鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1947~M8

2020-06-29 12:19:58 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、M8です。

「首都感染」に続いて高嶋哲夫の「M8」を読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
東京をマグニチュード8の直下型大地震が襲う!!
若手研究者・瀬戸口が東京直下型大地震を予知。
阪神大震災を同じく体験した三人の同級生たちそれぞれの葛藤を軸に、首都大地震を最新の研究を反映して完全シミュレーションした書き下ろし力作!
=====

科学データに基づきその道の専門家が推測した未来の歴史がそこにあります。
もし今、東京でマグニチュード8の直下型地震が発生したらどうなるのかを丁寧に描いています。
驚いたのは地震学のこと。
他の学問と違い予測することが仕事であり、勇気をもって予測しても、それが外れると立場を追われるという恐ろしい学問なのですね。
本書では10年前に立場を追われた学者と、地震予知に全精力をつぎ込む若き研究者が、東京直下地震が数日以内に発生することを予知します。
それを信じた東京都知事がパニックにならない程度の絶妙のさじ加減で采配を振るう場面は、なかなか見事なものです。
政治家が白でも黒でもない判断をする場面というのは、自らのためではなく、世のために行うものだと再認識しました。
まさに名奉行の三方一両損。
関係各位の痛手を最小化する知恵を出すのが政治家の役目なのです。

本書では消防や警察、自衛隊などの災害対応の様子や、いろいろな立場の被災者の心情が克明に描かれています。
特に後手後手にまわり厳しい判断を求められながらも頑張り続ける消防さんをはじめとする方々の姿に、現在コロナウイルス感染症と闘い続けている医療機関や介護施設の方々の姿が重なって見えました。

現実世界では政府は地震予知を諦め、30年以内の発生確率を発表するだけになりました。
本書のように数日もしくは数時間という単位で地震を予測することは、最新科学をもってしても不可能だということでしょう。
残念なことですが受け入れなくてはなりません。

ただ発災後の行政や市民の様子を本書から学び、仮想体験として記憶にとどめることは大切だと思います。
ここ札幌でも最大震度7の地震が発生することを想定して災害対策マニュアルが作られていますが、心のどこかで震度5以上の地震なんて来ないとみんなが思っていたはず。
しかし2年前に市内で震度6弱の地震が発生し、私自身も震度5強を体験しました。
いつか来るかもしれない震度7を想像し、日ごろから準備をするには、本書の読書経験は震度5強の経験と同じくらいの衝撃がありました。
月日と共に薄れる地震直後の気持ちを蘇らせる力が本書にはあります。
本書で知った未来の歴史を元に今一度、自助・共助・公助を具体的に考え直したいと思います。
そして著者の他の本も読もうと思います。

最後に著者か出版社に一言。

ガスタンクに冷却液を投下して爆発を防ぎ、直後に殉職した消防ヘリのパイロットが登場する場面がありますが、このガスタンクはLPGタンクではなくLNGタンクの誤りです。
これだけ見事な災害シミュレーション小説は今後もいろいろな立場の人々に読み継がれていくことでしょうから、早めに訂正した方が世のためになると思います。


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お気に入りその1946~缶詰の汁

2020-06-26 12:49:57 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、缶詰の汁です。

先日「缶詰の汁を活用しよう」という記事を読みました。

缶詰の汁には栄養や旨味がたっぷり凝縮されているので、捨ててしまうのはもったいないそうです。
美味しくて栄養があり排水を少なくできるのですから、活用することは良いことづくめ。
それを知り、缶詰の汁を活用したレシピをさがすとあちこちのサイトで紹介されています。
拾い読みしてはメモして、いよいよ実行。
冷蔵庫の中に春キャベツがあったので、それを使ったシンプル料理をふたつ作ってみました。
妻に食べてもらったところ好評だったのでご紹介します。

①いわし缶と春キャベツのみそ汁
いわし水煮缶のいわしを少しほぐして汁ごと鍋に入れ、春キャベツを多めに刻んで入れます。
水を入れてコンロに点火。
火が通ったら味噌を少なめに溶いて出来上がり。
(缶詰の塩分が意外と多いので注意!)
具だくさんのおかずみそ汁は、出汁いらずで美味しかったです。

②オイルサーディン缶と春キャベツの丼ぶり
缶詰のいわしを皿に取り出し、フライパンで刻んだ春キャベツとニンニクを缶に残った油で炒めます。
醤油とコショウで味付けし、丼ぶりのご飯に乗せます。
皿のいわしを電子レンジで温めてキャベツの上に乗せ、最後に刻んだネギと海苔を乗せて出来上がり。
とても美味しかったのですが、キャベツがもっと多かったらな、と少々残念な結果でした。
試食途中に妻からレシピを聞かれました。
どうやら気に入ってくれたようです。

簡単で美味しい上、DHAやカルシウムをたっぷり摂れます。
料理が不慣れな私でも作れました。
ぜひお試しを!

おっとうっかりしていました。
みそ汁と丼ぶりのどちらも1缶で2人前できるので、おひとり様はご注意ください。
またニンジンやキノコなどを加えても美味しいそうです。

ここ札幌では、新型コロナウイルス感染防止の外出自粛はかなり緩和しましたが、席が隣と接する外食店や混んだお店はやはり気後れします。
これからも面白そうなレシピを見つけては試作しようと思います。

(おまけ)
先日作った「鶏むね肉のやわらかガーリック醤油」が美味しかったです。
鶏むね肉をフォークで刺して一口大のそぎ切りにして、酒・醤油・マヨネーズ・ニンニク・だしの素・砂糖に漬け込みます。
片栗粉をまぶして、ごま油をひいたフライパンで焼いたら出来上がり。
ニンニクが効いたやわらかチキンはボリューム満点です。
初めて作ったときに砂糖を入れるところを間違って塩を入れました。
2週間後正しいレシピで作りました。
さてどちらが美味しかったかというと間違えて作った方です。
砂糖より塩の方が味にメリハリが出て美味しいのです。
これぞ怪我の功名。
その内にニンニク好きの妻に塩バージョンをニンニクを増量して振舞おうと思います。


