鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1567~夏まつり

2018-08-31 12:16:10 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、夏まつりです。

今年も地域の夏まつりのお手伝いをしました。
「みんなでつながろう」をテーマにしたお祭りです。
金融機関の支店の撤退により広い敷地が無くなったため中止となって15年。
メインストリートに面した3つのお店の敷地を活用した分散型のお祭りとして生まれ変わり、今年で4年目。
地元商工会、4つの町内会、4つの子ども会などが協力してにぎわいを復活させました。

実施したのは先週の土曜日。
台風19号・20号が前後して来襲するという予報に戦々恐々としながら当日をむかえ、朝の雨足の強さに肩を落としながら、それでも雨天決行とPRした以上、気合を入れ直し会場設営に向かいました。
幸い雨は朝の内にあがり、祭りが終わる夕方まで「曇り時々晴れ」でした。
また台風の影響により強風が吹くことも恐れていましたが、時折多少強い風が吹くくらいでおさまりました。
イベント・テント5張に影響がなくて助かりました。

子どもたちからお年寄りまで、実に多くの人々が集まり楽しんでいただきました。
子どもゲームコーナーは例年以上に人気で、開催時間2時間のはずが、1時間を過ぎたところで完売してしまいました。
もちつきコーナーは、ふるまいもちが間に合わず、例年にない行列ができていました。
ビアガーデンでジュースやおつまみの販売を担当したお店は、かつてない売れ行きに何度も商品を追加していました。
そして野菜詰め放題は、野菜の高騰を受け、主婦のみなさんが例年以上に必死に袋に詰めていました。
最後に今年初登場の「ギネスに挑戦」。
わずか30秒の間に塗箸で大豆をいくつお椀に移せるか?というシンプルなゲームですが、6世代に分け、それぞれの世代のチャンピオンが表彰されるとあって予想以上に参加者が多かったです。

私はと言うと、テントやイス・机の搬入・搬出を主にお手伝いしました。
祭り開催中はそれぞれのコーナーをのぞいて回り、手不足を見つけてはお手伝いしたくらいです。

当日夜の打ち上げは楽しかったです。
スタッフ60~70人のほぼ半数が参加し、にぎやかに過ごしました。
ヘトヘトに疲れたけれど、来年も地域のみなさんのために頑張るぞ!

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お気に入りその1566~船乗りクプクプの冒険

2018-08-29 12:18:47 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、船乗りクプクプの冒険です。

北杜夫著「船乗りクプクプの冒険」という古い文庫本を買いました。
串田孫一が解説を書いていると知ったためです。
実際に本を手にすると表紙の絵も串田氏が描いたものだったので、串田ファンとしてはダブルでお得でした。

本書は1970年発行のため、活字が驚くほど小さい!
童話なのに!と心の中で文句をいいつつ、ぎりぎりハズキルーペを使わずに読み通しました。

北杜夫と串田孫一はどちらも大のお気に入り。
ふたりのコンビ作品があることはこれまで知りませんでした。
ちなみに「どくとるマンボウ昆虫記」の文庫本も解説が串田孫一であることを知りました。
早速本棚を調べましたが単行本だったため解説がありません。
今度書店で立ち読みしようと思います。

さて本書の感想などを少々。
「どくとるマンボウ」シリーズを彷彿とさせるユーモアあふれる言葉の数々に気分を良くし、楽しく読むことができました。
小説家キタ・モリオが書いたわずか数ページの本のせいで、その物語の世界に引きずり込まれた少年・タロー。
彼はクプクプという少年として船に乗り、冒険をすることになります。
クプクプの世界からタローの世界に戻るためには、物語の世界の中で編集者から逃げ回るキタ・モリオに続きを書いてもらわなくてはいけません。
はたしてタローは元の世界に戻れるのか?

物語はハチャメチャですが、ときどき心に響く言葉が出てきます。
例えば
「長年生きていれば知識は得られる。
 頭がいいというのは、そこからどれだけ工夫して応用できるかだ」
「利口になったりバカになったり、それが人間だ」
良い言葉だけれど、この本を読んだ子どもたちに伝わったかな?

