鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2102~世界のサメ大全

2022-06-29 12:09:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「世界のサメ大全」です。

以前「世界のサメ大全」と言う本のアソビ心溢れる仕掛けについて書きました。
今回は肝心の中身について書きます。
100種以上のサメを1種1種丁寧にイラストを交えて解説しています。
さすがにサメ愛好家を自認するだけあってイラストと解説文のどちらも著者の熱意を感じました。
また近縁種が並んでいるのでどこが違うのかに注意しながら読むこともできました。

著者は人を襲うサメは10%ほどしかいないと書いていますが、元々獰猛なサメだけでなく、気が弱いサメも身の危険を感じると人を襲うことがあるとか、目に映るものは何でも食べるサメがいると書かれるとやはり心配です。
著者のようなサメ愛好家ではない私たちは、サメらしき魚には近寄らないことが一番と思いました。

サメは4億年前からいるそうです。
さらに言えば4億年もかけていろいろな姿に分化しており、その生き物としての多彩さに驚かされました。
中でも印象的だったものを自分用にメモを残します。
 
・ジンベイザメの食道は数センチしかないため、うっかり口に入った大きな魚を飲み込むことはない
・オナガザメは長い尾を振り回して獲物を攻撃するが、強烈過ぎて時には真っ二つにすることもある
・インドシュモクザメは頭部の幅が広い
 胎内にいる子どもは頭部を後ろに折りたたんでいる
・ウチワシュモクザメは海藻を食べる
 胃の半分を海藻が占めていたという報告もある
・一般的にサメは泳ぐことでエラに水を通して呼吸している
 ポートジャクソンネコザメは5つあるエラ孔の内、一番前のエラ孔で水を取り込み、残りの4つの
 エラ孔から水を出すことで泳がずに呼吸できる
 アラフラオオセは目の後ろにある噴出孔を利用して呼吸ができる
・ネズミザメ科のサメには奇網という毛細血管網があるため体温を高めに維持することができる
 これが高速運動を可能にしている
・オオメジロザメは淡水域でも生きられる数少ないサメ
 ミシシッピー川の河口から2800km、アマゾン川の河口から3700kmの地点で観察されている
・テングヘラザメはオスメス両方の交尾器を持っている
 カタツムリのように雌雄同体で、オスの役割、メスの役割のどちらもできる
・シロワニは胎内の子どもに無精卵をエサとして食べさせ、さらに子ども同士は共食いして育つ

読み終えて振り返ると、1種1種のサメの解説以外にも印象的な記述がありました。
サメ界最強のホホジロザメは海中の食物連鎖ピラミッドの頂点に君臨していると思っていましたが違うそうです。
海中ではシャチが最強であり、その頭脳とチームワークでホホジロザメをおもちゃにすることもあるそうです。
またサメは一般的にアンモニア臭が強く食用に向きませんが、美味しくて食用に向く種もある上、日本以外にもサメを食べる習慣があるそうで、著者曰くサメが人を食べるよりはるかに多くのサメが人に食べられているとのこと。
そのため絶滅の危機にあるサメもいるとか。

本書はまだ出たばかりなので未読の方は多いはず。
生き物好きにはたまらないサメ愛溢れる本です。おススメですよ!








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お気に入りその2101~かがくのとも2

2022-06-27 12:55:31 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、かがくのとも2です。

生き物の細密画を鑑賞したくて「かがくのとも」シリーズを入手しています。
前回は薮内正幸さんと舘野鴻さんの作品を鑑賞したことを書きました。

今回は甲斐信枝さんです。
すでにブログでご紹介したのは次の4冊。
「ひがんばな」(1981/2)
「あしながばち」(1975/6)
「みのむし ちゃみのがのくらし」(1979/2)
「こがねぐも」(1982/9)

その後も4冊読みました。
「つくし」(1997/2)
「ふきのとう」(2003/12)
「たけ もうそうだけのおやこ」(2004/1)
「きゃべつばたけのいちにち」(2009/9)

甲斐さんの絵本は写実画として一流ではないかもしれません。
最低でも私の好みではありません。
ただ観察記としては大のお気に入りで、見つける度に読んでいます。
彼女の作品でこれまでで一番のお気に入りは何といっても「雑草のくらし」。
何度もブログで触れましたが、ぜひ皆さんにも読んでいただきたい名作です。

さて今回の4冊について。
「ふきのとう」と「きゃべつばたけのいちにち」がお気に入りです。
ふきのとうは採って食べたりしますが、オスメスがあることを知りませんでした。
甲斐さんらしい丁寧な観察記録により、ごく身近なふきのとうをより深く知ることができました。
黄色い花が付くのが雄花で、受粉時期が終わると株ごと枯れるそうです。
白い花が付くのが雌花で、受粉後は柄を高く延ばし、たんぽぽのような綿毛で種子を遠くに飛ばします。
みなさんは知っていましたか?