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お気に入りその1945~たくさんのふしぎ5

2020-06-24 13:55:25 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ5です。

「たくさんのふしぎ」シリーズのことを書くのもついに5回目。
1冊1冊は薄いけれど背表紙の幅で15cmくらいにまでなりました。
今も読みたいと思うシリーズ本を何冊か探しています。
そういう本は時々見つかります。
もう少しで何冊か届くはずです。
 
「まぼろし色のモンシロチョウ 翅にかくされた進化の謎・・・」

内容紹介を引用します。
=====
モンシロチョウはオスとメスをどうやって見わけているか知っていますか? 
答えは翅の色。
しかもそれは人間には見えない紫外色なのです。
さらに調べると、日本と違い、ヨーロッパのモンシロチョウの翅には紫外色がないことがわかってきました。
いったいなぜ? 
身近なモンシロチョウの翅に隠された進化の謎に迫ります。
=====

一番身近な蝶であるモンシロチョウがヨーロッパやアジアにも広く生息していることに驚きました。
遺伝子解析によりヨーロッパで種が誕生し、中央アジアを経由して日本にたどりついたことが判ったそうです。
さらに日本のモンシロチョウはメスの翅が紫外色を発色していて、オスがメスを探す目印にしているそうです。
沖縄のモンシロチョウはメスの紫外色が薄いそうですし、ヨーロッパでは紫外色が無いそうです。
ヒトの目には見えないこのような違いがモンシロチョウの進化の過程を示しているのですね。
自然界にはヒトに見えない色や聞こえない音が存在し、それを活用している生き物がたくさんいます。
花の紫外色を見分けるミツバチのように生物間の情報伝達に使われているケースもあります。
子どもたちが見えない色、聞こえない音に興味を持つきっかけになるとても為になる科学絵本です。


「アイヌネノアンアイヌ」

内容紹介を引用します。
=====
ずっと昔から北海道で暮らしていたアイヌ。
自分たちの言葉で話し、自分たちの神さまを信じてきたアイヌの人たちの歴史や生活を、2編の楽しい昔話とともにおとどけします。
=====

今年4月に開館予定だった北海道白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」。
コロナの影響で残念ながら開館が延期になっています。
アイヌ民族博物館の頃に見学したことがありますが、国の大きな予算をもらって大々的に建設されたのですから早く見学したいものです。

本書にはアイヌの暮らしと昔話が丁寧に書かれています。
良い人だけがアイヌといわれ、悪い人には別の呼び名があったとか、北海道のことをアイヌモシリとといったとか、数えきれない情報がありました。
ちなみにアイヌモシリは「人間の静かな大地」という意味。
その平和な大地を和人が乱したのですね。
改めて申し訳ないことをしたと思います。

アイヌの人たちは全てのものに神が宿るとして、神に感謝しつつ暮らしていました。
日本古来の八百万の神と似た考えです。
日本語の神(かみ)とアイヌ語のカムイはほぼ同一の単語です。
縄文の時代を共に過ごした兄弟民族ですから、互いの共通点と相違点を認め合い、仲良く暮らしていきたいものです。


「南極のスコット大佐とシャクルトン」

内容紹介を引用します。
=====
人類にとって最後の未知なる大陸となった南極。
その中心の南極点到達は、1912年、アムンセンによって成しとげられますが、そこには探検家たちの生死をかけた数々のドラマがありました。
南極点をめざすスコット隊とアムンセン隊の競争。
南極大陸横断をはかりながら、氷に閉じ込められて船を失ってしまったシャクルトン隊の奇跡の生還。
「行ってみたい、見てみたい」という人々の探究心が雪と氷の上で交錯します。
=====

イギリスでは誰もが知っているシャクルトン。
南極で船を失ったにもかかわらず乗組員全員を生還させた英雄です。
現代でいえばアポロ13号の生還劇を成し遂げたジョンソン宇宙センターの管制官たちのよう。
輝かしい成功をおさめた者だけが英雄なのではなく、大きな危機に直面したときに最善を尽くして危機を乗り越えた者たちも英雄として語り継ぐことこそ大切だと思います。

ちなみに本書は欲張りすぎていることと構成の不味さで期待以下でした。
スコット、アムンセン、シャクルトンの3人が行った命がけのチャレンジはもっと臨場感が出るように書いて欲しかったです。
そのためには文章に出てくる地名を示した地図を先に掲載して、見比べながら読み進めてもらう工夫が必要でした。

なお若きシャクルトンがスコットと同じ南極調査隊にいたことや、犬を失って人力でソリを引いていた帰路にシャクルトンが病に倒れ、スコットたちに連れ帰ってもらったというエピソードは知りませんでした。

もうひとつ、付録に書かれていた言葉が印象的だったのでご紹介します。
それはスコット隊の隊員だったチェリー・ガラートの言葉です。
「科学や地理の共同調査の組織づくりのことならスコットに、
 なにもかもすてて極地に突進するならアムンセンに、
 地獄の穴に落ちて助けを求めるなら、どんなときでもシャクルトンに
 私は頼るであろう。」
3人の性格の違いを表したうまい言葉で、信長・秀吉・家康のホトトギス川柳みたいです。


「ダーウィンのミミズの研究」

内容紹介を引用します。
=====
土の中に住むちっぽけな生き物、ミミズ。だれもが知っているのに、だれからも注目されることはありません。
ところが、そのミミズの研究になんと40年、ほとんど生涯を賭けた人がいました。
それは、進化論を説いてあまりにも有名なダーウィンです。
家の裏庭につづく牧草地の一角に白亜をばらまき、観察と実験を重ねること29年。
そこを掘ってみると、ダーウィンの仮説どおり、ミミズは地面の表面を耕していたのでした。
=====

