鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2075~たくさんのふしぎ28

2021-08-30 12:18:39 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ28です。

①海をこえてやってきた
出版社の内容紹介を引用します。
=====
ヌートリアって知っていますか? 
日本にすんでいる動物なんですよ。
町はずれの水鳥公園で、はじめてヌートリアに出会った“ぼく”が調べていくと、南アメリカ原産のこの動物が日本にすみつくようになるまでの、意外な事実がわかりました。
そして、それだけではなく、海をこえてやってきた生きものが、“ぼく”が住んでいる町の中に、他にもたくさんいることがわかってきたのです。
=====
外来生物が在来種を絶えさせる恐れがあるため、池の水を抜いたり、網や罠を使って捕獲するテレビ番組が複数あります。
たった一回で全てが解決する訳ではないと思いつつも見いってしまいます。
外来生物たちは、来たかった訳でもないのに連れてこられた揚げ句に悪者扱いされているのは心外でしょう。
著者は外来種を忌み嫌うのではなく、いつどこにどういう理由でやってきてどのように生息域が広がったかを調査して紹介しています。
冒頭のヌートリアは極寒の地に行く兵隊の防寒服にするため養殖されていたそうです。
需要が無くなると野に放たれたのですから悪いのは全て人間です。
ムラサキイガイは貨物船のバラストタンクを通してヨーロッパから入ったそうです。
逆にオーストラリアなどで日本のワカメが繁殖しています。
卵や幼生を除去する仕組みがないと世界中の港が海洋生物の交換をすることになりそうです。
ちなみに本書には著者の調査ノートが公開されており、紹介された生物の10倍以上もの生物が外来種としてリストアップされていました。
テレビでおなじみのライギョ、ブルーギル、ブラックバス、ミシシッピーアカミミガメなどは当然載っていますが、驚いたのはモンシロチョウ。
えー、モンシロチョウも外来種なの?
調べてみると奈良時代に中国からハクサイなどについて入ったようです。
そんなに前でも在来種と呼べないのですね。

②クラゲは花
出版社の内容紹介を引用します。
=====
クラゲはとてもふしぎな一生を過ごします。
クラゲの受精卵から生まれた幼生は、海底の岩などにくっつきイソギンチャクのようなポリプになります。
ポリプは自分の分身をたくさん生み出します。
分身の一部は春になるとエフィラというミニクラゲになって海中を漂いだし、やがてクラゲへと成長します。
そしてまた子どもを生むと死んでいきます。
けれども海底ではポリプが生き続けているのです。
じつは、海を漂うクラゲは、海底にいるポリプが繁殖時期だけに生み出す「繁殖のための分身」なのです。
=====
山形県の加茂水族館から始まったクラゲブーム。
今では多くの水族館でクラゲの展示を行っています。
大きな水槽の中を無数のクラゲが思い思いの方向にのんびり泳ぐ様は、眺めているだけで心癒されます。
ということで今回は知っている様で知らないクラゲの秘密をお勉強しました。
今回学んだことをおさらいします。
・5億年以上前に誕生した古い生物
・イソギンチャクやサンゴの仲間
・クラゲの一生
 卵→幼生(プラヌス)→ポリプ→ストロビラ→エフィラ幼生→クラゲ→卵
 ただしポリプが分裂して増殖する無性生殖も行う
・傘の端に複数の目がある
・ミズクラゲの傘の中の4つの模様は生殖器
・クラゲを木に例えると
 ポリプは幹、クラゲは花、卵は種子
 といえる
クラゲは心臓や脳、骨が無くても、軟らかくて防御能力が無くても、速く動けなくても5億年もの長い間厳しい環境変化に耐えて生き残ってきました。
かつてダーウインが言ったそうですが
「生物の生き残る条件は大きくて強いことではない。
 環境の変化に合わせられるものが生き残るのだ。」
という言葉がぴったり当てはまるのがクラゲなのかもしれません。
生物として理想形に近いといえそうです。

③コーヒーを飲んで学校を建てよう キリマンジャロとルカニ村
出版社の内容紹介を引用します。
=====
アフリカの最高峰キリマンジャロ山にあるルカニ村の人びとは、高級コーヒーとして知られるキリマンジャロコーヒーを作っています。
そのコーヒーを売ったお金は、診療所や、図書館や、学校を建てる資金になります。
「コーヒーを飲んで学校を建てよう」、そう言って応援しているのは、たくさんの日本の友人たちなんです。
=====
妻はフェアトレード製品を買っては途上国を支援しています。
途上国の多くは戦前まで植民地支配された国々で、現在も公正な取引ができず、経済的に苦しい状況が続いています。
コーヒーも不公正に取引されている製品のひとつです。
本書に登場する高級品のキリマンジャロコーヒーも、現地ではとんでもなく安い価格で買いたたかれていました。
ルカニ村ではコーヒー栽培の収益で子どもたちを小学校に通わせていました。
ところが買取価格を徐々に下げられ、子どもたちは学校に通えなくなり、診療所は閉鎖され、離農する者まで現れました。
その窮状に登場したのが日本のフェアトレード研究者・ヒデさん。
彼は日本の人々と適正価格で取引する仕組みを立ち上げました。
それによりルカニ村は子どもたちが小学校に通えるようになり、さらに図書館や中学校を建てることもできました。
その後、もっと高値で買い取るという誘いも来ましたが、長老たちはヒデさんとの友情を優先してそれを断ったそうです。
このような美しい関係が続き、ルカニ村の人々の暮らしが良くなっていくことを願っています。
さらに他の地域や他の製品でもフェアトレードが進み、途上国の人々の生活が改善されることを願っています。
コーヒーやチョコが少し値上がりする理由が、途上国の人々の暮らし向きを良くするため、ということなら、世界中の多くの人々が賛同すると思うのですがみなさんはどう思われますか?

