![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/79/822144ecb605f327798627cc77173a7b.jpg)
『湯を沸かすほどの熱い愛』を渋谷シネパレスで見ました。
(1)宮沢りえの主演作ということで映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭は、銭湯の煙突。ですが、煙が出ていません
銭湯の入口も閉まっていて、「店主が蒸発し、お湯は沸きません 幸の湯」の張り紙。
次いで、幸の湯の店主・幸野一浩(オダギリジョー)の妻・双葉(宮沢りえ)が、ベランダで洗濯物を干しています。洗濯物の中に娘のブラジャーがあるのを取り出して、「まだ大丈夫」と呟きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/36/468d91adfe9f2216a53d5b04d74b1885.jpg)
さらに、朝食の光景。
TVを見ながら食べている娘の安澄(杉咲花)に向かって、双葉が「食べるか見るか、どっちかにして」と叱ります。すると、安澄が食べないでTVを見ようとするので、双葉はTVを消して「食べて、遅刻する」と注意します。
安澄は味噌汁に口をつけて、「違う、一昨日もそう言ったじゃない?」と言うと、双葉は「文句言う人は食べなくていい」と応じます。それに対し、安澄が「食べろと言ったり、食べなくていいと言ったり」と反論します。
次いで、玄関。
安澄が「お腹が痛い」「頭が痛い」と言って学校に行くのを渋ると、双葉は「学校裏のコロッケが美味しい店に帰りがけに行って、4つ買ってきてくれる?」と頼みます。
仕方なく安澄が玄関を出ると、双葉は「ハンカチ持った?」と尋ねて、自分のハンカチを安澄に渡します。すると、安澄は「お母ちゃん臭い」と嫌がりますが、双葉は「文句言わない」「行ってらっしゃい」と安澄を外に出します。
双葉が「(自転車に)途中まで乗ってく?」ときくと、安澄は「親と二人乗りは恥ずかしい」と拒否します。これに対し、双葉は「恥ずかしい親で悪かったわね」と応じます。
2年C組の教室。
安澄が席に座っていると、クラスの女生徒が次々と安澄の机を足で蹴ります。どうやら、安澄はイジメに遭っているようです。
これが本作のごく始まりのところですが、さあこれから物語はどのように展開するのでしょうか、………?
本作は、余命2ヶ月と宣告された主婦の頑張りの物語。それだけでなく、自分自身や自分の娘などにも出生の秘密があったりして、感動を盛り上げる要素に事欠きません。ただ、決して単純なお涙頂戴の作品ではなく、主人公が短い期間の内に様々の問題を解決してしまおうとするその情熱の凄さが描かれるので、見終わってもジメッとならず、むしろカラッとした気持ちになってしまいます。宮沢りえは本当に大した俳優になったものだと思いました。
(2)本作の主人公の双葉は、癌のために余命2ヶ月と宣告されますが、こうした設定の作品は、同じ時期に公開されている邦画の『ボクの妻と結婚してください』(注2)のみならず、これまでにも色々作り出されています。
最近の洋画でみても、例えば、『きっと、星のせいじゃない。』(注3)とか、『永遠の僕たち』(注4)や『50/50』(注5)と『私だけのハッピー・エンディング』(注6)などなど、目白押し状態です。
本作は、それに加え、双葉の夫・一浩が失踪していたり、さらに、双葉自身や娘の安澄の出生には大きな問題がありますし、安澄は学校でイジメに遭ったりしています。
さらに、一浩は、幸の湯に戻ってくる際に、それまで一緒にいた女との間にできた子供・鮎子(伊東蒼)を連れてくるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/71/d89b1e58276e4eac521f5c6c1fc944ae.jpg)
これほど様々な問題をてんこ盛りされると、見る者は、一々涙を流してばかりいられなくなり、返って、一体これらは映画の中でどのように処理されるのか、ということに関心を持つようになってきます。