もうひとつ、まさしく「どくとるマンボウ」のユーモアと絶賛したシーンを切り取ります。
「みんなあなたのことを、ペテン師だの大ボラ吹きだのといっていますぜ」
「そのうえ、バカのマヌケのヌケサクのクルクルパーのコンコンチキだとわる口をいっていますぜ」
「そのうえ、ガニマタでオタンコナスでヌカミソのカビみたいだといっていますよ」
「つまり、原稿をかけもしない小説家なんてそんなものだといっているんです!」

たたみかけるユーモア。
「どくとるマンボウ」シリーズにはこういうシーンが良く出てきたと思います。
散々悪口を言っていながら決して下品になりません。
これは作家・北杜夫の人柄からにじみ出るものなのでしょうね。
若い頃にたくさん読んだ「どくとるマンボウ」シリーズを懐かしく思い出しました。

もしあなたが北杜夫をまだ読んだことがないのなら、おすすめするのは何と言っても「どくとるマンボウ航海記」。
水産庁の調査船に船医として乗り込んだ著者が世界中で繰り広げた珍道中を上品かつ爆笑モノのユーモアで描いた名作です。
こう書いていたらまた読みたくなってきました。




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お気に入りその1565~絵師の漫画2冊

2018-08-27 12:12:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、絵師の漫画2冊です。

絵師を描いた漫画を2冊続けて読みました。
一ノ関圭の「茶箱広重」と杉浦日向子の「YASUJI東京」。

はじめは「茶箱広重」。
作者の一ノ関圭は「幻の漫画家」といわれるほど寡作ですが、32年ぶりに発表した「鼻紙写楽」で手塚治虫文化賞や日本漫画家協会賞を受賞するほど作画とストーリー両方に長けた方だそうです。
これまでその名を知りませんでしたが、とりあえず代表作「茶箱広重」を読むことにしました。
実際に絵を見るといつか見たことがあるような気がしました。
表題作「茶箱広重」は二代目広重を描いています。
解説の小説家&浮世絵研究家の高橋克彦氏が絶賛しています。
作品では二代目の生涯をさらさら描いていますが、資料が少ないのでここまでまとめるのは大変だったろうとのこと。
表題の意味が絶妙です。
当時陶磁器や漆工芸品などを日本からヨーロッパに送る場合は茶箱に入れて輸送しました。
その茶箱に張られていた浮世絵があまりに美しいため話題になり、はがしてコレクションする者まで現れたそうです。
これがのちにヨーロッパでジャポネスク・ブーム、浮世絵ブームになるきっかけとなりました。
そのきっかけになったのが二代目広重の作品だったため、「茶箱広重」というあだ名がついたそうです。
初代の風情を見事に伝える作風ですから評判となるのは当然でしょう。

この作品は、師匠が亡くなり、周りの強いすすめで幼い娘を嫁にもらい二代目を継いだことから起きた悲劇を描いています。
丁寧な展開は確かに名作の香りがしました。
美術史に興味がある方はぜひお読みになることをおすすめします。

次の「縦走路」は日本アルプスで起きた山岳部員の遭難死を描いています。
謎だった遭難の理由がひとつひとつ解明されていく、それは見事なサスペンス・ドラマに仕上がっています。
「水茎」は滝沢馬琴が盲目になりながらも息子の嫁の口述筆記により長編作「南総里見八犬伝」を完成させるまでを描いています。
平仮名しか書けなかった女が義父に生きながらえてもらいたい為に勉強し変わっていく姿は感動的です。
他「俺が愛した女」「ほっぺたの時間」も良い作品でした。

素晴らしい作品を描く漫画家ながら、展開が判りづらく何度読んでも理解が及ばない難解さも持ち合わせています。
いつもなら他の作品にも手が伸びるのですが、この人は止めておきます。
小説でいうと芥川賞受賞作のような作品。
文学的に深読みできない私には向きません。
やっぱり私には大衆受けする直木賞受賞作のような作品が向いています。

