鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2115~苔テラリウム2

2022-07-29 12:25:41 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、苔テラリウム2です。

コケの世界に再入門するため「はじめての苔テラリウム 失敗しない植え方・育て方・メンテナンスがわかる」を読みました。
出版社の内容紹介を引用します。
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苔テラリウムのつくり方、メンテナンスの方法を、豊富な実例とともに、丁寧に説明。また苔の種類を紹介する図鑑ページも充実。
目次
1 基本の植え方(苔テラリウムの基本の作り方;苔はどうやって入手するの? ほか)
2 初心者でも作りやすいクローズドタイプ(始めるならまずクローズドタイプ;作り方1 姿と葉色のコントラストを楽しむ寄せ植え ほか)
3 苔の世界を広げるオープンタイプ(より自然な姿の苔を楽しむオープンタイプ;作り方1 手のひらに乗る小さな‘おちょこけ’ ほか)
4 応用作品にチャレンジ(他の植物と組み合わせる;作り方1 野趣のあるウチョウランで山岳の風景をイメージして ほか)
5 もっと知りたい苔のこと(苔は3つのグループに分けられます;生命の神秘を感じさせる苔の一生 ほか)
=====

テラリウムのテラは地球とか大地という意味だそう。
その昔、植物蒐集家が船の長旅で植物が枯れないようにするために考案したそうです。

苔は根がないので土から水や養分を吸収しません。
根に見えるのは仮根といって地面に体を固定する役目をするもの。
学校でも習ったし、何冊か読んだコケの本にも書いてありました。
そのためテラリウムに入れる土は保湿の効果があるものが良いそうです。
お気に入りのコケをピンセットと割り箸を使ってうまく土に差し入れて並べると出来上がり。
あとは乾燥に気を付けて時々水分を与えるだけで良いそうです。
これはズボラな私に丁度良い手軽さです。

オープンタイプとクローズドタイプのテラリウムの違い、テラリウムに向くコケの種類、もしものときのQ&Aなど
至れり尽くせりの内容。
この本さえあればいつでも苔テラリウムを始められそうです。

ところで苔テラリウムを置くスペースはどこが良いでしょうか。
光の当たり具合も重要なポイントなのであちこちに置いて試さなくてはなりません。

ふと私の部屋に目をやるととにかく本だらけ。
肝心の苔テラリウムを置くスペースが全く無いという現実に直面し困惑しています。
以前から手元に残す本は最低限にしてできるだけ古書店に売っていますが、購入する本が小説から画集・図鑑・絵本に変わってから手放しづらくなり溜まる一方になりました。
今では元々狭かった床にまで本があります。
どうやら第1段階として多量の本を処分することから始めなくてはならないようです。
苔テラリウムはその次の段階。

部屋が片付くまで本書を保管すること自体が本末転倒と思いつつ、今度は断捨離の指南書でも買おうかなどと考えています。




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お気に入りその2114~たくさんのふしぎ7

2022-07-27 12:17:22 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ7です。

「たくさんのふしぎ」シリーズから直近に発行された3冊の感想を書きます。
「たくさんのふしぎ」シリーズは、世の中の不思議を取り上げて解き明かすシリーズとして、何百冊も発行されてきました。
今回の3冊もその精神を失わずに子どもたちに伝え続けようという姿勢が見えてうれしいです。

①うんこ虫を追え

出版社の内容紹介を引用します。
=====
美しい姿をしたオオセンチコガネという虫がいます。
この虫の大好物は、うんこ。
成虫は動物のうんこを食べ、うんこの玉を地中に作って幼虫を育てることが知られています。
しかし、土のなかでの幼虫の生態は謎につつまれてきました。
絵本作家の舘野鴻さんが、知恵と根性と体力で、オオセンチコガネのくらしの解明に挑みます。
=====

本書は昆虫画の名手・舘野鴻さんがうんこ虫を何年にもわたって観察した記録です。
著者は草食動物、雑食動物、果ては自分のうんこまで使っていろいろな実験をします。
著者自身を登場させ、仮説を立てて実験し、失敗を繰り返し、改良実験を行うことで少しずつうんこ虫への理解を深めていく過程を描いています。
これこそ「たくさんのふしぎ」シリーズで大好きな観察記であり実験記です。
読者である子どもたちに試行錯誤の過程を見せることで、科学的な考え方を伝えています。
またうんこ虫のメスが子どもたちのために前脚の太くてごついギザギザが磨り減って丸くなるほど穴を掘り続けることを知ることで親の愛を感じることもできます。
著者得意の昆虫細密画をたっぷり鑑賞することは出来ませんでしたが、素晴らしい観察記を読むことができました。