以前読んだ「100分de名著」のテキスト「種の起源」には、ダーウィンの研究は反論を許さないち密な論理で築き上げられており、推理小説を読むように楽しい、と書かれていました。
ヒトのご先祖がサルという理論を提唱すると宗教裁判にかけられる可能性さえあった時代だから慎重の上に慎重を期して隙のない理論を構築したのだと思います。
そのように優れた論理力を持つダーウィンが29年も観察と実験を重ね、40年も研究したのですから、きっと推理小説を読むように面白いに違いない!と期待して読みました。

10年前に牧草地にまいた石灰が地表から7.5㎝下に層をなしており、それより上の土が肥沃になっているのはミミズが土を耕しているからだ、と仮説を立てた若き日のダーウィン。
それを実証するため、牧草地に再び石灰をまきます。
29年後、掘り返すと石灰の層は17.5㎝も下になっていました。
1年あたり6mmずつ石灰の層が埋まっていったことになります。
並行してミミズが巣穴の外(地表)に運び出すフン(土)の量を1年間かけて調べました。
1平方mあたりやせた土地で1.9kg、草地で4.05kgもの乾燥フンが集まりました。
湿らせて1平方mに広げると2.3mmと3.6mmの厚さになったそうです。
若干数字は違いますがこうしてミミズが土を耕していることを実証してみせました。
本が発行されたのは亡くなる半年前でした。

科学は観察に基づいて仮説を立ててそれを実証することで発展してきました。
本書はそれをていねいに解説していて良かったと思います。
ただ推理小説を読むように、というほどでなかったのは少々残念でした。


「旅をするチョウ」

内容紹介を引用します
=====
1000キロ以上も旅をする蝶がいるなんて信じられますか。
作者の佐藤さんは、数年前、夕刊のアサギマダラが旅をしていることが、羽に印をつけて飛ばすマーキングという方法で確かめられたという記事を読んで驚いてしまいました。
自分の手で確かめたくなった佐藤さん、アサギマダラを追って日本国中、東奔西走。
なぞに満ちたアサギマダラの生態を解明するために今年もマーキングに励みます。
=====

以前、新宮晋の絵本「旅する蝶」でオオカバマダラの旅を知りました。
彼らはカナダやアメリカ北部を出発してメキシコまでの4000キロを2か月をかけて移動します。
そして越冬し春にメキシコを出発。
帰路の途中で数回の世代交代をしながら故郷に帰るそうです。
「札幌から那覇まで2240キロ」というよりも「北極点から赤道まで約1万キロ」という方がイメージしやすい地球規模の大移動です。

本書は日本の旅する蝶の紹介です。
日本では詳しい研究がなされていませんが、大阪府から与那国島まで1800km近くも移動した記録があるそうです。
著者はアサギマダラの移動を観測する会に入り、愛知県知多から滋賀県、高知県と蝶を追って南下を続け、最後は与那国島にまで行ってアサギマダラを観察します。
読者も疑似体験できる楽しい旅。
アサギマダラの翅に捕獲した人の名前がわかる記号と通し番号を油性ペンで直接書くことから観察が始まります。
それをノートに書いて会に報告します。(日付・場所も)
毎年1万頭にマーキングして30~40頭が捕獲されるそうです。
その記録を付け合せてアサギマダラの移動を把握するのです。
多くの愛好家が協力しなければできない壮大な観察会です。
ちなみにwikipediaをのぞいたら、和歌山から香港まで2500kmを移動した記録があるそうです。
蝶が札幌から那覇までの距離2240kmを超える旅をするのですから不思議。
なぜこんなに長い旅をするのか、その理由を蝶に聞いてみたいものです。

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お気に入りその1944~首都感染

2020-06-22 12:36:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、首都感染です。

新型コロナウイルスに関するネット記事や新刊本を読みましたがパッとしません。
もっと具体的で臨場感のあるものをと思い、遅ればせながら「首都感染」を読みました。

内容紹介を引用します。
=====
二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。
しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現!
中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。
検疫が破られ都内にも患者が発生。
生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。
=====

新型コロナウイルスの今だからでしょうか、感染症対策の専門家である主人公の気持ちがわかるわかる!
感染拡大前に読んでいたら、何と大袈裟な!とまともに受け取らなかったことでしょう。

本書に登場する政治家たちは、主人公の無茶な提案を懸命に実行し、感染を東京だけに抑え込むことに奇跡的に成功します。
何と頼もしい政治家たちでしょう!
かわぐちかいじのマンガ「沈黙の艦隊」に登場する総理や官僚たちを思い出します。

実際にパンデミックが発生した今との相違点はいろいろありますが、本書の設定が致死率60%という強毒性の鳥インフルエンザであることが相違点が多い理由です。
また複雑な社会においてパンデミックが発生した場合にどのような影響が出るのかをすべて予測することは専門家といえども不可能ということも実情と相違点が生じた理由でしょう。

いずれにしても科学データと著者の想像力を総動員して「こうなるのではないか?」という世界を具体的に描いており、それが現況をかなり正確に言い当てていることに感心するばかり。

とにかくサラサラ読めるため、ついつい時間を忘れて読み進めてしまいます。
科学テータに裏付けられたリアルな預言小説のリアルさと凄みをたっぷり堪能しました。

本書の解説文を成毛真氏が書いていました。
彼は自他ともに認めるノンフィクションしか読まない男。
それまもになぜ?
彼いわく高嶋哲夫の作品は「未来の歴史」「未来のノンフィクション」として学ぶことが多いのだそう。
著者の他の作品も読みたくなりました。
いろいろ吟味して「富士山噴火」「M8」「TUNAMI 津波」を選びました。
未来のノンフィクション、とても楽しみです。

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お気に入りその1943~万能鑑定士Q

2020-06-17 12:40:17 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、万能鑑定士Qです。

