鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2165~野田弘志

2022-11-30 12:47:38 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、野田弘志です。

札幌芸術の森美術館で「野田弘志 真理のリアリズム展」が開催されます。
お気に入りの“写実絵画”がたっぷり鑑賞できる良い機会です。
いつでも行けるようにチケットをゲットしました。

この特別展は全国4箇所で開催され、札幌が最後。
図録はすでに発行されているので、事前に入手し展示作品を予習することにしました。

高校時代の作品に始まり、カメレオンのように作品の傾向が変わった若手時代。
そしてイラストレーターとして独立開業。
その後、やはり職業画家として生きようと一念発起。
黒の時代の作品にはヤマセミや着物の女性などがあり、以前鑑賞したことがあります。
そして注目を浴びた新聞小説「湿原」の挿絵。
この挿絵も何点か前に鑑賞したことがあります。
荒縄の繊維1本1本を見事に描いた作品がそれは見事で、長時間見惚れたことを思い出しました。
この後は北海道を主な舞台とした細密で雄大な風景画が続きます。
最後は人物を中心とする作品群で現在にいたります。

ノーベル賞を受賞した野依さんのコメントが興味深かったです。
「写真家は微分的に瞬間を切り取る。」
「写実画家は積分的にモデルの人生を色濃く反映させる。」
科学者としての鮮やかな視点が似て非なる写真と写実絵画のふたつをはっきり区分けしています。

さあ、これで今回は作品をより深く鑑賞できることでしょう。
図録通りならかなりの数の作品が展示されることになります。
今から期待が膨らみます。

ちなみにわが家と美術館はどちらも札幌市内にあるとはいえ南北の両端ほど離れています。
おまけにどちらも交通の便の悪いところなので移動は車が一番。
降雪や凍結などで路面状況が悪くなる時期ですので、安全第一で行ってきたいと思います。




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お気に入りその2164~コロナについて

2022-11-28 12:57:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回はお気に入りではなく、コロナについて思ったことを書きます。

11月初旬、急な発熱にコロナを疑い、事前に用意していた抗原検査キットで2回検査しましたが陰性でした。
コロナでなくて良かったと一安心。
熱は微熱が2日続いた程度でおさまったので、インフルエンザでもないだろうと自己判断。
風邪なら睡眠時間をたっぷりとれば直るはず。
その後ひどい咳が出はじめ、数日続いたため、不安を覚え発熱外来で診てもらうとコロナと診断されました。
コロナやインフルエンザでないと思っていたので毎日出社していました。
あわててそれまでの数日間に関わった方々9名に取り急ぎ検査キットで検査していただくと、二人が陽性でした。
申し訳ないことをしました。

現状、札幌の発熱外来はどこも混んでいてなかなか予約がとれません。
私の場合は予約できそうな病院がひとつあったのですが、検査キットがあると言うと、それで検査してくださいと指示されました。
そして検査結果が陽性なら保健所に報告してその指示に従ってください、陰性なら病院に来てください、と言われました。
結局は「病院は手が回らないので、検査キットで自分で調べ、陽性なら決められた届出の上、療養期間を自宅待機してくれ」ということ。
2類相当の重大な伝染病というより、5類程度の季節性インフルエンザに近い扱いに現場は変わってきています。
それだけ致死率が下がってきているということなのでしょう。
そろそろ政府が法改正の検討に入るそうですが、その前に現場サイドの方が先に変わっているようです。

私の場合は検査キットで陰性が2回も出たことで対応に遅れが出ました。
抗原検査キットとPCR検査、どちらも偽陽性・偽陰性が出ることがあるのは仕方のないことです。
ただもうそろそろ季節性インフルエンザと同じ5類にさげて、どこの病院でも診察して良いことにすると、病院にかかりやすくなると思います。

今回、歴史に残る感染症を世界中で体験しましたし、私自身も体験しました。
いつかは流行するといわれている新型インフルエンザの良い予行演習になったと思います。
そしてその際は現代医学をもってしても多くの人々が亡くなるのを防ぐことができないことも容易に想像できます。
そのとき今回のように奇跡的速さでワクチンが用意できるのでしょうか?
ネットで調べたら簡単に答えがでました。
コロナウイルスとインフルエンザウイルスはどちらもmRNAワクチンが有効だそうで、季節性インフルエンザと新型コロナを1本のワクチン注射で済ませる研究も具体的に進んでいるそうです。
来る新型インフルエンザの流行に対して、速度を持ってワクチンが製造でき、感染予防できそうだと知り安心しました。

