さて、もう一つ紹介します
いくつかの思い付きに関しては予約投稿していきます。
先程CBの記事を読んでいたらこの記事を見つけました。個人的にはよくわかりません。
“がんもどき”近藤医師に聞く、放置療法 - シリーズ 医の道(5)
1996年に著書「患者よ、がんと闘うな」(文藝春秋)、その14年後に「あなたの癌は、がんもどき」(梧桐書院)を世に出し、物議を醸した慶大医学部放射線科講師の近藤誠の考えは、全くぶれない。今年春に出版された、「がん放置療法のすすめ-患者150人の証言」(文春新書)も、これまでの主張を貫いている。
近藤は、すべてのがんに対して、放置療法を薦めているわけではない。事実、近藤の下には、全国から乳がんを中心に多くのがん患者が集まり、治療を受けている。放置療法、つまり、がんを治療せずに放置するのは、“がんもどき”に対してである。“がんもどき”というのは、病理検査で「がん」と診断されても、他臓器に移転していないため、放っておいても死に至らない「がん」のことだ。
「本物のがんか、“がんもどき”かを、事前に見極めるのは不可能です。病理学的には、すべてがん。顕微鏡で見た顔つきは、同じなのです。ただ、顔つきが同じでも、転移しているかどうかで違ってきます」――。
放置療法の対象になる「がん」は、肺がん、胃がん、前立腺がん、乳がんなどのいわゆる「固形がん」(腫瘤を作るがん)で、急性白血病や悪性リンパ腫のような血液系のがんは、抗がん剤で治る可能性があるため、対象外だという。固形がんでも、小児がん、子宮絨毛がん、睾丸腫瘍も、抗がん剤で治る可能性があるため、放置療法の対象から外している。また固形がんでも、無症状で増大する可能性がある肝臓の初発がんも、対象ではない。
進行がんも、すべてが放置療法の対象外ではない。近藤はこう説明する。「進行がんのなかにも“がんもどき”はあります。進行がんには、臓器転移のない、局所進行がんというのがあります。子宮頸がんに、多く見られます。骨盤壁に達する3b期でも、何割かは治るがんです。つまり、“がんもどき”。進行がんでも、症状がなければ、放置療法の対象になります」。
近藤は、がんには本来、経過観察は必要ないと強調する。治療後に症状が悪化した場合に、治療再開など次の方針を考えればよいという。また、健康な人が、がん検診を受けることに否定的だ。「検診に行くのは、間違いです。例えば、肺がん検診で見つかるような、小さいがんで亡くなる人は、2割程度。つまり、がんが発見されても、2割が本物のがんで、8割は、“がんもどき”なのです。がん治療で大切なのは、治療以前よりも具合が良くなるということです。がんによる体調不良が無ければ、治療を受けても寿命は伸びないし、健康が悪化するばかりです。だから、自分の体調がいい時に、がんを見つけ出す検査をする必要はないのです」。
近藤は2014年春に定年を迎える。これまで40年間、がんと真正面から向き合ってきて、医療で一番大事なことは、「誰一人として、後悔し、後悔させないことだ」と考えている。この思いに達したのは、過去を振り返り、「今となっては、無駄な治療だったかもしれない。その治療により、患者を傷つけてしまったのではないか、死なせてしまったのではないか」という悔恨の念があるからだ。これらの苦い経験が近藤を、もっと深く勉強しようと奮い立たせ、新しい事実を発見したりして、今の主張にたどり着いた。
「患者は治療を受けたら、受けなかった方が良かったのではないかとくよくよし、治療を受けなかったら、受けた方が良かったのではないかと考え、悩む。それでも決断して、がんに立ち向かわなければなりません。それを手助けするのが、医師の役目。世の中で、このような説があるとか、こういう問題があるのだとかを、きちんと説明して、患者に疑問があれば、それにすべて答えなくてはいけません。そして患者が治療を始めることになれば、医師はベストを尽くすだけです」。
近藤は、すべてのがんに対して、放置療法を薦めているわけではない。事実、近藤の下には、全国から乳がんを中心に多くのがん患者が集まり、治療を受けている。放置療法、つまり、がんを治療せずに放置するのは、“がんもどき”に対してである。“がんもどき”というのは、病理検査で「がん」と診断されても、他臓器に移転していないため、放っておいても死に至らない「がん」のことだ。
「本物のがんか、“がんもどき”かを、事前に見極めるのは不可能です。病理学的には、すべてがん。顕微鏡で見た顔つきは、同じなのです。ただ、顔つきが同じでも、転移しているかどうかで違ってきます」――。
放置療法の対象になる「がん」は、肺がん、胃がん、前立腺がん、乳がんなどのいわゆる「固形がん」(腫瘤を作るがん)で、急性白血病や悪性リンパ腫のような血液系のがんは、抗がん剤で治る可能性があるため、対象外だという。固形がんでも、小児がん、子宮絨毛がん、睾丸腫瘍も、抗がん剤で治る可能性があるため、放置療法の対象から外している。また固形がんでも、無症状で増大する可能性がある肝臓の初発がんも、対象ではない。