そこでまさに、宮沢りえ扮する双葉の八面六臂の活躍に目を見張ることになります。
例えば、安澄が学校でイジメを受けていることがわかりながらも、双葉は、「逃げちゃダメ。今時分で立ち向かわないと」と言って、休もうとする安澄を無理やり学校に送り出しますし(注7)、母親を求めていなくなってしまった鮎子の居場所をカンを働かせて探し出して、家に連れ帰ったりします。
こうなると、彼女の周囲の男性は、当然のことながらダメ人間となるでしょう。
例えば、一浩は、自分がいなくなれば幸の湯が営業できなくなることを承知していながら、浮気相手だった女に出会うと、一緒に生活するために双葉のところから失踪してしまいます。
駐車場で双葉たちがたまたま出会ったヒッチハイカーの拓海(松坂桃李)は、まったく目標・目的を定めずにヒッチハイクを続けています(注8)。
また、本作で描かれる大人の女性も、主人公の双葉を除けば、登場する男性側に負けず劣らずダメ人間と言えるかもしれません。
例えば、安澄の実母である君江(篠原ゆき子)は、以前一浩と結婚しており、その時安澄が生まれたものの、世話ができずに逃げ出してしまいました(注9)。
鮎子も、一浩の子供らしいのですが、母親・幸子(本作には登場しません)は、二人を残して逃げ出してしまいます(注10)。
こうした人たちに取り囲まれながら、双葉は、自分自身だけでなくこれらのダメ人間が抱える問題についても、解決の方策をそれぞれ提示しているのです。
例えば、一浩の居場所がわかると、双葉は出向いていって、自分の窮状を話し、一浩の自覚を促しますし、拓海には「日本の最北端」という具体的な目的地を提示したりします(注11)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/eb/df9fd02812e450471d3f3884a533eaca.jpg)
本作は、いわゆる“余命物”にありがちな雰囲気はほとんど感じさせず、むしろユーモアすら見出せ、なるほどそうなのかと思わせるラストシーンをも含め、むしろカラッとした明るい感じで映画館を後にすることができました。
そうなる要因の大きなものは、おそらく主演の宮沢りえの素晴らしい演技でしょう。
『紙の月』におけるリアルな演技もよかったですが、本作の肝っ玉母さん的なものも感銘を受けました(注12)。
(3)渡まち子氏は、「身体は細いが、心は大きくたくましい、肝っ玉母さんのような双葉を演じる宮沢りえをはじめとして、キャストはすべて好演で、家族としてのアンサンブルは劇中に登場するピラミッドのごとく絶妙なバランスだ」として75点をつけています。
宇田川幸洋氏は、「見る者の興味をひきつけつづける、たくみで熱いかたりくち。オリジナル脚本と監督は、これがいわゆる商業映画デビューとなる、「チチを撮りに」(2012年)の中野量太。力量を感じさせる」として★3つ(「見応えあり」)をつけています。
暉峻創三氏は、「これは病弱な女とその近親者の幸薄い物語ではない。死期迫った強い女が、次の世代の強い女を育て上げようとする、最後まで前向きな物語だ」と述べています。
毎日新聞の高橋諭治氏は、「母ものと余命ものを合わせた家族ドラマと聞くと「またか」と思わされるが、これは優れた配役とよく練られたオリジナル脚本で見せる一本。決してスーパーウーマンではない普通の母親の強さ、たくましさを表現した宮沢、つらい現実から逃げない勇気をしぼり出す娘をひたむきに演じた杉咲が共に素晴らしい」と述べています。
(注1)監督・脚本は、中野量太。
なお、出演者の内、最近では、宮沢りえは『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』、杉咲花は『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』、オダギリジョーは『オーバー・フェンス』、松坂桃李は『秘密 THE TOP SECRET』、篠原ゆき子は『二重生活』、りりィは『リップヴァンウィンクルの花嫁』で、それぞれ見ました。
(注2)公式サイトの「ストーリー」によれば、同作の主人公は、「すい臓がん。しかも末期。余命6か月」と検査で宣告されます。