いつの間にか綾瀬はるかのファンになっていました。
お気に入りの小説「精霊の守り人」の主役を演じたことが最大の理由です。
「義母と娘のブルース」も面白かった。
改めて彼女の出演作品を調べるとかなりの数があることを知りました。
代表作「ホタルノヒカリ」「八重の桜」は観ていません。
連続ドラマを観る時間がないので彼女が主演した映画を観ることにしました。
昨年の今ころ「今夜、ロマンス劇場で」を観て以来ですが、今回観た「万能鑑定士Q ―モナ・リザの瞳」もとても良い作品で休日を満喫することができました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
=====
どんな事件も鑑定します。
驚異的な観察眼と記憶力を持つ“天才鑑定家"凜田莉子。
ある日ルーヴル美術館から舞い込んだ依頼は、世界的名画“モナ・リザ"を守ること-。
『GANTZ』『図書館戦争』の佐藤信介監督が、累計400万部突破、松岡圭祐のベストセラーシリーズを待望の映画化!
超人気ミステリーシリーズ「万能鑑定士Qの事件簿」シリーズが映画化されるにあたり選ばれたのは、第12巻まで発刊されている同シリーズの中でも読者人気第1位であり、最高傑作との呼び声も高い「万能鑑定士Qの事件簿IX」。
パリのルーヴル美術館が舞台であり、映像化ハードルが最も高いと言われていた“モナ・リザ"鑑定のエピソード。
『GANTZ』『図書館戦争』で現実には存在しないSFやフィクション性の高い作品を世に送り出してきた佐藤監督は、リアリティだけでなくファンタジックな部分のある原作の世界観を見事に実写化。
謎ときあり、ミステリーあり、アクションありの極上のエンターテイメントが完成した。
国民的女優・綾瀬はるか&若手実力派NO.1俳優・松坂桃李の初共演!
大規模なルーブル美術館でのロケーション撮影を敢行、ハリウッド級スケールの超大作!
=====

原作が超人気ミステリーシリーズということは知りませんでした。
モナ・リザをめぐる事件に巻き込まれる経緯といい、天才鑑定士の脳を狂わす仕掛けといい、なんとも見事なストーリー仕立てでまんまと術中にはまりました。
この作品は原作の巻数が多いにもかかわらず、「図書館戦争」のようにシリーズ化されなかったようでとても残念です。
ひとつふたつ映画館の大画面に似合う原作はなかったのでしょうか?
それともキャスティングの問題かな?
綾瀬はるかと松坂桃李のコンビがカバーし合い何とか事件を解決しますが、どちらかというと頼りない役柄の松坂。
彼は物事の核心を見通す涼やかな眼差しが素晴らしい。
メガネをしただけではごまかせず、そういう役柄はちょっと似合わなかったのかも。

原田マハのアート小説とはタイプが違いますが、美術品がキーワードとして出てくることに魅力を感じます。
一度原作を読んでみようかな。

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お気に入りその1942~日高晤郎

2020-06-15 12:24:45 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、日高晤郎です。

先日新聞で「日高晤郎フォーエバー」という本の存在を知り、すぐに注文しました。
本が届いた翌日、妻のも届きました。
二人で同じ本を注文することって滅多にないので驚きました。
でも二人とも晤郎ファンなので、どちらが先に読むかでもめなくて良かったとも言えます。
という訳で好きな時に好きなだけ読むことができました。

内容紹介を引用します。
=====
自らを「話芸人」と称し、語りを究め続けた日高晤郎さんが2018年4月3日、がんのため亡くなった。STVラジオで40年間レギュラー番組を持ち、土曜日の「ウイークエンドバラエティ日高晤郎ショー」は生放送で35年。
体力が続く限り現役であり続け、3月23日に「明日への贈り物Part3」の2公演、24日に生前最後の出演となった「晤郎ショー」をやり遂げた。
ファンの悲しみと喪失感は大きく、日高さん自身にもやり残したことがあっただろう。
最後の放送では、途中から涙ながらに話す一言ずつが遺言のように響いた。
「はじめに」より
北海道新聞夕刊「私のなかの歴史」の連載記事、ゆかりの人約30人のインタビュー、日高さんの写真、イラスト、直筆文字など掲載!
日高晤郎さんの芸にかける思いが伝わります。
=====

晤郎さんが亡くなってから昨年の3月までのほぼ1年間をSTVのアナウンサー吉川のりおが「ウイークエンドバラエティ日高晤郎ショー」を引き継いで「同 フォーエバー」として放送しました。
晤郎さんの記憶を永遠に!というファンやスタッフの願いがこもった番組タイトル。
本書のタイトルはそれを連想させます。
「晤郎ショーフォーエバー」が終わって1年。
日高晤郎ファンは本書に飛びついたのではないでしょうか?

冒頭は新聞連載記事から。
養子に出された話。
学校で朗読を褒められた話。
師匠である長谷川一夫と勝新太郎の話。
流しをしていた頃の話。

日高晤郎ショーで何度も語られた半生ですから特に目新しさはありません。
でも日高晤郎ショーで勝新太郎が「皆さまのおかげで日高晤郎を男にしていただきました。ありがとうございました」と頭を下げた、という場面は何度も聴いたにもかかわらず涙があふれました。

続いてゆかりの人のインタビュー。
1人目は何と晤郎さんの奥様。
これまで晤郎さんが一切触れなかったので、どんな方か存じ上げませんでした。
まさに「鉄のカーテン」に隠された謎の人物が満を持して登場ました。
著者はファンの心中を察し、洗いざらい聞き出してくれました。
二人の馴れ初めから東京での生活、そして亡くなった後のこと。
ヘーとかやっぱりということがいっぱい書かれていました。
これ以上詳しく書きませんので、ぜひご自身でお読みください!