2冊目は「YASUJI東京」。
江戸時代を見てきたのでは?と思わせるほど時代考証に精通していた杉浦日向子の漫画作品です。
時代が江戸から明治に変わり、絵師が画家と呼ばれるようになったころの話。
光線画で有名な風景画家・小林清親とその弟子・井上安治が主人公。
ふたりが描いた東京の景色を対比させ、情緒を持ちこまない安治を「目玉と手だけの画家」として描いています。
安治は25歳という若さで没しているそうですが、その晩年には画風が大きく変わったそう。
円熟するまで生きたらどんな作品を描いたでしょうか?
見てみたかったです。

他に収録されていた「梅殿桜殿」「白犬」も良かったですが、最後の「鏡斎まいる」が絶品でした。
江戸時代の幻術使い・霞鏡斎の活躍は、陰陽師・阿倍清明を思い出させます。
初めて聞いた名ですが、他にも面白い逸話がありそう。
鏡斎をあつかった作品を探してみようと思いました。
それにしてもこのように才能あふれる作品を残した杉浦日向子が若くして亡くなったことは誠に残念なことです。


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お気に入りその1564~ガンダム②

2018-08-24 12:03:45 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ガンダム②です。

大分前に用意した「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」全巻セットをお盆休み中から読み始めて、ついに読み終えました。
カスタマーレビューの多くに「ファーストガンダム世代が確実に満足する作品」と書かれており、大きな期待をもって読みました。
脇役たちの心の動きを丁寧に描いているためストーリーに厚みが増しており、大河ドラマの風格さえ感じました。
戦闘シーンが少ないとの批判もありましたが、気になりませんでした。
それよりも人々の不満がやがて戦争に発展し、何億もの罪のない人々が死んでいく様が見事に描かれていることに感心しました。
確かにモビルスーツ同士の戦闘シーンは少ないけれど、それはそのシーンを減らした訳ではなく人間ドラマの部分を増やしたことがそう感じる原因だと思います。
ただ、ほとんどのページがモノクロであり、暗い場所・時間の戦闘シーンが多いことから絵が見づらかったことは確かです。
できればフルカラーで読みたいものですが、もしそうなれば随分高価になり、一部のマニアにしか手が出せなくなりそうなので、この仮定話はここで終了。

名脇役の多い「ガンダム THE ORIGIN」ですが、中でもランバ・ラルとクラウレ・ハモンの二人の物語が特に気に入りました。
本書では、ランバ・ラルとハモンが木馬の前に散るシーンを先に配置しています。
続いて若き彼らが幼いキャスバルとアルテイシアを逃がすシーンです。
ここでハモンがキャスバルとアルテイシアの母の妹分だったことも明らかになります。
その後はザク開発時のテストパイロットとしての登場。
サイドストーリーでは、隠れ家でキャスバルが誕生した時にもランバ・ラルが関わっていました。
ザビ家よりダイクン家への忠誠心が強いためにジオン軍でランバ・ラルの立場が悪いことや、彼を愛する余り危険なサポートを続けたハモンの心の内がとても丁寧に描かれていました。
そのため「アルテイシアと知ってなぜ銃を向けるか?」というセリフの重さが生きるし、彼と生死を共にするハモンの生き様が見えてきました。

「THE ORIGIN」で一番深く掘り下げられたのはこの二人ではないでしょうか。
ファーストガンダム世代としてうれしい収穫でした。

もうひとつの収穫。
それは戦後、セイラさんがミハルの弟と妹を陰ながらバックアップしていたこと。
カイだけでなくファーストガンダム世代は感動したはず。

今頃ファーストガンダム?という疑問を持ちながら読みましたが、とても満足できる作品に仕上がっていました。
やはり読んで良かったです。


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お気に入りその1563~しじみの炊き込みご飯

2018-08-22 12:15:59 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、しじみの炊き込みご飯です。

先日の妻が仕事で私が休みという日に、新鮮なしじみをご近所さんからいただきました。
サロマ湖のしじみだそう。
天塩のしじみはスーパーでよく目にしますが、サロマ湖も名産地とは知りませんでした。

しじみは味噌汁がおいしいけれど、たまには違う食べ方をしようと思い、いつもお世話になっているクックパット様に問合せして、炊き込みご飯を教えてもらいました。
簡単な料理しかできない私ですが、いとも簡単においしく出来上がりました。
何と言っても味つけがポン酢しょうゆだけというのが魅力。
お米1合当たり大さじ2でOK。
あとは戻した干しシイタケをスライスし、戻し汁とともに投入。
レシピにはシメジも入れると書いていましたが、香りのよいマイタケに代えました、

