杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

法廷遊戯 ネタバレあり

2023年11月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2023年11月10日公開 97分 G

弁護士を目指してロースクールに通うセイギこと久我清義(きよよし)と、同じ学校で法律を学ぶ幼なじみの織本美鈴(杉咲花)、2人の同級生でロースクールの学生たちが行う「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判を司る天才・結城馨(北村匠海)は、共に勉強漬けの毎日を送っていた。無事に司法試験に合格し、弁護士となった清義(永瀬廉 )のもとに、ある時、馨から無辜ゲームをやろうという誘いがくる。しかし、呼び出された場所へ行くとそこには血の付いたナイフをもった美鈴と、すでに息絶えた馨の姿があった。この事件をきっかけに、3人をめぐる過去と真実が浮かびあがっていき、事態は二転三転していく。(映画.comより)

作家・弁護士の五十嵐律人による法廷ミステリー小説の映画化です。

冒頭で登場する電車内での痴漢事件の登場人物が重要な伏線になっていましたが、ぼんやりな私はすぐには気付かなかった😓 

結城馨は在学中に司法試験に合格していて、「無辜ゲーム」の発案者でもあります。(最初に論じられたケースはかなりお粗末だし告発者役はエキセントリック過ぎて引いてしまいました。)

ある日、清義の過去(児童養護施設の施設長をナイフで刺した)を暴くチラシが学生たちに配られます。清義は無辜ゲームでチラシを撒いた犯人(例のエキセントリックちゃん)を突き止めますが、彼を操っていた者がいることに気付きます。同じ頃、美鈴もドアにアイスピックを刺されたり盗聴されたりと何者かに脅されます。
清義と美鈴は親から虐待されて同じ施設で育った幼馴染でした。清義が施設長をナイフで刺したのは、美鈴を施設長による性的虐待から救うためでした。事件で彼を担当した弁護士(生瀬勝久)から暴力ではなく知恵で世間と戦えと言われたことがきっかけで清義は弁護士を目指し、彼を恩人と慕う美鈴も後を追ったのです。
清義が盗聴犯の何でも屋・沼田(大森南朋)を突き止めたことで2人への脅迫は止まるのですが、2年後事態が動きます。

法科大学院を卒業して弁護士になった清義に、「久しぶりに無辜ゲームをしよう」と馨から電話がかかって来ます。指定された場所に向かった清義は、ナイフで刺殺された馨を発見します。そばには返り血を浴びた美鈴の姿がありました。「私の弁護人を引き受けて」と言った美鈴は以後完全黙秘を貫きます。
馨が被害者、美鈴が犯人、清義が弁護士の無辜ゲームの始まりです。

美鈴の無実を証明するなかで、清義は、現役の警察官だった馨の父親(筒井道隆)が痴漢の罪で罰せられたことで精神を病んで自殺していたことを知ります。

幼い頃から大人に裏切られ続けたことで、逆に大人を利用してやろうと考えるようになった清義と美鈴は、痴漢をされた美鈴が相手にお金を握らされたことをきっかけに、冤罪に手を染めていき、冒頭の事件に繋がっていったのです。そして清義は自分たちが痴漢の罪を被せた男性が、馨の父親だったと気付きます。

馨は、父親を陥れた清義と美鈴に復讐しようと無辜ゲームを仕掛けたのです。ロースクール時代にチラシを撒いたのも、人を雇って美鈴を盗聴していたのも馨でした。
教授(柄本明)からロースクールに残った馨の研究内容(加害者に被害者と同様の罰を与えるべき。目には目を。)を聞いた清義は、自分もまた試されているのだと感じます。

馨は、父親の痴漢冤罪事件の再審請求をしようとしていました。美鈴を犯人にして法廷に引っ張り出すことで、父親の痴漢冤罪事件を裁判に持ち込むのが目的だったのです。彼自らが撮影していた事件時の様子を録画した証拠のSDカードが提出され、美鈴は無罪となります。

父親の冤罪を証明するための再審請求は、被告人の配偶者や直系の親族しかできません。妻は亡くなっているので、馨が死ねば請求もできなくなるため、馨が狙ったのは殺人未遂罪だったと清義は気付きます。

馨は美鈴にこの計画を持ち掛けた際、清義の罪もまた償ってもらうと話しています。馨は父親の事件の時に現場に居合わせていたのでした。嘘を見抜かれ逃げようとした美鈴を守ろうとした清義の行為を目撃していたのです。美鈴の偽証罪は時効を迎えていますが、清義の傷害罪はまだです。美鈴は清義を守るため、馨を殺していたのです。
肇は美鈴が裏切って自分を殺した時のために、もう一つの罠を仕掛けていました。死後、清義に自分の日記(USBメモリ)が渡るようにしていたのです。

警察や司法が見抜けなかったことで冤罪となりそれを苦に自殺してしまった父親の復讐は、2人のみならず、司法や警察にも向けられていました。しかし、肇の死に対する美鈴の罪は再び免れてしまいます。
清義は弁護士バッジを外し、美鈴に別れを告げます。自首した?
判決を聞いた彼女の高笑いに込められた意味はきっと一つだけではないですね。

養護施設出身の2人がロースクールに入る学費をどのように捻出したのか、肇の刺殺痕の不自然さに鑑識が気付かなかったのかなど設定に不自然さもあります。
後味も決して良くはありませんでした。
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