2人目以降はいつもの皆さんが続きます。
マネージャーの茅野さん夫婦、STVの元ディレクター岩本さん、アガタ薬局の縣さん、歌手の皆さん・・・。
晤郎ショーで語られなかった裏話がたくさん飛び出します。
どの話も晤郎さんらしくてファンにとってナルホドと腑に落ちることばかり。
最初の方では、日高晤郎が生来の天才である上、10を準備して2を見せる努力の天才でもあったことを再認識しました。

意外だったのは、元アシスタント・とついようこさんのインタビュー。
人間サンドバッグとまでいわれた、叱られた思い出ばかりを語っていました。
30代半ばという異色の高年齢でアシスタントに採用された彼女に見せた厳しさは行く末を心配して、社会人として、フリーアナウンサーとして短時間で一人前にしてあげたいという晤郎さんの必死さを感じました。

最も印象的で、感動的だったのは風連町の皆さんのインタビュー。
初めてスタジオを訪れた年末、「来年の暮れに餅つきをしに来ます」と晤郎さんに言ったのに、帰りのバスのラジオで晤郎さんが「風連町の皆さんがお正月に餅つきにきてくれるそうです」としゃべっちゃった!
えー、あと1週間?
町に戻りいろいろ根回しをしてSTVホール公開に間に合わせたそう。
そこでまた町長がさっぽろ雪まつりでも!とぶち上げたものだから大変なことになりました。
これが晤郎ショーと常連、風連町のお付き合いの始まりでした。
それからの30年間、大変だったけれど町の人たちは楽しかったでしょうね。
晤郎ショーを風連町で開催したときに旭川の駅まで町のバスで晤郎さんを迎えに行きました。
晤郎さんがお寿司が好きだということで、車中で職人さんが寿司を握って振舞いました。
座席を外してまで準備してくれたことに感動して、晤郎さんは涙を流して喜んでくれたそうです。
こんな素敵なおもてなしをされた晤郎さんは本当に幸せだったことでしょうね。
読んだこちらまで感動してしまいました。

ついに読み終えてしまいました。
本書を読んで、久しぶりに晤郎ショーやひとり語りのような感動を味わうことができました。
五木ひろし、天童よしみ、島津亜矢のインタビューがあればもっと良かったけれど、高望みしすぎかな。
とにかく本書を書いていただいた著者には感謝、感謝です。

我が身を振り返ると札幌に戻り毎週晤郎ショーを聴き始めたのは1984年。
晤郎ショーが始まってまだ1年しか経っていないころだったのですね。
それから34年間。
聴く場所は車中から事務所に変わりましたが、晤郎さんのパワーは変わりませんでした。
ひとり語りは2度聴きに行きました。
一回り以上も兄貴の晤郎さんに男の生き様を学ばせていただきました。
ラジオからこれほどの財産をもらったのは、日本広しといえども晤郎ショーのリスナーだけの特権です。
あらためて晤郎さん、ありがとうございました。

ただ今も後悔しているのはスタジオ見学を一度もしなかったこと。
2、3回チャンスがあったのですが、80歳までは続けるはずだから次の機会で良いと延ばし延ばしにしてしまったのです。
よく言われる「チャンスの神様は前髪しかない」ということを痛感しました。
晤郎さんではなく自分が明日事故で死ぬ可能性だってあるのですから。
人生の2/3以上が過ぎたので、これからは残り少ないチャンスを逃さないようにしたいと思います。



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お気に入りその1941~島津亜矢

2020-06-12 12:15:37 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、島津亜矢です。

先日テレビをつけると、演歌歌手・島津亜矢が自身のカバーアルバムについて語っているところでした。
彼女がカバーアルバムを制作したのは母親のリクエストに応えてのことだったそうです。

これまでカバーアルバムが好きでいろいろ聴いてきましたが、島津亜矢のはまだでしたので、歌が流れるのを待ちました。
初めて聴いたその歌声は、迫力の声量といい柔らかな声質といい、聴きごたえのある本格派。
お気に入りのMs.OOJAに負けていません。
ただ母親のリクエストの影響か、選曲がイマイチ私の嗜好と合いません。
まずは1枚目「SINGER」と「駅」を収録した「SINGER6」を聴いてみました。
1曲目がホイットニー・ヒューストンとは恐れ入りました。
ホイットニーに近い豊かな声量で歌い切っており、すっかり気に入りました。
そして楽しみにしていた「駅」。
竹内まりやファンなので、たくさんの歌手の「駅」を聴いてきました。
声量を前面にした「駅」もいいものです。
島津亜矢の歌のうまさが引き立っていました。
一気にお気に入りの仲間入りです。

ということで「SINGER2」~「SINGER5」も聴くことにしました。
通して聴いてみるとやっぱり選曲がイマイチ私の嗜好と合わない部分があるので、お好みの曲だけをピックアップすることにしました。
6枚のアルバムに合計90曲前後入っています。
そこから自分好みのCD1枚を作ろうとしましたが、なかなか絞りきれません。
CD3枚を2枚にするのが精いっぱいでした。
実は島津母と嗜好が似ているのかもしれません。
だいぶ年が違うはずなのに・・・。

2枚のマイベストは部屋でもドライブでも流れています。

最後に島津さんにお願い二つ。
パワーを込めて歌うときにうなりを入れるのは止めて欲しいです。
「SINGER」の第7弾を制作するときは、「元気を出して」「人生の扉」「さとうきび畑」「もう一度(松山千春or伊東ゆかり)」「旅でもしようか」の中のどれかを入れてくれるとうれしいです。
以上、よろしくお願いしまーす。

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お気に入りその1940~たくさんのふしぎ4

2020-06-10 12:37:35 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、たくさんのふしぎ4です。

このところのお気に入りは、科学絵本「たくさんのふしぎ」シリーズ。
小学生向けなのに知らないことがたくさん。
好奇心を刺激されっぱなしです。
今回は5冊も読んでしましました!

