映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

グランド・イリュージョン

2013年11月15日 | 洋画(13年)
 『グランド・イリュージョン』を渋谷シネパレスで見ました。

(1)評判が随分と良さそうなので、映画館に行ってきました(注1)。

 4人の優秀なマジシャン、すなわちクロースアップ・マジックのダニエルジェシー・アイゼンバーグ)、催眠術とメンタリズムを操るメリットウディ・ハレルソン)、エスケープ・マジックのヘンリーアイラ・フィッシャー)、ピックポケットのジャックデイヴ・フランコ)が、不思議なカードに導かれてとあるビルに集められ、イリュージョニスト集団の「フォー・ホースメン」を結成することに。
 彼らは、ラスベガスで一大マジック・ショーを挙行するのですが、そこでは、客席から無作為に選んだフランス人の男をフランスの「パリ信用銀行」の金庫に瞬間移動させ、320万ユーロを強奪してしまいます(その男が、頭に取り付けられた瞬間移動装置のボタンを押すと、ラスベガスの会場にユーロ紙幣の吹雪が舞うのです)。
 実際にもパリの銀行から320万ユーロが消えていたために、FBIは「フォー・ホースメン」の4人の身柄を拘束し、特別捜査官のディランマーク・ラファロ)とインターポールの捜査官アルマメラニー・ロラン)が本件の捜査にあたることに。
 ですが、FBIは証拠を見つけることが出来ず、4人は釈放されてしまいます。
 次のニューオーリンズでの彼らのショーが近づいているにもかかわらず、ディランとアルマは打つ手を見いだせないでいるところ、なんとか再度の犯行をくい止めるべく、マジックの種明かしに長けたサディアスモーガン・フリーマン)に助言を求めます、ですが………?

 なによりも、随分と豪華な出演者に圧倒されます。例えば、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグ、『オーケストラ!』のメラニー・ロラン、『インビクタス』のモーガン・フリーマンなどなど。これらの俳優が、豪華な舞台の上で奇想天外な魔術をしたり、その魔術を通してなされた犯罪行為を暴きにかかったりと、縦横に活躍するのですから見応え充分です。

 俳優陣の中では、ジェシー・アイゼンバーグの早口とメラニー・ロランの美貌が特に印象的でした(注2)。

 

(2)映画の冒頭は、4人のマジシャンのそれぞれが得意技を披露します。
 例えば、ダニエルの場合、夜間、ビルのそばに立ってカードの束を手にしています。集まっている観客の一人にカードの任意の一つ(ダイヤの7)を覚えてもらい、その後カードの束を空に放り投げると、なんとそばのビルの窓が「ダイヤの7」の形の点灯しているではありませんか(注3)!

 本作では、マジシャンの4人が一緒のチームを組んで、3つの大掛かりなイリュージョン・ショーを繰り広げるのですが、それ全体が、「フォー・ホースメン」の黒幕たるある男の復讐劇であり(注4)、その男がラストの方で明らかにされると、観客はすっかり騙されていたことに気がつくというイリュージョン・ショーだったという仕掛けになっています。
 いってみれば3重の入れ子構造になっているわけでしょう。

 なかなか良く書けている脚本ですが(注5)、あえて難を言えば、3つの大掛かりなイリュージョン・ショーをとり行う4人のマジシャンのそれぞれの固有の技がショーの中では上手く生かされていないように思える点でしょうか。
 例えば、エスケープ・マジックのヘンリー(注6)は、本作の冒頭では、ピラニアのたくさん入ったもう一つの水槽が上に置かれている巨大な水槽の中で手錠と鎖から60秒で抜け出る技を披露しますが、3回のショーのメインの演し物では使われません。



 せっかく4人もの優秀なマジシャンが集められているのですから、彼らの技の組み合わせで大規模なイリュージョン自体が構成されていれば、と思ってしまうのですが(注7)。

(3)渡まち子氏は、「マジックをモチーフに破天荒な犯罪が展開する異色のサスペンス「グランド・イリュージョン」。ラストの謎解きが怒涛のような展開で、騙される快感を味わえる」として65点をつけています。
 また、相木悟氏は、「映画のもつ魔術的側面を存分に堪能できる好編であった」と述べています。



(注1)原題は、「NOW YOU SEE ME」。
 舞台で自分の姿や品物を消すマジシャンのセリフ「Now you see me, now you don't」(「見えますね, 見えますね, おっと消えた」)から。

(注2)最近では、ジェシー・アイゼンバーグは『ローマでアモーレ』で、メラニー・ロランも『人生はビギナーズ』で、それぞれ見ました。

(注3)ダニエルが、「近づきすぎると、逆に見えなくなる」と言うように、取り巻く観客が彼に近づきすぎるとトリックがわからなくなってしまいます。おそらく、付近のビルからダニエルが観客に見せるカードを望遠鏡で見ている助手がいて、ダニエルがカードを空に放り投げる瞬間に、ビルの窓を「ダイヤモンドの7」に点灯させたのでしょう。観客が見るカードがスペードだったら、窓はどのように点灯するのでしょうか、見てみたいものです。

(注4)3つの企業と1人の個人に対する復讐劇とされているところ、その中で「パリ信用銀行」は、黒幕の男の父親に資金を融資しただけであり、こんなに大掛かりに復讐されるいわれはないように思えるのですが。

(注5)なにしろ、ピックポケットのジャックが車で逃げるのを捜査官のディランとアルマがパトカーで追うカーチェイスまで、本作では用意されているくのですから!



(注6)ヘンリーを演じるアイラ・フィッシャーは、『華麗なるギャツビー』において、マートルに扮しています。

(注7)尤も、催眠術を操るメリットは、ニューオーリンズのショーの際に、一部の観客に催眠術をかけて捜査官ディランの追跡を阻んだりします。でもそれは、ショーの本筋ではありません。





★★★★☆



象のロケット:グランド・イリュージョン


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2 コメント

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Unknown (ふじき78)
2014-03-19 01:20:01
> ジェシー・アイゼンバーグの早口とメラニー・ロランの美貌が特に印象的でした

メラニー・ロランの美貌は納得ですが、ジェシー・アイゼンバーグよりは、ウディ・ハレルソンのこんな人いたらやだなみたいな圧迫感に強く惹かれました。


> 資金を融資しただけであり、

取り立てがひどかったんじゃないですかねえ。
Unknown (クマネズミ)
2014-03-20 06:16:21
「ふじき78」さん、TB&コメントをありがとうございます。
ジェシー・アイゼンバーグは、『ソーシャル・ネットワーク』の印象が強くて、画面に登場するとついつい注目してしまいます。
なお、名のある銀行(「パリ信用銀行」って?)は、自身では、ヤミ金のように酷い取立てを行わないのではないでしょうか?

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