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お気に入りその2074~初めてのカレー

2021-08-27 11:45:31 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、初めてのカレーです。
先日、初めてカレールーを使わないでカレーを作りました。
と言ってもスパイスで作る本格カレーではなく、カレー粉から作っただけですが。
事の始まりは妻のリクエストでスーチカーを作ったこと。
当然スーチカーと一緒に大量のゆで汁ができます。
ゆで汁でいつもの通り野菜スープにしたのですが思ったより塩分が濃い・・・。
水で薄めて量が増えるのは困るので別の料理に転用できないかを考え、カレー粉から作るカレーに挑戦しました。
妻がレシピを探してくれました。
スープの量は1400ml。
まずはバター大さじ6をフライパンで溶かし、小麦粉大さじ6を入れ、焦がさないように弱火でじっくり炒めます。
多少色づいてきたらカレー粉大さじ4を加えて混ぜます。
なかなか混ざらないので妻のアイデアでスープを加えて溶かすことにしました。
ある程度溶けたところでスープに投入。
こうしてカレー粉のカレーが完成しました。
多少塩気が多い気がしますが美味しいカレーでした。
初日は普通のカレーライスとして、二日目はエビフライとカキフライをトッピングして美味しくいただきました。
あとで調べたら妻はS&Bの「カレー粉で作る昔ながらのごろごろカレー」のレシピを教えてくれたようです。
今回は緊急避難的なカレーでしたが、次回スーチカーを作る時は最初からカレーを作りたいと思います。
なお次回は塩分を減らすため、スーチカー作りに30分ほど水に浸す手順を加えることにします。
話は変わりますが、先日テレビでフランスのレストランにいる邦人シェフが、現地では霜降り肉より熟成肉の方が好まれていると語っていました。
熟成肉って何?
意味は熟成させて旨味を引き出した肉のこと。
牛・豚・羊などの作り方がネットで紹介されています。
例えば「熟成塩豚」の作り方は次の通り。
塩・砂糖・ヨーグルトなどを入れた汁に漬けたり、塩・砂糖をすり込んでラップしたりして5~10日間冷蔵庫で熟成させます。
中には塩だけをすり込む作り方もあります。
これなどスーチカーとの違いは、最後にゆでて塩抜きをしないことのみ。
沖縄の家庭料理スーチカーは、熟成塩豚とほとんど同じものだったことを知りました。
海外で人気の熟成肉とは知らずにすでに作って食べていたことがわかり、何だかうれしかったです。





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お気に入りその2073~ダンボール箱の変形テクニック

2021-08-25 12:50:45 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ダンボール箱の変形テクニックです。
片付けが苦手です。
最近は部屋に本が溢れてきて足の踏み場が無くなりつつあります。
手の届かない隙間ができたため、ある風の強い日に、挟まっていたホコリの塊が風で舞い出てきて驚きました。
恐ろしや。
早く何とかしなくては!
対策の第一は当然ながら溢れてきた本を処分することです。
一番場所をとっているのは「たくさんのふしぎ」シリーズなどの絵本です。
「たくさんのふしぎ」だけで200冊近くありますし、他の絵本もサイズが大きいため貴重なスペースをたっぷり占拠しています。
手放すか否かを検討すると、手元に残したい本が半分近くあることがわかりました。
本を手放すことで部屋が見違えるほど片付くことを想像していましたが、やらないよりはマシな程度に終わりそうです。
とりあえず絵本を古書店に売却することにしました。
多くは10円以下で引き取られるでしょうが、子どもたちの手に渡ると思うと気分も楽です。
まずは近所にある大手古書店に持ちこんでどんどん減らしています。
査定してもらっている間、以前自分が持ち込んだ本が売れたかどうかをチェックしています。
なかなか売れない本があると「この本、面白かったよ!」と子どもたちに教えたくなります。
なおその店はソフトカバーの「たくさんのふしぎ」シリーズを引き取らないため、並行して宅配買取サービスを利用しています。
あちこち調べて「たくさんのふしぎ」シリーズを良心的な価格で販売している古書店をみつけたので、そちらに売却することに決めました。
プレミアムを付けて定価よりも高く売っている古書店が多い中で感心な店です。
そこなら買取価格がどんなに安くても、子どもたちに安く売ってくれるのですから納得です。
そうと決まったらどんどん箱に詰めるのみ。
先日ついに一箱目を送りました。
買取方式は、査定後に買取額の確認なしに送金してもらう方式を選択しました。
手放すことを決めたのですから、手離れの良さを優先しました。
そして二箱目。
なかなか丁度よいダンボール箱が手に入らなくて困っていたところ、「ダンボール箱の変形テクニック」をネットで学び、B5判2冊を底面にして積み上げることができる箱を作り、40冊ほどを梱包して送ることができました。
これは知っておくととても便利なテクです。
図解して教えてくれるサイトがたくさんあります。
ぜひお試しを!
こうして100冊近い「たくさんのふしぎ」がネットや店舗を通じてたくさんの子どもたちの手に渡ることになりました。
子どもたちの好奇心がすこしでも満たされことを願います。
ということでこれからは「たくさんのふしぎ」以外の絵本、画集なども積極的に手放すことで部屋を片付けようと思います。
絵本や画集は信じられない程サイズがバラバラ。
でもどんなサイズの本もちょうどよく納める箱を作るテクがあるので気軽に取り組めます。
いえ逆にそのテクを多用したいがために本を手放すペースが早まりそうです。