①「どうして、お酒飲むの?」

内容紹介を引用します。
=====
子どもたちに、「大人のすることで、いちばんふしぎなことは何?」と聞いてみました。
もっとも多かった答えが、「なんでお酒を飲むの?」でした。
「あんなくさいもの、どうしておいしそうに飲めるんだろう」
「お酒を飲むと、なんであんなふうになるの?」
なるほど、ふしぎに思うのもごもっとも。
ということで、じつは大人にもよくわかっていない、ふしぎな飲みもののことについてしらべてみました。
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愛読書であるコミック「BARレモンハート」の松ちゃんとマスターが登場します。
しばらく読んでいないのでまた読み返そうかな・・・というのは本書と別の話。
子どもから見て、大人がお酒を飲むのはとても不思議なことなのですね。
そう言われると子どもの頃、父のタバコと晩酌が不思議だったことを思い出しました。

本書でお酒の謎について知ることができました。
大人はストレスを発散するためにお酒を飲むのですね。
アルコールは胃から直接血管に入り、血流が早くなるため、顔が赤くなるのだそうです。
子どもはアルコールを分解する肝機能が未発達のため、お酒を飲むと命にかかわる危険性があるとのこと。
肝機能が万全の大人でもお酒を飲み過ぎると二日酔いになるのですから当然でしょうが、まさか命にかかわるほどの危険性があるとは!
子どもたちが小さかったころにお酒を飲ませなくて良かったです。 

②「ノイバラと虫たち」

内容紹介を引用します。
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ごく身近にある一株のノイバラ。
この小宇宙を舞台に、繰り広げられる、食べたり寄生したりという虫たちのドラマ。
ごく身近な自然の、ごく身近な虫の物語を写真で紹介します。
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著者の観察によると、一株のノイバラを訪れた虫は多い日で、ハチ11種、アリ3種、甲虫8種、アブ・ハエ5種、カメムシ・アワフキムシ6種、ガの幼虫4種、クサカゲロウ2種、クモ5種の合計44種だったそうです。
「ノイバラと虫、虫と虫が食べたり食べられたり、たすけあったりする」
一株のノイバラに毎日いろいろなドラマが繰り広げられていることを、改めて学びました。

あるハチは木の枝をくり抜いて作った巣に、幼虫が食べるためのアブラムシを20~30匹運びます。
このあと続けて著者はある寄生バチを紹介します。
この寄生バチはアブラムシに卵を産みつけます。
幼虫の大きさからアブラムシ1匹では足りる訳がないため、著者は推測します。
そのアブラムシがハチの巣に運ばれ、ハチの幼虫に寄生することを狙っているのではないか、と。
本当だったら面白い話ですが、アブラムシがたくさんの種類の虫に食べられる実情を考えると、その目的が果たされる確率は気が遠くなるほど低いと思います。
けれども以前読んだツチハンミョウの絵本で、もっと低い確率で子孫を残す生態を知りましたので、可能性はゼロではないでしょう。
自然界って、何とも複雑で興味深いことだらけです。

最後に苦情をひとつ。
日本昆虫学の古典的啓蒙書である名和靖の「昆虫世界 薔薇之一株」。
読んだことはありませんが、あらすじは本書とほとんど同じはずです。
それなのに本書ではそのことに触れていないことが納得できません。
たとえ著者が知らなくても編集部の方や「たくさんのふしぎ」に携わる学者は「薔薇之一株」の存在を知っていたはず。
本書は名和靖著「昆虫世界 薔薇之一株」から着想を得ました、とどこかに書き添えるべきでした。


③「クモと糸」

内容紹介を引用します。
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クモの糸は、髪の毛の5分の1から200分の1という細さ。
私たち人間の目にはどれもおなじたよりない糸のようにみえます。
ところがクモは、数種類の性質のちがう糸を巧みに使いわけ、虫をつかまえる狩りの道具にしています。
繊細な糸をたよりにクモがいかにして狩りをするのか。
クモの糸がつくる美しい世界をご案内します。
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新宮晋の「くも」はオニグモの一日を観察した芸術性の高い絵本でした。
本書は18種類のクモの生態を線画と簡潔な文章で紹介した科学絵本です。
クモは日本に1600種以上いるそうで、そのすべてが研究された訳ではないそうです。
「動きが少ないので誰でも観察できます。皆さんもどうですか?」という著者の誘いに乗りそうになった子もいたでしょう。
隠れ家から通りかかる虫を狙うクモ、巣で大きな虫を狙うクモ、巣で小さな虫を狙うクモ、素手でとびかかるクモ、投げ縄で捕まえるクモ。
いろいろなクモがいます。
中にはキバや毒針を持っているためクモにとって危険なはずのアリを捕らえる勇敢なクモや、世界で唯一水中に巣を作るクモまでいます。
クモの基礎を学ぶことができて面白かったです。


④「日本海のはなし」

内容紹介を引用します。
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日本列島のすぐ西側にひろがる日本海。
身近にありながら、日本海の実態はあまりしられていません。
日本海の内側はどのような構造になっていて、なかの水はどのようにうごいているのでしょうか。
長年海の研究をしてきた海洋学者が、日本海に隠された驚きのメカニズムを明かします。
日本海の新たな側面に触れられる一冊です。
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日本海には対馬海峡から温かい海水が入り込み、日本の海岸線に沿って北上しています。
冬期間は西高東低の気圧配置が多く、冷たい北西の風が日本に吹きます。
温かい海水から立ち上る水蒸気が雲になり、日本海側にたくさんの雪を降らせます。
これが日本に水が豊かで緑が豊富な環境を生み出したメカニズムです。
また日本海に宗谷海峡から流れ込む冷たい海水は深海に潜り込み、深海にあった海水を海面に押し出します。
深海まで酸素が供給されることと、緑豊かな山から栄養が流れ込むことが、日本海の豊かな漁業資源を生み出したメカニズムです。
対比した黒海では、深海に潜り込む海水がないため深海に酸素が供給されず、海面付近にしか漁業資源がないそうです。
この他、温暖化の影響にも触れています。
とても勉強になる一冊でした。