進行がんも、すべてが放置療法の対象外ではない。近藤はこう説明する。「進行がんのなかにも“がんもどき”はあります。進行がんには、臓器転移のない、局所進行がんというのがあります。子宮頸がんに、多く見られます。骨盤壁に達する3b期でも、何割かは治るがんです。つまり、“がんもどき”。進行がんでも、症状がなければ、放置療法の対象になります」。
近藤は、がんには本来、経過観察は必要ないと強調する。治療後に症状が悪化した場合に、治療再開など次の方針を考えればよいという。また、健康な人が、がん検診を受けることに否定的だ。「検診に行くのは、間違いです。例えば、肺がん検診で見つかるような、小さいがんで亡くなる人は、2割程度。つまり、がんが発見されても、2割が本物のがんで、8割は、“がんもどき”なのです。がん治療で大切なのは、治療以前よりも具合が良くなるということです。がんによる体調不良が無ければ、治療を受けても寿命は伸びないし、健康が悪化するばかりです。だから、自分の体調がいい時に、がんを見つけ出す検査をする必要はないのです」。
近藤は2014年春に定年を迎える。これまで40年間、がんと真正面から向き合ってきて、医療で一番大事なことは、「誰一人として、後悔し、後悔させないことだ」と考えている。この思いに達したのは、過去を振り返り、「今となっては、無駄な治療だったかもしれない。その治療により、患者を傷つけてしまったのではないか、死なせてしまったのではないか」という悔恨の念があるからだ。これらの苦い経験が近藤を、もっと深く勉強しようと奮い立たせ、新しい事実を発見したりして、今の主張にたどり着いた。
「患者は治療を受けたら、受けなかった方が良かったのではないかとくよくよし、治療を受けなかったら、受けた方が良かったのではないかと考え、悩む。それでも決断して、がんに立ち向かわなければなりません。それを手助けするのが、医師の役目。世の中で、このような説があるとか、こういう問題があるのだとかを、きちんと説明して、患者に疑問があれば、それにすべて答えなくてはいけません。そして患者が治療を始めることになれば、医師はベストを尽くすだけです」。
=敬称略=(君塚靖)
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はっきりいってなんとなくわかったこととわからないことがある。
本物のがんか、“がんもどき”かを、事前に見極めるのは不可能
と書いているのに放置する根拠はなんだろうか?
僕は血液内科医ゆえに放置というのはありえないのだが、それでも思ってしまう。この書き方だと病期が進行していない癌はがんもどきの可能性があるから治療をしてはならない…ということなのかもしれない。
過去にこんなことがあった。70代後半の女性が悪性リンパ腫を発症した。治療前のCTでも見つかっていた微妙な肺の影(悪性リンパ腫による胸水で、その影響の可能性も十分あった)が治療後のPET-CTで残っていたので、呼吸器内科で診てもらった。肺癌だった。ダブルキャンサーでリンパ腫の治療後に大きさに変化がなかったが、初期の肺癌ということで摘出し今も元気に暮らしている。
こういう進行のとても遅い癌をがんもどきと言っているのだろう。実際に、血液腫瘍と比較してほとんどの固形がんは進行は遅いが…それでも進行する。局所進行が多いタイプで、リンパ節転移もしていない皮膚がんが・・・とんでもないところに微小転移(詳細を書くと特定されるので書きません)している症例報告を先日見つけた。
僕も「がん」か「がんもどき」かは死ぬまで不明だと思う。症状が出始めた固形がんは病気が進行しているのだから、今の段階ではほとんど手が出ない。
もし、近藤先生の思いや信念が強いのであれば・・・長期に変化のない患者さんたちに協力してもらい、そういった人たちの「病巣」とほかの患者さんたちの病巣とをマイクロアレイを使用したり、病理学的な検討をいろいろ行うなどして調べるしかないのではないかと思う。
今の段階では死ぬ可能性のある患者さんも放置しているかもしれない…ということになると思う。
ただ、なんとなくわかった気がすることもある。
医師は患者を治療するのであって、病気や異常を治療するのではない…という思いなのではないかと思う。
僕も病院で患者さんの急変や何らかの異常を伝えられたときに、患者さんの状況を言わないと
「お前は患者さんを診ているのか、検査の数値を見ているのか。どっちだ?」
と言います。
患者さんを診ている・・・すなわち患者さんにどういう変化が生じて、それに対してどのように考え、どのように検査を行い、それをどう評価したのか。患者さんの変化が最初にあるはずです。
「がんによる体調不良が無ければ、治療を受けても寿命は伸びないし、健康が悪化するばかりです。だから、自分の体調がいい時に、がんを見つけ出す検査をする必要はないのです」
患者さんが病気で不調を訴えていないのにもかかわらず治療を行うということは、少なくとも治療による害が出ることはあっても改善というのはない。だから患者さんに対して治療をすることを勧められない…ということだろうと評価しました。
この考えもわかります。
治療をしたのに患者さんはしんどくなるだけ・・・であれば何もしないで様子を見て、本当に治療が必要になったら治療をしませんか…ということだと思う。