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お気に入りその2072~たくさんのふしぎ27

2021-08-23 12:46:37 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ27です。
①家にいたイリオモテヤマネコ
出版社の内容紹介を引用します。
=====
世界で沖縄県の西表島にしかすんでいない、イリオモテヤマネコ。
今からおよそ50年前、このイリオモテヤマネコが発見され、そのうちの2頭を、中学生だった「私」の家で飼うことになりました。
野生のヤマネコのくらしぶりとは、いったいどんなものだったのでしょうか。
動物小説作家戸川幸夫氏の娘が綴る、貴重な記録です。
=====
戸川幸夫さんの動物小説は1冊だけ読んだことがあるはず。
確か北海道犬、甲斐犬など日本犬の純血種を主人公にした短編集だったと思います。
ネット検索でいろいろ調べましたがタイトルはわかりませんでした。
そのついでに知ったのは、彼が長谷川伸の門下生で直木賞作家であること。
大好きな池波正太郎の兄弟弟子だったのですね。
さらに直木賞作家・平岩弓枝が戸川の口利きで長谷川の門下生になったことも知りました。
こういう風につながっているとは知りませんでした。
ちなみにイリオモテヤマネコを発見したのが戸川幸夫本人であり、本を何冊か書いているそうです。
という予備情報を入れた上で本書を読みました。
著者の父は作家になる前は新聞記者で足を運んで地道に調査することを得意としていました。
西表島に山猫がいるらしいという情報を得たときに学者に話を聞くと、
・あのような小さな島に山猫が生息しているとは思えない
・飼い猫が野生化したものではないか
との見解を得ました。
学者は島に調査に入らずに頭から否定しています。
著者の父はそこであきらめず地元に出向いて調査をします。
現地で骨と毛皮が入手し、改めて学者に分析してもらい、ついに新種の山猫であることを突き止めました。
こうしてイリオモテヤマネコは発見されました。
学者のように頭から決めつけるのではなく実際に足を運んでの調査がいかに大切かという良い事例です。
本書では捕獲されたオス、メス各1頭のイリオモテヤマネコを2年間自宅で預かったときの様子を子どもの立場で描いています。
普通のネコを体の大きさは変わらないのに獰猛な表情は全く別物だったそうです。
特別天然記念物を家で飼った貴重な記録です。

②カジカおじさんの川語り
出版社の内容紹介を引用します。
=====
北海道のある川。
春、卵からかえったサケの子どもがさかんにエサを食べて成長し、海へ下っていきます。
ついで、ウグイが大群で川をのぼって産卵をし、そのウグイを食べようとねらうキタキツネがやってきます。
夏にはカラフトマスが滝をジャンプしてこえ、秋には大きくなったサケが、海から川にもどってくる。
そんな、川の生き物たちのくらしざまを、川底にすむユーモラスな魚、カジカが物語ってくれる写真絵本です。
=====
たくさんのふしぎシリーズの初期の頃の巻で「ヒグマのくる川」というのがあります。
知床の川でのサケの産卵が丁寧に描かれていました。
サケは産卵前に熊に食べられたり、産卵後に死んでいろいろな生き物に食べられることで、その命を支えているという自然の摂理がわかりやすく紹介されていました。
本書の舞台も北海道。
著者とカジカおじさんのふたりが紹介する形をとっていますが、「ヒグマのくる川」と大きく違う点はありませんでした。
でも本書ならではの記述もあり感心して読みました。
どんなところかというと
・サケは卵を食べられないように他の魚がいない上流を目指す
・サケが産卵するのは川底から水が湧き出ているところであり、
 自分が生まれた場所の水の匂いを記憶していてそれを探す出す
・サケはアラスカ付近のアリューシャン列島でイカやクラゲを食べて
 成長し、その栄養を持ち帰る役目をしている
・オオワシやオジロワシは北海道でサケを食べて越冬し、サハリンや
 アムール川流域に帰り繁殖している
サケはアラスカ付近の海で育ち、川に戻って産卵して命絶えることで、クマやキツネ、ワシなどを代表とする川の周辺に生息する生き物たちの命を支えています。
川の周辺に生息する生き物たちの命は、元をたどればアラスカ付近の豊かな栄養に支えらえているということができます。
またオオワシやオジロワシがサハリンやアムール川流域で繁殖できるのも北海道でサケを食べて越冬できるからであり、彼らの命を支えているのも元をたどればアラスカ付近の豊かな栄養ということができます。
命が広い広い地域で大きく循環していることを改めて学びました。