⑤「かしこい単細胞 粘菌」

内容紹介を引用します。
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単細胞生物の粘菌モジホコリが、迷路を解き、電車の路線図をつくります。
でもどうやって?
著者の中垣俊之さんは、これらの研究により、「人びとを笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞である、イグノーベル賞を、2度も受賞されました。
単細胞で、かしこい粘菌の知られざる能力があきらかになります。
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イグノーベル賞を受賞した研究についての本を読んだのは初めてです。
巨大化した単細胞・粘菌を使った独創的な実験の数々がとても興味深かったです。
2か所にエサを置き、その間にこま切れにした粘菌を間隔をあけて置くと、やがて元通り一体になります。
さらに2か所のエサに体組織の大部分を集中させ、その間を1本のパイプのような体組織がつなぐ形に落ち着き、他に伸びた体組織をきれいに撤収します。
こうして最も合理的な形ができあがります。
2か所のエサの間を迷路にしても、やはり最終的には最も合理的な形に落ち着きます。
脳がない単細胞生物になぜこういうことができるのでしょうか?
それは「体組織の各所が最もストレスのかからない形になるように動く」、たったそれだけのルールを守ることで実現するのだそうです。
何だか狐につままれたような不思議な話です。
さらに著者は人間の脳が粘菌に似ているといいます。
脳の細胞群は主導する者なしに一体として活動します。
研究が進むと、粘菌の研究から脳の活動の秘密が明らかになるかもしれません。
もしそうなれば3度目のイグノーベル賞、いえ本物のノーベル賞の受賞も夢ではないかもしれません。


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お気に入りその1939~モルフォチョウ

2020-06-08 12:30:42 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、モルフォチョウです。

外出自粛のため、ヤフオクを覗く時間が増えています。
検索ワードのほとんどは絵本や図鑑ですが、何かの拍子にモルフォチョウの標本が目に入りました。
「相変わらず美しいな」と思いつつ、以前テレビで観たワンシーンを思い出しました。
確か「博士ちゃん」という番組だったと思いますが、博士ちゃんが手にしていたモルフォチョウの標本がアクリルケースに入っていて全体が透明でした。
あれならモルフォの美しい表側と地味な後ろ側だけでなく、どんな角度からでも観察できます。
ああ、何と素晴らしい標本の見せ方でしょう。
AMAZONで同じものを探したところ、何と1万数千円もします!
そんな高額なものを購入するほど興味がある訳ではないので、モルフォチョウの標本の件はそれきりとなりました。

ところがモルフォチョウの実物を手に取って思い存分鑑賞したいという気持ちはなかなか消えず、結局ヤフオクに出品していた木箱入り標本をはるかに安い価格で落札しました。
支払い手続きが終わり、標本が届くまでに考えました。
それほど興味がある訳でもないのに、無駄な出費をしたのではないかと。
外出自粛はまだまだ続きそうです。
不要な外出だけでなく、不要な出費にも気を付けたいと思います。

と反省している間にモルフォチョウの標本が届きました。
写真で見てもキレイですが、実物ははるかにキレイです。
角度によって青、青緑、青紫を発色し、裏の模様も透けます。
この美しく輝くブルーは鱗粉の色ではなく、構造色といわれる複雑な発色だそうで、浮き出て見えるような不思議な感覚です。
角度により移り行く色合いや輝きなども、写真やテレビでは伝わらないことでしょうね。
構造色には光の干渉と回折という中高生の頃に習った原理が働いていることは古くから知られていますが、現在でも応用分野などを研究している学者がいるそうです。

自分用の記録として、オーロラモルフォのヤフオク商品説明を引用します。
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オーロラモルフォ Morpho aurora aureola Fruhstorfer, 1913
産地: 南米(Peru) 2018年
Morphoは、北アメリカ南部から南アメリカにかけて80種ほどが生息する大型のチョウの仲間。
"Morpho"は、ギリシャ語で「形態」「美しい」を意味し、アプロディーテーおよびウェヌスの形容語句でもあると言われる。
オーロラモルフォは、ボリビアに別亜種が存在するらしくペルー産に比べると淡く「ピンク色のモルフォチョウ」とも言われるようです。
しかしペルーでもごく一部地域にのみ生息しているとのことで、比較的手に入りにくい種とも・・・
中型の美しいモルフォチョウで、記憶をたどればこのモルフォチョウを手にしたのは随分後になってのことで、蝶に時間を割いていた頃は、この蝶を手にしていなかった覚えがあります。
やはり実際の本種を手にとると和名オーロラの意が理解できた大変美しいモルフォチョウです。
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オーロラモルフォのついて無知なので、他の方のブログをいろいろ読みました。
昆虫写真の大家・海野和男さんの「海野和男のデジタル昆虫記」というブログでも取り上げていましたが、モルフォチョウの標本の価値を詳しく書いていた「蝶と絵のブログ」というブログの「まばゆい輝き~オーロラモルフォ」という記事が心に一番しっくりきましたので、勝手ながら引用させていただきます。
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モルフォ紹介するときはいつも断言したい“モルフォは本物見ないと意味無いですよ”
これも本物の美しさが写真にすると激減してしまう蝶の一つ。
夜空のオーロラのように輝くことから名付けられたのだろう。
(オーロラ見たこと無いけど)
とても良いネーミングセンスしてる。
青い幻光を放ちその輝きは波に反射する光のように流れる。
(左の羽が光っていないがこの手のモルフォはある角度から光を当てたときだけ青く光る。
この輝きの変化を見たいがために収集家は本物を購入するのだ。)
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このブログを書いた方の文章、とても好きです。
どこか原色日本蝶類図鑑の横山光夫を彷彿とさせます。
どちらも専門知識を並べるよりも採取したときの喜びや蝶の美しさを前面に出す辺りがシビレます。
横山光夫の著作を1冊1冊集めては独特の文章を楽しんだ頃の気持ちが蘇りました。
今は「蝶と絵のブログ」の蝶の記事を読んで楽しんでいます。