②ホタルの光をつなぐもの

出版社の内容紹介を引用します。
=====
私たちが見るホタルの光は、1億年以上にわたりホタルが命をつないできた途方もなく長い時間の流れのなかの一瞬の輝きです。
人類が生まれたのは、ほんの20万年前のこと。
ホタルや多くの生きものたちが、これほど長い時間、どうして種をつないでくることができたのか。
自然のなかに流れる「動的平衡」を通して描いた作品です。
=====

本書は動的平衡で有名な福岡伸一さんが書きました。
前半部で女の子が蛍の幼虫を家に連れ帰ろうとします。
幼虫が蛍になるためには、幼虫のエサになる巻貝、巻貝のエサになる藻、藻が育つためのきれいな水などの全てが必要なのだと教えられて女の子は連れ帰るのを諦めます。
その川が人の都合で破壊され、蛍を含む多くの生き物が姿を消す様子は悲しいです。
豊かな生態系が観察できた小川は護岸工事でコンクリートだらけになり、さらに蓋をされて暗渠になりました。
人間だけに都合の良い世界に作り替えることは良いことなのでしょうか?
本書後半部では、長い時間の後、人の造形した道路や建物などは徐々に崩壊し自然が蘇っている様が描かれています。
そしてそこには蛍が飛び交っています。
100年、1000年単位の時間軸の中では人間の築いたものなど取るに足らないもので、いずれ自然に飲み込まれていくということでしょう。
ジブリ映画を観たような読後感を持ちました。
子どもの頃にこういう長大な時間軸を想像することは良い経験になると思います。


③石は元素の案内人

出版社の内容紹介を引用します。
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鉱物で描く元素のものがたり。
結晶を愛する著者が、元素の姿を求め、結晶をハンマーで極小まで割り、庭で鉱石を熱す。
するとみえてくる、元素・原子の世界。
この世はぜんぶ原子でできていて、それは90種類ってほんと? 
石といっしょに考えよう。
美しく、ちょっとかわった元素の本です。
*付録一枚絵 特製<元素写真の周期表><鉱物ポスター>(裏表)つき
=====

大きな岩塩の結晶を半分に割ることを繰り返していくと分子に行き当たることを視覚的に説明しています。
私が子どもの頃は分子はイラストで描かれていましたが、本書は電子顕微鏡写真で実物を見せています。
写っているのはタテ6個、ヨコ4個、奥行き4個の原子が並んだ直方体。
掛け算すると96個の原子が行儀よく並んでいます。
塩はナトリウムと塩素の原子2つで一組なので48個の塩の分子が見えているということ。
世の中の全てのものがこのように原子でできていること、そして世の中の全てのものがわずが90種類の原子の組み合わせでできていることを知って、子どもたちは世界の見え方が変わったのではないでしょうか。
感想を聞いてみたいものです。
興味深かったのは波打ち際の砂浜では砂鉄の縞々が見えるという指摘です。
今まで注意して見ていなかったせいか、お目にかかった記憶がありません。
波は比重の軽い砂を運ぶけれど、重い砂鉄は残るため、縞々模様が現れるのだそうです。
今度海に行ったら観察したいと思います。
また著者が自ら撮影した元素写真を使った周期律表は、文字だけの周期律表とはインパクトが違います。
付録は久しぶりですが、これなら価値があると思います。
※今は周期表と言うのですね。知りませんでした。

次号は「星空をながめて」というタイトルだそう。
楽しみにしています。










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お気に入りその2113~純米酒4本②

2022-07-25 12:54:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、純米酒4本②です。

「ゆきの美人」の最後の1本がついに空になり、あらかじめ用意していた純米酒を味わうことにしました。
4種類用意した内で最初に栓を開けたのは透明瓶に入った「鶴齢 純米超辛口 1800ml」。
紫外線を防ぐ効果があるという特殊ビニールに包まれている上、地下室で保管していたのでそう簡単には傷まないはずですが、透明瓶というのがやっぱり気になり、これを最初に開栓することにしました。
ばね式の栓が付いた700mlボトル3本に分けて、満タンの2本は地下の冷蔵庫へ。
中途半端に入ったボトルから晩酌で味わいました。