③森の小さなアーティスト
出版社の内容紹介を引用します。
=====
葉っぱや枝になりすましたり、毒をもったほかの生き物になりすましたり。
生きぬくために昆虫が演じる華麗な舞台!
=====
本書は国内外の昆虫の擬態写真をたくさん紹介しています。
緑の葉っぱや枯れ葉、木の幹、木の枝、花に擬態した虫が次から次へと登場します。
シャクトリムシがあまりそっくりに枝に擬態していたものだから剪定ばさみで切ってしまった、というエピソードにはナルホドとおおいに納得。
でもどんなにそっくりでも植物と違って昆虫は動きます。
鳥やトカゲなどは擬態を見抜いて捕食するそうで、擬態する方と見抜く方の技術競争は今後もより高度なものになっていくことでしょう。
擬態には他にも体に目玉模様を付けて警戒させるもの、ハチやクモ、アリなどの恐ろしい生き物に姿を似せるものなどがいます。
こちらは鳥やトカゲなどにもかなり有効でしょう。
スズムバチに擬態したカミキリムシを捕まえると腹を動かして針で刺す仕草までした、というエピソードからは擬態の奥深さを知りました。
昆虫の擬態技は実に高度であり芸術的です。
まさにタイトル通り「森のアーティスト」といえます。
ちなみに本書は「著者のイラスト署名入り」というのも魅力で購入しました。
著者・今森光彦さんは里山を愛する写真家。
今森さんの昆虫写真集はどれもが自然への愛が溢れていてとても気に入っています。
今森さんにはさらに切り紙作家という顔もあります。
「Aurelian 自然と暮らす切り紙の世界」という作品集では信じられないほど美しい切り紙作品に圧倒させられたものです。
切り絵の名人となればイラストもお上手なのは当然です。(写真参照)
写真家、切り絵作家の次は絵本作家というのにチャレンジされてはいかがでしょうか?

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お気に入りその2071~はたこうしろう

2021-08-20 12:18:59 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りははたこうしろうです。
「二平方メートルの世界で」の絵を担当したのは、はたこうしろうさんという絵本画家。
優しくて細密な絵がとても気に入りました。
その絵本の画家紹介に載っていた2冊の絵本がとても興味深かったので、早速読むことにしました。

①「はじめてのオーケストラ」
出版社の内容紹介を引用します。
=====
指揮者佐渡裕氏が初めててがけた絵本。
主人公の女の子は小学生になって初めてコンサートに行きます。
パパの指揮するベートーヴェンの『第九』交響曲を聴きに行くのです。
一体オーケストラってどんなものなんだろう?
2011年にベルリンフィルを指揮し、現在オーストリアを代表するトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督を務める世界的指揮者佐渡裕氏が初めて手がけた絵本。
ひとりでも多くの子供たちにクラシックコンサートに足を運んで欲しいという思いがこもっています。
絵は人気絵本画家のはたこうしろう氏。
本作に登場する曲は日本人が一番好むといわれる、歓喜の歌で有名なベートーヴェンの『第九』。
主人公は7才の女の子。
お父さんは指揮者というお仕事をしている。
でもお父さんの仕事って何?
オーケストラって何だろう。
自分はまだ未就学児童だったから演奏会に行けなくて、よくわかりません。
でも大丈夫。
やっと小学校にあがったのです。
今日はオーケストラの演奏会に行ける日。
おめかししてお母さんと一緒にコンサートホールへ向かいます。
ホールに入ると、そこにはたくさんの人、人。
そしてたくさんの演奏家たち。
舞台が暗くなりお父さんが指揮台に立つと、素晴らしい時間が始まりました……。
=====
指揮に合わせて楽器の音色が重なっていきます。
観客は美しい演奏に引き込まれ、会場が一体化していきます。
それはそれは素敵な体験です。
小学生になったらぜひオーケストラの演奏を聴きに行きましょう!というお話です。
いろいろな性格の演奏家がたくさん集まり、練習と調整を重ねることでひとつの作品に仕上げるオーケストラの演奏。
お気に入りだった「のだめカンタービレ」で繰り返された練習風景を思い出します。
私自身、コンサートホールで鑑賞したことがあるのはピアノのソロ演奏だけです。
コロナがおさまったらオーケストラの演奏をぜひ生で聴きたいものです。
本書は「なぜ人はオーケストラの演奏を聴きに行くのか?」という疑問に答えてくれます。
大人も子どもも本書を読んでオーケストラの演奏を聴きに行こう!