あとは炊くだけ。
これでいろいろなダシが効いたおいしい炊き込みご飯の出来上がり!
味覚の敏感な妻も、本当にポン酢だけ?と驚いていました。
しじみの殻からご飯と身をはずすのが手間でしたが、その分ゆっくり味わうことができたことも良かった点です。
いつもあれくらい時間をかけ、会話をはさみながら食べた方が良いと反省しました。

ちなみに分量は、お米2合に対し干しシイタケが3枚、マイタケが1/2パック。
残りのマイタケは一緒にいただいた新タマネギとともに味噌汁に入れました。
おかずはグリルで香ばしく焼いたさつま揚げにおろししょうがをそえただけ。
少々貧弱でしたが、意外と満足感のある夕食となりました。

本当に簡単なので、料理が苦手なオジサンは奥さんや子ども達に作ってあげると良いと思います。

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お気に入りその1562~原色日本昆虫図鑑

2018-08-20 12:32:33 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、原色日本昆虫図鑑です。

前回に続いて図鑑の話です。
先日近所の地区会館で印鑑証明の発行を待つ間に、本棚にあった保育社の「原色日本昆虫図鑑 上巻」を流し読みしました。
前書きの最後の方に、お気に入りの横山光夫氏の名が出てきてビックリ!
横山氏は保育社「原色日本蝶類図鑑」の著者であり、私は彼の詩情あふれる解説文の大ファンです。
横山氏は虫屋の間では評価が低いため、横山氏に関する記述になかなかお目にかかりません。
その横山氏の名を偶然見つけるとは!

本図鑑の著者・中根氏は、前書きで次のように述べています。
・横山氏の尽力により昆虫の図版(カラー写真)が先に用意されており、それに合せて解説文を書いた。
・掲載種の選定には、自分が所属する近畿昆虫同好会は関わっていない。

この内容からすると、横山氏と著者・中根氏が属する近畿昆虫同好会は、編集者を介した関係であり、仲間ではなかったようです。
科学者というよりも詩人に近い横山氏と理学博士である著者はそりが合わなかったのかもしれません。

とはいえ本書に横山氏が関わっていたことは事実。
もしかしたら図版の選定以外にも関わっているかもしれません。
本書を購入しようか迷いつつ、関わる情報をいくつか集めてみました。
バラバラのパーツを組み立てて次のような推理をしました。
=====
1946年に大阪で創業した保育社は、1950年代初頭に世界初の原色図鑑全集の刊行を計画した。
1954年に第1巻「原色日本蝶類図鑑」を地元のアマチュア研究家・横山光夫氏の執筆により刊行した。
翌1955年に第2巻「原色日本昆虫図鑑 上巻」を刊行した。
こちらの著者は理学博士の中根猛彦と近畿昆虫同好会。
ただし昆虫のカラー写真は、編集前に横山氏が準備した。
前書きで中根氏は掲載種の選定に関与できなかったことに苦言を呈しているが、カラー写真が一般的でない時代に、編集者が掲載全種の写真を優先したことはやむを得なかったことだろう。
=====

本書巻末に昆虫採集についての記事がありますが、横山氏のものではなさそうでした。
昆虫の選定種に横山流のこだわりや偏りがあるらしいのですが、素人にはどこがそうかが判りません。
ということで横山氏の息吹を感じるものはありませんでしたので、本書の購入は断念しました。

それにしても偶然とはいえ、お気に入りの横山氏の足跡をまたひとつ知ることができたことはうれしい出会いでした。

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お気に入りその1561~苔の話2

2018-08-18 12:38:41 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、苔の話2です。

先日読んだ「苔の話」の著者・秋山弘之氏が現在も使っているという名著「原色日本蘚苔類図鑑」が届きました。
1972年発行の初版本ながらなかなかの美本です。
さらに予約販売用のパンフレット、著者と監修者3人の短文をまとめた「付録」、正誤表が揃っているのがうれしかったです。
保育社の原色図鑑は他にも何冊か持っていますが、本書はこれまでで一番分厚く重たいです。