ちなみにラベルに記載された情報は次の通り。
=====
新潟県 青木酒造
原料米:美山錦100%使用
精米歩合:60%
アルコール度:17%
令和3年度醸造生原酒

創業享保2年
魚沼の地酒
雪に和して丁寧を磨く
<我住む魚沼郡は日本第一に雪の深く降る所なり>
当地 塩沢出身の随筆家・鈴木牧之は名著「北越雪譜」の中でそう記しています。
日本有数の豪雪地・新潟県南魚沼の地で300年余り醸し続けられている「鶴齢」は、雪解け水を思わせる淡麗さの中に米の深い旨味を感じることのできるお酒です。
=====

美味しいです。
原酒で度数が高いことはこれを書くまでうっかり忘れていました。
それほどサラッと杯を重ねられます。
吟醸香のような飾りがないのがまた良いです。
純米酒本来のうま味をストレートに感じられます。
ついつい飲み過ぎるのが欠点で、気が付けば小分けボトルの3本目も残り半分しかありません。
初めて味わいましたが、また味わいたいと思わせる美味しいお酒でした。

超辛口ということで頭に浮かんだ話がふたつ。おまけとして書きます。

(その1)
若い頃、国鉄OBの方がやっていた居酒屋に通ったことがあります。
全国の地酒を何十種類も置いており、解説をしていただきながら美味しく味わったものです。
常連になってからは親父さんに「今日は〇種類飲む」と自己申告してコースを組んでもらい楽しみました。
その際に習った鉄則は「甘口から徐々に辛口に」でした。
それを考えると「超辛口は本来は仕上げの一杯だよな」と思いつつも、冷蔵庫で何種類もストックすると妻の目が怖いので1本だけ置かせてもらっているわが立場の弱さにトホホ。

(その2)
先日、行きつけの居酒屋で「刈穂 番外品+21」というのを味わいました。
第6波が収束してきたので久しぶりに夫婦で顔を出したところ、これをすすめられました。
その美味しかったことといったら・・・。
いつもは次々銘柄を替えて味わいますがその日はこれオンリー。
原酒ということで遠慮しつつ味わいましたが、度数の高さを感じさせないサラッとした口当たりと、お米で作った酒であることをしっかり感じさせる味わいに感動しました。
これは飲み過ぎる危険なお酒だね、と二人で警戒しつつも何杯おかわりしたことでしょう。
後日、息子も誘い3人で味わってきましたし、来月は娘婿も誘って行く予定です。
皆さんにもぜひ味わってほしい逸品です。








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お気に入りその2112~M.hoki Collection

2022-07-23 12:42:51 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、M.hoki Collectionです。

いつか必ず行こうと思っている憧れの美術館「ホキ美術館」。
同館は毎年のようにコレクション図録や企画展図録を発行しており、その全巻が手元にあります。
でも元々は高価な図録を全巻揃えるつもりはなく、気に入った巻だけを購入していました。
ところがある年、台風により美術館が浸水し、修理のため休館。
作品を他の美術館に貸し出して特別展を開催したり、オンラインショップでグッズ販売をするなどして規模を縮小して運営していました。
そこへ新型コロナウイルスが襲来。
この状況ではやりくりが大変だろうと思い、美術館を応援する意味で未購入のコレクション図録を全て購入することにしたのでした。

ところが先日、何気なくメルカリで「ホキ美術館」を検索すると「ホキcollection」というタイトルで、見たことがない図録が出品されているではありませんか。

出品者の方による商品の説明は次の通りです。
=====
アルバム形式になっています。
サイズ : 横27センチ×縦18センチ
74枚あります。
扉付きキャビネットに保管してましたので、綺麗だと思います。
=====

写真を見ると、タイトルは「M.hoki Collection」となっており、他の図録のタイトル「hoki Collection」と微妙に違います。
もしかしたら「M.hoki」とは、ホキ美術館創設者の保木将夫氏のイニシャルのことではないでしょうか?
保木氏は美術館を建てる前に、自宅横の建物で所有作品を展示公開していたと、どこかで読んだことがあります。
本書はその時の図録なのかもしれません。
もしそうなら同館開館前の図録であり、同館の原点ともいえる図録。
ファンにとってお宝的存在となります。
その可能性に期待して、すぐに注文しました。