②いたずらのすきなけんちくか
出版社の内容紹介を引用します。
=====
世界的建築家・安藤忠雄はじめての絵本
世界的な建築家安藤忠雄原作、人気絵本作家はたこうしろうが絵を担当した、安藤氏初の絵本です。
安藤氏設計で2020年春オープン予定の『こども本の森 中之島』。
絵本の舞台はこの『本の森』です。
新しく出来たこの図書館に来た小学生の兄と妹は安藤さんによく似た謎のおじさんに館内を案内されます。
案内されるうちに、知らず知らずのうちにいろいろな疑問が湧いてきます。
なぜたてものをつくるのか、きもちのいいいえとはなにか、すみやすさはどこからくるのか、そしてけんちくかってどんなしごとなの?
おじさんは、ひとつひとつにていねいにこたえてくれました……。
1冊の絵本を通して、子供にわかりやすく建築のことを教えてくれる今までにない内容です。
安藤氏のエッセイとスケッチ、絵本に出てくる安藤建築のリストも収録。
安藤ファンはもちろん、大人の読者にも読み応えのある作品です。
帯文は、指揮者の佐渡裕氏と同館名誉館長・京都大学IPS細胞研究所所長の山中伸弥氏が寄稿されています。
安藤忠雄氏と建築がよくわかる、楽しくてためになる絵本です。
【編集担当からのおすすめ情報】
安藤忠雄設計で2020年春オープン予定の『こども本の森 中之島』との連動企画です。
=====
機能だけを追求すると、みんな同じような四角い建物になってしまいます。
住みやすい、気持ちの良い建物とは「アソビごころ」のある建物。
本書にも何に使うのか判らない空間が登場します。
上がったら行き止まりになっている階段。
家の中なのに雨が当たる空間。
子どもや大人に好きなように使ってもらおうという発想です。
そういう建物の設計を目指す建築家が安藤忠雄だったのですね。
以前仲間10人ほどで大阪方面を旅行したときに、ひとりが1日だけ自由行動をしたことを思い出しました。
彼は安藤さんのファン。
大阪には安藤さんが設計した建物が多いそうで、レンタカーを使ってあちこち鑑賞したのです。
そのときには「建物を鑑賞する」ことの意味がわかりませんでした。
本書を読んだ今でも「建物を鑑賞する」ことの面白さがはっきりはわかりません。
もう一歩踏み込んで超初心者向けガイドブックでも読もうかなと思います。


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お気に入りその2070~ミラブル

2021-08-18 12:57:13 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りはミラブルです。
ミラブルというシャワーヘッドのことは全く知りませんでした。
顔に書いた油性ペンがシャワーだけで落ちるというインパクトのあるCMのだよ、といわれすぐにわかりました。
ある日仕事がらみでミラブルが少し安く手に入ることを伝えると、妻と娘はすぐに飛びつきました。
美容に良い、というキーワードの効果って凄いですね。
何と発売から3年で65万本も売れたそうです。
メーカーによると、直径100マイクロメートル未満の泡「ファインバブル」により、頭皮や体の汚れを落としやすくするのだそう。
主たる購買層は美容に関心のある30代後半~40代の女性だそうですが、意外にもそれ以外の世代の支持も得ているそうです。
その理由に敏感肌や加齢臭への有効性があります。
元々の開発目的が家族のアトピーを改善したいというもので、美容目的ではなかったそうです。
ここまで知ると“まがい物”ではなさそうな雰囲気がしてきます。
ということでわが家のシャワーはミラブルになりました。
使って驚いたのはやはり「ファインバブル」の効果。
顔の油がシャワーだけで落ちるのですから驚きです。
毛穴の中の汚れを洗い流してくれていることを実感します。
残念な点が二点。
脱塩素用の部品の分、シャワーヘッドが長くなり、既存のシャワーフックに掛けると高さが合わないこと。
シャワーフックとシャワーヘッドの太さが合わないようで、ホースのねじれを拾って向きが変わってしまうため、ヘッドを向けたい向きに固定できないこと。
この二点が改良されたら最強だと思います。
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お気に入りその2069~たくさんのふしぎ26

2021-08-16 09:52:22 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ26です。

①かんころもちと教会の島

出版社の内容紹介を引用します。
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かんころと呼ばれる乾燥芋とお餅をつきこんで作る「かんころもち」。
焼くと香ばしく、自然で素朴な甘みが感じられておいしいこのお菓子の誕生には、迫害を逃れて長崎の島々に移り住んだ、潜伏キリシタンの人びとが、深く関わっていました。
長崎在住の作者が、今も信仰をまもりながらかんころもちを作る続ける人びとを取材し、その思いを絵本にまとめました。
=====

最新号です。
キリスト教が禁教になり迫害を恐れた人々は長崎の沖合の島々に移り住みます。
漁業を生業にしている人々が海岸近くの平らな所に住んでいたため、キリシタンは急斜面に住むことにしました。
石をひとつひとつ掘り出しては石垣に積み、見事な段々畑をつくり、さつまいもをつくり暮らしをたてました。
冬の保存食としてつくったのがゆでたさつまいもをスライスしてかちかちになるまで干した「かんころ」。
信仰を守るためとはいえ大変な苦労を続けたものです。
しかも集落ごとに教会を建ててその維持まで。