ただ、この考えに問題があるとすれば・・治療が必要になったと思った時に有効な治療がないということになるかもしれない。想像よりもかなり進行の早い腫瘍かもしれない。局所進行がんで子宮頸がんが上がっているが、乳がんで局所進行していればほとんど転移している(と言われている)。僕の中で局所治療が終わった5年後も油断ができない固形腫瘍は乳癌、腎臓癌などだと思っている。
それ故に患者さんとよく相談する必要があると思うし、本当に良いのかどうかは患者さんや家族がきちんと考えを理解しなくてはならないのだろうと思う。
追加で検診の必要性に関しては僕は必要だと思っている。理由は近藤医師とは逆に早期発見、早期治療が必要だと思っているから。
しかし、症状が出るまで治療をしないのであれば検診は受けなくてよいだろう。
理由は検診を受けることで「怪しい影」が見つかり、それが「がん」か「がんもどき」かを不安に思いながら見ているだけであれば、症状が出るまで知らないほうが幸せに(不安に悩まされずに)過ごせるだろう。
しかし、僕は何度も言うがもしその考えが正しいのだとしても、それをはっきりと示せる証拠がない限りは「近藤医師の考えは正しい」とは思えないのである。
可能であればその根拠を見つけ出してから、この理論を進めていかれたらよいのではないかと思う(ちなみに僕はよく知りませんが、これが医学的にはっきりとしていれば世界中で治療方針は変わります。変わっていない限り、もしくはすぐに治験が始まらない限りは根拠は示されていないと思います)。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
こんばんは、コメントありがとうございます
骨盤に転移、すなわち血液中に腫瘍が載ったということなので理屈で考えれば複数個所に腫瘍は転移していると思います。
そういう意味では放射線療法単独は僕の中ではないですが、抗癌剤治療が延命したかどうかは不明です。
ただ、担当医師の考え方や説明の仕方で、患者さんの命は左右されると思っています。
また、コメントいただければと存じます
治療技術は向上の一途をたどっているはずだが、なぜがん死は減らないのか。近藤氏が言う。
「それこそががん治療がいらない理由です。がんに限らず、医者や製薬会社、医療機器メーカー、官僚らは、医療のパイを大きくして利益を得たいがために“患者増産策”を取り、必要のない治療や薬を患者に押しつけてきた。患者や家族の間には“本当にこの治療が必要なのか?”という根強い不信感がありましたが、彼らに本当のことを言ってくれる医者がいなかったのです」(近藤氏)
※週刊ポスト2013年8月16・23日号
聞きづらいこと質問しますが癌治療において各業界利権のための構図があるのでしょうか?
こんばんは、コメントありがとうございます
おそらく、ほとんど書かれていることは間違いのような気がします。
医療のパイがほとんど大きくならないから、医師を含めた医療従事者の仕事量が増えているのに収入が増えていないように思います。お金の面だけであれば効率は悪くなっているのだと思います。
必要のない薬や治療を患者に押し付けてきた・・・というのは最近はないと思います。昔は・・それこそ情報がない時代だったので「必要があるかないかがわからない」時代でしたが、現在そのようなことをやる場合は臨床研究なりを組まないといけませんし、そのためには各大学や病院の倫理委員会を通さないといけません。
小さな病院であればよくわからないことをしているかもしれませんが、ある程度の規模の病院であれば医師の目も多数あるので変なことはできないと思います。
以前、他の記事でも書きましたが「個別化」にはまだ情報が不足しています。患者さんによっては多くの患者さんではやったほうが良かったものが、その患者さんにはよくなかったということはあり得ると思います。
あとは攻めるも引くもできないほど追い込まれて見つかったとかですね・・・。
僕がそのような構図を知らないだけかもしれませんが、基本的にないと思っています。
また、コメントいただければと存じます
ひと昔前と現代では全てにおいて状況が違うでしょう。先生のコメントに現代医療の考え方が伺えます。
近藤医師の記事に対し先生のコメント、早期発見・早期治療について先生のコメントに同感です。また、近藤医師のコメントは先生の解釈を付け加えないと誤解患者が増え助かる命も助からなくなることを懸念します。
長々失礼しました。
今後も病気にならない予防医学の充実に貢献願います。がんやその他の病気も「この錠剤を飲めば治る」時代が早く来ることを願います。
ありがとうございました。埼玉県深谷市在住 アクセス
こんばんは、コメントありがとうございます
僕も自分が医師になる前のことを正確に知っているわけではないのですが、先輩医師の話や本などからの情報では、パターナリズムで「主治医」の方針、医局の方針がすべての時代もあったのだと思います。
今はインターネットを通して様々な情報が共有できる社会です。ですので、昔のようなことはないだろうと思います。
僕も病気にならない世の中や、病気が薬だけで治る世の中になればよいと思います。
また、コメントいただければと存じます