画集が届くまでの間、「M.hoki」が保木氏のイニシャルではなく「ミュージアム(オブ)ホキ」の略であれば、ホキ美術館建設の計画段階で関係者向けに制作された図録の可能性や、開館時に発行した初代「hoki Collection」の試作品の可能性もあるのではないかなど、いろいろな可能性を想像しました。
これらの場合でもファンにとってはお宝に変わりはありません。
早く真相を明らかにしたい!
ワクワクしながら数日を過ごしました。

商品が届き内容を検めるときは久しぶりにドキドキしました。
前置きがすっかり長くなってしまいました。
それでは正解の発表です。
正解は最初に考えた通り「保木氏が自宅隣で展示会を開いていたときの図録」と思われます。
その理由は、掲載されている作品の制作年が一番新しいものでも2002年だったからです。
詳しく調べると、保木氏が自宅横のコレクションハウスで年に2日、コレクションを無料公開し始めたのが2001年か2002年だそうです。
最初は2、300人だったのが、すぐに増えて600人が2、3年続き、最後の頃は1000人になっていたそうです。
その後、美術館を建設することに決め、2010年に完成し、同年11月に開館しました。
美術館開館時に発行されたコレクション図録には今回の図録と一部作品が重なりますが、2010年に制作された作品まで掲載されていました。

ちなみに「M.hoki Collection」に掲載されている作品は次の通りでした。
・B5判ほどの用紙の表に1作品ずつ74作品を掲載
・前2/3に日本人の作品、後ろ1/3に外国人の作品
・日本人の作品の内、後半の2割ほどは写実絵画ではないジャンルの作品
・ホキ美術館の図録に収録されていない作品を多数収録
・制作年の入っていない作品もあるが、入っているものは1980年代から2002年制作

初めて見る作品が多く感激しながら鑑賞しました。
今回の図録は、保木氏が自宅横のコレクションハウスで無料公開し始めた頃に来場者の希望により制作された図録だと思われます。
世界のどこにも写実絵画の美術館がないのですから、来場者は年に2日の公開では満足できず、図録制作を強く要望したことでしょう。
おそらくは限られた数だけをほとんど手作りで制作した事と思います。
図録をアルバム形式で制作したのは、コレクションが増えるごとにページを増やしやすかったからではないかと思います。
厚手のカバーに外箱まで付いている贅沢な作りで、当時はかなり高価だったと思います。
制作後20年ほど大切に保管された後メルカリに出品され、こうして出会うことができました。
本書は保木氏が美術館建設を具体化する前の記念碑的な図録と思われ、ホキ美術館のファンとして大変価値のあるものです。
外箱と合わせ、前の持ち主以上に大切にしたいと思います。


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お気に入りその2111~パンと木版画

2022-07-21 12:46:21 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、パンと木版画です。

1年前に「イラストレーション」という雑誌で彦坂木版工房の木版画作品を初めて目にしました。
いろいろな作品が紹介されており、その中でもパンとバウムクーヘンの質感に度肝を抜かれました。
木版画にこんなことができるの?

それから彼らが制作した作品を絵本や作品集で鑑賞してきました。
絵本はどれも容易に入手できました。
大きな絵でじっくり鑑賞することができてとても気に入っています。
それに比べ作品集の入手の難しさときたら・・・。
作品集には作品制作の裏側が短い文章で添えられており、制作現場の息吹が感じられる点が気に入っています。
作品集はこれまで4冊発行されていますが、自費出版で発行部数が限られているためか、なかなか見つからずあちこち探して1冊ずつ入手しました。
最初に入手した第2作品集「YASAI BOOK」は古書販売サイトで見つけて入手しました。
続く第3作品集「旬」は工房のHPのオンラインショップで購入しました。
「旬」が届いたときに第4作品集「ちゃいろときいろ」の新発売をご案内いただき、nostos booksさんから購入しました。

これで残るは工房の記念すべき最初の作品集「パンと木版画」のみ。
これがなかなか見つかりません。
今ではすっかり有名になってしまったので、処女作品集を手放す人がなかなかいないでしょうから入手困難なのは仕方ありません。
とりあえず出品されそうなサイトの定期巡回を欠かしませんでした。
そしてついにその日がやってきました。
念願の第1作品集「パンと木版画」を入手することができました。

本書については彦坂木版工房のHPに内容紹介がありますので引用します。
=====
彦坂木版工房の初めての作品集『パンと木版画』。
誰もが一度は食べたことのあるような34点の焼きたてのパンが収録されています。
カバーのタイトルなどは、心を込めて一冊ずつ木版で摺りました。
この作品集をきっかけに、本当にたくさんのお仕事をいただきました。
『パンと木版画』がなかったら、今の自分たちはなかったと思います。
彦坂木版工房の原点とも言うべき作品集です。
2012年
版元:彦坂木版工房
著:彦坂有紀
編集、装丁:もりといずみ
書:森戸玲子
=====