(注3)17歳で末期ガンを患っている少女・ヘイゼル(シャイリー・ウッドリー)が主人公。
(注4)脳腫瘍のため余命3カ月と宣告された少女・アナベル(ミア・ワシコウスカ)が登場します。
(注5)脊髄癌(悪性神経鞘腫)のため5年後の生存率がフィフティ・フィフティと宣告された若者・アダム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)が主人公。
(注6)大腸癌のため余命半年と宣告された30歳の女性・マーリー(ケイト・ハドソン)が主人公。
(注7)その結果、安澄はイジメを跳ね返すことができるのですが、帰宅後に安澄が双葉に言った言葉(「お母ちゃんの遺伝子がちょっとだけあった」)は、その後の経緯を考えると涙を誘います。
(注8)さらに言えば、興信所の滝本(駿河太郎)は、双葉が依頼した件(失踪した夫・一浩、安澄の実母、自分の実母の居場所の調査)をすぐに解決してしまう腕を持っていますが、妻を亡くしたために、娘の真由(遥)をいつも連れ歩いています。
(注9)双葉が安澄に話すところによれば、君江は、耳が不自由で安澄の泣き声が聞こえなかったことから、育てることに自信が持てなくなって逃げ出したとのこと。でも、世の中には、耳が不自由でも子育てをしている女性がいくらでもいることでしょう。
(注10)さらには、双葉の実母・向田都子(りりィ:11月11日に亡くなりました)は、双葉がやっとの思いで訪ねてきても、会おうとはしません。
(注11)無論、すべての問題が解決されるわけではなく、例えば、双葉の実母・向田都子や鮎子の母親・幸子については手付かずのままとなります。
(注12)TSUTAYAに行ったら、本作関連コーナーに『オリヲン座からの招待状』が置かれていたので、釣られて借りてきて見てしまいました。同作は、ストーリー的にはイマイチの感があるものの、10年ほど前の宮沢りえの魅力溢れる映像を見ることができます。
★★★★☆☆☆
象のロケット:湯を沸かすほどの熱い愛
(1)宮沢りえの主演作ということで映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭は、銭湯の煙突。ですが、煙が出ていません
銭湯の入口も閉まっていて、「店主が蒸発し、お湯は沸きません 幸の湯」の張り紙。
次いで、幸の湯の店主・幸野一浩(オダギリジョー)の妻・双葉(宮沢りえ)が、ベランダで洗濯物を干しています。洗濯物の中に娘のブラジャーがあるのを取り出して、「まだ大丈夫」と呟きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/36/468d91adfe9f2216a53d5b04d74b1885.jpg)
さらに、朝食の光景。
TVを見ながら食べている娘の安澄(杉咲花)に向かって、双葉が「食べるか見るか、どっちかにして」と叱ります。すると、安澄が食べないでTVを見ようとするので、双葉はTVを消して「食べて、遅刻する」と注意します。
安澄は味噌汁に口をつけて、「違う、一昨日もそう言ったじゃない?」と言うと、双葉は「文句言う人は食べなくていい」と応じます。それに対し、安澄が「食べろと言ったり、食べなくていいと言ったり」と反論します。
次いで、玄関。
安澄が「お腹が痛い」「頭が痛い」と言って学校に行くのを渋ると、双葉は「学校裏のコロッケが美味しい店に帰りがけに行って、4つ買ってきてくれる?」と頼みます。
仕方なく安澄が玄関を出ると、双葉は「ハンカチ持った?」と尋ねて、自分のハンカチを安澄に渡します。すると、安澄は「お母ちゃん臭い」と嫌がりますが、双葉は「文句言わない」「行ってらっしゃい」と安澄を外に出します。
双葉が「(自転車に)途中まで乗ってく?」ときくと、安澄は「親と二人乗りは恥ずかしい」と拒否します。これに対し、双葉は「恥ずかしい親で悪かったわね」と応じます。
2年C組の教室。
安澄が席に座っていると、クラスの女生徒が次々と安澄の机を足で蹴ります。どうやら、安澄はイジメに遭っているようです。
これが本作のごく始まりのところですが、さあこれから物語はどのように展開するのでしょうか、………?