「苔の話」に次のような文章がありました。
 ・図鑑は読むものではない。
 ・図鑑の解説文を読むと眠くなる。
 ・解説文は必要に応じて読むだけで良い。

同じ保育社の横山光夫著「原色日本蝶類図鑑」の解説文を愛してやまない私にとっては同意しかねるコメントですが、「原色日本蘚苔類図鑑」は秋山氏のいうような本なのでしょう。
パラパラ拾い読みしてみると、種の同定に役立つ情報が平坦に書かれており、読書には向かない本です。

ということで、平坦な解説文以外の部分について、いくつか書こうと思います。

①当時の図鑑製本は分業制

図鑑最終ページに発行日、著者名と並んで、製本にたずさわった会社が併記されていました。
 ・原色製版  新日本セイハン
 ・原色印刷  丸山印刷
 ・本文印刷  凸版印刷
 ・製本    平田印刷
当時は原色ページを製版する会社と印刷する会社が別々にあり、さらに本文(モノクロ図版を含む)を印刷する会社があり、最後にそれらをまとめて製本する会社があったことが判ります。
本書の発行年は札幌オリンピックのあった年ですから、すでにカラー印刷がちまたにあふれている時代でしたが、実はまだ特殊な機械と職人技が必要な時代ったということでしょうね。

②予約販売用パンフレット

本書の内容見本(原色図版、解説文)と概要が収録されています。
見本の原色図版は2ページ、それに見合った解説文が2ページが本書同等以上の印刷で収録されています。
「概要」は本書の前書きを判りやすくまとめたものです。
=====
蘚類約500種、苔類約300種の内、代表的なもの300種を選んで原色図版とし、植物体の全形と、種の特徴的部分を拡大図で示した。
総ページ450ページ。内、カラー図版48ページ
宮崎県日南の服部植物研究所は、わが国唯一のこけ専門研究機関。
同所の先生方が記載はもちろん図版まで自ら4年の歳月を費やしてつくられた本格的な図鑑。
日本産約1500種の内、日常目に触れる800種を選んだ。
=====

③付録

(監修 服部氏)蘚苔類の和名
 特に苔類の和名は「名は体を表」していない。
 それは実物を知らずに和名を付けたから。
  コクラマゴケモドキ ~ 大きくてがっちりした種
  アカウロコゴケ ~ 通常は緑色

(著者 岩月氏)蘚と苔~この区別し難いもの
 蘚類の研究者がサンプルを観察して苔類と判断し、苔類の研究者に同定を依頼したら蘚類であると戻ってきた。
 (サンプルの状態や採取時期、生育環境によって個体差が大きいようだ。)
 (本書発行年に著者は43歳。ということは39歳で図鑑編纂に着手したということ。若い!)

(著者 水谷氏)苔類の原色図について
 苔類の原色図が多少模式図的になっていることについて。
 立体的に葉が付いているため、全部にピントを合わすことができない。
 顕微鏡のピントを上げ下げして輪郭を描く。
 水彩で色を付けるが、下からの透過光線のため影がない。
 立体に見えるようわざと影をつける。
 色も透過光と実物では違うため微調整する。
 スタイルよく、ハナラビよく、ハナもミもそろってピチピチしたイキのいいモデルというのはコケでもなかなかいないものだということがわかった。
 (水谷氏は岩月氏より1歳若い。38歳で図鑑編纂に着手した。)

④蘚類と苔類の違い

本書だけでなくいろいろな本を読んでもなかなか理解できなかったので、ネットで調べました。
 ・蘚苔類は蘚類、苔類、ツノゴケ類がある
 ・蘚類 ~ 代表例 スギゴケ
   すべて茎と葉が区別できる茎葉体
   胞子を作る朔の柄が固くて丈夫
   胞子体の上に帽子をかぶっている(古くなると取れるので注意)
 ・苔類 ~ 代表例 ゼニゴケ
   茎と葉の区別がつかない葉状体の種と茎葉体の種がある
   朔の柄がほとんど見えないか、あっても柔らか
 ・ツノゴケ類 ~ 略
   「原色日本蘚苔類図鑑」では原色図を1種だけ掲載している
   葉状体からツノ状の胞子体?が立ち上がっているように見えるが、この見立てが正しいかは不明。 