最後に、mRNAワクチンを開発した研究者にノーベル医学賞をあげてください!
信じられないほど多くの人の命を救ったのですし、これからも救い続けるのですから当然だと思います。




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お気に入りその2163~シン・ウルトラマン

2022-11-26 12:59:12 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、シン・ウルトラマンです。

AMAZON Prime Videoでシン・ウルトラマンを観ました。
ウルトラQとウルトラマンを観ていた世代には、懐かしいシーンが目白押しでした。
現実的でリアルな設定や映像はとても魅力的でしたが、ストーリー的にはとくに深みや新鮮さがなく、まあまあ面白かったという程度でした。
ラストがああいう終わり方で納得できなかったことも総合評価が上がりづらい理由です。
期待が高すぎたため不満めいた話が多くなってしまい申し訳ありません。
どの口が言うのか!と文句を言われそうですが、ぜひシン・ウルトラセブンも制作して欲しいです。

余り書くとネタバレになるので、短いですがこの辺で終わりにします。




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お気に入りその2162~種の起源

2022-11-24 12:38:03 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、種の起源です。

NHK「100分de名著」ブックス「ダーウィン 種の起源 : 未来へつづく進化論」(長谷川 眞理子・著)を読みました。

2020年3月に「100分de名著」の放送テキスト「種の起源」を読んで当ブログに感想を書きましたが、本書は2020年8月発行ということで新たに書かれたものです。
前作よりボリュームがあることから、より詳しく書かれているのでしょうが、何より前作で学んだ多くを忘れているため、新鮮な気持ちで読みました。

内容紹介を引用します。
=====
「生物学」はここから始まった!
現在もアップデートされ続ける進化論の礎を読み解く
たまたま起きる変異が自然淘汰を経て、新たな形質として獲得され種が増えていく。
進化とは枝分かれの歴史である。
進化の原動力を解き明かしたダーウィンの進化論は現在も概ねその正しさが証明されている。
一方、弱肉強食、優生思想といった誤解もつきまとってきた。
いま進化論を読むことの意義とは?
ダーウィンの理論からエピジェネティクスなど最新の遺伝学まで、人類史を振り返る意味でも、ホモ・デウス化する人間の未来を見通す意味でも、読解必須の書。

第1章 「種」とは何か?
第2章 進化の原動力を解き明かす
第3章 「不都合な真実」から眼をそらさない
第4章 進化論の「今」と「未来」
特別章 ダーウィン『種の起源』以降の発展
=====

ダーウィンは進化論の発表により神を否定する者として学会どころか社会からも抹殺されかねない当時の状況に恐れを感じ、「種の起源」では「反論を想定して用意された補足解説」に多くのページを割きました。
周到な理論武装で身を守ったのです。
この「反論を想定して用意された補足解説」が実に論理的で研究者を志す者にとって勉強になるし、読み物としても面白いと前作では書かれていましたが、残念ながら具体的な内容を紹介していなかったはず。
本書ではそのいくつかを紹介されていました。
なるほど面白いし、論理的です。
これまでなるべく避けていましたがだんだん「種の起源」の本文を読みたくなってきました。
光文社版は岩波文庫版よりも読みやすいそうなのでそちらを読んでみようと思います。


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お気に入りその2161~大地の5億年

2022-11-21 12:55:55 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、大地の5億年です。

以前読んだ「きのこの自然誌」で地面の下に未知なる世界が広がっていることを知りました。
地面の下という意味では共通している「土」について興味がわき「大地の5億年」を読むことにしました。

=====
好評につき、たちまち重版!
文庫化に際してオールカラーに!
河合隼雄賞受賞・異色の土研究者が語る土と人類の驚異の歴史。
土に残された多くの謎を掘り起こし、土と生き物の歩みを追った5億年のドキュメンタリー。

地球には最初、土がなかった。
地球上に生き物が誕生し、遺体と岩石から土が生まれた。
現在のところ地球は生き物が確認されている唯一の惑星であり、ゆえに土は地球にしか存在しない。