「工房の原点ともいうべき作品集」だそうです。
本書のカバータイトルは木版で摺られたそうなので届いてすぐに香りをかぎました。
発行から10年経っていますが、微かに香りがしました。
扉を開くと表紙と同一の文字や印がありました。
こちらは手書き文字をそのまま印刷したもので、手書き文字を木版印刷した表紙との違いを何度も見比べました。
木版の方はにじみが出て少し太くなっていました。
中には彼らが通っていたあるパン屋さんのパン34種を描いた作品が収録されていました。
最近の作品と同様にフランスパン系は版木の木目が写り込んでいました。
私の好みの作品はドイツパン系のパンと食パンを描いた作品。
前者はカリっとした焼き上がり、後者はふわっとしっとりとした焼き上がりで手触りや香りまで感じられるところが気に入っています。

後の作品集と違ってほとんど文字のない作品集です。
その作品はどこにこだわって制作したのか、どんなことを考えて制作したのかなどを書き添えて欲しかったです。
作品制作が好きな彦坂さんと総合プロデュースが好きなもりとさんがこの第1作品集を持っていろいろなお店や企業を訪問して本書を開き、作品に込めた思いを熱心に語ったことでしょう。
その姿が目に見えるようです。
第1作品集を目にした方は誰しも私のように衝撃を受けたのではないでしょうか。
後の作品集で「打合せに行った会社で自分たちの第1作品集を出され、とてもうれしかった」という記述がありました。
彦坂さんたちもうれしかったでしょうが、作品集を観て衝撃を受けた方々も彦坂さんたちと仕事ができることがうれしかったことでしょうね。

芸術を仕事にできる人はわずかしかいません。
彼らはそれに成功しましたが、そのチャレンジに不安があったはず。
その頃の彼らの思いが感じられるシンプルで緊張感のある作品集でした。
大切にしたいと思います。








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お気に入りその2110~たくさんのふしぎ「石の卵」

2022-07-19 12:51:13 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「たくさんのふしぎ」シリーズの1冊「石の卵」です。

まずは「石の卵」の内容紹介を引用します。
=====
「石の卵」という題名から、どんなことを想像しますか?
卵形の石?
それとも、石が生まれてくる卵?
「石の卵」は、外から見ただけではただの丸い石のようですが、ふたつに割ってみると、中からびっくりするぐらい美しい色と模様があらわれます。
これを見た人びとはドラゴンや雷を連想し、「ドラゴンエッグ」「サンダーエッグ」と名づけました。
人の手によってではなく、自然によって作られた神秘的で美しい作品をお楽しみください。
=====

割れた石に結晶が入っていると、瞬間魅入ってしまうのはなぜでしょうか?
結晶に自然の神秘を感じるからかもしれません。
子どもの頃、小さな黄鉄鉱の結晶がついた石ころや、小さな貝の化石がついた石ころを宝物箱に入れて繰り返し眺めていました。
あれから石について興味は失せましたが、数年前に蛍光鉱物と出会ってからまた少しずつ集めています。
隕鉄、珪化木、アンモナイト・・・。
年に数個、小さ目の石を購入し、子どもの頃よりは少し大きめの宝箱に入れて眺めています。
今回、本書で「ドラゴンエッグ」「サンダーエッグ」という「石の卵」の存在を知り、その二つを加えました。
実際に手に取って眺めると、著者が惚れ込んだ自然の神秘を感じます。
昔の人は石を割ってこういう不思議なものが出てきたら大いに驚き、その秘密に思いを馳せたことでしょう。
現物を手にすることで、当時の人々と気持ちを共有するとともに、現代科学で解明された石の卵の誕生する過程をイメージすることもできます。
見た目や成因にロマンがあるので、著者が山ほど蒐集している気持ちも理解できました。
ただし私は各1個で十分満足しました。
皆さんももし身近に石好きの知人がいたら「龍の卵」や「雷の卵」の話を聞いてみてください。
もしかしたらその人が見せてくれるかもしれません。