最後にモルフォチョウを見た妻の一言。
「キレイだけど、ただの死骸でしょ」
見せるんじゃなかった・・・。



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お気に入りその1938~ぐるぐる博物館

2020-06-05 12:21:30 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、ぐるぐる博物館です。

三浦しをんの「ぐるぐる博物館」を読みました。
私のような博物館好きにはたまらない一冊でした。

内容紹介を引用します。
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人類史の最前線から、秘宝館まで、個性あふれる博物館を探検!
書き下ろし「ぐるぐる寄り道編」も収録!
好奇心とユーモア全開、胸躍るルポエッセイ。
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第1館 茅野市尖石縄文考古館 ~ 私たちはつながっている
 元々個人の収集品から始まった博物館ですが、今では国宝土偶が二点もあります。
 それというのも茅野市尖石(とがりいし)は土器や土偶がザクザク出土したから。
 縄文時代、ここは日本で一番人口が多い、日本の中心地だったそうです。
 一度は行きたい博物館リストに入れました。

第2館 国立科学博物館 ~ 親玉は静かに熱い!
 古代人の再現標本。
 南極犬タローとジロー、忠犬ハチ公の剥製。
 恐竜や古代哺乳類の巨大な化石など。
 ここは博物館の親玉だけあってさすがに一日では回り切れません。
 札幌から妻と日帰りで行ったことがありますが、何割見学できたのかな?
 全部見学するまで通い続けたいです。

第3館 龍谷ミュージアム ~ 興奮!の仏教世界
 仏教の歴史全てを盛り込んだ博物館。
 大谷探検隊がシルクロードから持ち帰ったという失われた仏教美術や経典が
 見どころ。
 先日読んだ原田マハ「風神雷神」でキリスト教を布教するために神父たちが
 何年にも渡る命がけの船旅の末に日本にたどり着いたことを知り、宗教家の
 熱意の凄さを感じました。
 むかしむかし、インドからシルクロードを通って中国や日本に仏教を伝えた
 僧侶たちも同じ熱意を持って苦難を乗り越えたことでしょう。
 大谷探検隊も同じ熱量を持って探検に望んだことは想像に難くありません。
 頻繁に展示物を入れ替え、特別展を繰り返す熱いスタッフたちの思いを
 感じたいものです。
 博物館での仏像鑑賞は、間近でじっくり360度を鑑賞できるので大好きです。
 これまでで一番は何といっても鑑真和上座像です。

第4館 奇石博物館 ~ おそるべし!石に魅せられた人々の情熱
 「こんにゃく石」というクニャクニャ曲がる石があることを知った以外は
 あまり興味なし。

第5館 大牟田市石炭産業科学館 ~ 町ぜんぶが三池炭鉱のテーマパーク
 若い頃に炭鉱で働いたことがあるのでその歴史や設備を懐かしく読みました。
 竪坑のケージと巻上機、斜坑の人車。
 閉山間際のころは海底にある採炭現場まで片道1時間もかかったそうです。
 これでは石炭のコストが海外炭と比較にならないのは当たり前です。
 現在でも釧路の海底炭と空知の露天掘りが続いていますが、その生産量は
 国内消費量の1%を切っているとは何とも心もとない状況です。
 石炭の輸入が途切れると製鉄のほとんどと発電の3割が止まるのですから
 恐ろしいです。

第6館 雲仙岳災害記念館 ~ 災害に備えつつ穏やかに暮らすということ
 読んでいて噴火の時の生々しい記憶がよみがえります。
 200年に一度ほどの間隔で噴火を繰り返しているそうですが、館内に説明員が
 何人も常駐するなど後世に伝えようという姿勢が半端ない博物館です。
 北海道の有珠山にも噴火災害の博物館があり、行ったこともありますが、
 多くの方の尽力により一人も亡くなった方がいなかったこともあり、
 多くの人命が失われた雲仙とは本気度が違うようです。
 雲仙の街中を走る車が制限速度以下で走っているというレポートは、雲仙の
 人々の穏やかな暮らしをよく表現しています。

第7館 石ノ森萬画館 ~ 冒険と希望の館で失神するの巻
 石ノ森章太郎の博物館。
 鳥取県境港の水木しげるロードのようなファンの聖地。
 長く活躍した漫画家だけに有名な作品が多く、世代ごとにお気に入りの
 作品名が違います。
 私は「サイボーグ009」と「仮面ライダー」の世代です。 
 仮面ライダーは今も新作が制作されているのですから息が長いですね。
 ちなみに著者はオダギリジョーが好きで仮面ライダーを観ていたそう。

第8館 風俗資料館 ~ 求めよ、さらば与えられん
 緊縛、男色など様々な嗜好の人々を満足させる会員制の資料館だそう。
 パスです。

第9館 めがねミュージアム ~ ハイテク&職人技の総本山
 福井県でマイめがねつくりを体験し、人間国宝に高級和紙のレクチャーを
 受けるという贅沢なツアー。
 うらやましい!
 人間国宝が自らハンドルを握り案内してくれました。
 とことん手間をかけた和紙つくりを見学した最後に和紙の価格の安さに
 驚きます。
 「高く売っていたらクラウンに乗っているさ!」
 何とも魅力的な人間国宝です。

第10館 ボタンの博物館 ~ 美と遊びを追求せずにはいられない
 興味なし

途中「おまけ」で秘宝館まで見学しています。
どんな博物館にも興味を持ち質問攻めにしてしまう知識欲が半端ではありません。
著者の博物館好きには負けました。
いくつか興味を持った博物館だけに目星をつけ、必ず行きたいと思います。


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