ひたすらに土を食べて耕すミミズ、岩を食べるようになったキノコ、腐葉土を食べるカブトムシの幼虫……。
土は植物や昆虫の躍進を支えるとともに相互に影響し合い、さらに恐竜の消長や人類の繁栄に場所を貸してきた。

身近なはずの「土」のことを、私たちはどれほど知っているだろうか。
土の研究者である著者がスコップ片手に世界を飛び回り、土に残された多くの謎を掘り起こしていく。
土と生き物たちの歩みを追った5億年の、そして未来へ向けたドキュメンタリー。
文庫化にあたり著者書き下ろしのあとがきを収録。
=====

先日テレビで専門家が土について語っていました。
その方は月に有人ステーションを建設するにあたり、月の砂から土を作る研究をしているのだそうです。
生鮮野菜を月で生産するためでしょう。
その時はそんなの簡単だろうと思って聞いていましたが、本書を読んで決して簡単ではないことを知りました。
土が誕生した歴史を真似て、コケやシダを栽培しては枯れることを繰り返して下地を作るのでは時間がかかり過ぎます。
私なら本書で学んだ知識を生かして、乾燥した泥炭(ピート)を地球から持ち込み、月の砂に配合し、キノコと草木の協力を経て土を作ります。
草木が光合成で得たエネルギーで酸性物質を作り、月の砂から有効物質を溶出し、養分とします。
またキノコがピートを分解し、養分として自らと草木の成長を促します。
こうして土づくりのサイクルを回して徐々に土を増やしていくのです。
少々気の長い話ですが5億年かけるよりは相当早いです。
あの専門家は一気に生産する方法を考えているのでしょうか?
気になります。

本書には「土」に関する膨大な情報が紹介されており、すべてを理解し記憶するのは最初から無理だとあきらめ、ごく表面的な理解で読み通しましたが、それでも面白かったです。
「土」に関わる研究を考えている人にとってはバイブルになるでしょう。
それほどの内容だからこそ一点だけ気になった点を指摘します。
「鮭は1年で帰ってきて北洋の栄養素を川に運んでいる」というような記述がありますが、正確には4年をかけて帰ってきます。
ここは直した方が良いと思います。










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お気に入りその2160~コミック

2022-11-19 14:29:56 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、コミックです。

検査キットで陰性だったのに体調が悪いため病院で診てもらったらコロナ陽性でした。
自宅療養している間、たまっていたコミックを読みました。

「へんなものみっけ!」「瑠璃の宝石」「ディノサン」「クマ撃ちの女」。

各々博物館の舞台裏、鉱物採集現場、恐竜園の舞台裏、クマ猟の実際など、私の偏った嗜好を満足させてくれる作品の数々。
それぞれの新しい巻が続々と発行され、その世界を堪能しました。

特に「へんなものみっけ!」の第8巻は最終話に惹かれました。
絵本作家と編集者が博物館にマイナーな鳥の取材で訪れます。
次巻でその成果が絵本制作に結実したのかが判明します。
博物館好きで絵本好きの私としてはたまらない設定です。
博物館の裏側だけでなく絵本制作の裏側まで楽しめるとはまさに一石二鳥。
どんな展開が待っているのか、ワクワクが止まりません。

そして「クマ撃ちの女」には人喰いクマが登場します。
ごく普通の若い家族が山中のドライブ中、子どもがおしっこをするのに下車。
よくあることです。
そのときクマが藪から飛び出し、横にいたお母さんを連れ去ります。
お父さんが必死に抵抗しますが、木の葉のように軽く吹き飛ばされてしまいます。
その場面描写の生々しいことと言ったら・・・。
その場にいるような感覚を覚える程の細部までの描写に驚愕しました。
まさに目に焼き付いたとはこのこと。
心臓の弱い人は読まない方が良いですよ、とアドバイスしたくなるくらいの迫真の描写です。
人の味を覚えたクマは残念ながら殺すしかありません。
弱腰の警察や猟友会には任せていられません。
主人公チアキが人喰いクマを見事仕留めるであろう次巻が待ち遠しいです。