「きゃべつばたけのいちにち」は、きゃべつ畑で一日の間に起こった出来事をじっくり観察して記録した絵本です。
アオムシを襲うアシナガバチ、サナギから羽化して飛び立つ蝶など、生き物たちのドラマがたっぷり描かれています。
自然界はたくさんの生き物たちによる共生社会であることを、きゃべつ畑を例にして紹介しています。
名和靖氏の名作「昆虫世界 薔薇の一株」に通じる作品です。


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お気に入りその2100~世界のサメ大全

2022-06-24 12:54:02 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「世界のサメ大全」です。

父の日に娘夫婦がプレゼントしてくれたのが今回ご紹介する「世界のサメ大全 ~サメ愛好家が全身全霊をささげて描いたサメ図鑑」。
図鑑好き、その中でも写真ではなくイラストで描かれた図鑑が好きな私のためにセレクトしてくれました。
本当は本書のような簡略化したイラストではなく細密なイラストが好みであることは言えませんでした。

内容紹介を引用します。
=====
「サメのことならなんでもわかる! 」イラスト図鑑ができました。
サメマニアの「めかぶ」(@shark0037)さんが、130種ほどのサメをすべてイラストで解説! サメ雑学も満載です。

■はじめに
こんにちは。著者のめかぶです。
めかぶはこんぶの仲間ですが、私はサメが好きで、サメに擬態したメガネをかけている人間です。
安心してください、この本は、こんぶじゃなくちゃんとサメの本です。
私は幼少期から水族館が好きでした。海洋生物が好きだったのですが、いきなりその中のサメを好きになってしまったのです。
当時はサメのことをなにも知らないような状態だったのに、本当に一瞬の出来事でした。
いきなりでした。「沼」に落ちました。
ですから、頭の悪い私は「とりあえず描こう」「描いて覚えよう」と思いました。それが、すべての始まりでした。
世界には、約500種類以上のサメが存在します。こうしている間にも、新たなサメが発見されているかもしれません。めっちゃ、神秘的じゃないですか? これだけでも「サメに惚れてまうやろー」ってなります。
自分がいろいろなサメの知識を身につけていくうちに、もっとたくさんの人に「こんなサメがいるんだよっ」と知ってもらいたくなり、描いたサメをSNSに掲載していきました。
うれしいことに、さまざまな人に見ていただくことができました。そして、この書籍を出すことにもなったのです。これも、皆さんのおかげです。ありがとうございます! !
少しでも多くの人に「サメの魅力」を知っていただけたらいいな、という思いを込めた一冊です!
それでは、SHARKなWORLDへ! !
2022年4月 めかぶ

第1章 サメってどんな魚?
第2章 全115種! 世界のサメ図鑑
第3章 古代のサメ~歴史は人よりも長い
第4章 サメの繁殖~サメのおちんちんは2本!
第5章 サメと人~人のほうがサメを殺している
=====

先日「ウイスキーを趣味にする」という本を読みましたが、著者のyoutubeチャンネルと連動するという新しい試みがなされていました。
本書もそれに近く、著者のSNSへの作品投稿がきっかけになりました。
書籍出すが新しい時代に物書きの素人がどんどん本を出す時代になってきたんだなぁとしみじみ実感させられます。
なお本書を手に取って驚いたことが三点あります。
一つ目が横長であること。
サメの全体図を大きく載せるためにはこれが一番と納得しました。
二つ目が各ページの小口側数ミリにカラーでサメが描かれていること。
本を開きページが斜めに並ぶと全ページでちょうど良くサメが出現します。
三つ目は各ページ左下にパラパラマンガが描かれています。
著者は本当にサメを描くことが好きなんだな、と実感しました。
本書を読む時間が無くてもこれらを見るだけで満足できるアソビ心満載の仕掛けです。
もし本屋さんで本書を見かけたら、ぜひ手に取って確認してください。