コケを観察して遊ぼう、と思って何冊か読みましたが、なかなか奥が深い世界であることが判りました。
写真と原色図の図鑑が揃いました。
身近なコケを再度観察しようと思います。
身を寄せあって生えているコケは、そのまま肉眼やルーペで観察するだけでなく、採取して1本だけに切り分けて観察することが同定への近道のようです。
これでコケの観察が楽しみになる日はずいぶんと近づいたように感じます。

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お気に入りその1560~科学絵本

2018-08-16 12:37:01 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、科学絵本です。

別冊太陽「かがくする心の絵本」から選んだ科学絵本をご紹介します。
「化石をみつけた少女 メアリー・アニング物語」。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
11歳のメアリーがみつけた「ほりだしもの」は、何百万年も昔の海の生き物だった!
今から150年以上も前、科学の歴史の上で重要な発見をしたメアリーがどのように化石を発見し、ほりおこしたのかを、楽しい絵本で紹介。
=====

貧しいメアリーと弟の仕事は化石を掘り出して売ること。
今日もメアリーたちは亡き父に教えてもらった方法で化石を探します。
やがて彼女は魚竜の全身化石を世界で初めて発見します。
大人になった彼女は化石の専門家として世界に知られるようになります。
彼女が亡くなった12年後にダーウィンは「種の起源」をあらわしました。
絵本はここまで。

別の本によると彼女は、誰よりも化石について詳しかったにもかかわらず、女性であるというだけで研究室になかなか入れてもらえず、後にようやくその末席に付くことができたそうです。
でもあの時代に、研究室に入れただけマシまだです。
ピーターラビットで有名なビアトリクス・ポターも才能あふれる女性で、英国王立植物園(キューガーデン)の研究者を目指しましたが、女性であるがために断念し絵本作家になったそうです。

そんな環境に置かれていたにもかかわらず世界を変えるほどの研究成果を残した女性たちがいました。
「世界を変えた50人の女性科学者たち」という本です。
今回ご紹介したメアリー・アニングも登場しています。
まだ数人分しか読んでいない上、しばらくは別の本を読む予定なので、読み終えたら改めてご紹介します。
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お気に入りその1559~ハン・ソロ

2018-08-14 15:23:25 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ハン・ソロです。

映画「ハン・ソロ」を妻が観たいというのでお付き合いで行ってきました。
どうせ観るなら吹替版&3Dが良かったのですが、上映期間の終盤のため字幕&2Dしか上映していませんでした。
字幕版は映像への集中力が欠けるため、昔からどうも苦手。
でも実際に映画が始まると、さすがはスターウォーズシリーズ作品。
スピーディな展開はスリル満点な上、これまでの作品に登場した人物と重なるため、ストーリーが深くなり、とても面白かったです。
ハン・ソロの名前の由来、チューバッカとの出会い、そしてミレニアム・ファルコン号に乗るようになった理由など、最近のスターウォーズ作品を観ていなくても十分楽しめました。
ラストでソロの恋人キーラは、ソロの命が狙われないように敵の元に戻っていきます。
彼女のその後がとても気になるラストでした。

キーラを演じたエミリア・クラークは「麗しのサブリナ」の頃のオードリー・ヘプバーンにちょっといていて気に入りました。
そういえば先日観た「ジュラシック・ワールド 炎の王国」で召使アイリスを演じていたジェラルディン・チャップリンが「ロビンとマリアン」の頃のオードリーを思い出させる表情をしてハッとしたのを思い出しました。

最近は上映が終わったらすぐにDVDになったり、民放・有料放送、ネットで観る事ができるので、わざわざ映画館に行こうという気がなくなりつつありましたが、映画館で集中して観るってことも大切だと思いました。