①ドラゴンエッグのスライス(写真左)
ドラゴンエッグは海で誕生しました。
石の誕生過程他は次のように紹介されていました。
・数千万年前に海底で、死んだ貝やアンモナイトのまわりに泥などが付いて丸い球になった。
・球の中にひび割れができ、貝などから溶け出した石灰分がしみ込んで方解石の結晶になり隙間を埋めた。
・土に埋まり硬い石の玉(セプタリアン・ノジュール)になった。
・昔の人は石の玉の中から不思議な模様が現れるのでドラゴンエッグと呼んだ。
・直径は数センチから数メートルまで様々。

写真の石を販売していた方のコメントも興味深かったのでご紹介します。
・セプタリアン・ノジュール(団塊)のスライスになります。
 黒色の発色が美しく、ひび割れの模様が抽象画のようで面白い一つです。
・セプタリアンは、ノジュールのひび割れ部分にカルサイト等が入りこんで成長し、不思議な模様を描いた石です。
・カルサイトとアラゴナイトの2種類の鉱物から出来ています。
・セプタリアンという名前の由来は、亀裂が七方向に入っているように見えた事から、ラテン語で7を表すセプテム(Septem)にちなんで付けられたといわれています。
※大きさの記載はありません。だいたい直径40㎜、厚さ8mmくらいでずっしりしています。

②サンダーエッグの半割(写真右)
サンダーエッグは山で誕生しました。
石の誕生過程他は次のように紹介されていました。
・火山から溶岩があふれ出て冷えて固まった。
・その過程でガスのたまったたくさんの泡が閉じ込められて、メノウやジャスパー、オパールなどになった。
・流紋岩の球の中にメノウやジャスパー、オパールなどが入ったものをサンダーエッグと呼ぶ。
・ピンポン玉から野球のボールくらいまでのサイズが多いが、直径数mの巨大なものもある。
・オレゴン州では州の石に指定している。
・サンダーエッグは産地により成分が違うため、世界中の産地を渡り歩いている熱心なファンがいる。

写真の石を販売していた方のコメントもご紹介します。
・オレゴン州産 サンダーエッグ 瑪瑙 水晶
・重さ:23g、大きさ:35 x 25 x 25 mm
・マグマが岩石にかわる過程で生み出されるサンダーエッグ。
・アゲート、オパール、ジャスパー、水晶が混在していることがあります。


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お気に入りその2109~人と動物の日本史図鑑

2022-07-16 12:11:52 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、人と動物の日本史図鑑です。

先日本屋さんで科学絵本を紹介している雑誌を立ち読みしていたら、これは!と思う児童書がありました。
検索機で調べると在庫があるとのこと。
その棚で内容を確認し、すぐに購入しました。

「人と動物の日本史図鑑 ①旧石器時代から弥生時代」

内容紹介を引用します。
=====
人から観る日本史を、動物との関係から眺めてみると、歴史上の大発見ができるかもしれません。
縄文人の狩りのパートナーだったイヌが、農耕が栄える弥生時代には食料になり、現代では人の心をいやすペットに。
そんなビックリする人と動物の歴史が満載です!
=====

以前から縄文時代に興味があり何冊か読んできましたが、なかなかイメージできない部分がありました。
本書はその隙間をいくつも埋めてくれました。
何といっても子ども向けということで平易な文章に徹していることとイラストや写真を屈指していることが功を奏しているのだと思います。
お気に入りの「たくさんのふしぎ」シリーズと同系のおススメできる本でした。

亀ヶ岡式遮光型土偶の再現図は初めて見るものでした。
頭の上にお団子を結った女性がモンペのようなゆったりしたズボンをはいています。
これまであの土偶は宇宙人をモデルにしたという説がしっくりくると思っていましたが、女性像でもしっくりくるものです。
新鮮な驚きでした。

内容紹介にもありましたが、狩りのパートナーとして人と共にやってきた犬が、弥生時代には食用だったことには驚きました。
確かにかつては犬食文化があったようで「赤犬の肉は旨い」という言葉を聞いたことがあります。
調べると中国や韓国には今も犬食の習慣があるそうです。
稲作文化とともに流入した食文化で今は廃れたということでしょう。

日本の動物たちの先祖は氷河期に海面が下がり陸橋ができて大陸から渡ってきました。
朝鮮半島経由の西の陸橋とサハリン経由の北の陸橋のふたつがありました。
西からはナウマンゾウ、北からはマンモスが渡ってきたそうです。
大陸のキタリスが北海道に入り南下し、後に津軽海峡ができて行き来ができなくなって、エゾリスとニホンリスに分かれたそうです。