さて肝心の本書の感想については後日改めて書きたいと思います。
何しろ100種以上のサメを解説しているので読むのも結構大変です。


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お気に入りその2099~島のたんじょう

2022-06-22 12:36:02 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「島のたんじょう」です。

前に福音館書店の「じゃがいもの花と実」という本の感想を書きました。
今回ご紹介するのはその巻末に紹介されていた本です。

本書の帯の紹介文を引用します。
=====
溶岩の島がどのようにして生物のすむ緑の島にかわっていったのでしょう。
これは単なる想像の物語ではありません。
しぜんのきまりをしっかりとらえた、感動を呼ぶ本です。
=====

海底火山の噴火により島ができます。
風雨や寒暖差、波によって浸食され、硬い溶岩が少しずつ砂になっていきます。
そこに風で飛ばされてきたコケや藻類が成長しては枯れてを繰り返し、土に近いものができます。
土ができると風に飛ばされてきた種や、波に流されてきた実から植物が成長できるようになります。
植物が生い茂るようになると、それを食べる虫や小動物が流されてきても生きていけるようになります。
ここまでくるとその虫や小動物を食べる生き物が流れ着いても生きていける環境となり、生き物にあふれる島が誕生します。
さらに島の生態系の発展には鳥も大いに貢献します。
鳥の体に付いた虫や種が落ちたり、フンの中に種があったり、小さな鳥が風で飛ばされてくる場合もあり、島の生き物がどんどん増えます。
時には人が船で立ち寄りネズミが紛れ込むことも。
その後は島の中で世代交代を繰り返す内に、生き物たちは島独自の進化をしていきます。

「島」という漢字は海上に山があり鳥がいる状態を表すと聞いたことがあります。
本書でも鳥と島に密接なつながりがあることが示されています。

島のような閉じた生態系は、一般的な生態系の成り立ちを学ぶためにとても良い例だと思います。
そして生き物同士の関りについても学ぶことができます。
以前「生物の消えた島」という絵本で本書と同じようなことを読みました。
その島は火山噴火で全ての生物が死に絶えますが、わずかの期間で生き物が豊かな島に戻っていくという内容です。
入手しやすさも判りやすさも絵本の方が上ですのでそちらをおススメします。