また「瑠璃の宝石」は鉱物を採集するテクニック以外にも興味深い場面が登場しました。
菱マンガン鉱を採集する話で、戦時体制下での緊迫した関係者の姿が描かれていました。
鉱石を運ぶ貨車が立ち往生しています。
路盤が壊れたのに敷石の手配はつかないのです。
やむなく鉱石を敷石に使って路盤を補修し難を逃れます。
本来鉱害問題になる可能性があるため鉱石を敷石に使ってはいけない決まりがあるそうです。
戦時下の緊急対応でそういうこともあったのでしょうね。
むかし、もと国鉄マンにお聴きした話を思い出しました。
戦時下、洞爺湖の近くにある麦畑を鉄鉱石を満載した貨物列車が室蘭製鉄を目指し走っていました。
彼は保線を担当していました。
ある日を境に毎日30cmずつ線路が隆起し始め、掘り下げる作業に追われることになります。
戦時下、鉄の生産を止めるなとの厳命のもと、必死に線路を守り切ったそうです。
情報統制のため国内でも知られることがなかった大地との戦いのドラマです。
その隆起は後に昭和新山という名で知られることになります。
ことのついでにもと国鉄マンの奥さんのお話も戦時下のお話でした。
奥さんのお兄さんは設計技師で戦艦大和の設計に携わっていたそうです。
戦後しばらくしてお兄さんから教えられたときは驚いたそうです。
乗組員が数千人もいる巨大戦艦の設計図ですからたくさんの技師が関わったのかもしれません。
すぐご近所にこういう歴史上有名なものに関わった人たちがいたことに驚いたものでした。
ただ戦争というのは、好む好まざるにかかわらず誰もが関わらざるを得ないものだったのかもしれません。

こんなことを考えながらのんびり自宅療養。
たまには悪くないです。

本当はそろそろ「清浄島」を読もうと思っていました。
これは礼文島でエキノコックス症を解明した技師を描いた小説。
自らコロナに感染し、家族や同僚にうつしてしまった今はしばらく読む気がしません。
コロナ感染が笑い話になった頃に読みたいと思います。


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お気に入りその2159~お休み

2022-11-11 12:16:53 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
微熱と咳でコロナを疑ったのですが
抗原検査3回いずれも陰性。
とりあえず直るまで更新を休みます。

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お気に入りその2158~野田弘志

2022-11-09 17:40:07 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、野田弘志です。

札幌芸術の森美術館で「野田弘志 真理のリアリズム展」が開催されます。
お気に入りの“写実絵画”がたっぷり鑑賞できる良い機会です。
いつでも行けるようにチケットをゲットしました。

この特別展は全国4箇所で開催され、札幌が最後。
図録はすでに発行されているので、事前に入手し展示作品を予習することにしました。

高校時代の作品に始まり、カメレオンのように作品の傾向が変わった若手時代。
そしてイラストレーターとして独立開業。
その後、やはり職業画家として生きようと一念発起。
黒の時代の作品にはヤマセミや着物の女性などがあり、以前鑑賞したことがあります。
そして注目を浴びた新聞小説「湿原」の挿絵。
この挿絵も何点か前に鑑賞したことがあります。
荒縄の繊維1本1本を見事に描いた作品がそれは見事で、長時間見惚れたことを思い出しました。
この後、北海道を主な舞台とした細密で雄大な風景画作品が続きます。
最後は人物を中心とする作品群で現在にいたります。

ノーベル賞を受賞した野依さんのコメントが興味深かったです。
「写真家は微分的に瞬間を切り取る。」
「写実画家は積分的にモデルの人生を色濃く反映させる。」
科学者としての鮮やかな視点が似て非なるふたつをはっきり区分けしています。

さあ、これで今回は作品をより深く鑑賞できることでしょう。
図録通りならかなりの数の作品が展示されることになります。
今から期待が膨らみます。

ちなみにわが家と美術館はどちらも札幌市内にあるとはいえ南北の両端ほど離れています。
おまけにどちらも交通の便の悪いところなので移動は車が一番。
降雪や凍結などで路面状況が悪くなる時期ですので、安全第一で行ってきたいと思います。


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お気に入りその2157~へんなものみっけ

2022-11-07 12:17:10 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「へんなものみっけ!」です。