でも農業をするにも暮らすにもあまりに条件が厳しい場所のため、土地を離れる者が続き、消滅した集落もあります。
世界文化遺産に登録されましたが、伝統を維持していくのはかなり難しそうです。

②サボテン・ホテル

出版社の内容紹介を引用します。
=====
アメリカのアリゾナ州の南部とメキシコ北部にまたがるソノラ砂漠に生えるスワロサボテンは、砂漠の過酷な環境にみごとに適応して200年も長生きするものもあります。
春には花の蜜を求めて鳥やハチがやってきます。
キツツキがあけた穴にはいろいろな動物が住んでいるので、サボテン・ホテルとも呼ばれるのです。
=====

砂漠というと一面に砂丘が続く景色をイメージしますが、ソノラ砂漠は乾燥に強い草や木が生え、多彩な動物たちが暮らす砂漠です。
そこで存在感を示しているのがスワロサボテン。
人が手を挙げた姿に似た西部劇に出てきそうなサボテンです。
このサボテン、大きいものでも3~4mくらいだろうと思っていましたが、何と150年かけて15mまで成長するものもあるのだそうです。
4階建ての建物ほどの高さの巨大なサボテンというのは、今もイメージがわきません。
そのサボテンにキツツキが穴を空けて住みつき、サボテンに付く虫を食べて共生します。
キツツキが引っ越した後にいろいろな動物が住みつき、地上のヘビやコヨーテから身を守るホテルの出来上がりです。
本書のサボテンは200歳で力尽き倒れますが、その後も木質部は長く残り、小動物たちは隠れ家として有効利用されるそうで、砂漠の生態系を守る大切な役割を持っています。
このサボテン、アメリカに行ったらすぐに見ることができるのかと思っていたらとんでもない。
翻訳家のあとがきによると、長距離を移動してメキシコとの国境付近の保護区まで行かないとお目にかかれないそうです。
なお本書は、たくさんのふしぎシリーズでは珍しくオリジナル作品ではなく、アメリカで出版された絵本を翻訳したものでした。

③極夜の探検

出版社の内容紹介を引用します。
=====
本物の太陽が見たい……
北極には、冬になると一日中太陽が昇らない極夜とよばれる現象があります。
雪と氷と月と星、そして闇しかない北極の荒野をひとりで旅して、長い暗闇のはてにのぼる太陽を見たら、人はいったい何を感じるのか?
グリーンランドの地球で一番北にある村を出て、探検家は暗闇の世界へと命がけの旅に出ます。
=====

著者・角幡唯介は「空白の五マイル」で脚光を浴びた冒険ジャーナリスト。
無茶な冒険を行い自らの命を危険にさらしたことを本にする行為が納得できず、その後彼の作品は読んでいません。
彼の著作を読むことが、彼が死に近づくことに協力する行為に思えるからです。
そう思いながらも本書を読みました。
十分準備して臨んだはずの極夜行でしたが結果は「空白の五マイル」に近いものでした。
中継地点の備蓄食料は白熊に食べ尽くされており、万一を考え許可を得ていたイギリス調査隊が残した備蓄食料も同様でした。
極夜を越え本物の太陽と出会う旅は一転して、食料確保の旅となりました。
ついには犬が餓死したら食べるしかない、というところまで追い込まれます。
その後予想外の出来事により無事帰還を果たすことになりますが、自らの命を危険にさらしたことを本にする姿勢は「空白の五マイル」から変わっていません。
命を大切に考えるなら備蓄食料を失った時点で撤退するべきで、それ以降も北進を続けたのは明らかに無謀。
よく生還できたものです。
彼の判断や行動が正しいと子どもたちに誤解させてはいけません。
本書はたくさんのふしぎシリーズに入れるべきではなかったと思います。




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お気に入りその2068~綾瀬はるか「戦争」を聞く④

2021-08-13 17:22:44 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、綾瀬はるか「戦争」を聞く④です。

「綾瀬はるか『戦争』を聞く」を2冊読んだ後、元になったテレビ番組を観ることにしました。
頼りはyoutube。
検索してみると数回分が出てきました。
2011年から今年まで11回放送したはずなのに少ないことにがっかりしつつも、観ることにしました。
登場したのはほとんどが本で紹介されていた方でした。
本に書かれていた以上のことを語ってくれることを期待しましたが、それはありませんでした。
残念・・・。
でも逆に言うと2冊の本は貴重な証言を正しく後世に伝える役目を果たしていることを知りました。
それならばますます3冊目以降の発行を期待しますし、それが取材した者の責務と考えます。
TBSさんよろしくお願いいたします。

youtubeで観た中で印象的だった毒ガス島の話について書きます。
戦時中に瀬戸内海で毒ガスを製造していた島がありました。
極秘任務のためその島は地図から消されました。
現在はうさぎがたくさん住んでいることから「うさぎ島」と言われ、観光スポットになっています。