それにしても「島のたんじょう」は1969年の発行ですが内容に古さを感じませんでした。
こういう本はさらに50年経ってもやはり古さを感じないのでしょうね。


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お気に入りその2098~竹鶴政孝パート305

2022-06-20 12:46:50 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート305、「ウイスキーを趣味にする」です。
先日、本屋さんで「ウイスキーを趣味にする」という本書のタイトルを目にしてハッとしました。
20代半ばでニッカウヰスキーのピュアモルト・ブラック/レッドに出会って惚れ込み、家飲み用にウイスキーを常備するようになり、気が付けば40年近く経っていました。
これまでニッカウヰスキーを中心にいろいろなウイスキーを味わってきましたが、趣味を聞かれて「ウイスキー」と答えたことはありません。
飲兵衛を自認するようで抵抗があったからです。
また好きなお酒を聞かれて「ウイスキー」と答えると、珍しいものを見るような目で見られることも、「趣味はウイスキー」と答えづらくしたのだと思います。
本書のタイトルはズバリ「ウイスキーを趣味にする」です。
そうです、「趣味はウイスキー」と答えることは何も恥ずかしいことではないのです。
本書を読み、抵抗なく「趣味はウイスキー」と答えられるようになりたいと思い、すぐに読み始めました。
内容紹介を引用します。
=====
専門YouTubeチャンネルが、優しく、楽しく、ウイスキーの味わい方を伝授!
数量限定でオリジナル紙製コースター付き!
※数量限定の特典につき、特典の在庫がなくなり次第終了いたします。
チャンネル登録者数 12万人!
ウイスキー専門YouTubeチャンネル「CROSSROAD LAB」が解説を担当したウイスキー入門書です。
「CROSSROAD LAB」の解説動画と連動しています(本を読むだけでも大丈夫! )。
本を読んでから動画を見てもよし、動画を見てから本を読んでもよし!
まるでBARのマスターによる、軽妙なトークを聞いているかのような解説で、初心者の方でも、ウイスキーにはまっている方でも、チャンネルのファンの方でも、大満足できる内容になっています!
【目次】
Part1
イチから知りたい!
ウイスキーの基礎知識
ウイスキーの定義から種類、ラベルの見方まで
Part2
家飲みを楽しもう
ハイボールに最適なウイスキーから
家飲み道具、透明氷の作り方まで
Part3
世界のウイスキー
日本/スコットランド/アメリカ/カナダ/アイルランド/その他観方
Part4
もっと知りたいウイスキーの話
グレーンウイスキー、カスクストレングスから
ウイスキー着色の真実や偽造ウイスキーまで
Part5
飲んでみたいウイスキー
飲み比べしたいウイスキー
=====
読み始めて気づいたのは、著者の説明ではウイスキー初心者が理解できないと思われる箇所があちこちにあることです。
もう少し詳しく説明した方が良いのにな。
と考えながらハッとしました。
本書のサブタイトルは「人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方」。
著者のYouTubeチャンネル「CROSSROAD LAB」と併せることで文字や写真だけでなく動画と音声で立体的に理解が進むようになっているのです。
これは読書の新しいカタチです。
テレビの世界では新しいカタチがどんどん進行しています。
テレビの視聴候補はこれまでテレビ局とビデオだけでしたが、今ではネットを介した動画が主役の地位を奪おうとしています。
若い世代を中心にテレビは大きく変わっていますが、本書により読書にも同様の道があることを知り驚きました。
読書は今後どういう道をたどるのでしょうか?
とても楽しみです。
・・・という話は本書の主題ではありませんのでこれくらいにして、本書の感想に入ります。
冒頭でも書きましたが40年近くウイスキーを嗜んできたためウイスキーについて多少の知識はあるつもりでしたが、本書を読んで自分が無知であることを思い知らされました。
本書から多くの知識を得ることでウイスキーの楽しみ方が広がることを感じました。
どんな知識を得たかを自分用に少し書き留めておきたいと思います。
・トワイスアップをするときのウイスキーと水はどちらも室温が望ましい。
 この記述に出会うまで冷蔵庫のミネラルウォーターを使っていました。
 室温の水を加えることで、高濃度のアルコールにより溶け込んでいた芳香がより多く解放される
 のですね。
 室温の水に替えてから美味しさが少しアップしたように感じます。
・ブレンドウイスキーはモルトウイスキーの美味しさを引き立てるようにグレーンウイスキーを
 うまく使っているので安くて美味しい。
 この記述にもハッとしました。
 これまでブレンドウイスキーはピュアモルトやシングルモルトより美味しくないという
 固定観念にとらわれていました。
 これからは本書で紹介されていたブレンドウイスキーにも挑戦したいと思います。
 特に潮の風味を感じるピート香の強めのウイスキーがブレンドウイスキー部門で何本か
 紹介されていたので近い内に味わいたいと思います。
・スコッチ・アメリカン・ジャパニーズなどの世界のウイスキーから相当な数をピックアップして
 飲み比べしたり、人気投票したりしてその味わいを具体的に紹介している。
 有名メーカーに偏ることのない評価は信頼できそうです。
 ジャパニーズ・ウイスキーのシングルモルト部門では残念ながらサントリーに軍配が上がって
 いましたが、ブレンドウイスキーやハイボールにあうウイスキーの部門でニッカウヰスキーの
 フロム・ザ・バレルが予想以上に高い評価を受けていてうれしかったです。
 まだ何本か在庫があるはずなので久しぶりに味わいたいと思います。
本書にはたくさんのウイスキーが紹介されていました。
それもそのほとんどが最新情報です。
しばらくの間、本書をバイブルとしていろいろなウイスキーを試したいと思います。
ただしニッカファンとして晩酌の主軸はニッカウヰスキーのセッションから変えるつもりはありません。




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お気に入りその2097~フェルメール

2022-06-17 12:21:42 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、フェルメールです。