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お気に入りその1558~苔の話

2018-08-12 12:48:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、苔の話です。

昨年読んだ「苔とあるく」という本で苔に興味を持ち、苔の図鑑やルーペを揃えて春を待ちましたが、実際に本物を観察してみると種の同定があまりに難しく、高まった気持ちに急ブレーキがかかってしまいました。
このままではまたすぐに冬が来てしまう・・・。
再び気持ちを高めるために、もう1冊読むことにしました。
秋山弘之著「苔の話~小さな植物の知られざる生態」。
苔にまつわるエピソードにいっぱい触れることで興味を復活させようというねらいでしたが、本書は研究者が書いたため面白みに欠ける文章が続き、退屈しながら読みました。
「鳥類学者、無謀にも恐竜を語る」に代表される「研究者による面白本」には滅多にお目にかかれないことは百も承知のはずでしたが、後悔しつつ、やっとのことで読み終えました。

あまりにダラダラ読んだため、記憶に残るエピソードはとても少ないです。
そのいくつかをご紹介します。

①金属を吸収する苔
このエピソードに出てくる数字の桁違いさには驚きました。
銅に雑菌の繁殖を抑える効果があることは、我が家のシンク・フィルターを銅製に交換した妻から教えてもらいました。
銅はすべての生物にとって有害だそうで、著者はその例として足尾銅山の鉱毒事件について触れています。
銅に対する生物の許容範囲は乾燥重量比で数ppmまでといわれているのに、苔にはその数千倍も体内に貯めこむことができる種がいるそうです。
そのほとんどを細胞壁に蓄えるため、細胞質にはあまり影響がないとのことですが、有毒物質を通常の数千倍も蓄えて体に影響がないはずがありません。
金属への耐性の研究は、医療分野に応用でそうです。
ちなみに石灰石の露頭には苔しか生えません。
これも石灰石に含まれるアルミニウムが生物に有害なためだそう。
さらに放射性物質を貯めこむ苔までいるそうです。
これこそまさに研究、応用して欲しい分野です。

②乾燥に強い苔
何となく知っていましたが、苔が乾燥に強いことを改めて知り驚きました。
その理由は学者によって意見が分かれるそうですが、とにかく強靭。
砂漠でも朝露を吸収できれば生き続けることができるそう。
クマムシとどちらが乾燥に強いのかな?

③極限の地の苔
苔は強靭な生命力を持っているため、酸性水の中や南極などの極限の地にもいます。
そんあ苔は意外なことに熱帯雨林のジャングルが苦手だそうです。
ジャングルの中に日差しが入らないというのが理由だそうです。
また熱帯の川辺も苦手だそう。
こちらは高い頻度で洪水があることが理由だそう。
極限の地に比べると何とかなりそうですが、相性が悪いのですかね。

④ヒカリゴケが光る理由
ヒカリゴケは自ら光るのではなく、体内のレンズでわずかな光を増幅しているだけ。
なぜそんなことをするのか?
洞窟の奥のようなほとんど光が届かない場所でも、レンズを使うと光合成に必要な光を集めることができます。
ライバルがいない場所で生きるための、科学技術を活用した工夫だったのですね。

というようなエピソードがポツリポツリと出てきます。

本書の最終盤に「エーッ! 今ごろ?」という話が出てきました。
=====
苔の同定は難しい
慣れるまでは種を同定しようとせずにその特徴に合ったアダ名を付けると良い
図鑑は写真よりも線画に着色した図版の方が同定しやすい
平均的な姿を描いている点と見えづらい部分をわざと見せる技が同定の助けになる
おすすめは「原色日本蘚苔類図鑑」
古い図鑑であり、日本の苔の半分ほどしか載っていないが、著者は一番使っている
今は図鑑用の図版を描く人がいなくなった
=====

苔の同定の困難さから本書に入った者として、最も知りたかった情報にようやくめぐり会うことができました。
そして「手業の美しさと科学が融合した図譜」を愛する者として、魅力的な図鑑の名を知ることができました。

その図鑑をAMAZONで検索するとすでに廃刊になっている上、古本は1万円以上の高値。
出版社が再刊するほどたくさん売れる見込はないが、苔マニアにとってとても価値のある図鑑、という位置付けのようです。
欲しいけれど高価なので困りました。
あちこち調べ、結局は最安値のヤフオクで入手しました。
この図鑑さえ入手すれば苔の同定がスイスイできるようになる、なんてことはないでしょうが、苔のいくつかを同定する力になってくれるであろうということと、日本では珍しい線画に着色した苔の図譜を鑑賞できることの二点がとても魅力的。
届くのを楽しみにしています。


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