本作は、余命2ヶ月と宣告された主婦の頑張りの物語。それだけでなく、自分自身や自分の娘などにも出生の秘密があったりして、感動を盛り上げる要素に事欠きません。ただ、決して単純なお涙頂戴の作品ではなく、主人公が短い期間の内に様々の問題を解決してしまおうとするその情熱の凄さが描かれるので、見終わってもジメッとならず、むしろカラッとした気持ちになってしまいます。宮沢りえは本当に大した俳優になったものだと思いました。
(2)本作の主人公の双葉は、癌のために余命2ヶ月と宣告されますが、こうした設定の作品は、同じ時期に公開されている邦画の『ボクの妻と結婚してください』(注2)のみならず、これまでにも色々作り出されています。
最近の洋画でみても、例えば、『きっと、星のせいじゃない。』(注3)とか、『永遠の僕たち』(注4)や『50/50』(注5)と『私だけのハッピー・エンディング』(注6)などなど、目白押し状態です。
本作は、それに加え、双葉の夫・一浩が失踪していたり、さらに、双葉自身や娘の安澄の出生には大きな問題がありますし、安澄は学校でイジメに遭ったりしています。
さらに、一浩は、幸の湯に戻ってくる際に、それまで一緒にいた女との間にできた子供・鮎子(伊東蒼)を連れてくるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/71/d89b1e58276e4eac521f5c6c1fc944ae.jpg)
これほど様々な問題をてんこ盛りされると、見る者は、一々涙を流してばかりいられなくなり、返って、一体これらは映画の中でどのように処理されるのか、ということに関心を持つようになってきます。
そこでまさに、宮沢りえ扮する双葉の八面六臂の活躍に目を見張ることになります。
例えば、安澄が学校でイジメを受けていることがわかりながらも、双葉は、「逃げちゃダメ。今時分で立ち向かわないと」と言って、休もうとする安澄を無理やり学校に送り出しますし(注7)、母親を求めていなくなってしまった鮎子の居場所をカンを働かせて探し出して、家に連れ帰ったりします。
こうなると、彼女の周囲の男性は、当然のことながらダメ人間となるでしょう。
例えば、一浩は、自分がいなくなれば幸の湯が営業できなくなることを承知していながら、浮気相手だった女に出会うと、一緒に生活するために双葉のところから失踪してしまいます。
駐車場で双葉たちがたまたま出会ったヒッチハイカーの拓海(松坂桃李)は、まったく目標・目的を定めずにヒッチハイクを続けています(注8)。
また、本作で描かれる大人の女性も、主人公の双葉を除けば、登場する男性側に負けず劣らずダメ人間と言えるかもしれません。
例えば、安澄の実母である君江(篠原ゆき子)は、以前一浩と結婚しており、その時安澄が生まれたものの、世話ができずに逃げ出してしまいました(注9)。
鮎子も、一浩の子供らしいのですが、母親・幸子(本作には登場しません)は、二人を残して逃げ出してしまいます(注10)。
こうした人たちに取り囲まれながら、双葉は、自分自身だけでなくこれらのダメ人間が抱える問題についても、解決の方策をそれぞれ提示しているのです。
例えば、一浩の居場所がわかると、双葉は出向いていって、自分の窮状を話し、一浩の自覚を促しますし、拓海には「日本の最北端」という具体的な目的地を提示したりします(注11)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/eb/df9fd02812e450471d3f3884a533eaca.jpg)
本作は、いわゆる“余命物”にありがちな雰囲気はほとんど感じさせず、むしろユーモアすら見出せ、なるほどそうなのかと思わせるラストシーンをも含め、むしろカラッとした明るい感じで映画館を後にすることができました。
そうなる要因の大きなものは、おそらく主演の宮沢りえの素晴らしい演技でしょう。
『紙の月』におけるリアルな演技もよかったですが、本作の肝っ玉母さん的なものも感銘を受けました(注12)。
(3)渡まち子氏は、「身体は細いが、心は大きくたくましい、肝っ玉母さんのような双葉を演じる宮沢りえをはじめとして、キャストはすべて好演で、家族としてのアンサンブルは劇中に登場するピラミッドのごとく絶妙なバランスだ」として75点をつけています。