そこで働いていた三人の方の証言です。

1人目は給料をもらいながら勉強できることから行くことにした男性。
彼は今でも毒ガスの製造過程の難しい化学式を書けます。
当時は毒ガス製造の仕事に就いていることが誇りに思っていたそうです。
でも戦後はたくさんの中国人を殺した毒ガスを作った責任を忘れないためにその化学式を忘れないことを自らに課しているのです。
彼が語り部として遺構を案内する場面では、携わる者の命を軽んじたずさんな安全対策に愕然としました。
衝撃的だったのは、彼が中国に行き毒ガス被害者に謝罪した場面です。
親兄弟を失った男性は日本を心底恨んでいましたが、彼の謝罪を受け、許すと言ってくれました。
戦後70年も自責の念にかられ苦しみ続けてきた彼の心が被害者に通じたのでした。
(ただし許したのは謝罪した男性だけで、他の関係者を許した訳ではない)

2人目は勤労動員された女学生。
何が入っているかを知らされず毎日ドラム缶を運び続けました。
彼女たちは全員気管支炎などの健康被害を受けました。
ドラム缶に触れた者は重度の被害を受けたそうです。

3人目は島を臨む本土側で医師を続ける男性。
中国人を殺すための毒ガスは製造過程で日本人を4000人も殺しました。
気管支炎、がん・・・。
そのカルテを大切に管理し続けています。
自らも毒ガスの影響で健康を害し、たくさんの薬を飲んでからでないと食事ができないことを明かします。
それでも毒ガスのことを後世に伝えるためにまだまだ死ねないと語ります。
彼は「後世にバトンを渡す」と表現していました。
語り終えた後、綾瀬に「あなたにバトンを渡しましたよ」と語りかけ、綾瀬が「はい」と答えたシーンが印象的でした。

戦時中に日本人が中国や韓国で行った蛮行は、国が賠償金を支払ったからといって無かった事にできないことであり、後世にその記憶を引き継ぐ義務があると思います。
「戦争を聞く」で高齢になっても必死に後世に伝え続ける人々がいることを知りました。
日本史や現代史の授業で戦中戦後について教える時間が短すぎると思います。
同じ過ちを侵さないためには、過去の過ちを正しく理解することが大切です。
そのためには戦中戦後の教育にたっぷり時間をかけることが重要と考えます。
また中国、韓国、日本で相違がある歴史認識を史実に基づき統一する努力もこれまで以上に続けることが重要と考えます。










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お気に入りその2067~綾瀬はるか「戦争」を聞く③

2021-08-11 12:17:01 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、『綾瀬はるか「戦争」を聞く』③です。
『綾瀬はるか「戦争」を聞く』を観るためにNEWS23を予約し、翌朝観ようとしたら録画されていません。
間違って予約を削除されたのです。
がっかり。
youtubeで観ることにします。
ということで『綾瀬はるか「戦争」を聞く』パートⅡの感想です。
内容紹介を引用します。
=====
広島出身の女優・綾瀬はるかが被爆者のもとを訪ねます。
爆心直下で被爆しながら奇跡的に命をつないだ人々、被爆直後の惨状の中で生まれた命、原爆症の父を支え続けた娘…。
戦争体験者の言葉を通して平和の意味を考えます。
TBSテレビNEWS23「綾瀬はるか『戦争』を聞くシリーズの書籍化第2弾。
=====
パートⅠは綾瀬が祖母の辛い体験を聞き、二人で涙するという辛い場面からのスタートでした。
パートⅡは辛い中にも感動や希望があることを強く感じるお話からスタートしました。
爆心地近く、辛うじて倒壊を免れたビルの地下に負傷者たちが大勢避難していました。
ひどい火傷と怪我に苦しむ人々の中から「赤ちゃんが産まれそう」と女性の声が上がりました。
一瞬静まり返る地下室。
「私は産婆です。私が取り上げます。」
血だらけの女性が立ち上がりました。
やがて赤ちゃんは無事に産まれ、地下室が安堵の空気に包まれました。
悲惨な状況の中で起きた希望に満ちた出来事は、負傷者たちに安らぎを与えたのでした。
その後産婆は亡くなり、母子は戦後を無事に過ごすことになります。
この感動的な出来事は口から口へ伝わり、詩になり歌になりました。
そして産婆を目指す者も現れました。
自分が死に瀕しているのに人を救うことに全力を尽くす、という行為の美しさに胸打たれました。
続く奄美大島の被爆者の話にも悲しいながらも素敵な話が登場しました。
当時「贅沢は敵」ということで大島紬を織ることは禁じられ、織子たちは長崎に徴用され被爆しました。
女学生の徴用も赤紙だったそうです。
戦後8年間奄美大島が米軍の統治下に置かれたことと、被爆者が差別されたことから、被爆した少女たちが自ら補償を求めることはありませんでした。
そこでひとりの女性が立ち上がり、自らボートを操って島中を訪ね歩いて説得し、補償手続を進めました。
彼女が亡くなるわずか2か月前に綾瀬が取材できたことは運命のように感じられます。
また爆心地から500m以内にいたにもかかわらず奇跡的に助かった人々への取材も行っており、秘めていた苦しい胸の内を明かしていただいた貴重な記録です。
本書には一人の女性の言葉が繰り返し登場します。
「戦争をしてはいけない。
 そのためには腹を割ってとことん話し合うことだ。
 腹が立ってけんかしてもいいから互いに意見をぶつけ合うことだ。」
戦後76年。
NEWS23の『綾瀬はるか「戦争」を聞く』は今年で11年目。
年々体験談を聞かせてくれるお年寄りが減っています。
最後の1人までよろしくお願いいたします。
そして本書の続編もお願いいたします。