貝塚の話が興味深かったです。
日本の土壌は酸性のため古代の遺物が分解されてほとんど残らないという話は知っていましたし、酸性土壌を中和するのに貝殻をまくと効果があるということも知っていましたが、貝塚は大量の貝殻のおかげで酸性にならずに済み、だからこそ多くの遺物が残っているのだということに思い至らず、本書で繋がりました。
そうだったのか・・・。
こんな簡単なこと同士を今までつなげて考えたことがなかったこと自体がいささかショックでした。
やはり本からの知識しかないと、想像力が働かないのでしょうか。
ドラマで刑事が「現場100回」と言っていたのを思い出しました。
きっと現場に通うことで自然と分かることなのだろうと勝手に納得しました。

外来種の紹介で、史前帰化生物という言葉を知りました。
有史以前、つまり歴史が刻まれる前に人が介在して日本に入ってきた生物のこと。
広い意味でスズメやモンシロチョウも稲作や畑作の導入に伴い入ってきたので該当するそうです。
最近はDNA鑑定により大陸の類似種との比較が進み、同一種=外来種だったことが判明しています。
今後調査が進むと、在来種と外来種の境目はいくつも見直されそうです。

本書は科学的好奇心をたっぷり刺激してくれる良書でした。
全5巻で残り4巻あります。
今回は一番興味のある巻だけ読みましたが、きっと他も面白いでしょう。
手元で読まれるのを待っている本たちが減ったら手を出したいと思います。


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お気に入りその2108~今日からはじめるばーどらいふ!

2022-07-14 12:53:35 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「今日からはじめるばーどらいふ! 」です。

本書の著者は一日一種さん。
あの面白かった「わいるどらいふっ」の著者です。
楽しみにして読みました。

内容紹介を引用します。
=====
バードウォッチングを始めてみたい人、必見!
マンガでわかる『バードウォッチング入門書』
バードウォッチャーに人気の野鳥「ジョウビタキ」との出会いをきっかけにバードウォッチング(鳥見)にハマっていく主人公を通して、鳥を見るおもしろさやノウハウを解説しました。
全編マンガでバードウォッチング初心者が知りたいことがわかりやすく、楽しく身に付きます。
著者は人気の生きものイラストレーター・一日一種さん。
どこにどういう野鳥がいるのか、観察のときにあると便利な道具(双眼鏡やカメラなど)は何か、マンガとイラストでわかりやすく解説しました。
身近に出会える鳥のミニ野鳥図鑑や、おすすめの書籍や店舗、観察施設の案内といった実用的な情報も満載です。
*-*-*-*-*
会社と家を往復する忙しい日々に虚しさを感じていたサラリーマン「鳥谷一歩(とりやはじめ)」。
彼がふとしたきっかけで通勤途中に出会ったのは、1羽の小鳥(ジョウビタキ)。
この瞬間、この鳥『ジョウビタキ』に恋に落ちる一歩…!
偶然その場に居合わせた公園のレンジャー(自然観察員)「冬野ことり」の教えを受けながら、一歩はどっぷりとバードウォッチングの世界にはまっていくのだった??
=====

山菜採りに行っていた頃は、いろいろな野鳥の姿を見かけ、さえずりを聴くのが当たり前と思っていました。
目を少し悪くしてからは遠出をするときは妻や息子が運転してくれるようになり、自然と山菜採りから足が遠のきました。
それからは野鳥への興味も薄れていました。
でも考えてみると、わが家の近くには散歩道が整備された防風林があり、そこなら何種類もの野鳥と出会えそうです。
本書でバードウォッチングの初歩を学び楽しみを増やすことができそうです。
ストーリー仕立ての入門書というのも興味津々です。

普段は家と会社の往復だけで疲れきり、休みの日は心身を休めるだけで終わってしまう。
そんな毎日を送っている主人公に自分を重ねた読者は多いのではないでしょうか?
そんな主人公が、何気なく目にした小鳥の魅力に吸い寄せられ、バードウォッチングにハマっていくのは、自らの心の安定を求める内なる声だったと思います。
それにしても一日一種さんのストーリー展開は見事です。
何もわからない私でも双眼鏡・単眼鏡・三脚・カメラなど、どんなものを選ぶと良いかがわかりました。
そして使い方、注意点なども。
さらに気に入ったのは先輩バードウォッチャーとの付き合い方。
初心者は足を引っ張るため毛嫌いされるのではないかと心配していましたが、実際は逆に教え魔が多く、人に教えることで自分の知識や体験が整理されて本人のためにもなるのだそうです。
それなら安心して聞くことができます。
こういう風に初心者の不安を解消してくれる著者の心遣いがまた見事。
すぐにでもバードウォッチングに行けるようになる良書です。
デビュー前の私が言うのも何ですがおススメです。