宇田川幸洋氏は、「見る者の興味をひきつけつづける、たくみで熱いかたりくち。オリジナル脚本と監督は、これがいわゆる商業映画デビューとなる、「チチを撮りに」(2012年)の中野量太。力量を感じさせる」として★3つ(「見応えあり」)をつけています。
暉峻創三氏は、「これは病弱な女とその近親者の幸薄い物語ではない。死期迫った強い女が、次の世代の強い女を育て上げようとする、最後まで前向きな物語だ」と述べています。
毎日新聞の高橋諭治氏は、「母ものと余命ものを合わせた家族ドラマと聞くと「またか」と思わされるが、これは優れた配役とよく練られたオリジナル脚本で見せる一本。決してスーパーウーマンではない普通の母親の強さ、たくましさを表現した宮沢、つらい現実から逃げない勇気をしぼり出す娘をひたむきに演じた杉咲が共に素晴らしい」と述べています。
(注1)監督・脚本は、中野量太。
なお、出演者の内、最近では、宮沢りえは『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』、杉咲花は『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』、オダギリジョーは『オーバー・フェンス』、松坂桃李は『秘密 THE TOP SECRET』、篠原ゆき子は『二重生活』、りりィは『リップヴァンウィンクルの花嫁』で、それぞれ見ました。
(注2)公式サイトの「ストーリー」によれば、同作の主人公は、「すい臓がん。しかも末期。余命6か月」と検査で宣告されます。
(注3)17歳で末期ガンを患っている少女・ヘイゼル(シャイリー・ウッドリー)が主人公。
(注4)脳腫瘍のため余命3カ月と宣告された少女・アナベル(ミア・ワシコウスカ)が登場します。
(注5)脊髄癌(悪性神経鞘腫)のため5年後の生存率がフィフティ・フィフティと宣告された若者・アダム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)が主人公。
(注6)大腸癌のため余命半年と宣告された30歳の女性・マーリー(ケイト・ハドソン)が主人公。
(注7)その結果、安澄はイジメを跳ね返すことができるのですが、帰宅後に安澄が双葉に言った言葉(「お母ちゃんの遺伝子がちょっとだけあった」)は、その後の経緯を考えると涙を誘います。
(注8)さらに言えば、興信所の滝本(駿河太郎)は、双葉が依頼した件(失踪した夫・一浩、安澄の実母、自分の実母の居場所の調査)をすぐに解決してしまう腕を持っていますが、妻を亡くしたために、娘の真由(遥)をいつも連れ歩いています。
(注9)双葉が安澄に話すところによれば、君江は、耳が不自由で安澄の泣き声が聞こえなかったことから、育てることに自信が持てなくなって逃げ出したとのこと。でも、世の中には、耳が不自由でも子育てをしている女性がいくらでもいることでしょう。
(注10)さらには、双葉の実母・向田都子(りりィ:11月11日に亡くなりました)は、双葉がやっとの思いで訪ねてきても、会おうとはしません。
(注11)無論、すべての問題が解決されるわけではなく、例えば、双葉の実母・向田都子や鮎子の母親・幸子については手付かずのままとなります。
(注12)TSUTAYAに行ったら、本作関連コーナーに『オリヲン座からの招待状』が置かれていたので、釣られて借りてきて見てしまいました。同作は、ストーリー的にはイマイチの感があるものの、10年ほど前の宮沢りえの魅力溢れる映像を見ることができます。
★★★★☆☆☆
象のロケット:湯を沸かすほどの熱い愛
でも病室で「死にたくない」と泣き崩れるシーンは痛々しかった…
こちらからもTBお願いします。
まだそういう現実の場面に遭遇したことはありませんが、おっしゃるように、「いのちの期限を切られて、やれることをすべてやっておくのは、相当な覚悟が必要」であり、常人ではなかなかできないことではないかと思います。
「追憶」でも凄い演技をしていたけど、ここでも何気に凄いですよね。
りりィは、最近では、他に『リップヴァンウィンクルの花嫁』とか『FOUJITA』に出演していたのを見ましたが、昨年11月に亡くなられていたとは残念です(それも64歳で)。