知りたくて、一つ一つの死体から聞こえる声に日々耳を澄ます。
(はじめに より)
=====
第1章から「怪獣8号」につながるニオイの話が登場します。
打ち上げられたクジラが小さければそのまま回収しますが、大きい場合はその場で解体します。
骨は砂の中に埋設して生物分解に任せます。
その際、血や内臓のニオイがたっぷり体に付きます。
また腐敗が進んでいる場合は一刀目で爆発噴出を浴びることもあります。
最初は臭いですが作業を進める内に気にならなくなります。
血なまぐさいニオイ、内臓の発酵臭、腐敗臭の元となる体液はできるだけきれいに拭き取り、地元の温泉に入って洗い流します。
気を付けて拭き取ったつもりでも異臭騒ぎが起きることがしばしばあります。
著者はお詫びしつつも、異臭騒ぎは女湯でしか発生しないと断言しています。
それだけ女性の方がニオイに敏感なのだということでしょう。
第2章ではシロナガスクジラが日本で初めて漂着した事例を紹介しています。
漂着した浜に、北は北海道から南は宮崎まで、まあ見事に全国から研究者が集合した様子は壮観だったようです。
海の哺乳類を研究する方々は、漂着した個体から得られる情報を常に欲しているため、フットワークが軽いのですね。
そういえば今月1日、著者の田島さんが北海道伊達市を訪れました。
非常に珍しいハッブスオウギハクジラと思われるクジラが浜に打ち上げられたという情報をうけての来道でした。
このクジラは外洋で深海生物を捕食して暮らしているため漂着例が非常に少ないそうです。、
残念ながら田島さんが到着したときには波にさらわれ姿が消えていたそう。
ニュースに登場した田島さんは
「本当に残念。20年間やってきてこんなことは初めて。」
と語っていました。
クジラにロープを巻いて固定しておいたら良かったのに!
わざわざ来てくれた田島さんに申し訳ないことをしました。
第3章以降も海獣学者の立場から一般の方へ、そしてこれから海獣学者を目指すかもしれない子どもたちへ「クジラに興味を持って欲しい」という熱い思いの溢れた文章が続きます。
その熱にあてられてか、ついつい時を忘れて読み進めました。
その中で著者が実に興味深いことを書いています。
クジラを研究する学者には世界的に女性の割合がとても多いそうです。
どうやらクジラの大きくて力強い姿に惹かれ、恋に近い感覚があるようです。
打ち上げられたクジラを求めて全国を飛び回る著者のエネルギーの源もそこにあるようです。
自分における竹鶴政孝や鬼平犯科帳のような存在かもしれません。
自分の好きなものを追い求め、人にも理解して欲しい、という熱を感じながら読みました。
ちなみに著者はトドやアザラシの群れで最強のオス1頭に全てのメスが集まるのは、自分の遺伝子を残すための当然の行動と言い切っています。
メスが大きくて力強いオスに惹かれるのは本能であり、女性学者も例外ではないということでしょう。
なかなか面白い見解ですし、若い頃、小柄な自分がモテなかった理由がよーく分かりました。



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お気に入りその2119~向田邦子

2021-12-15 12:27:08 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、向田邦子です。
先日、向田邦子没後40年を記念して制作されたテレビ番組を観ました。
メインは太田光と黒柳徹子、ゲストは美村里江・酒井若菜・小川糸・有川ひろの4人。
それぞれの向田“愛”をたっぷり聴き、久しぶりに向田作品を読みたくなりました。
また番組の中で美村里江がおススメしていた向田さんの講演記録「言葉が怖い」も聴きたくなったし、酒井若菜さんが絶賛していた太田光・著「向田邦子の陽射し」も読みたくなりました。

講演記録についてはどうやら以前youtubeで聴いたのがそれのようで、もう一度しっかり聴きたいと思います。
太田光の著作については以前読んだ「私のこだわり人物伝 向田邦子・市川雷蔵」と内容が重複するそうなので読まなくてもいいかなと思っています。
それにしても皆さんの熱愛ぶりには驚かされました。
中でも美村さんのトーク炸裂が印象的でした。
彼女が月に200冊も読む大の読書家というのにまず驚かされました。
エッセイもたくさん読んだけれど向田ほど見事な文章は他にないそう。
これは説得力あるご意見です。
また彼女は小学生のときから向田ファンだったそうで、ドラマ「トットてれび」で向田役の依頼がきたときはファンと女優という両極端の思いから身が割けそうで、数日間の記憶がないほどだったと語っていました。
ファンとして知り尽くした向田を演じたことから、向田が憑依したのではないかとまで言われるほど高く評価されました。
向田邦子と池波正太郎は人間観察の達人であり、短く切れの良い文章の達人です。
何度でも読みたくなる気持ちがよーく分かります。
有川ひろさんが、向田作品を枕元に置いておき時々適当に開いて読んでいる、と言っていました。
真似しようかな。

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お気に入りその2118~広重のシリーズ物

2021-12-13 12:47:26 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、広重のシリーズ物です。
浮世絵師・歌川広重のシリーズ物で気に入っているのは次の3つ。
「東海道五十三次」「魚づくし」「名所江戸百景」