著者の他の著作も読みたくなりました。








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お気に入りその2107~サントリージン翠SUI

2022-07-12 12:09:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、サントリージン翠SUIです。

10年ほど前に知人が始めたお店でジンの美味しさを知りました。
それからというもの他の店では全く飲まないのになぜかそこではジンばかり飲んでいました。
あるとき店主が病に倒れ閉店。
それからジンを飲むことはありませんでした。
今年になってサントリージン翠SUIのCMを見て久しぶりにジンを飲みたくなりました。
ジンハイボール缶を味見すると、あの頃とは少し違った味わいですが美味しい!
そして最近になってボトルの存在を知りました。
さらにそれに合わせるように妻が炭酸水メーカーを購入。
好きな時に好きなだけ炭酸水を作れるのなら、わが家で翠SUIのハイボールが楽しめるということです。
早速ボトルを買って翠SUIのハイボールを味わいました。
初回は期待に反して美味しく味わうことができませんでした。
美味しくなかった原因は次の3つだと思います。
・炭酸水メーカーの使い方が分からず微炭酸だった
・翠SUIの割り方がわからず濃すぎた
・氷の用意がなく温かった

その後は、冷やした強炭酸水、翠SUIと水の割合は1:4、氷は必須という三点を守り、美味しくいただいています。

これまでニッカファンとしてサントリー製品は極力遠ざけてきましたが、アイラウイスキーのラフロイグに続いて翠SUIも気に入ってしまい、ニッカさんには申し訳ない気持ちです。
これからも晩酌のメインはニッカのウイスキーというのは変わりません。
その上で、時々は純米酒、たまには翠SUIハイボールというルーチンで行きたいと思います。




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お気に入りその2106~ぶどう棚再建

2022-07-08 12:39:34 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ぶどう棚再建です。

今年1月から2月にかけて札幌は災害級の大雪でした。
除雪除雪の毎日ですっかりウエストが細くなり喜んでいましたが、今は残念ながら元に戻ってしまいました。
という話ではなく、ぶどう棚の話。
2月に雪の重さに耐えかねてぶどう棚が倒壊しました。
20年近く前に金属パイプを組んで作ったものなので、サビて強度が落ちたのかもしれません。
倒壊した際にぶどうの木にも大きな被害が出ました。
幹だけを残し、枝がほとんど折れてしまったのです。
雪を除けてパイプや枝を廃棄し終えた後を見て、周囲の人は次に何植えるのと聞いてきました。
太い幹と数本の短い枝しか残らなかったけれど再生するかもしれないのに、と思いました。
春が来て少し遅めでしたが、芽が出てきたときはうれしかったです。
良かった、生きていた!
それから枝が次々伸びてきました。
植えてから50年近くも経ったぶどうの老木ですが、その生命力の強さに感動すら覚えました。
ぶどうが頑張るなら私もそれに応えましょう。
ぶどう棚の再建です。
金属パイプをたくさん用意し、採寸、切断、組み立てを繰り返し、ほぼ1日でぶどう棚を再建しました。
(高さ2m少々、幅と奥行4m弱)
学生時代にアルバイトで培った番線締めの技術が生きました。
倒壊の原因がパイプの接続部だったことから、力のかかりそうな箇所に接続部を設けないようにしました。
これで大雪が来ても倒壊することはないでしょう。
今は適度な日射と雨に応援されながら枝がどんどん伸びているところ。
ときどきあらぬ方向に伸びた枝をひもで矯正しつつ再生を見守っています。
ぶどうの寿命は50~60年だそうです。
すでに50歳近いのでこの先長く生きることは難しいかもしれませんが、天寿を全うするまで見守りたいと思います。。
ちなみに以前ユスラウメが、ある年急に半分の枝にしか花が咲かずわずかしか実がならなくなり、その翌年は花が終わると見る見る葉が散り枯れてしまいました。
ユスラウメの一般的な寿命は20年ほどだそうですが、25年も私たちを楽しませてくれました。
ブドウも50~60年と言わずもっと長く楽しませて欲しいと願っています。


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