北海道立近代美術館で「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」を観てきました。
毎週日曜にはいろいろ予定が入っていてなかなか行けず、終了間近になりやっと観ることができました。
お目当ては当然フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」。
従来壁だと思われていたところから天使を描いた画中画が姿を現したというビッグニュースには驚かされたものですが、まさかその話題作を札幌で間近に鑑賞できるとは思ってもいませんでしたので、とてもうれしかったです。
他の画家さんたちには申し訳ありませんが、流して鑑賞しつつ足早にお目当てにたどり着き、少しだけ離れたところにある複製画と行ったり来たりしながらたっぷり鑑賞しました。
複製画は2001年に描かれたもので、修復前の姿を精巧に再現しています。
新旧2作品を見比べるというアイデアはドレスデンと札幌のどちらの学芸員によるものかは分かりませんが、とても良いアイデアでした。
これからいろいろな美術館でお披露目する時にも同じ方法がおススメです。

ちなみに作品修復プロジェクトは次のように進んだようです。

・この作品に下絵があることは以前からX線解析で確認されていた
・フェルメール自身が塗りつぶしたものか否かを長い時間をかけて調査した
・画中画の絵の具が劣化していることからフェルメールの死後に塗りつぶされたことが明らかになった
・後世の何者かがこの作品をレンブラントの作品とするため、レンブラントが描かない画中画を塗りつぶしたのではないか、という推理が紹介されていた
・後世の絵の具を除去してフェルメールが描いた通りの作品に修復するプロジェクトが始まった
・汚れやニス、絵の具が慎重に除去され画中画が姿を現した。

フェルメールの筆跡を間近に確認するととても薄塗りで表面が平らなことが判りました。
絵の具をたっぷりと盛り上げて塗る作品だと除去する絵の具の厚さが場所により大きく変わるため除去作業は困難を極めたことでしょう。
薄塗りだから簡単という訳ではありませんが、割と早くしかも正確に修復作業が終わった要因だと思います。

とにかく今回は世界の美術界の話題作をいち早くじっくりと間近から鑑賞できて本当に満足!
世界中に30数枚しかないフェルメール作品を全て鑑賞するために世界各地の美術館を渡り歩く人もいるくらいなのですから。
この作品の札幌での公開にご尽力いただいた関係者に感謝感謝です。






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お気に入りその2096~マンガでわかる鉱物コレクターズ・マニュアル

2022-06-15 12:59:26 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「マンガでわかる鉱物コレクターズ・マニュアル」です。

この数年、蛍光鉱物や化石などの鉱物を蒐集して楽しんでいます。
ただすでにウイスキーボトルと図鑑類の蒐集で生活空間が圧迫されているため、鉱物の蒐集品はごく控えめな数で納めています。
この先もウイスキーボトルと図鑑類をどうにかしない限り鉱物蒐集を拡大することは物理的にできません。
それがどんな状況なのかは、何かを蒐集している方なら想像がつくと思います。

そんな状況ではありますが「鉱物」に惹かれ続けています。
自然界が長い長い時間をかけて鉱物を作り出したことに壮大なロマンを感じるからです。
これまで鉱物蒐集の他に「ミネラ」という鉱物専門雑誌を時々読んだり「瑠璃の鉱物」というマンガコミックを読むことで、鉱物採集現場の実情を垣間見て楽しんできました。

先日「マンガでわかる鉱物コレクターズ・マニュアル」という本を目にしてすぐに入手しました。
この本は鉱物コレクター歴10年のいけやま。さんが自らの体験を元に書いた鉱物コレクターを養成するための指南書です。
さていけやま。さんからどんなことが指南されるのでしょうか?
ワクワクしながら読みました。