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お気に入り2066~たくさんのふしぎ25

2021-08-09 09:54:08 | 鬼平
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ25です。

①海はもうひとつの宇宙

出版社の内容紹介を引用します。
=====
海は、人びとの好奇心をそそる未知の世界。
海中探険の歴史をたどりながら、地球をつつむ海の意味を考える。
=====

海は宇宙に匹敵する未知の世界。
人類は海中で観察や作業を行うためにいろいろな方法を考えてきました。
その実現を拒んできたのが水圧であり、その解決策がスクーバ(アクアラング)であることを丁寧に説明しています。
10mまで潜ると大気圧1気圧に水圧1気圧が加わり2気圧の圧力を受けます。
その圧力により肺の中の空気が1/2に押しつぶされます。
息苦しさを防ぐためには肺の中に2気圧の空気を送り込んで肺の大きさをいつも通りに維持する必要があります。
同様に20mまで潜るなら3気圧の空気を肺に送り込むと良いことになります。
この圧力制御を自動的に行うのがレギュレーター(調整器)です。
この開発により息苦しさを感じずにダイビングを楽しむことができるようになったのです。
レギュレーターがそういう複雑な構造をしているとは知りませんでした。

もうひとつ知らなかったことがあります。
海が青く見えるのは青以外の光が海水に吸収され、青い光だけが反射しているから、という説明を聞いたことがあります。
それは海中の景色も一緒。
比較的浅くて明るい場所でも全体が青の世界です。
ところが水中ライトで照らすと青以外の色が届くため、鮮やかな色合いが一気に蘇ります。
これまで水中撮影映像で水中生物のカラフルな色彩を楽しんできたのは、こういうテクニックを使っていたからだと知りました。

②ヤマネはねぼすけ?

出版社の内容紹介を引用します。
=====
ヤマネは『ふしぎの国のアリス』にも、いねむりばかりしている「ねむりネズミ」として登場しますが、ほんとうにねぼすけなのでしょうか。
和歌山県の小学生達の観察記です。
=====

たくさんのふしぎシリーズにいろいろ登場する「観察記」。
これまでそのほとんどが満足レベルでした。
今回も期待通りでした。
著者は小学校の先生。
生態があまり知られていないヤマネを子どもたちと一緒に観察しました。
国の天然記念物のため捕獲や飼育が禁じられていることや、昼間眠ってばかりいることが原因でしょうか、ヤマネはその生態があまり知られていません。
著者と子どもたちは国の許可を得て飼育しながら観察を続けます。
交尾、出産、育児という生態観察は研究者も読みごたえ十分でしょう。
著者は他の小学校に転勤になってからもヤマネの観察を続けます。
巣箱をたくさん設置して観察したときは、同じ巣箱にヒメネズミ一家とヤマネが同居していたというのにほっこりしました。
またヘビに襲われるところを救われて持ち込まれたヤマネの赤ちゃんを小学生たちと育て上げた記録も興味深かったです。
2時間おきに粉ミルクを温めて飲ませるのを昼間は子どもたちが、夜は先生が続けて育てます。
赤ちゃんのお腹が透けていて飲んだミルクが見えた、という育てた者しか知らないエピソードが紹介されていました。
少し大きくなってからはミルクにすりりんごを混ぜた離乳食に始まり、虫や木の実などを食べさせて山に帰す準備を進めます。
またヤマネに発信機を取り付けて山の中での行動を観察することで行動範囲が2haほどであることを明らかにします。
タイトルからは想像できない本格的な観察記録でした。

③コククジラの旅

出版社の内容紹介を引用します。
=====
コククジラは夏、アラスカの海でたっぷり餌を食べて、南に向かい、冬にはメキシコ沿岸の入り江で赤ちゃんを産み、育てます。
海に潜ってコククジラと仲良しになったカメラマンが、8000キロにおよぶ彼らの大旅行を取材しました。
=====

コククジラは海底の泥を口に含み、エサだけを漉して食べるそうです。
だから海岸線から遠く離れることなく暮らします。
エサが豊富なアラスカ沿岸で栄養をたっぷり摂ってから海岸線を南下して、暖かいメキシコ沿岸で出産と子育てをすることを繰り返す習性があります。
ザトウクジラはアラスカとハワイを往復すると聞いたことがありますので、暖かい海で出産と子育てを行うというのが共通点です。
驚いたのは尾びれが全くないコククジラが行動を共にしていたこと。
シャチかサメに食いちぎられたのでしょう。
いくらゆっくり移動しているとはいえ、片道8000kmに及ぶ長い旅に付いていけるのでしょうか?




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