新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

若手医師、大半は戻らず:僕たちが中堅になるころに完全崩壊します

2008-07-13 12:19:26 | 医局制度改革・医学教育改革

こんにちは。

 

いま病院に行って、全ての入院患者さんが順調な事を確認して撤収してきました。大学では、こんなに早く帰れないでしょうけど・・・。

 

最近、入院患者さんを担当していますが、大学に戻る際のちょっとしたリハビリにはなっています。

表現は悪いかもしれませんけど・・。

 

 さて、その大学に戻る・・・という話ですが、このような記事がありました。

 

若手医師半数大学に戻らず 低水準続き、地域差拡大  

大学医学部、医科大を卒業後、今春2年間の臨床研修を終えた若手医師のうち、大学病院に戻った医師が55・9%にとどまったことが10日、全国医学部長病院長会議(会長・小川彰(おがわ・あきら)岩手医科大学長)の調査で分かった。  

52・0%だった2007年からはやや上昇したものの、7割を超えていた臨床研修制度導入前の02年と比較すると大きく低迷したまま。  

地域別では、02年を上回ったのは大都市を多く抱える関東地方82・3%(02年71・6%)だけ。東北地方32・7%(同63・0%)、中国地方39・7%(73・3%)、四国28・7%(74・0%)と、02年の半分程度の地方も目立ち、地域格差が広がった形だ。  

臨床研修を通じて勤務条件がいい民間病院を選ぶ医師が増えているとされており、小川会長は「大学病院は地域医療を支えてきた。大学所属の医師の減少は地域医療のさらなる危機を招く」と話し、臨床研修制度の早期見直しを求める考えをあらためて示した。

更新:2008/07/12 00:00   共同通信社

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原因を「新臨床研修制度」だけに求めている「医学部長・病院長会議」に対しては、考えがなさ過ぎると思います。

 

これをもし個人の問題とした場合はですね

私のところに人が来ないのは、お前のせいだから、原因であるお前が変わるべきだ
といっているわけです。

 

臨床研修制度自体が「いい」とか「悪い」とかはないと思います。
ここで露呈したのは「医局」を中心とした「村社会」が機能していたために、日本の医療が保たれていた
それがいびつな状況であれ、日本の医療をある程度保っていた・・・という事実。

 

それをですね・・・。
「原因はお前だ。元に戻せ」
と、いっているのであれば
「その程度の人間だけしか集まっていないのか?」
と思います。

 

もっとも・・・恐らく発言していない多くの病院長・学部長は「責任を他に求める」という姿勢のバカらしさに気が付かれている事でしょう。

 

物事の責任の一端は何事であっても自分たちにもある。

 

それは当然のこと。確かに「新臨床研修制度」は原因の一つではあるかもしれませんが、原因の全てではないです。

 

一番の原因は「医局」そのもの

 

「医局崩壊する理由」を求めているのに「医局以外」に求める事自体がおかしな事ではないでしょうか?

 

「医局」に関してはこれを機会に、大きく体制を変更する必要があります。

それが僕が思っていることですし、それを行う術はあると思っています

 

 

 大学医局の体制を整える必要はあります。しかし、新臨床研修制度を全ての原因として対処する必要はないと思います。

 

改善すべきところは改善すべきですが、システム自体は「良い」も「悪い」もなくいでしょう。

 

この「新臨床研修制度」の概念を維持したまま改善する方向にもって行くべきであると思います

 

恐らく、僕たち「新臨床研修制度」卒業生が「中堅」クラスになったときに、医局は本当に崩壊していくと思います。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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可能であれば、その前に改善の動きが出てくればよいとは思っています。

日本の医療のためにも

 

 

それでは、また。

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2 コメント

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Unknown (鶴亀松五郎)
2008-07-13 13:53:27
研修医、専門医トレーニング中の医師、専門医、の流れが大都市に向かったことを、大学医学部長・大学病院長会議の代表は、結局は労働条件や卒後教育条件によるものと思われます。
地方の病院の労働条件や卒後教育条件がよければ、新研修医制度になっても、地方の大学病院や医療機関にに医者が残ったかもしれません。
そうでないから、大都市志向、地方敬遠になったとも言えます。
地方がお好きなかたや、家庭の事情で大都市に移れない医者もいるとは思いますが・・・
大都市が全て良く、地方は全てダメとは言えませんが、医者がトレーニングを積む、職場を含めた生活環境は大都市にいるメリットが大きいのだと思います。

大都市にある医大である母校も、現在の所属医局である大都市の医大も、マッチングでの研修医の充足は100%で、それでも人が足らないです。
関連病院に医者が派遣できずに四苦八苦。
大都市ですらそうなのですから、研修医制度を改めて大都市への医師の流入をストップさせることなんか、母校も現在の所属医大も、学部長・病院長みずからが反対です。

忘れてはならないのは、日本の人口分布。
大都市圏には益々、人が集まっていますから、医療を必要とする国民も地方よりずっと多いです。
とうぜん、医者の需要も多く、いまだに足らない状況。
大都市の医者を地方に派遣したり、大都市への医者の流入を制限する余裕など、大都市にはありません。

大学医学部長・大学病院長会議の代表はあくまで地方医大の意見。
そのうち、大都市圏の医大と地方の医大とで、意見が正反対に分かれて、大学医学部長・大学病院長会議が分裂するでしょう。




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勉強になります (アンフェタミン)
2008-07-13 21:01:08
>鶴亀松五郎さん
こんばんは、コメントありがとうございます

先生のおっしゃっている事、よくわかります

現時点で地方から大都市に人が流れているのは、研修の条件が大きな原因だと僕も思います。
また、大学病院に人が集まりにくいのも(大都市圏で同士であれば・・・)研修の条件+専門医習得のメリット>博士号になったからだと思います

実際僕も大都市圏で研修をしたいと思いますし・・・。

大都市圏にある大学でも医師確保に四苦八苦している現状はある程度存じております

大都市圏だから医師が余っている・・・というのも100%ありえない話だと思います

特に東京を中心とした首都圏は、医療も東京に依存しているから周囲の県が人口に比較して医師数が少ないのも気になります

東京が・・災害などで機能停止したら、周囲の県の人たちも大変大きな影響を受けるだろうな・・と考えております

大学部長・病院長会議の件が「地方の大学」の意見である・・といわれると非常に納得できます。

これが大学病院を一致団結させないための策だったらすごいですけど・・・偶然なのでしょうね。

勉強になりました。また、いろいろご指導ください

また、コメントいただければと存じます
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