第一のシリーズ「東海道五十三次」は超有名。
復刻版浮世絵は高価なのでお気に入りを数点だけ購入し、時々差し替えて楽しんでいます。

第二のシリーズ「魚づくし」は写実的な魚がどアップで描かれています。
最近ヤフオクに全20枚揃い(復刻版)が数回出品されました。
思い切って入札参加しましたが、あっという間に高値がつき脱落しました。
フルセットを入手して旬に合わせて入れ替えつつ鑑賞したかったなぁ。
手元にあるのはかなり前に吟味に吟味を重ねて選んだ「さば・かに・朝顔」だけ。(もちろん復刻版)
フルセットの落札額は常に6万円を超えているので今後も入手は無理でしょう。
ところで先日のオクションで「魚づくし」に「永寿堂版・山庄版」という肩書が付いていたことが気になり調べてみました。
広重の「魚づくし」は4シリーズ40種あり、一般にはその内の永寿堂版10種・山庄版10種の計20種を「魚づくし」一式としています。
そのため20枚でひと揃いとする場合は「永寿堂版・山庄版」と肩書を入れるのだそうです。

第三のシリーズ「名所江戸百景」はそこそこ有名。
全120枚揃いということでフルセット(復刻版)の入手は最初から諦めています。
辛うじて持っているのは「浅草金竜山」(復刻版)のみ。
最近、読売新聞の額絵シリーズに「名所江戸百景」全120枚揃いというのがあるのを知りました。
昭和51年の発行で45年も経っているため、色彩が正しく再現されているか、退色していないか、折れや傷みがないかといろいろ心配はありますが、老眼の目には画集の小さな絵よりも大判の額絵の方が何よりうれしい!
ということで奮発して額絵シリーズ「名所江戸百景」全120枚揃いを購入しました。
奮発といっても所詮は新聞のおまけですから1枚当たりでいうと80円以下ですが・・・。
届いたものをチェックすると紙自体がちょっと黄ばんでいます。
経年劣化でしょうか?
言い方を変えると「時代が付いている」ともいえますが、これは単なる負け惜しみ。
玄関に吉田博と川瀬巴水の額絵シリーズから季節に合ったものを差し替え差し替え飾っていますが、今回さらに名所江戸百景も選択肢に入りました。
これまでは候補を床に並べて妻に選んでもらっていましたが、名所江戸百景は枚数が多すぎるので、縮尺した額絵で目次を作り、それで選ぶようにしています。
日焼けを気にせずに飾ることができる額絵シリーズがすっかり気に入っています。
こんなに枚数があったら一生楽しめるかもしれません。

ところで江戸時代の人は、120枚ものシリーズをどう保管し、どう楽しんだのでしょうか?
おそらく庶民は好みの数枚を飾るだけで、120枚揃いで所有するような人は余程の好事家しかいなかったでしょうね。

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お気に入りその2117~こんちゅう稼業

2021-12-09 12:41:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、こんちゅう稼業です。
秋山あゆ子さんのコミック「虫けら様」の雰囲気が良かったので「改訂版 こんちゅう稼業」も読むことにしました。
出版社の内容紹介を引用します。
=====
大幅な加筆修正と単行本未収録4作品を加えボリュームアップ!
虫や鳥たちの小さな命を繊細な優しさで見つめ、人の世界へと繋げる力強さに感服!
虫愛でる著者が、魂をそそいで描き上げた傑作短編集、ファンの要望に応え増頁で復活!
=====
「虫けら様」でコミック版を選んだため養老先生の帯文とメレ山さんの解説が読めなかったことを悔いて、「こんちゅう稼業」は吟味しました。
「改訂版」は単行本を加筆修正した上、4作品も追加しているそう。
事前に調べて良かった!
当然改訂版を読みました。
昆虫にこだわらず、鳥や動物、植物が穏やかな意思を持って登場します。
さらに仙人や妖精なども登場します。
中には民話に材をとったであろう不思議話もあります。
他では味わえない独特の雰囲気を持った作品集です。
自然界の生き物や精霊などの声が聞けたらこんな感じかな、と思います。
「もののけ姫」や「となりのトトロ」などにも通じるものもあります。
雨が降るとコケの雄株から精子が流れ落ち、雌株の卵子と受精します。
やがて柄が高く伸びて先端の朔から胞子を遠くに飛ばします。
コケに住むクマムシは乾燥時期は生命活動を停止して過ごし、雨降りに復活し、頃合いを見て卵を産みます。
人知れず繰り返される生命の営みを、擬人化してふんわりと描いていてとても好ましい作品です。
若い男がなぜか調子が悪いといって寝込んでいます。
親は心配して男の幼馴染である女に様子を見るよう頼みます。
女が散らかった部屋を片付け、花を飾ると、つくも神がたくさん現れて花の精と次々カップルとなり消えていきます。
一人残されたつくも神は自分の花がないと男に訴えます。
男は幼馴染のもとを訪れ、花を所望するとともに女の手を引いて帰途につきます。
本来の意味の付喪神とは違いますが、むさくるしさに集まった小さな妖怪たちが女の手によってキレイになった部屋から退散していく様と、男女の心が通じるまでをふんわりと描いているところがとても気に入りました。
心穏やかに過ごしたくなったら本書を読むといかにも効きそうです。

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