まずはAMAZONの内容紹介を引用します。
=====
鉱物収集は浪漫?
現実はそんなに甘くない!
地球の誕生から現在まで、悠久の時を経て生成された大地の活動の結晶ともいうべき鉱物。
その無機質な結晶の美しさから、人々は太古の昔から鉱物で身を飾り、道具を作り、富や権力の象徴としてきた。
時代を下ると鉱物はより一般的な資源となり、工業原料としても装飾品としても、時には投機の対象にさえなった。
一方でドイツ・ロマン派から宮沢賢治、稲垣足穂、澁澤龍彦、長野まゆみなどの文学作品から、近年人気の鉱物擬人化マンガまで、鉱物はさまざまな作品の芸術的モチーフともなり、実物のみならず概念としても、人間を魅了し続けている。
このように今も昔も人間は鉱物を追い求め、いつくしみ、心を乱してきた。
鉱物収集…それは大地の神秘を追い求める浪漫あふれる趣味なのである――
しかし現実はそんなに甘くない!!!
本書は、生活空間の大半が石で埋まり、財布は枯れ、鉱物をもとめてネットの海を彷徨うコレクター歴10年の著者が、華麗なる(?)鉱物収集趣味の裏に隠れた苦労とノウハウを、マンガでわかりやすく紹介します!
「鉱物ってどこで買えるの?」
「ミネラルショーって敷居が高い…」
「ネットオークションって難しそう」
といった初心者の不安から、
「海外の業者とやりとりしたい」
「鉱物のきれいな写真が撮りたい」
「貯め込みすぎたコレクションをなんとかしたい」
と、どっぷり浸かったコレクターの悩みまで、自身の経験に基づいたリアルな情報をドンと公開。
近年の注目の集まる鉱物集めに興味を持ち始めたアナタを、めくるめく鉱物趣味の世界へご案内します。
=====

冒頭からの本音トーク連発はお見事です。
蒐集熱に憑りつかれると、生活空間が埋まり財布が枯れても寸暇を惜しんでネットの海を彷徨い続けるのだという辺りは私の実体験とピタリと重なりました。

本書の発行は2018年7月。
コロナ禍もウクライナ侵攻もない平和な時期に書かれたもので著者は思い存分蒐集生活に浸っており、とても幸せそうです。
現在まだコロナ禍が収束していない状況ですので、本書に登場する規模の大きな「ミネラルショー」はきっと再開できていないと思います。
逆にネットを介した通販やオークションが盛況になっているのではないでしょうか?
などと現状に合わせて読み替えつつコレクターの生活を学びました。

本書から、資料的に頼れるサイトを知り活用することの大切さや、蒐集品を出し入れせずに鑑賞するための撮影術、膨大になってしまった蒐集品の手放し方などを学ぶことができました。

鉱物だけでなくウイスキーボトルや図鑑類にも十分通じる本音の指南書となっています。

また海外のショップから購入したときに届くまでの日数がとんでもなくかかり、不安になることなど、私も図鑑類を購入したときに実感した体験も書かれており、何度も頷きながら読んだものです。

今後、あれやこれやを蒐集する中でどうしようかと困ったときは今一度アドバイスをもらうために本書を開くことでしょう。
それまで見つけやすい場所に保管することにします。


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お気に入りその2095~かがくのとも1

2022-06-13 12:08:11 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、かがくのとも1です。

福音館書店の「たくさんのふしぎ」シリーズがお気に入りで現在までに200冊以上を読み、いまも少しずつ読んでいます。
同じ出版社には他にも「かがくのとも」「ちいさなかがくのとも」という月刊シリーズがあり、こちらは「たくさんのふしぎ」より下の子向けのため、読み物として満足する作品はほとんどありませんが、生き物の細密画が好きなので時々気に入ったものを購入して鑑賞しています。

最初に鑑賞したのは「イワシ むれでいきるさかな」(2013/5)です。
驚くほどリアルに描かれたイワシに魅了されました。
魚の光沢をこれほど見事に再現して見せるとは驚きの技量です。
画家の他の作品も鑑賞したかったのですが見つけられず残念でした。

続いて鑑賞したのは「しっぽのはたらき」(1972/3)と「くまげら」(1980/3)です。
お気に入りの画家・薮内正幸さんの作品が鑑賞したくて入手しました。
生き物の細密画の第一人者である薮内さんの作品をたっぷり鑑賞してすっかり満足しました。
ちなみに薮内さんはこの頃、福音館書店の専属画家だったようです。
さらに「しっぽのはたらき」はかがくのともの創刊号だそうです。

お気に入りの細密画家の作品を鑑賞することができることに気づき、まず頭に浮かんだのが舘野鴻さんです。
「こまゆばち」(2012/10)
「なつのはやしのいいにおい」(2014/8) ※ちいさなかがくのとも
「なりすますむしたち」(2018/12)
「はっぱのうえに」(2019/4) ※ちいさなかがくのとも
以上の4冊を見つけて鑑賞しました。
おそらく短時間、低予算で描かれたイラストでしょうが、とても細密で気に入っています。
特に「なりすますむしたち」では、アリに擬態したクモ、ハチに擬態したアブ、カミキリなどを丁寧に描き分けており、細密画家の見事な腕前を堪能することができました。