博物館好きにたまらないコミックがあることを知りました。
主人公の市職員が博物館に出向になり、博物館の学芸員たちとドラマを繰り広げるというストーリー。
博物館の裏側を存分に知ることができます。
あこがれのバックヤード・ツアーの上を行く内容で、飛びつきました。
現在発行されている全7巻を大人買いしてベッドで少しずつ読んでいます。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
動物好き必見! 命と向き合うお仕事。
知ってましたか? 博物館のウラ側はとってもアクティブ!
市役所から、博物館に出向になった薄井透は、そこで鳥類研究者の清棲あかりと衝撃的な出会いを果たす。
知られざる博物館の裏側、そして100年後に届く仕事とは…?
動物好き、博物館好きにはたまらないミュージアム・コメディー!
博物館はお堅い展示をしてるだけの地味な場所?
いえいえ、実は生命の神秘に迫る熱い研究者たちが、海へ、山へ、世界の果てまで『へんなもの』を集めに行ってるんです!
南極の氷、フクロウの巣立ち、深海魚調査、花を愛するおじさま研究者…
博物館は毎日どこかで大さわぎ!
【編集担当からのおすすめ情報】
動物たちがたっくさん出てきて、海へ、山へ挑む研究者たちは、まさに現代の冒険家です。
徹底的な取材と体験で、生き生きとした動物たち、熱い人間ドラマを、新人作家・早良朋さんが描きます!
読めば博物館のイメージがひっくり返ることまちがいなしです!
=====

個性豊かな学芸員たちですが、いろいろな事情により思い通りに研究ができないことを知りました。
クジラの研究者は毎年国内で300頭ものクジラが打ち上げられ砂浜に埋められていますが、その多くを掘り出し保存することができないと嘆いています。
巨大なクジラを掘り出して輸送するためには数百万円もの費用がかかるのです。
そこに研究対象が埋まっているのに目をそらすしかない研究者の悔しい気持ちが伝わる場面でした。

植物の研究者は警察から花粉の調査を依頼されます。
忙しい研究の最中でも事件解明の一助になればと手を貸します。
亡くなった被害者の為にベストを尽くそうとする気持ちに感動しました。


地質学者は「生物は地球の表面に発生したカビのようなもの」と言って生物学を無視します。
こんなことを言われたら生物学者なら誰でも腹が立つでしょう。
学者って変人が多いとは思いますが、この研究者は極端すぎ。

イルカの調教師だった男は微生物の研究者になり日本の学会に招かれてきました。
人生はいつでもやり直しがきくという良いお手本の登場で主人公だけでなく読者も勇気づけられたと思います。

まだ3巻目に入ったばかり。
ベッドに入るとあっという間に眠くなる体質のため遅々として進みませんが、博物館の裏側をじっくりゆっくり楽しみたいと思います。










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お気に入りその2156~奇跡の図鑑

2022-11-04 12:05:30 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、奇跡の図鑑です。

「昆虫学者、奇跡の図鑑を作る」という面白いタイトルの本を見つけました。
著者は丸山宗利さん。
丸山さんの著書は初めて読んだ「アリの巣の生きもの図鑑」のときから大のお気に入り。

本書を読み始める前に気になる事がひとつありました。
本書は「奇跡の図鑑」の制作記なので読んでいる最中に、あるいは読み終えたら、その図鑑を読みたくなることでしょう。
そのときのために本書を読み始める前に「奇跡の図鑑」を入手することにしました。
同じことを考えた人は多いはず。
2冊をセットで売るとは丸山さんは商売上手ですね!

なお本書でいう「奇跡の図鑑」とは「昆虫 新版(学研の図鑑LIVE)」のこと。
その図鑑が届いてから、心置きなく本書を読み始めました。

著者は図鑑制作にあたり、子どもたちのために“生きている昆虫”の写真で図鑑を作ろう!という目標を掲げました。
トンボは死後かなり変色すると聞いたことがあります。
変色するのはきっとトンボだけではないでしょう。
著者が生きた昆虫にこだわったのはきっととても大切なことなのだろうと思います。

さらに種の特徴を見やすいように虫の姿勢や、白バックでの撮影にもこだわりました。
でも生きた虫がじっとしている訳がありません。
理想的な姿勢をとらせるために撮影担当者たちが大変な思いをしたことがリアルにつづられています。

また卵からかえり幼虫時代を過ごし成虫になる時期はそれぞれの虫で決まっています。
その時期に合わせて北海道、沖縄・南西諸島、小笠原諸島まで手分けして昆虫採集と撮影を行いました。
わずか1年で絶滅危惧種を含む2800種を網羅したことができたのは、まさに「奇跡」といえます。

