新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

Triage開始かしら・・・・orz

2009-01-10 14:50:11 | 医療

こんばんは

 

今帰りました。

今日は病棟は少し荒れているものの、どうにかなりそうな感じです。

 

現在当科の病床数20床に対して、入院患者30名(先日30名と書きましたが31名でした)の状況ですが、入院して抗癌剤治療が必要な人はまだいる状況です(特にベルケイドの導入したい人が2名とAILTの人のケモをしたい…早めに・・・)。

 

僕の担当している患者さんだけでもその状況ですので、患者さんはあふれているといってもよいと思います。

 

血液領域は特殊な診療科ですので、一般の科では診てもらえず、ベッドを貸してほしいといっても「支持療法」以外では借りられず、抗癌剤治療などもってのほかと言うことになります

かといって他の病院も同じような状況・・・ 。周囲に「治療」を依頼できるような病院はなかなか見つかりません。

 

現在日本の医療が崩壊しつつある例になるかは不明ですが…例えば最近・・・何箇所かの大学病院から「もう打つ手なし」と言われてしまうような骨髄異形成症候群のRAEB‐2の方々。そう言わないと他の治療できる患者さんの治療枠がなくなってしまうのでしょう。

 

確かに根治させる方法があの年代(60歳過ぎ)ではないのでやるといっても「VitK、VitD」の分化誘導療法くらいですが(まだ、日本ではアザシチジンやデシタビンはまだ使えないし)、それでも先日はHb6~7、Plt4万で末梢血中にBlastがいた人が2ヶ月後にはBlast消失、Hb9、Plt25万になっていたり・・・・反応する人はいます。

 

しかし、全員を受け入れようとしてももはや不可能なレベルになって行っているのだな・・・・。

 

だから、「無理なものは無理!」と断られてしまうのだろう。

 

将来的に根治させるすべがない患者さんを診療して、他の治療法のある患者さんが診れなくなるのは問題だというのはわかる

 

しかし、医者としてはやりたくない選択肢だ・・・・。やりたくはない。できるだけ、手が打てる何かがあるならやってみたい・・。しかし、それすらできない状況に陥りつつある「日本の医療」というのはどういうものだろうか・・・。

 

日本の医療。これは停滞しつつある。停滞ならまだしも、足元から崩れ落ちかけていると実感できる。

 

その危機感が「国民」や「政治家」「マスコミ」などに伝われば本当に良いと思う。

 

このままでは本当に「命の差別化」をしなくてはならない。そしておそらく、「できることがある」という患者さんに対しても「他の人よりも可能性が低い」「延命するだけに終わる」「年齢」「将来的には厳しい」などの理由で診察ができなくなるのだろうな・・・

 

医者が少ない

病床数が少ない(診療科もある)

医療費が少ない

 

といったような理由のために・・・

 

 

そんな理由のために現場が精神的に苛みながら「患者」を「平時にもかかわらず」「Triage」することになるのだろう・・・

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと

困ったものだ・・・。 ちょっとしたら軽く走ってきます。1時間くらいかな・・・

 

P.S 

最近は脈拍数が50~60/分まで下がってきました。学生時代は40回くらいだったんですけどね

 

やはり運動は重要ですw

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4 コメント

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Unknown ()
2009-01-10 18:31:41
以前ご高齢ののMMの人をがんセンターに送ろうとしたらお断りされましたよ。
骨髄移植の対象になるような若い人じゃないと受けてもらえないみたいでした。
返信する
Unknown (SIRO)
2009-01-10 20:00:44
これが医師不足の中でそれでも何とかしようと奮闘する現場の悲鳴ですね...

どんなに頑張っても診られる患者数は有限なのに、現場の苦悩を知らずに軽々しく「命がかかってるんだから断るなんてひどい」という人たちに読んでほしいエントリです。

このまま行き着く先は菊花病院になりそうで恐ろしいです...(2018年 菊花病院ってネット小説ご存知ですか?未読ならぜひググって読んでみてください)
返信する
お疲れ様です。 (ペンギン)
2009-01-10 23:10:34
のほほんと毎日を過ごしていますが、こうして苦しい状況の中で頑張っていらっしゃる方のブログに巡り会えて、臨場感感じさせていただいております。ありがとうございます。お体大切に。
四十代 保育士より
返信する
現場の悲鳴 (アンフェタミン)
2009-01-11 04:07:51
>某さん
こんばんは、コメントありがとうございます

確かに多発性骨髄腫(MM)も「治癒」を見込めないタイプの疾患ですし、治癒を狙うのであれば「若年者」の同種骨髄移植ということになるのでしょうけど・・・。

確かに国立がんセンターだと「治験」対象になるような患者さんや「移植」などの患者さんしか受け入れてもらえないかもしれないですね

しかし、もう血液業界どこもパンク状態じゃないのかしら・・・・・と思っております

また、コメントいただければと存じます

>SIROさん
こんばんは、コメントありがとうございます

どんなに頑張っても診療できる患者さんの数は有限です。本当にその通りだと思います。

今日は当直なのですが、患者受け入れを要請されても血液疾患であればもう受け入れられないと思います。

流石に×1.5ですから・・・

菊花病院、先ほど調べてみました。今度時間があれば読みたいと思います

また、コメントいただければと存じます

>ペンギンさん
こんばんは、コメントありがとうございます

血液内科、一般にはあまり知られていない診療科かもしれませんが内科の中ではかなり窮地に追い込まれていると思います

正直、厳しい状況が続いております。

こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます
今後もよろしくお願いいたします

また、コメントいただければと存じます
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