「かがくのとも」と「ちいさなかがくのとも」の両シリーズはこれまでたくさん刊行されているので、今後もお気に入りがたくさん見つかりそうです。
楽しみです。










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お気に入りその2094~人類と気候の10万年史

2022-06-11 12:40:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、人類と気候の10万年史です。

氷河期は250万年前から始まり、氷期と間氷期を繰り返してきており、現代は間氷期に当たるそうです。
ということは再び氷期に入るということでしょう。
それはいつなのか?
地球温暖化との関係は?
いろいろ調べて一番確からしい本を選び読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
福井県・水月湖に堆積する「年縞」。
何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。
その年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。
人類は誕生から20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。
過去の詳細な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめ直します。

人類は、たいへんな時代を生きてきた! 驚きの地球気候史
福井県にある風光明媚な三方五湖のひとつ、水月湖に堆積する「年縞」。
何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。
その水月湖の年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。
人類は誕生してから20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。
過去の精密な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめなおします。

○氷期と間氷期が繰り返す中、人類誕生以来、その歴史の大半は氷期だった。
○現代の温暖化予想は100年で最大5℃の上昇だが、今から1万1600年前、わずか数年で7℃にも及ぶ温暖化が起きていた。
○東京がモスクワになるような、今より10℃も気温が低下した寒冷化の時代が繰り返し訪れていた。
○温暖化と寒冷化のあいだで、海面水位は100メートル以上も変動した。
○縄文人はなぜ豊かな暮らしを営めたのか。
○平均気温が毎年激しく変わるほどの異常気象が何百年も続く時代があった。
○農耕が1万年前に始まった本当の理由。

「年縞」とは?
年縞とは、堆積物が地層のように積み重なり縞模様を成しているもので、樹木の年輪に相当します。
2012年、福井県にある風光明媚は三方五湖のひとつ「水月湖」の年縞が、世界の年代測定の基準=「標準時計」になりました。
世界中の研究が、その年代特定で福井県水月湖の「年縞」を参照するようになったのです。
この快挙を実現したプロジェクトを率いたのが著者です。

「プロローグ」より
水月湖では、地質時代に「何が」起きたかだけではなく、それが「いつ」だったのかを世界最高の精度で知ることができる。
タイミングが正確に分かるということは、変化のスピードや伝播の経路が正確に分かるということでもある。
(中略)
水月湖の年縞堆積物から気候変動を読み解くプロジェクトはまだ進行中であり、今も続々と新しい知見が得られつつある。
本書ではそれらの新しい発見のうち、とくに私たち自身の未来と関連の深いものについて、なるべく分かりやすく紹介してみようと思う。
=====

本書は「次の氷期が来る時期」と「地球温暖化との関係」について知りたくて読むことにしたため、あちこち飛ばして結論だけ読むつもりでしたが、予想をはるかに超える面白い読み物でした。
特に科学読み物が好きな方にはぜひ読むことをおススメします。

内容紹介にも書かれている通り、著者は福井県の水月湖湖底の年縞を調べることで過去20万年の気温変動を年単位で明らかにしました。
気温の推定には花粉を使いました。
スギ、ブナ、シラカバなどの植生が年代ごとに大きく変わっているのです。
そこから判ったことは、この1万年間では温暖な気候が長く安定しているということ。
そしてそれ以前の19万年間では寒冷と温暖が周期的に激変していたということです。
人類が誕生して20万年。
そのほとんどの時期が激変気候であり、人類はその中を生き抜いてきたのです。
1万年前から農耕を始めたのは、農耕する知恵がなかったのではなくて、それ以前は激変気候のため狩猟採取生活をするしか方法が無かったのです。

ちなみに肝心の「次の氷期が来る時期」と「地球温暖化との関係」について知りたいという希望については期待外れの結果に終わりました。
「次の氷期が来る時期」は判らないそうです。
まだ温かい時期が続くかもしれないし、すぐにでも氷期に入るかもしれません。
もし氷期に入ると農耕による食料の大量生産ができなくなるため、世界人口が千分の一から万分の一に減るかもしれないそうです。
「地球温暖化との関係」については人類が文明を築きだしてから気温上昇が始まっているため関係は大いにありそうです。