撮影担当者として選ばれたのは、全国各地の博物館の学芸員やネット上に素晴らしい昆虫写真を公開している若者たち。
著者と以前からの知り合いで秀でた技術を持っている方がほとんどとはいえ、図鑑にプロカメラマン以外の写真を使うとは前代未聞だったようです。
ネット社会となり、その人の技術が見えるようになったことが大きいと思います。
彼らは、著者から「図鑑づくりを手伝ってくれないか」と直接声をかけられ、二つ返事で協力を申し出たそうです。
そりゃそうでしょう。
昆虫好きの世界の大スター丸山さんから直接声をかけられることや、図鑑づくりに携われる機会など、彼らにとって「奇跡」以外の何物でもないのですから。

彼らの多くはいつどこに行けば目指す虫が採集できるかを熟知しているため、わずか1年で目標を超える種類を撮影しました。
編集者によると、1500種から2100種を掲載することを想定して企画をスタートしたそうですが、結果として7000種を超える昆虫写真が届き、2800種に絞り込むのがやっとだったそうです。

本書は丸山さんの視点による図鑑制作記ですが、主力となった方たち7名?のコラムを要所に配置することで、より真実に近づけています。
丸山さんの著述は読みやすいけれどドラマチックさに欠けます。
「奇跡の図鑑」制作がどれだけ困難な作業だったのかを知るには、コラムを飛ばさず読むことをおすすめします。
特に最後の2人のコラムは最高でした。

最大の協力者である伊丹市昆虫館学芸員・長島さんのコラムは感動して胸が熱くなりました。
昆虫写真がそろい、校正作業に入らなくてはならない時期になっても、「良い写真が撮れたので、差し替えてください!」といって次から次と写真が送られてきたそうです。
限られた時間の中でぎりぎりまで良い図鑑を作ろうとした彼らのエピソードにはとても感動しました。
このエピソードの落ちが、差し替えを一番申し出たのが総指揮官であるはずの著者・丸山さんだった、ということも感動的でした。

続いて長島さんは、この図鑑があまりに多くの人の力で作られたため、最高の図鑑であると言い切っても、自画自賛にならず、恥ずかしくないと書いています。
また制作陣がみな「最高の図鑑が出ます!」とSNSに投稿しまくる現象が起きたことにも感動しました。

制作当初、長島さんは丸山さんに向こう25年間は倒されない最高の図鑑を作りましょうと宣言していましたが、図鑑が完成した今は、才能あふれる若い人がたくさんいることを知ったため、10年後でもいいから彼らの手でさらに素晴らしい図鑑を作って欲しいという願いを書いています。
1年間、一緒に全力疾走した仲間たちへのエールに胸が熱くなりました。

最後のコラムは編集者の牧野さん。
制作チームの熱意に押され、差し替えをぎりぎりまで許した結果、書店への予告で2700種掲載とうたったにもかかわらず、実際は100種追加になったそうです。
牧野さんは、当初の予定よりも厚くなってしまった図鑑が少しでも軽くなるように製紙会社と新しい紙を開発したことを紹介していました。
この紙は、密度を落としたにもかかわらず、インクが表面に留まるという相反する機能を持っており、軽いのに正確に発色しました。
さらにページの角を丸くすることで、安全かつページをめくりやすくしました。
図鑑を開く子どもたちのために総力戦で臨んだことがよく判るエピソードです。

最後の最後に著者・丸山さんが書いたエピソードもまた感動的でした。
幼くして病のため病院を出られない子どもたちのために、移動博物館と称して昆虫標本をアクリルの箱に入れて持ち込んでいるそうです。
その時の子どもたちの輝く瞳に感動し、実寸大の生きた昆虫を満載した図鑑を制作したかったのだそうです。

どれもこれも涙腺のゆるくなった還暦ジジイの胸を打つエピソードばかり。
著者は他にも涙ぐましい努力を続けた制作協力者たちがたくさんいたことを本書で紹介しています。
最終的に300人を超えた制作協力者たちの力で「奇跡の図鑑」が世に出たことを改めて知りました。
これは粗末にできない貴重な図鑑です。
大切に鑑賞しなくてはなりません。
今は本書を副読本として、図鑑鑑賞をしています。


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