過去20万年の激変気候を知ると現在の安定した気候はつかの間の平和と思わざるを得ません。
地球温暖化問題よりもはるかに絶望的な気候が明日にでも戻ってくるかもしれないのです。
そんなことを頭の隅に入れつつ粛々と暮らしていきたいと思います。

(おまけ)
本書には水月湖の年縞が炭素14年代測定法の精度を一気に高めたことが紹介されています。
例として12345年前の年縞に含まれた木の葉の炭素14を測定し、そこから算出された年代と12345年前との差が補正値となるというものです。
時代ごとに変動する炭素14を正確に把握することで年代測定の誤差が高まったのです。
これまで「1万2千年前プラスマイナス3千年」としか判らなかったものが「1万2千250年前プラスマイナス150年」というところまで判るようになったそうです。
(本書の測定結果例では1年単位で書かれていたはず)


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お気に入りその2093~竹鶴政孝パート304

2022-06-09 12:58:29 | 竹鶴
今回のお気に入りは、竹鶴政孝パート304、塩味を感じるウイスキーです。
「フィンラガン オリジナル ピーティー 40度 700ml」
商品説明を引用します。
=====
フィンラガンは非常に変わったシングルモルト。
ヴィンテージモルト社のボトリング。
アイラにあるどこかの蒸留所のシングル・モルト。
どの蒸留所かは明らかにされていない。
そのため「秘密のアイラモルト」と呼ばれています。
フィンラガンとはアイラ島にあった古城の名。
その近くの蒸留所のモルトを使っているとのこと。
どの蒸留所かを想像しながらじっくり味わって飲むのがこのモルトの飲み方。
強烈なヨード香、そしてピート香。
味はスモーキーで独特の塩辛さの中にフルーティでエレガントな味わい。
=====
商品紹介の最後の2行に魅力を感じ、味わうことにしました。
なぜそこに魅力を感じたのかは、これまで味わったニッカのウイスキー2銘柄が関係しています。
1銘柄目はピュアモルトホワイトです。
今となっては昔話となってしまいましたがピュアモルトホワイトを晩酌酒にしていたことがあります。
強いヨード香とピート香が特徴でアイラらしい癖になる味わいでした。
発売当初はアイラ島から原酒を輸入していましたが、後半は余市蒸溜所の原酒を使っていました。
500mlボトルだったため箱で買ってもすぐに飲み切ってしまった覚えがあります。
その後終売になり、後継銘柄もないため、仕方なくアイラやアイランズのウイスキーを時々味わってきました。
中ではラフロイグとタリスカーがお気に入り。
ラフロイグはサントリーが輸入しているのでニッカファンとしては遠慮しつつ味わってきました。
2銘柄目はシングルモルト北海道12年です。
ニッカのオールドボトルコレクションのひとつです。
創業50周年で発売された国産初のシングルモルトウイスキー。
発売当初でさえ1万円もした上、その後プレミアがついたため何本も入手することはできません。
これまで2本入手し1本を味わいました。
余市らしい重厚な味わいは納得ですが、何といっても塩味を強く感じることが特徴的でした。
その後塩味を感じたのは「キングスランド」くらいです。
この塩味もアイラ同様、癖になる味わいのひとつでした。
ということでフィンラガンの強いヨード香とピート香、そして塩味はお気に入りの2銘柄を連想させ、味見する前からお気に入り銘柄としての期待感に溢れていました。
そしてついに味見・・・。
香り、味わい共に商品紹介の通り。
ピート香と塩味がもう少し多いとうれしいのですが、この辺りで止めておくのがエレガントというものでしょう。
口当たりの良さはピュアモルトホワイトの後期版(余市版)と似ています。
いろいろな飲み方を試した結果、最近は晩酌の一杯目にツーフィンガーのトワイスアップで楽しんでいます。
その後、ニッカのセッションをワンフィンガーのトワイスアップでいただき、締めとしています。
試し飲みをしている間に残りが心細くなってきました。
これからも残りを気にせずに楽しむためには在庫が必要です。
取りあえず6本を注文しました。
送料込みで1本当たり2500円台とは実に財布に優しい!
長い付き合いになりそうなウイスキーと出会うことができました。
でもこの手のウイスキーはニッカさんが出してくれると一番嬉しいのですが・・・。



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